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八話

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涼太のセックスはどこまでも優しい。丁寧に体を拓かれて快楽へと落とされる。洸哉は涼太にどれだけの相手がいたのか知らない。洸哉と付き合ったときから男同士のセックスには慣れていたからそれなりに経験があるのだと思う。
涼太の手はゆっくりと洸哉の肌を撫でていく。背もたれ代わりの涼太の身体は熱を持っていた。腰にあたるものはすでに大きくなっている。


「コウくん…どこを触ってほしい」
「…言わせるの」
「言ってほしい」

耳元で涼太が囁いた。普段はそんなことを聞くこともなく、洸哉の感じる部分を的確に暴いていくのに今日は意地悪をしたいらしい。
洸哉は涼太の手を取って自分の胸元に導いた。涼太は心得たように慎ましやかな突起を指に挟んだ。

「コウくん、すぐに大きくなるね」
「りょうちゃんが触るからね」
「もみ心地も良くなって」

洸哉の肩口に顔を埋めながら涼太は無心で胸元をいじる。鋭敏になったそこはほんの少しの刺激でもたちあがる。
触れ合う肌は熱い。もっと強い刺激がほしいのに、涼太はそれをわかっているのに触ろうとしない。
洸哉は涼太の立ち上がるモノに手を伸ばした。

「りょうちゃん…これ…」
「あー…コウくんの指気持ちいい……こっちむいて」

向き合えば涼太は頭から下肢までゆっくりと視線を動かす。見られているだけなのに洸哉の体は高ぶる。涼太の手が伸びて顎を掴む。少し震えを感じる指先が洸哉の唇の縁をなぞる。
舌先で涼太の指を舐めた。

「えっち」
「りょうちゃんのせい」

少しの軽口はその後のキスに紛れた。頭を固定し舌を絡める。息継ぎなどうまくできるはずもなく洸哉も涼太も頭がクラクラとした。だが、ふたりともキスをやめない。
しがみつけば翔太は口を離して洸哉の額に口づける。


「愛しい…幸せだよ」
「俺も…」

洸哉のうなずきに涼太は笑みを浮かべた。ゆっくりとした営みは普段とは異なる快楽を二人に与える。
涼太は洸哉の体の隅々を丁寧に愛撫した。

「心から結ばれるってこういうことなんだろうなぁ」

ベッドに横たわる洸哉の顔を見下ろしながら涼太は心底幸せそうな顔をする。
キスの雨を降らせれば洸哉はむずがる。つながるために解したその場所は涼太の訪れを待っていた。
ゴムをつけた涼太は洸哉と目を合わせながらゆっくりと半身を沈めていく。
何度も抱いた洸哉の身体ゆえにそのよいところは知っている。
腰をぴったりとつければ、洸哉と目が合った。笑いかけ、己の腰を引く。
内壁を擦り、涼太の弱い部分をかすめていく。声を押しころす姿はかわいらしくも思えるが、本当はその声を聴きたい。
洸哉の腕を取り、顔の隣に押し付ければ赤い洸哉の顔を見下ろした。

「聞かせて、かわいいコウくんの声」

別れるまでの間でいい。その間に涼太は洸哉のことを自分の体だけでなく心や魂の奥底に刻みつけるつもりだった。
洸哉を幾度も突き上げながら涼太は息を吐き出す。自分の下で喘ぐ洸哉は美しい。最初の時から思っていた。
やがて絶頂を迎えれば気だるい体を洸哉の隣に横たえた。
汗ばむ手が体に触れる。顔を洸哉に向ければ彼は微笑んでいた。

「好きです、りょうちゃん」
「俺もです」

洸哉と微笑み合ってその日は眠りについた。洸哉が出立するまでの日にちを数えたら気が滅入る。別れの日が怖い。涼太は少し気鬱でもあった。
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