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引き寄せられる熱と体 2
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リューイが発情した。
朝から少し熱っぽくけだるそうにしていたのはわかっていた。
リューイの発情周期はほぼ定まっている。フィーディスはその日の朝レックスたちに声をかけた。
「リューは少し具合悪いみたいだから看病するけど、三人は下の先生のフロアで今日は過ごしてくれる?」
「リューちゃん大丈夫?」
「大丈夫だよ。ただ今日ピータさんが来ないから先にみんなのごはん作っておくね。レックス、シルバ、二人で協力して食べるときは温めてクラルスと食べてね」
「はーい」
フィーディスは温め直しがレンジでできるようにおにぎりやそれにあわせたおかずを作る。
ウィリディスのフロアの冷蔵庫に冷凍のパスタも入れ直せばレックスとシルバにどこになにをいれたか伝えてもとのフロアに戻った。
リューイはベッドでぐったりとしている。ベッド脇には念のためリューイの端末と水分補給用に水の入ったボトルを置いていた。
「リュー、大丈夫?薬は飲んだ?」
「飲んだ…でもいまいち効かない」
発情抑制剤は普段使っているものである。避妊剤はさておいても長く飲んでいるため効果が薄れたのだろうか。
顔を赤らめるリューイの呼吸は少し早い。額の汗を拭い念のため自分も避妊剤を服用した。
リューイの香りが部屋中に広がる。αを誘うその香りに思考が支配される。
ベッドにあがり優しくリューイの髪をかきあげる。少し汗ばんだ肌を指先で撫でれればリューイは瞳を閉じて震えた。
「なんで、先生に残ってもらわなかったの」
リューイが発情しかけていることをウィリディスは朝方気づいた。
何かあったときのために家にいようかと告げた彼にリューイは首を振ったのだ。
「せんせー…もう、研究に集中してもらわなきゃ…迷惑かけらんない」
「…先生じゃなくて俺が抱くよ。いいの?」
「…フィーディスも、ちゃんと好きだよ。それに、フィーディスが俺にひどいことするとは思ってない」
目を開けてフィーディスを見つめる。リューイの言葉にフィーディスは真っ赤になっていた。
ずるい、と正直思うのだ。リューイの気持ちを無視して抱いて傷つけてしまったのに、彼は自分の謝罪を受け入れたばかりではなく、いまだに信頼を寄せてくれているらしい。
「フィーディス…」
無意識にリューイのほほを撫でていたらしい。リューイが甘えた声を出していた。
猫のようだとも思う。フィーディスの手にほほを摺り寄せるリューイがかわいらしい。
様子を見ていれば少しずつリューイの息が上がっていく。同時に部屋いっぱいに甘い香りがした。
頭の芯がしびれる。リューイの瞳が濡れた。フィーディスは静かにリューイに口づける。
触れるだけにとどめていたキスはやがて舌を絡めあう深いものへと変わっていく。
どうしてこんなにリューイはいい香りがするのだろうか。
「フィー…」
「リュー、もっと声聞きたい。触りたい。いい?」
「うん…触って」
リューイの腕がフィーディスの首に回る。引き寄せられるままに口づけ、服の裾から手を滑らせていく。
肌が湿っていた。息苦しくなってきて唇をはなせば二人の間を銀の糸がつないだ。
Ωの強い誘惑の香りにどんどん理性がなくなっていく。感じたことのないそれにフィーディスは溺れた。
「好き…リュー…いいにおいがする。それに甘い…ケーキみたい」
フィーディスはそう囁きながらリューイの耳たぶを軽く噛んだ。そんな些細な刺激にすらリューイは感じてしまう。
自分に覆いかぶさってくるフィーディスから感じたことのない香りがした。自分を首筋をなめ上げるフィーディスの髪に鼻を埋めた。
甘いような、少し辛いような、なんのにおいだろうかとぼんやりとした意識の中で考えた。考えても答えが出るはずはなく、抵抗しないままリューイは服を脱がされた。
ぼやけた視界に映るのはウィリディスではない。いつもなら彼のきれいな緑の瞳と視線が交わるのに今はそれとは違う色がリューイを映しだしている。
「すごい…たまらないよ、リュー。あぁ…俺、こんなに興奮したの初めてかもしれない」
フィーディスがリューイの手を取りその甲に唇を押し当てた。ただそれだけのことだったがリューイの心臓が大きく跳ねる。
好きだとフィーディスは何度もささやきながらリューイの服を上から順に脱がしていく。囁かれるたびにリューイの体は熱くなっていく。
じわりと瞳に涙があふれてしまった。その様子を見ながらフィーディスはなおも好きと囁いた。
フィーディスも興奮しているのだろうか、リューイから見える彼の下肢にふくらみは見えない。
フィーディスはリューイの指に舌を這わせた。一本一本丁寧になめていく。なめるたびにリューイから声が漏れるが、そのたびにいっそう香りは強くなる。
フィーディスはただ本能のままにリューイを攻め立てた。
リューイを一糸まとわぬ姿にすれば顔から足先まで静かに見つめた。傷やシミなどもちろんない。男とは思えない肌のきめ細かさである。
「きれい…」
「は?俺、男だよ、フィーディス」
「うん、知ってる。だってリューはこんなエッチなもの持ってるじゃん」
フィーディスの指先がリューイのそそり立つものを静かになぞった。かすかな刺激にも関わらずそこは先端のくぼみから蜜をあふれださせた。
たまらなくリューイが愛しい。
リューイの首輪ぎりぎりのところに舌を這わせ左手でリューイの熱を静かにしごいた。リューイは高く啼いてフィーディスの鼓膜を犯す。
かわいい、もっと聞かせてとフィーディスは思った。リューイの声ならばいつでも歓迎できる。
鎖骨を何度もなめては、さまようリューイの手と己の手を握り合わせた。喘ぎに泣き声が混じる。すでにリューイのそれは欲を吐き出したくてたまらないというようにしとどに濡れている。
だがフィーディスはそれを許さなかった。
しごいていた手で根本を抑えてしまう。目を向いたリューイは嫌だというように首を振った。
「もっともっと、気持ちよくなって、たまらないって状態になってから出して…頭がおかしくなっちゃうぐらいにきっと気持ちいいからね」
「やだ…フィー…出したい」
「かわいくおねだりしてもだめ。俺がいれたらいっぱい出して。それまでいっぱいいっぱい、俺が感じさせてあげる。リューイの体に染みついた先生のにおいがなくなっちゃうぐらいにね」
フィーディスは幾度もリューイの体に唇を落とした。時折軽く歯を立てては跡を残していく。
胸の突起に強めに噛みつけばリューイは背をそらし体をはねさせた。出さずに極まってしまったらしい。
困ったことだと苦笑しながらも自分もすでにズボンがきつい。片手でズボンを脱ぐのも億劫になりながらなんとか脱ぎ捨てた。
リューイの痴態を見ており、かつ発情した彼のフェロモンに当てられてフィーディスのそれは臍につくほどに反り返っている。
リューイは息をのんでそれを見つめた。
「リュー、これがリューの中に入るんだよ?期待しちゃう?」
「期待…なんて…」
「嘘だぁ。だってリューの目は俺のこれしか見てないよ。ほしいくせに…発情してるんだからさ…素直に欲しいって言って?」
リューイは何度か口を開閉するも言葉が出てこない。しかし舌なめずりをしてはフィーディスを見つめていた。静かに腰を揺すり言葉なくフィーディスに強請る。
発情しているリューイのそこはすでに蜜をあふれさせベッドの色を変えている。
前戯もなにもいらないのは見て取れた。フィーディスもすでに自身を濡らしている。
何もせずともフィーディスのそれを咥えられるだろう。だが、フェロモンに当てられつつもフィーディスは入れようとはしなかった。
「リュー、ねぇ、言って?俺のこれでいっぱいリューをかわいがってって。あふれるほどに出して、リューを孕ませてって」
優しくフィーディスは囁いた。
そんな恥ずかしいことは言えない。リューイのそんな文句を聞きたかったのだが出てきた言葉はそうではなかった。
「フィーディス…ねぇ、俺のここにいれて…フィーディスでいっぱいにして、俺にたくさんフィーディスのせーえき飲ませて」
リューイは右足を抱えてフィーディスの目にその部分を晒しだした。リューイの呼吸に合わせて開いたり閉じたりするそこからより強い香りがする。
フィーディスの体は自然とリューイの体にあわさる。肌に触れるフィーディスの熱にリューイはぞくぞくと背筋が震えるのを感じた。
「いやらしい、いやらしくて、レックスたちには見せられないね、かわいいリュー」
フィーディスの熱がリューイのそこに押し入る。痛みなどなかった。
シーツを握り締めて体をそらす。リューイが感じるフィーディスの香りが強くなる。
気を抜けばすぐに吐き出してしまいそうだとフィーディスは思う。リューイを初めて抱いたときはただ自分の中に沸き上がった嫉妬に突き動かされるままだった。
だが今は違う。リューイのそこはフィーディスの熱を歓迎しているかのようにうねり、締め付け、しごき上げる。
「リュー、ごめんね、動くよ」
「うん…いっぱい、突いて」
リューイのほほを撫でゆっくりと納めた熱を引き抜いた。離すまいと内部の肉が一緒についてくる。
感じたことのない快感にフィーディスの脳内でスパークが起きた。引き抜いたその直後に再度リューイの中へ勢いよく押し込む。
リューイは悲鳴に近い声を上げた。リューイの熱が欲を吐き出す。リューイの顔にまで勢いよく飛び散ったそれを見ながらフィーディスは無我夢中で腰を動かした。
奥を突き上げえぐるようにする。時折感じたしこりに自身を当てれば強く締め付けられる。リューイの一番感じやすいところだとわかった。
リューイの声を抑えるように口づけては自身から精を搾り取ろうとするかのような動きに必死に耐えた。
「リュー…だめ、そんなされたら、出ちゃうから」
「出して、くれないの?」
「出してあげる。リューにたくさん…」
リューイの体を引き寄せて強く抱きしめる。耳元で小さく名前を呼ばれれば幸せな気持ちが溢れた。
好きだと何度もささやきをこぼしてリューイを穿つ。フィーディスの背中に爪を立てたリューイは幾度も体を震わせて達していた。
目が回るほどの快感の中フィーディスもリューイの中に吐き出していた。出しながらも腰が止まることを知らない。
「やら…っ、んぁっ、フィー…止まって」
「はっ…無理だよ?リューの体が俺を放したくないって言ってるから」
何度互いに達しただろうか。つながっているそこはぬちゃぬちゃと音を立てている。
フィーディスの動きこそ最初よりは遅くなったものの肌を打ち付ける音はさほど変化はない。
フィーディスの足の上に座りリューイはただ揺さぶられているしかできない。何度も達しているはずなのに体は冷めるどころかどんどん熱くなっている気がした。
「こわ、い…フィー…怖いよ」
「怖くない、大丈夫。大丈夫からそのまま気持ちよくなって」
いやいや、と駄々をこねるリューイをなだめながらフィーディスは一度動きを止めた。
互いに息はあがり汗もひどくかいていた。
リューイはフィーディスにもたれかかり肩で息をする。フィーディスは静かに額に口づけリューイを抱きしめた。
先に動いたのはリューイだった。フィーディスと見つめあう瞳にわずかな変化が見られた。リューイの瞳の緑色が普段より濃くなっている気がしたのだ。
「リュー…?」
フィーディスが名前を呼ぶもリューイは反応しない。
少し目を丸くする顔を見て艶然とした笑みを浮かべると静かに腰を持ち上げてフィーディスの熱を抜いた。
フィーディスのそれは自分が吐き出したものとリューイの蜜とで光っていた。さらにこぽり、と音を立ててリューイの中から流れ出てきた精を浴びて白くなる。
「おいしそう…」
白く濡れたそれを見下ろしたリューイの口からこぼれる。その言葉にフィーディスが次の動きを察しかけるもリューイに見つめられて動きを止めてしまった。
明らかに今のリューイは正常ではないことがわかる。甘く、心地いいと感じていたリューイのフェロモンが変質しているようだ。
華の香りであったはずなのに、今はどこか香辛料に近い香りが混ざっているように思える。
身体をかがめたリューイは顔に汗ではりつく髪をはがしてからフィーディスの熱に指を絡める。あれほど交わっていたのに指先はひどく冷たかった。温度差にフィーディスは震える。
「いいにおいがする。フィーディスのこれ、俺食べちゃうから」
「リュー…待って、なめないで」
「やぁだ」
直後フィーディスの体に力が入った。リューイは手にした熱に顔を寄せて静かになめだしたのだ。
まずはまとわりついた精を舌先で掬って味わうように飲み込む。その姿だけでも淫靡なものであるが、先端から根本まで丹念に舌を這わせるさまは何かが乗り移ったとしか思えないのである。
卑猥な音を立てリューイがフィーディスを攻める。少し萎えていたはずの己がその刺激によって再び硬度を取り戻していた。
「大きくなった…すごく濃い匂いがする。フィーディスのにおい…」
とろけた顔のリューイは硬くなったそれにほほを寄せてすぐに顔を放した。フィーディスを見つめて笑い孔に先端を当てた。
「もっと、ちょうだい、フィーディス…」
ずぶずぶと飲み込まれていく肉棒を見つめる。リューイは己の指を噛んであがる嬌声を堪えていた。
突然のリューイの変質についていけない。フィーディスはリューイからの口づけに意識を手放した。
朝から少し熱っぽくけだるそうにしていたのはわかっていた。
リューイの発情周期はほぼ定まっている。フィーディスはその日の朝レックスたちに声をかけた。
「リューは少し具合悪いみたいだから看病するけど、三人は下の先生のフロアで今日は過ごしてくれる?」
「リューちゃん大丈夫?」
「大丈夫だよ。ただ今日ピータさんが来ないから先にみんなのごはん作っておくね。レックス、シルバ、二人で協力して食べるときは温めてクラルスと食べてね」
「はーい」
フィーディスは温め直しがレンジでできるようにおにぎりやそれにあわせたおかずを作る。
ウィリディスのフロアの冷蔵庫に冷凍のパスタも入れ直せばレックスとシルバにどこになにをいれたか伝えてもとのフロアに戻った。
リューイはベッドでぐったりとしている。ベッド脇には念のためリューイの端末と水分補給用に水の入ったボトルを置いていた。
「リュー、大丈夫?薬は飲んだ?」
「飲んだ…でもいまいち効かない」
発情抑制剤は普段使っているものである。避妊剤はさておいても長く飲んでいるため効果が薄れたのだろうか。
顔を赤らめるリューイの呼吸は少し早い。額の汗を拭い念のため自分も避妊剤を服用した。
リューイの香りが部屋中に広がる。αを誘うその香りに思考が支配される。
ベッドにあがり優しくリューイの髪をかきあげる。少し汗ばんだ肌を指先で撫でれればリューイは瞳を閉じて震えた。
「なんで、先生に残ってもらわなかったの」
リューイが発情しかけていることをウィリディスは朝方気づいた。
何かあったときのために家にいようかと告げた彼にリューイは首を振ったのだ。
「せんせー…もう、研究に集中してもらわなきゃ…迷惑かけらんない」
「…先生じゃなくて俺が抱くよ。いいの?」
「…フィーディスも、ちゃんと好きだよ。それに、フィーディスが俺にひどいことするとは思ってない」
目を開けてフィーディスを見つめる。リューイの言葉にフィーディスは真っ赤になっていた。
ずるい、と正直思うのだ。リューイの気持ちを無視して抱いて傷つけてしまったのに、彼は自分の謝罪を受け入れたばかりではなく、いまだに信頼を寄せてくれているらしい。
「フィーディス…」
無意識にリューイのほほを撫でていたらしい。リューイが甘えた声を出していた。
猫のようだとも思う。フィーディスの手にほほを摺り寄せるリューイがかわいらしい。
様子を見ていれば少しずつリューイの息が上がっていく。同時に部屋いっぱいに甘い香りがした。
頭の芯がしびれる。リューイの瞳が濡れた。フィーディスは静かにリューイに口づける。
触れるだけにとどめていたキスはやがて舌を絡めあう深いものへと変わっていく。
どうしてこんなにリューイはいい香りがするのだろうか。
「フィー…」
「リュー、もっと声聞きたい。触りたい。いい?」
「うん…触って」
リューイの腕がフィーディスの首に回る。引き寄せられるままに口づけ、服の裾から手を滑らせていく。
肌が湿っていた。息苦しくなってきて唇をはなせば二人の間を銀の糸がつないだ。
Ωの強い誘惑の香りにどんどん理性がなくなっていく。感じたことのないそれにフィーディスは溺れた。
「好き…リュー…いいにおいがする。それに甘い…ケーキみたい」
フィーディスはそう囁きながらリューイの耳たぶを軽く噛んだ。そんな些細な刺激にすらリューイは感じてしまう。
自分に覆いかぶさってくるフィーディスから感じたことのない香りがした。自分を首筋をなめ上げるフィーディスの髪に鼻を埋めた。
甘いような、少し辛いような、なんのにおいだろうかとぼんやりとした意識の中で考えた。考えても答えが出るはずはなく、抵抗しないままリューイは服を脱がされた。
ぼやけた視界に映るのはウィリディスではない。いつもなら彼のきれいな緑の瞳と視線が交わるのに今はそれとは違う色がリューイを映しだしている。
「すごい…たまらないよ、リュー。あぁ…俺、こんなに興奮したの初めてかもしれない」
フィーディスがリューイの手を取りその甲に唇を押し当てた。ただそれだけのことだったがリューイの心臓が大きく跳ねる。
好きだとフィーディスは何度もささやきながらリューイの服を上から順に脱がしていく。囁かれるたびにリューイの体は熱くなっていく。
じわりと瞳に涙があふれてしまった。その様子を見ながらフィーディスはなおも好きと囁いた。
フィーディスも興奮しているのだろうか、リューイから見える彼の下肢にふくらみは見えない。
フィーディスはリューイの指に舌を這わせた。一本一本丁寧になめていく。なめるたびにリューイから声が漏れるが、そのたびにいっそう香りは強くなる。
フィーディスはただ本能のままにリューイを攻め立てた。
リューイを一糸まとわぬ姿にすれば顔から足先まで静かに見つめた。傷やシミなどもちろんない。男とは思えない肌のきめ細かさである。
「きれい…」
「は?俺、男だよ、フィーディス」
「うん、知ってる。だってリューはこんなエッチなもの持ってるじゃん」
フィーディスの指先がリューイのそそり立つものを静かになぞった。かすかな刺激にも関わらずそこは先端のくぼみから蜜をあふれださせた。
たまらなくリューイが愛しい。
リューイの首輪ぎりぎりのところに舌を這わせ左手でリューイの熱を静かにしごいた。リューイは高く啼いてフィーディスの鼓膜を犯す。
かわいい、もっと聞かせてとフィーディスは思った。リューイの声ならばいつでも歓迎できる。
鎖骨を何度もなめては、さまようリューイの手と己の手を握り合わせた。喘ぎに泣き声が混じる。すでにリューイのそれは欲を吐き出したくてたまらないというようにしとどに濡れている。
だがフィーディスはそれを許さなかった。
しごいていた手で根本を抑えてしまう。目を向いたリューイは嫌だというように首を振った。
「もっともっと、気持ちよくなって、たまらないって状態になってから出して…頭がおかしくなっちゃうぐらいにきっと気持ちいいからね」
「やだ…フィー…出したい」
「かわいくおねだりしてもだめ。俺がいれたらいっぱい出して。それまでいっぱいいっぱい、俺が感じさせてあげる。リューイの体に染みついた先生のにおいがなくなっちゃうぐらいにね」
フィーディスは幾度もリューイの体に唇を落とした。時折軽く歯を立てては跡を残していく。
胸の突起に強めに噛みつけばリューイは背をそらし体をはねさせた。出さずに極まってしまったらしい。
困ったことだと苦笑しながらも自分もすでにズボンがきつい。片手でズボンを脱ぐのも億劫になりながらなんとか脱ぎ捨てた。
リューイの痴態を見ており、かつ発情した彼のフェロモンに当てられてフィーディスのそれは臍につくほどに反り返っている。
リューイは息をのんでそれを見つめた。
「リュー、これがリューの中に入るんだよ?期待しちゃう?」
「期待…なんて…」
「嘘だぁ。だってリューの目は俺のこれしか見てないよ。ほしいくせに…発情してるんだからさ…素直に欲しいって言って?」
リューイは何度か口を開閉するも言葉が出てこない。しかし舌なめずりをしてはフィーディスを見つめていた。静かに腰を揺すり言葉なくフィーディスに強請る。
発情しているリューイのそこはすでに蜜をあふれさせベッドの色を変えている。
前戯もなにもいらないのは見て取れた。フィーディスもすでに自身を濡らしている。
何もせずともフィーディスのそれを咥えられるだろう。だが、フェロモンに当てられつつもフィーディスは入れようとはしなかった。
「リュー、ねぇ、言って?俺のこれでいっぱいリューをかわいがってって。あふれるほどに出して、リューを孕ませてって」
優しくフィーディスは囁いた。
そんな恥ずかしいことは言えない。リューイのそんな文句を聞きたかったのだが出てきた言葉はそうではなかった。
「フィーディス…ねぇ、俺のここにいれて…フィーディスでいっぱいにして、俺にたくさんフィーディスのせーえき飲ませて」
リューイは右足を抱えてフィーディスの目にその部分を晒しだした。リューイの呼吸に合わせて開いたり閉じたりするそこからより強い香りがする。
フィーディスの体は自然とリューイの体にあわさる。肌に触れるフィーディスの熱にリューイはぞくぞくと背筋が震えるのを感じた。
「いやらしい、いやらしくて、レックスたちには見せられないね、かわいいリュー」
フィーディスの熱がリューイのそこに押し入る。痛みなどなかった。
シーツを握り締めて体をそらす。リューイが感じるフィーディスの香りが強くなる。
気を抜けばすぐに吐き出してしまいそうだとフィーディスは思う。リューイを初めて抱いたときはただ自分の中に沸き上がった嫉妬に突き動かされるままだった。
だが今は違う。リューイのそこはフィーディスの熱を歓迎しているかのようにうねり、締め付け、しごき上げる。
「リュー、ごめんね、動くよ」
「うん…いっぱい、突いて」
リューイのほほを撫でゆっくりと納めた熱を引き抜いた。離すまいと内部の肉が一緒についてくる。
感じたことのない快感にフィーディスの脳内でスパークが起きた。引き抜いたその直後に再度リューイの中へ勢いよく押し込む。
リューイは悲鳴に近い声を上げた。リューイの熱が欲を吐き出す。リューイの顔にまで勢いよく飛び散ったそれを見ながらフィーディスは無我夢中で腰を動かした。
奥を突き上げえぐるようにする。時折感じたしこりに自身を当てれば強く締め付けられる。リューイの一番感じやすいところだとわかった。
リューイの声を抑えるように口づけては自身から精を搾り取ろうとするかのような動きに必死に耐えた。
「リュー…だめ、そんなされたら、出ちゃうから」
「出して、くれないの?」
「出してあげる。リューにたくさん…」
リューイの体を引き寄せて強く抱きしめる。耳元で小さく名前を呼ばれれば幸せな気持ちが溢れた。
好きだと何度もささやきをこぼしてリューイを穿つ。フィーディスの背中に爪を立てたリューイは幾度も体を震わせて達していた。
目が回るほどの快感の中フィーディスもリューイの中に吐き出していた。出しながらも腰が止まることを知らない。
「やら…っ、んぁっ、フィー…止まって」
「はっ…無理だよ?リューの体が俺を放したくないって言ってるから」
何度互いに達しただろうか。つながっているそこはぬちゃぬちゃと音を立てている。
フィーディスの動きこそ最初よりは遅くなったものの肌を打ち付ける音はさほど変化はない。
フィーディスの足の上に座りリューイはただ揺さぶられているしかできない。何度も達しているはずなのに体は冷めるどころかどんどん熱くなっている気がした。
「こわ、い…フィー…怖いよ」
「怖くない、大丈夫。大丈夫からそのまま気持ちよくなって」
いやいや、と駄々をこねるリューイをなだめながらフィーディスは一度動きを止めた。
互いに息はあがり汗もひどくかいていた。
リューイはフィーディスにもたれかかり肩で息をする。フィーディスは静かに額に口づけリューイを抱きしめた。
先に動いたのはリューイだった。フィーディスと見つめあう瞳にわずかな変化が見られた。リューイの瞳の緑色が普段より濃くなっている気がしたのだ。
「リュー…?」
フィーディスが名前を呼ぶもリューイは反応しない。
少し目を丸くする顔を見て艶然とした笑みを浮かべると静かに腰を持ち上げてフィーディスの熱を抜いた。
フィーディスのそれは自分が吐き出したものとリューイの蜜とで光っていた。さらにこぽり、と音を立ててリューイの中から流れ出てきた精を浴びて白くなる。
「おいしそう…」
白く濡れたそれを見下ろしたリューイの口からこぼれる。その言葉にフィーディスが次の動きを察しかけるもリューイに見つめられて動きを止めてしまった。
明らかに今のリューイは正常ではないことがわかる。甘く、心地いいと感じていたリューイのフェロモンが変質しているようだ。
華の香りであったはずなのに、今はどこか香辛料に近い香りが混ざっているように思える。
身体をかがめたリューイは顔に汗ではりつく髪をはがしてからフィーディスの熱に指を絡める。あれほど交わっていたのに指先はひどく冷たかった。温度差にフィーディスは震える。
「いいにおいがする。フィーディスのこれ、俺食べちゃうから」
「リュー…待って、なめないで」
「やぁだ」
直後フィーディスの体に力が入った。リューイは手にした熱に顔を寄せて静かになめだしたのだ。
まずはまとわりついた精を舌先で掬って味わうように飲み込む。その姿だけでも淫靡なものであるが、先端から根本まで丹念に舌を這わせるさまは何かが乗り移ったとしか思えないのである。
卑猥な音を立てリューイがフィーディスを攻める。少し萎えていたはずの己がその刺激によって再び硬度を取り戻していた。
「大きくなった…すごく濃い匂いがする。フィーディスのにおい…」
とろけた顔のリューイは硬くなったそれにほほを寄せてすぐに顔を放した。フィーディスを見つめて笑い孔に先端を当てた。
「もっと、ちょうだい、フィーディス…」
ずぶずぶと飲み込まれていく肉棒を見つめる。リューイは己の指を噛んであがる嬌声を堪えていた。
突然のリューイの変質についていけない。フィーディスはリューイからの口づけに意識を手放した。
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