壊れた番の直し方

おはぎのあんこ

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1.檻の中

5.抱かれるための体

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 龍司の指は躊躇いなく灯の小さな顎を捉える。

 灯はされるがままになって、上から降る龍司の唇を受け入れる。
 肉厚の舌は簡単にまた灯の口内に入ってしまう。


 龍司の舌使いはさっきよりも激しく、本気で灯を奪いに来る。
 太く熱い舌にあらゆるところを攻められて、灯は抵抗する気をすっかりなくしてしまう。



 灯は小学生時代の龍司を思い出す。
 あのとき1度だけしたキスは唇が触れる程度だったけれど、それはこの夜に続く前戯だったのかもしれない。
 無邪気な子供のものだった体も、すっかり23の男のものになっている。


 灯は龍司のフェロモンを吸う。
 上質なチョコレートを思い出させるカカオの香り・・・・・・

 薬で発情期を起こさないようにはしているが、それでも本能はフェロモンに反応する。
 体が熱くなり、隅々まで敏感になっていく・・・・・・

「灯、苦しそうだな」
 龍司は灯のシャツのボタンを外す。膨れた突起が布地を押し上げている。

「恥ずかしい・・・・・・」
「何も恥ずかしいことなんてない。俺はαで、お前はΩだ」
 龍司は灯のシャツを剥ぎ取った。白く滑らかな肢体の上の2つの桃色の蕾に目をやる。
「薔薇の蕾みたいだな」



 灯のフェロモンは薔薇の香りがする。
 愛らしい蕾の香を嗅ぐように、龍司は突起を口に含む。
「んはあん・・・・・・っ」
 灯の体が跳ねる。
 感じることで、灯のフェロモンはさらに強く放出される。
 それに呼応して放出される龍司のフェロモンに、灯はますます酔わされてしまう。

「うふっ・・・・・・」
「正直な体だなぁ」
 龍司は舌の腹でゆっくりと乳首を舐め上げながら、揶揄うように言う。
「他の男とヤったときも『こんな感じ』だったの?」
 確かに、大久保たちとの夜のときも灯は感じ、乱れていた。
 しかし、乳首の愛撫だけでこれ程感じてはいなかった。



 龍司は、ただの昔の友人ではないのかもしれない……



 灯の心は揺さぶられる。



 龍司は灯のジョガーパンツに手を掛ける。
 その下には何も身に付けていない。
 ムーは表面上の体裁を整えるために灯に服を与えたので、下着を与えることはしなかったのだ。


 ボトムが下ろされ、はしたなく灯の雄が顔を出す。
「もうお漏らししてる」
 龍司は微笑み、物欲しそうな先端の水滴をジュッと吸う。灯の頬は真っ赤になる。
「ここ一週間、一晩中αに抱かれっぱなしだとムーから聞いていたが・・・・・・Ωの体は本当に抱かれるためにできているんだなぁ」
 龍司は感心したように言う。


 手で雄を握られ、前後に揺すられると、灯はいてもたってもいられなくなる。
 後孔がたまらなく熱くなり、妖しく蠢き出してしまう。

 粘着音を立てて手淫していた龍司を灯は制止する。
「前じゃなくて、後ろをヤって」

 灯は自分の言葉に笑いそうになる。
 前の番である響ちゃんを思い出す酷い苦痛を与えるはずの行為を、また自分は欲してしまうことにあきれてしまう。



 結局、心は本能に逆らえないのか・・・・・・



 龍司は満足げに微笑み、言われた通りにする。
 灯の脚を高く上げさせ、太く滑らかな指で慎ましい桃の割れ目を撫でる。
「よく濡れているな・・・・・・」
 子供を褒めるような優しい声で言われ、灯は嬉しくなる。

「俺も脱ぐから、ちゃんと自分で開いておけ」
 龍司の言葉通り、灯は両手で自らの腿を抱え、恥ずかしい部分が丸見えの状態で待つ。



 丁寧に上のシャツのボタンから外していく龍司を見ながら、灯はぼんやり考える。



 Ωの体は順応的で、番がいなければ番を求める。
 αに抱かれれば悦ぶ。

 自分にも男のシンボルがあるのだから、誰かを抱こうとすれば抱けるはず。
 しかし、Ωだからそんなことを求めたことはないし、誰にも求められない・・・・・・
 Ωはどこまでも「抱かれる性」なのか・・・・・・?


 龍司は見苦しくない所作でスラックスとボクサーブリーフを下ろす。
その紳士的な態度から良いところの生まれであることが分かる。

 しかし、現われたモノは野性的だ。
 大量の黒い毛の茂みの中から遠慮なく突き出したピンクの長いモノは、亀のオバケのようだ。亀頭部分も大きく、部分もすごく太く、長い。
 この檻の中で見たモノの中では断然立派なモノだ。
 灯は思わず唾を飲み込む。



「灯と会えることが楽しみで、1週間我慢していたんだ。もう限界で苦しいよ」
 龍司は先端から溢れる透明な蜜を自身全体に塗りつける。
 そして、灯の両脚を押さえて、いきなり自身を突っ込んでいく。

「ぐうううっ・・・・・・!!!」
 紳士の欠片もない暴挙に灯は声を上げる。快楽ではなく苦痛の声だ。
「痛いっ・・・・・・痛いよぉ!!」

 灯は涙目で訴えるが、龍司は笑う。
「どうせ気持ちよくなるんだから良いじゃないか。俺は痛がる声を聞くのが好きなんだ」
 龍司はどうやらS気質のようだ。


 龍司の動作には優しさが全くない。一緒に気持ちよくなろう、という気持ちすらない。
 強くガンガンと突かれ、まだ濡れきっていない粘膜が擦れ、拷問に等しい苦痛を与える。

 灯の体は強張る。手足が攣りそうになる。
「ほら、ちゃんと動けよ」
 龍司は容赦なく乱暴な挿入を続けながら灯の頬を叩く。

 体を売っていたときには、こういう客もめずらしくなかった。
 ギュウギュウと粘膜を引き千切れそうな程に引き延ばされながら、灯は早く終わることを願う。


 灯はちゃんと分かっている。別に龍司は優しくないわけではない。
 ないのだが、この世界のαの中には「αが自分が気持ち良くなるように動けばΩも気持ち良くなるのだ」という信仰のようなものがあり、龍司がそれを強く信仰しているというだけの話だ、ということを・・・・・・

 灯はただ天井を見つめ、玩具人形のようになって、快感が訪れるのを待っていた。
 何時間にも感じられる程の激痛を与えられた後、灯は少しナカが開いてきたように感じられた。
 体が龍司の巨根に合うようになってきたようだ。

「灯のナカが俺のを欲しいって言ってるな」
 そんな台詞を吐きながら、龍司は灯がいつの間にか流していた涙を指で拭う。



 今までのことはチャラにしろ、ってことね・・・・・・



 冷めた頭で龍司の次の一手を待っていた灯は、廊下を近づいてくる足音に気づく。
 それも、1人ではない。複数人の足音だ。

「ほら、早くしないとイイトコ終わっちゃうよ」
「おい、ムー、速く歩けよ」


「一体何だ?」
 龍司も足音に気づいたが、姿勢を変える余裕はなかった。
 2人は繋がったままの姿で来訪者を迎えることとなった。



 廊下から現われたのは3人の男女だった。

「ご一緒しても良いかしら?」
 1人は長身の女性・・・・・・女に興味のない灯でさえも息をのむ、メリハリのある体型と、目鼻立ちのはっきりした整った顔を持つ人だ。
 黒髪を背中まで伸ばし、胸元から手首までがレースになった黒いドレスを着ている。

「盛り上がっているところ、悪いな」
 もう1人も長身で、ツーブロックマッシュ黒髪の男性・・・・・・こちらも、人を引きつける容姿をしている。

 2人とも、クラクラするほど強いフェロモンを振りまいていて、αの中でも上流クラスであることが分かる。


「貴方たちの邪魔なんてしないわ。 私たちは隣で勝手にさせてもらうだけだから・・・・・・」

 女と男の真ん中で、腕を掴まれ縮こまっている男。
 それがムーだということに灯は驚く。


 今までの姿とはあまりに違っていたから。
 小さく、不安げだったから。
 まるで両脇の2人の所有物みたいだったから。
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