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第一部 魔王の『力』を受け継ぎまして
第17話 まさかの『あいつ』と遭遇しまして
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宝箱を開けたら、そこにあるのは牙と舌。
見るからに固そうな金属の箱が、グネグネ歪んで器用に跳躍してくる。
「全部、ミミックじゃねェかァァァァァァァァァァァ――――ッ!?」
俺は絶叫しながら、こっちに喰らいつこうとしてくる大口に向けて右手をかざす。
「――『爆焔』ッ!」
発動するのは、破壊に特化した赤魔法をさらに赤魔法で強化した、準無詠唱魔法。
同じ属性の式素でも、このように重ね方によって効果を引き上げられる。
『ギャアアアアアアアアアアアアアア――――ッ!』
中身に直接火球をブチ込まれたミミックが、悲鳴と共に内部から破裂する。
破片は、高熱に焼き切られ、炭となって辺りに散った。
「ふぃ~……」
俺は、頬を伝う汗を手の甲でグイと拭う。
周りを見れば、同じように炭となったミミック共の残骸がゴロゴロしている。
「えい! この! やぁ! えいッ!」
『ギャアアアアアス! ミギャアアアアアアアアアアアス!』
近くから聞こえるのはがんばるラーナの声と、杖で殴られ続けるミミックの悲鳴。
魔法によって強化された神官用の儀式杖は、立派な鈍器の役割を果たしている。
「このっ! このォ!」
『ギヒィィィィィィ~~~~……』
ミミックの声が止まる。息の根が止まったようだ。
しかし、ラーナはそれに気づいた様子もなく、なおひしゃげた宝箱を殴り続ける。
「ストップ。ストップだ、ラーナ。もう終わってるぜ」
「え……」
俺が後から背中をポンと叩くと、ラーナはやっと気づいたように動きを止める。
彼女は、汗だくだった。しかしその顔色は蒼白になっている。
「ビスト君、わたし……」
「よくやった。がんばったよ、おまえは」
激しく肩を上下させながらこっちを見る彼女に、俺は笑いかけてうなずいた。
「モンスターを一人で倒せて、どんな気分だ?」
問いかけると、ラーナは息を切らせたまま首を横に振る。
「……わかんない。無我夢中だったから」
「まぁ、初めてのモンスター退治だからな、そうもなるよ」
だが、ラーナは、一体とはいえ単身でミミックを撃破することができた。
レベルが上がってたおかげもあるが、この功績はまぎれもない彼女の実力だ。
その喜びは、余裕が戻ってからジワジワと心に染み出してくるだろう。
で、無事に戦闘終了なんですけど――、
「……本当に普通の宝箱、一個もねぇのかよ」
改めて辺りを見回してみるも、そんなものはなかった。何もなかった。何も。
目の前にある事実を再認識して、襲い来るのは激しいまでの徒労感。
「ふざけやがって――」
込み上げてくる怒りに、俺は拳を震わせる。
デストラップ密集地帯の直後にミミックの群れ。これはさすがに悪意の塊すぎる!
「何があるんだろうね、ここ……」
下に続く階段を眺めながら、ラーナが大きく息をつく。顔色が悪い。
「ちょっと、体力使いすぎだぜ、おまえ」
俺はラーナの肩に手を置くと白・金・銀の式素を抽出・混合し、術式を構築する。
「『命力譲渡』」
「ぁ……」
という、ラーナの短い声。
俺から生命力が注ぎ込まれて、彼女の蒼白かった顔にも血色が戻ってくる。
「ふぅ、こんなところか」
「ビスト君……」
「気力も生命力のうちだから、使い過ぎたら倒れちまうぜ?」
今、俺が使ったのは自分の生命力を相手に分け与える魔法だ。
傷を治すのではなく、激しい疲労を解消するための手段として有効な術式である。
「ビスト君は、大丈夫なの?」
「多少は疲れたけどな、おまえに比べりゃ全然平気よ」
俺は軽く笑って力こぶを作る。
とはいえ、丸太みたいな腕。ってワケでもないけど……。
「ちなみに今の魔法は触れる場所によって注げる活力の量が――、ん? どした?」
ふと気づくと、ラーナがどこか沈んだような面持ちになっている。
そして、彼女はいきなり呟いた。
「わたしって、実はただの足手まといなんじゃ……」
「実はも何もそりゃそうだ」
何をと思えば、そんな当然のこと。
俺の反応にラーナは「やっぱり……」とガックリ肩を落とすのだが、
「むしろ今のおまえが俺と互角だったら怖いよ。俺って『私』の『力』を継いじゃってるワケだからね? だからアレだよ、俺はおまえが羨ましくて仕方がないよ?」
「え、ぅ、羨ましい……?」
ポカンとなるラーナに、俺は笑ってうなずいて、そのまま嘆いた。
「だっておまえには『強くなる楽しみ』があるじゃないですかァ――――ッ!」
ないよ、俺にはないよ、そんなもの。
だって『魔王の力』なんて得ちゃったワケで、レベルを上げる楽しみが、皆無ッ!
「『力量の水薬』飲んでも効果ないんだよね、俺……」
「あ、そうなんだね……」
そうなんです。
俺もレベルは上がったので、クラリッサさんからポーションもらって飲んだんだ。
もちろん、特別製じゃなくて普通の『力量の水薬』な。
「ただのマズい汁だった」
「あ~……」
真顔で言い切る俺に、ラーナは何を言えばいいかわからない様子で目を泳がせる。
だがすぐに、仕切り直しとばかりに元気よくうなずいて、
「うん、大丈夫だよ! わたしはビスト君との冒険、すごい楽しいよ!」
「ああ、そりゃよかったよ。……俺も同じだ。だから、変なことに悩まないでくれ」
「え――」
こっちを励ましてくれるラーナを、俺も励ます。だが伝わり切らなかったようだ。
じゃあ、もっと言ってやるしかないな。
「俺はおまえと冒険がしたいんだよ、ラーナ」
「ビスト君、それは……」
「今は弱くても、俺がおまえを強くする。おまえは強くなれる。俺にはもう楽しめないその過程を、俺が見ているところでおまえが代わりに楽しんでくれると嬉しいよ」
もちろん世辞などではない。そして、語った内容に一片の偽りもない。
俺にはもう望むことのできない『強くなる楽しみ』。
それを、ラーナには目いっぱい楽しんでほしい。俺は心からそう思っている。
「…………」
ラーナは、何も言えないまま、俺を見つめている。
そんな彼女の手を取って、俺は階段に向かって進み出そうとする。
「行こうぜ、ラーナ。次の階だ」
「ぁ、あ、あ、あの、ビスト君、手……」
「別にいいだろ。さっきはおまえの方から繋いでって言ったクセによ」
俺が笑いながら言うと、ラーナは反論できずに「む~」と唸って視線を下にする。
そして、俺は彼女と手を繋いで、階段を下がっていく。
この、殺意マシマシのクソダンジョン。
次なる階層の入り口となる扉が見えてきた。それはもう開かれていて――、
「…………」
「…………」
開きっぱなし扉の前で、俺とラーナは歩みを止める。
「……あの、ビスト君」
「皆まで言うな。皆まで言うんじゃない、ラーナ」
「ひゃい」
何かを言おうとするラーナを、俺はたしなめる。
だって、何言うかがわかりきってる。もちろんそれは、目の前の光景についてだ。
――宝箱がある。
扉の向こう、浮遊する俺の魔導光が照らすのは、壁も天井も見えない広大な空間。
おそらくは階層ごとに異空間になっているのだろうが、そこに、宝箱。
一つではない。
近くに宝箱。遠くに宝箱。向こうに宝箱。そっちに宝箱。あっちにこっちに宝箱。
宝と宝と宝と宝と宝の、箱と箱と箱と箱と箱が、目に見える範囲にビッシリと!
まさにひしめいてたりするんだな~、これが……。
「……どう思うよ?」
「……こ、これだけあるんだから、一つくらいは」
俺とラーナは立ち尽くしたまま言葉を交わす。
あるか? あるかな? 一つくらいは本当の宝箱、あるかな? 本当にあるかな?
「ある、かなぁ……」
「疑わしいよなぁ~、やっぱさ~!」
俺もラーナも、すっかり疑心暗鬼に陥っていた。
一つ上の階層であったことが、記憶に新しすぎるんだよなぁ……。
「どっちにしろ、俺達は進むしかない」
「うん」
「一個くらい本物があったら、嬉しいっすよね」
「……うん」
「じゃ、行こうか」
「「せ~の」」
俺とラーナは一緒に手を繋いだまま、扉を越えて広大な地下二階に踏み入る。
『『『ギャギャギャギャギャアアアアアアアアアァァァ~~~~スッッッッ!』』』
「あ、やっぱり」
「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおッ! 『爆焔』、『爆焔』、『爆焔』、『爆焔』、『爆焔』、『爆焔』、『爆焔』、『爆焔』、『爆焔』、『爆焔』、『爆焔』、『爆焔』、『爆焔』、『爆焔』~~~~ッ!」
本物などなかった。
◆ ◆ ◆ ◆ ◆
――地下五階。ダンジョン最奥部。
「なるほどな。なるほどな。なるほどな……」
魔力による内部走査を終えて、俺はようやくこのダンジョンの真実に辿り着いた。
地下五階まで、このダンジョンはただただ単純な構造であり続けた。
地下一階、真っすぐ。
地下二階、ただの広間。
地下三階、部屋が二つ繋がってただけ。
地下四階、部屋が三つ繋がってただけ。
迷うまでもない、どうにもこうにも単純と呼ぶ以外にない、簡潔な構造だった。
これはきっと『混沌化』が起きても変わらないものと思えた。
何なら、デストラップがあったのも地下一階だけだった。
あとは魔力スキャンで確かめても、トラップなんて一つもなかった。
地下五階も同じだ。
四階から続く階段を降って、そこにあったのは小さな部屋。
そこに見えるのは錆びた鋼鉄の扉が一つ。
そしてミミック。あそこにミミック。そっちにミミック。やっぱりミミック。
「ずっと、ミミックだったね……」
儀式杖で体を支えながら、ラーナが息をつく。
彼女の言う通り、ここまで本当に、本当にひたすら、ミミックだった。
地下一階がそうで、地下二階もそうだったように。
地下三階も地下四階も、ここも、ただただひたすらひたすら、ミミックだった。
「もう、しばらく宝箱見たくないかも、わたし……」
「ミミックとの戦闘については、一生分こなした自信があるぞ」
俺の言葉に、ラーナはコクコクうなずく。
「でもどうしてこんなにミミックが……? ミミックって、魔法生物だよね?」
「ああ、自然に存在するモンスターじゃないな」
魔法生物――、ゴーレムやキメラなどと同じく、何者かに創造された人造生命だ。
通常、こんな狭いダンジョンに数百を超えるミミックなど、いるはずがない。
「つまりここは、ミミックのためのダンジョンってことだ」
「ミミックのための……?」
目の前の扉を睨む俺に、ラーナが追随する。
ダンジョンが存在している理由。そこに潜む謎。それを暴くのまた楽しいのだが、
「マジでしょーもない……」
「え、え、ビスト君、どうしたの……?」
俺がうなだれると、ラーナが慌てる。
そんな彼女に、俺は明らかになったこのダンジョンの真実を教えてやる。
「このダンジョン、本当にただのミミック御殿だわ」
「え」
「ダンジョン内に働いてる『混沌化』はミミックを再生成するためだけのものだ。仮にミミックが破壊されても、地中の式素を材料にして新たに作り直す。それだけ」
「そ、それだけ……!?」
そう、それだけだ。
デストラップの再設置もあるにはあるが、メインはミミックの生成の方だ。
内部構造の変化もないし、モンスターの出現なんかもない。
「どうして、そんな……?」
「その答えはあの扉の先にある」
俺は、閉ざされたままの鋼鉄の扉を指さす。
「ここのダンジョンの『混沌化』は人為的なものだ。そしてミミックは自然には存在しない魔法生物。だったら、わかるだろ。ラーナ」
「あの扉の向こうにいるんだね、このダンジョンの『主』が」
そういうことだ。
俺達はうなずくと、共に進み始める。
やはり、鋼鉄の扉はこれまでと同じく鍵などはかかっていなかった。
俺がグッと押し込むと、扉はグゴゴと重々しい音を立てゆっくりと開かれていく。
隙間から滑り込んだ魔導光が、決して広くはない最奥部を煌々と照らし出す。
「な、何、あれ……」
そこにあるものを目にし、ラーナが軽く仰天する。
同じくそれを見た俺はスと目を細めた。
宝箱だった。
ダンジョン最奥部にあったもの。それは、やっぱり宝箱。
ただし、今まで見てきたものの数倍の大きさはある、巨大な宝箱だった。
人一人が軽く中に横たわれるくらいの、かなりの幅と奥行きを持った宝箱である。
「あれがこのダンジョンの『主』? おっきなミミック?」
「いや、違う」
当然すぎる予想をするラーナにかぶりを振って、俺は巨大宝箱に無造作に近づく。
罠はない。それは、すでに確認済みだ。
「危ないよ、ビスト君!」
「大丈夫だから、見てろって」
心配そうについてくるラーナに言って、俺は宝箱のふちに手をかける。
さすがに重いが、魔力で筋力を強化してふたを持ち上げていく。
「え――」
そして明らかになった、巨大宝箱の中。
そこにあるものを目の当たりにして、ラーナは驚きに固まってしまう。
「すぅ、すぅ……」
寝息を立てている。
健やかに、そして安らかに、そいつは宝箱の中で熟睡しきっている。
「裸の女の、子……?」
その通り。
布が敷き詰められた宝箱の中で眠っていたのは、とんがり耳の銀髪褐色肌の少女。
見た目、俺達と同年代のそいつが、一糸まとわぬ姿で眠っている。
「はぁ~~~~ッ!」
それを確認して、俺はその場で盛大にため息をつき、膝を屈ませた。
やっぱりか~。やっぱりかァ~~~~!
「ビスト君、どうしたの? この子が、何か……?」
「知り合いです」
「え」
「知り合いなんです。俺じゃなくて『私』の……」
「えええええええええええええええええええええええええええええええええ!?」
素直に白状する俺に、ラーナはとびっきりの驚きの声をあげてくれたのだった。
この全裸女の名前は――、ミミコ。
かつて『至天の魔王』に仕えた『五禍将』の一人、ミミコ・ミッコ。
「何してんだ、おまえェ~!」
「……はにゃ?」
俺の怒鳴り声に、ミミコがビクッと身を震わした。
見るからに固そうな金属の箱が、グネグネ歪んで器用に跳躍してくる。
「全部、ミミックじゃねェかァァァァァァァァァァァ――――ッ!?」
俺は絶叫しながら、こっちに喰らいつこうとしてくる大口に向けて右手をかざす。
「――『爆焔』ッ!」
発動するのは、破壊に特化した赤魔法をさらに赤魔法で強化した、準無詠唱魔法。
同じ属性の式素でも、このように重ね方によって効果を引き上げられる。
『ギャアアアアアアアアアアアアアア――――ッ!』
中身に直接火球をブチ込まれたミミックが、悲鳴と共に内部から破裂する。
破片は、高熱に焼き切られ、炭となって辺りに散った。
「ふぃ~……」
俺は、頬を伝う汗を手の甲でグイと拭う。
周りを見れば、同じように炭となったミミック共の残骸がゴロゴロしている。
「えい! この! やぁ! えいッ!」
『ギャアアアアアス! ミギャアアアアアアアアアアアス!』
近くから聞こえるのはがんばるラーナの声と、杖で殴られ続けるミミックの悲鳴。
魔法によって強化された神官用の儀式杖は、立派な鈍器の役割を果たしている。
「このっ! このォ!」
『ギヒィィィィィィ~~~~……』
ミミックの声が止まる。息の根が止まったようだ。
しかし、ラーナはそれに気づいた様子もなく、なおひしゃげた宝箱を殴り続ける。
「ストップ。ストップだ、ラーナ。もう終わってるぜ」
「え……」
俺が後から背中をポンと叩くと、ラーナはやっと気づいたように動きを止める。
彼女は、汗だくだった。しかしその顔色は蒼白になっている。
「ビスト君、わたし……」
「よくやった。がんばったよ、おまえは」
激しく肩を上下させながらこっちを見る彼女に、俺は笑いかけてうなずいた。
「モンスターを一人で倒せて、どんな気分だ?」
問いかけると、ラーナは息を切らせたまま首を横に振る。
「……わかんない。無我夢中だったから」
「まぁ、初めてのモンスター退治だからな、そうもなるよ」
だが、ラーナは、一体とはいえ単身でミミックを撃破することができた。
レベルが上がってたおかげもあるが、この功績はまぎれもない彼女の実力だ。
その喜びは、余裕が戻ってからジワジワと心に染み出してくるだろう。
で、無事に戦闘終了なんですけど――、
「……本当に普通の宝箱、一個もねぇのかよ」
改めて辺りを見回してみるも、そんなものはなかった。何もなかった。何も。
目の前にある事実を再認識して、襲い来るのは激しいまでの徒労感。
「ふざけやがって――」
込み上げてくる怒りに、俺は拳を震わせる。
デストラップ密集地帯の直後にミミックの群れ。これはさすがに悪意の塊すぎる!
「何があるんだろうね、ここ……」
下に続く階段を眺めながら、ラーナが大きく息をつく。顔色が悪い。
「ちょっと、体力使いすぎだぜ、おまえ」
俺はラーナの肩に手を置くと白・金・銀の式素を抽出・混合し、術式を構築する。
「『命力譲渡』」
「ぁ……」
という、ラーナの短い声。
俺から生命力が注ぎ込まれて、彼女の蒼白かった顔にも血色が戻ってくる。
「ふぅ、こんなところか」
「ビスト君……」
「気力も生命力のうちだから、使い過ぎたら倒れちまうぜ?」
今、俺が使ったのは自分の生命力を相手に分け与える魔法だ。
傷を治すのではなく、激しい疲労を解消するための手段として有効な術式である。
「ビスト君は、大丈夫なの?」
「多少は疲れたけどな、おまえに比べりゃ全然平気よ」
俺は軽く笑って力こぶを作る。
とはいえ、丸太みたいな腕。ってワケでもないけど……。
「ちなみに今の魔法は触れる場所によって注げる活力の量が――、ん? どした?」
ふと気づくと、ラーナがどこか沈んだような面持ちになっている。
そして、彼女はいきなり呟いた。
「わたしって、実はただの足手まといなんじゃ……」
「実はも何もそりゃそうだ」
何をと思えば、そんな当然のこと。
俺の反応にラーナは「やっぱり……」とガックリ肩を落とすのだが、
「むしろ今のおまえが俺と互角だったら怖いよ。俺って『私』の『力』を継いじゃってるワケだからね? だからアレだよ、俺はおまえが羨ましくて仕方がないよ?」
「え、ぅ、羨ましい……?」
ポカンとなるラーナに、俺は笑ってうなずいて、そのまま嘆いた。
「だっておまえには『強くなる楽しみ』があるじゃないですかァ――――ッ!」
ないよ、俺にはないよ、そんなもの。
だって『魔王の力』なんて得ちゃったワケで、レベルを上げる楽しみが、皆無ッ!
「『力量の水薬』飲んでも効果ないんだよね、俺……」
「あ、そうなんだね……」
そうなんです。
俺もレベルは上がったので、クラリッサさんからポーションもらって飲んだんだ。
もちろん、特別製じゃなくて普通の『力量の水薬』な。
「ただのマズい汁だった」
「あ~……」
真顔で言い切る俺に、ラーナは何を言えばいいかわからない様子で目を泳がせる。
だがすぐに、仕切り直しとばかりに元気よくうなずいて、
「うん、大丈夫だよ! わたしはビスト君との冒険、すごい楽しいよ!」
「ああ、そりゃよかったよ。……俺も同じだ。だから、変なことに悩まないでくれ」
「え――」
こっちを励ましてくれるラーナを、俺も励ます。だが伝わり切らなかったようだ。
じゃあ、もっと言ってやるしかないな。
「俺はおまえと冒険がしたいんだよ、ラーナ」
「ビスト君、それは……」
「今は弱くても、俺がおまえを強くする。おまえは強くなれる。俺にはもう楽しめないその過程を、俺が見ているところでおまえが代わりに楽しんでくれると嬉しいよ」
もちろん世辞などではない。そして、語った内容に一片の偽りもない。
俺にはもう望むことのできない『強くなる楽しみ』。
それを、ラーナには目いっぱい楽しんでほしい。俺は心からそう思っている。
「…………」
ラーナは、何も言えないまま、俺を見つめている。
そんな彼女の手を取って、俺は階段に向かって進み出そうとする。
「行こうぜ、ラーナ。次の階だ」
「ぁ、あ、あ、あの、ビスト君、手……」
「別にいいだろ。さっきはおまえの方から繋いでって言ったクセによ」
俺が笑いながら言うと、ラーナは反論できずに「む~」と唸って視線を下にする。
そして、俺は彼女と手を繋いで、階段を下がっていく。
この、殺意マシマシのクソダンジョン。
次なる階層の入り口となる扉が見えてきた。それはもう開かれていて――、
「…………」
「…………」
開きっぱなし扉の前で、俺とラーナは歩みを止める。
「……あの、ビスト君」
「皆まで言うな。皆まで言うんじゃない、ラーナ」
「ひゃい」
何かを言おうとするラーナを、俺はたしなめる。
だって、何言うかがわかりきってる。もちろんそれは、目の前の光景についてだ。
――宝箱がある。
扉の向こう、浮遊する俺の魔導光が照らすのは、壁も天井も見えない広大な空間。
おそらくは階層ごとに異空間になっているのだろうが、そこに、宝箱。
一つではない。
近くに宝箱。遠くに宝箱。向こうに宝箱。そっちに宝箱。あっちにこっちに宝箱。
宝と宝と宝と宝と宝の、箱と箱と箱と箱と箱が、目に見える範囲にビッシリと!
まさにひしめいてたりするんだな~、これが……。
「……どう思うよ?」
「……こ、これだけあるんだから、一つくらいは」
俺とラーナは立ち尽くしたまま言葉を交わす。
あるか? あるかな? 一つくらいは本当の宝箱、あるかな? 本当にあるかな?
「ある、かなぁ……」
「疑わしいよなぁ~、やっぱさ~!」
俺もラーナも、すっかり疑心暗鬼に陥っていた。
一つ上の階層であったことが、記憶に新しすぎるんだよなぁ……。
「どっちにしろ、俺達は進むしかない」
「うん」
「一個くらい本物があったら、嬉しいっすよね」
「……うん」
「じゃ、行こうか」
「「せ~の」」
俺とラーナは一緒に手を繋いだまま、扉を越えて広大な地下二階に踏み入る。
『『『ギャギャギャギャギャアアアアアアアアアァァァ~~~~スッッッッ!』』』
「あ、やっぱり」
「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおッ! 『爆焔』、『爆焔』、『爆焔』、『爆焔』、『爆焔』、『爆焔』、『爆焔』、『爆焔』、『爆焔』、『爆焔』、『爆焔』、『爆焔』、『爆焔』、『爆焔』~~~~ッ!」
本物などなかった。
◆ ◆ ◆ ◆ ◆
――地下五階。ダンジョン最奥部。
「なるほどな。なるほどな。なるほどな……」
魔力による内部走査を終えて、俺はようやくこのダンジョンの真実に辿り着いた。
地下五階まで、このダンジョンはただただ単純な構造であり続けた。
地下一階、真っすぐ。
地下二階、ただの広間。
地下三階、部屋が二つ繋がってただけ。
地下四階、部屋が三つ繋がってただけ。
迷うまでもない、どうにもこうにも単純と呼ぶ以外にない、簡潔な構造だった。
これはきっと『混沌化』が起きても変わらないものと思えた。
何なら、デストラップがあったのも地下一階だけだった。
あとは魔力スキャンで確かめても、トラップなんて一つもなかった。
地下五階も同じだ。
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そこに見えるのは錆びた鋼鉄の扉が一つ。
そしてミミック。あそこにミミック。そっちにミミック。やっぱりミミック。
「ずっと、ミミックだったね……」
儀式杖で体を支えながら、ラーナが息をつく。
彼女の言う通り、ここまで本当に、本当にひたすら、ミミックだった。
地下一階がそうで、地下二階もそうだったように。
地下三階も地下四階も、ここも、ただただひたすらひたすら、ミミックだった。
「もう、しばらく宝箱見たくないかも、わたし……」
「ミミックとの戦闘については、一生分こなした自信があるぞ」
俺の言葉に、ラーナはコクコクうなずく。
「でもどうしてこんなにミミックが……? ミミックって、魔法生物だよね?」
「ああ、自然に存在するモンスターじゃないな」
魔法生物――、ゴーレムやキメラなどと同じく、何者かに創造された人造生命だ。
通常、こんな狭いダンジョンに数百を超えるミミックなど、いるはずがない。
「つまりここは、ミミックのためのダンジョンってことだ」
「ミミックのための……?」
目の前の扉を睨む俺に、ラーナが追随する。
ダンジョンが存在している理由。そこに潜む謎。それを暴くのまた楽しいのだが、
「マジでしょーもない……」
「え、え、ビスト君、どうしたの……?」
俺がうなだれると、ラーナが慌てる。
そんな彼女に、俺は明らかになったこのダンジョンの真実を教えてやる。
「このダンジョン、本当にただのミミック御殿だわ」
「え」
「ダンジョン内に働いてる『混沌化』はミミックを再生成するためだけのものだ。仮にミミックが破壊されても、地中の式素を材料にして新たに作り直す。それだけ」
「そ、それだけ……!?」
そう、それだけだ。
デストラップの再設置もあるにはあるが、メインはミミックの生成の方だ。
内部構造の変化もないし、モンスターの出現なんかもない。
「どうして、そんな……?」
「その答えはあの扉の先にある」
俺は、閉ざされたままの鋼鉄の扉を指さす。
「ここのダンジョンの『混沌化』は人為的なものだ。そしてミミックは自然には存在しない魔法生物。だったら、わかるだろ。ラーナ」
「あの扉の向こうにいるんだね、このダンジョンの『主』が」
そういうことだ。
俺達はうなずくと、共に進み始める。
やはり、鋼鉄の扉はこれまでと同じく鍵などはかかっていなかった。
俺がグッと押し込むと、扉はグゴゴと重々しい音を立てゆっくりと開かれていく。
隙間から滑り込んだ魔導光が、決して広くはない最奥部を煌々と照らし出す。
「な、何、あれ……」
そこにあるものを目にし、ラーナが軽く仰天する。
同じくそれを見た俺はスと目を細めた。
宝箱だった。
ダンジョン最奥部にあったもの。それは、やっぱり宝箱。
ただし、今まで見てきたものの数倍の大きさはある、巨大な宝箱だった。
人一人が軽く中に横たわれるくらいの、かなりの幅と奥行きを持った宝箱である。
「あれがこのダンジョンの『主』? おっきなミミック?」
「いや、違う」
当然すぎる予想をするラーナにかぶりを振って、俺は巨大宝箱に無造作に近づく。
罠はない。それは、すでに確認済みだ。
「危ないよ、ビスト君!」
「大丈夫だから、見てろって」
心配そうについてくるラーナに言って、俺は宝箱のふちに手をかける。
さすがに重いが、魔力で筋力を強化してふたを持ち上げていく。
「え――」
そして明らかになった、巨大宝箱の中。
そこにあるものを目の当たりにして、ラーナは驚きに固まってしまう。
「すぅ、すぅ……」
寝息を立てている。
健やかに、そして安らかに、そいつは宝箱の中で熟睡しきっている。
「裸の女の、子……?」
その通り。
布が敷き詰められた宝箱の中で眠っていたのは、とんがり耳の銀髪褐色肌の少女。
見た目、俺達と同年代のそいつが、一糸まとわぬ姿で眠っている。
「はぁ~~~~ッ!」
それを確認して、俺はその場で盛大にため息をつき、膝を屈ませた。
やっぱりか~。やっぱりかァ~~~~!
「ビスト君、どうしたの? この子が、何か……?」
「知り合いです」
「え」
「知り合いなんです。俺じゃなくて『私』の……」
「えええええええええええええええええええええええええええええええええ!?」
素直に白状する俺に、ラーナはとびっきりの驚きの声をあげてくれたのだった。
この全裸女の名前は――、ミミコ。
かつて『至天の魔王』に仕えた『五禍将』の一人、ミミコ・ミッコ。
「何してんだ、おまえェ~!」
「……はにゃ?」
俺の怒鳴り声に、ミミコがビクッと身を震わした。
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勇者ギアベルは皇帝の息子でやりたい放題。活躍すれば咎められ、上手く行かなければユートのせいにされ、パーティーに入った初日から後悔するのだった。そして他の仲間達は全て女性で、ギアベルに絶対服従していたため、味方は誰もいない。
ユートはすぐにでもパーティーを抜けるため、情報屋に金を払い噂を流すことにした。
勇者パーティーはユートがいなければ何も出来ない集団だという内容でだ。
プライドが高いギアベルは、噂を聞いてすぐに「貴様のような役立たずは勇者パーティーには必要ない!」と公衆の面前で追放してくれた。
しかし晴れて自由の身になったが、一つだけ誤算があった。
それはギアベルの怒りを買いすぎたせいで、帝国を追放されてしまったのだ。
そしてユートは荷物を取りに行くため自宅に戻ると、そこには腹をすかした猫が、道端には怪我をした犬が、さらに船の中には女の子が倒れていたが、それぞれの正体はとんでもないものであった。
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(1話2500字程度、1章まで完結保証です)
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颯希先生が描いてくださるリュークやアニスたちが本当に素敵なので、是非ご覧になってくださいませ。
【第2巻が発売されました!】
今回も改稿や修正を頑張りましたので、皆様どうぞよろしくお願いいたします。
イラストは蓮禾先生が担当してくださいました。サクヤとポンタ超可愛いですよ。ゾンダールもシブカッコイイです!
素晴らしいイラストの数々が載っておりますので、是非見ていただけたら嬉しいです。
【ストーリー紹介】
幼い頃、孤児院から引き取られた主人公リュークは、養父となった侯爵から酷い扱いを受けていた。
そんなある日、リュークは『スマホ』という史上初の『Xランク』スキルを授かる。
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だが本当は『Extraランク』という意味で、超絶ぶっちぎりの能力を持っていた。
『スマホ』の能力――それは鑑定、検索、マップ機能、動物の言葉が翻訳ができるほか、他人やモンスターの持つスキル・魔法などをコピーして取得が可能なうえ、写真に撮ったものを現物として出せたり、合成することで強力な魔導装備すら製作できる最凶のものだった。
貴族家から放り出されたリュークは、朱鷺色の髪をした天才美少女剣士アニスと出会う。
『剣姫』の二つ名を持つアニスは雲の上の存在だったが、『スマホ』の力でリュークは成り上がり、徐々にその関係は接近していく。
『スマホ』はリュークの成長とともにさらに進化し、最弱の男はいつしか世界最強の存在へ……。
どん底だった主人公が一発逆転する物語です。
※別小説『ぶっ壊れ錬金術師(チート・アルケミスト)はいつか本気を出してみたい 魔導と科学を極めたら異世界最強になったので、自由気ままに生きていきます』も書いてますので、そちらもどうぞよろしくお願いいたします。
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