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最悪の人生、その時に -新しい年、新しい自分、変わる切っ掛けは…… 一つの出逢い- 短編用
第2話 今日のチャレンジ
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そうこの前、家を出た時から考えていた。
俺は別に、殺人犯でも何でもない。
警官だって、市役所の人だって普通だったじゃないか。
ちょっと笑われたのは、着ていた服。あの時、高校のコートくらいしか上着がなかったから。
家から出ようと思ったが、少し肌寒く、何か羽織るものと思ったら、それしか無かった。
その時気がついた。俺の生活は、あの時…… 高校の時で止まっていた。
ジーンズは穿けず、少しピチピチ。
穿けたのはいつものジャージ。
それにコートを羽織って一〇月に出歩く。
足元は、唯一履けたサンダル。
警官は、急いできたんだね。そう言ってくれたのはそう言うことだろう。
役場も、警察に言われてきたんです。そう言ったので、まあ……
ちがう、問題はそこじゃない。
高校の時に感じていた、悪意の視線がなくなっていたことだ。
「ひょっとすると、もう大丈夫かもしれない」
そう思って、外に出るための服を買う。
「ええと、今風ファッション…… こんな感じか?」
ネット上の情報を見て、自分に合いそうな服をいくつか購入。
なんとなく、黒やグレーで固めたら、ちょい悪い方に振ってしまった。
サングラスを一応持って、外へ出る。
リハビリ、ちょっと近くのコンビニまで。
あの時とは違い、自分の意思で。行きたいところへ。
途中、高校生ぽい女の子達がこちらを見る。
その瞬間、胸が締め付けられて苦しくなる。
大丈夫。あれはそう言う視線じゃない。
聞こえた言葉は、『ちょっとかっこよくね』『うんでも、ちょっと怖そうだよ』そんな言葉。
『痴漢』や『性犯罪者』、『きも』そんな言葉じゃない。
怖いもきっと、違う意味だ。
俺だって、鏡を見たとき、ついすみませんと言ってしまった。
高校生の時までは、結構優しそうな顔だったと思うんだけどなぁ。
あれから、家に籠もったら、身長がなぜか一〇センチ近く伸びた。
幾度か、首を吊ろうとしたせいだろうか?
まあ、まともな服と、髭は剃っていないがまだ四日程度だし。
コンビニへ入ると、店員が気の抜けた挨拶。
だが、目が合う。
金が欲しかったので、スマホをバーコードモードにしてATMにかざす。
適当に、五万くらい下ろす。
「近頃は便利だな」
つい嬉しくて、お菓子とかジュースを買い込む。
ふと、思いつく。そういえば酒が飲める年だ。
二〇歳には随分前になった気がする。
適当に、酎ハイも放り込んでみる。
興味があったビールも……
昔、父親が帰ってきたとき、風呂上がりに嬉しそうに飲んでいた。
「お前が二十歳を超えると、一緒に飲めるのになぁ」
そんな事を言っていたのに、二十歳を超えたときには一瞥もされず俺は空気だった。
店員さんはまだ、目が合う。
弁当とかも適当に放り込む。
絶対一人分じゃねえ。どうすんだよ俺。
ここでもスマホで決済。
そこで店員さん。
結構かわいい感じの女の子なんだが、いきなり質問をされた。
「あの、彼女とかいます?」
そう聞かれて、いきなりフラッシュバックが起こる。
「俺にかまうんじゃねえ」
つい脅かしてしまう。
だがなぜか……
「すみませんでした。また来てください。私、水金は夕方なので」
なぜか、そう言って、手を握られる。
当然俺は、手を振り払って……
「すみません。袋をください」
そうだ、昔とは違うんだ。
「よっ喜んで」
そう言って、袋につめてくれたのだが、袋の分、ピッてやっていないが良いのだろうか?
「昔は、タダだったのに、日本終わってんなぁ」
俺が籠もっている間に、随分と色々が変わっていた。
そうしてある日。
テレビをぼーっと見ていたら、秘湯と、廃墟化した温泉街の特集をやっていた。
無性に引かれた。行ってみたい。
だが、電車はもう、そこの駅には止まらないらしい。
「おし、車の免許を取る」
コンビニへ行くたびに、マイナンバーカードを見せるのもあれだし……
なんとなく、車の免許の方が格好がいいような気がしたんだよ。
合宿免許とか言う奴へ申し込む、必要期間は二週間ちょっと。
「君、無免で運転していた?」
「いえ、家でひたすら走り込みました。世界中のサーキットは僕の庭です」
素直にそう言ったら、なんか変な顔された。
「標識はみてね。それと信号も。ハイ横断歩道の手前は横断者が優先ね。さっきの不気味なお人形は横断者だから、撥ねると宿舎に出るらしいよ」
小学生ぐらいの人形だが、微妙にリアルなので、まともにみると不気味の谷現象が発生をする。そのためか、何度か見たのに顔がどんなのか判らない。
その後、免許の取得は上手く行った。
だが、合宿所で知りあった連中が、たまたま来ていた女子達に声をかけていたのが気になる。
そう、手を取り体に触れる距離感へと、たった数日で関係が変化をする。
「先生ぇー。誰かぁ、痴漢です。いやぁ」
かわいくて憧れていた彼女は、いきなり豹変をした。
その時俺は、訳が分からずオロオロして、怖くなった。
その後は拘束されて職員室へ。
何を言っても聞き入れない先生。
「彼女が泣いているじゃないか、そう言う年頃というのは判るだが、やってはいけない事くらい、高校生なんだから理解しろ……」
そう…… 泣いている彼女。
呼ばれる両親。
だけど、誰も俺の言うことを聞いてくれず、気がつけば俺は変態野郎となっていた。
その時、もう誰もが信じられず、俺にとって世間はもう終わっていた。
そう、俺は世界から拒絶をされたと。
幾度か、自死も考えたがそれも怖くて出来ず、ただ生きて来た。
「永礼さん。女子の宿舎へ行きません?」
「うん? 女子の宿舎?」
「ええ彼女達、結構軽いんでヤリ放題ですよ」
そう言って、大学生、それも十八歳だという男はニヤつく。
「ヤリ放題?」
「ええ昨日は3Pを決めました。でも一人だと大変なので。混ざりません?」
そいつはお世辞にも、モテるタイプじゃないと思う。
なのにだ……
女にとって、男の容姿とかはどうでも良いのか?
失礼だが、そんな事が頭に浮かび、遠回しに聞いてみた。
「やれるかやれないかは、乗りっしょ」
そういう事らしい。
やりたいときに近くにいた。
自分に興味を持ってくれた、細かな事に気がつく?
優しい?
良いかも?
そんな軽さで、彼女達は乗ってきたらしい。
ますます持って、判らない。
女が怖い。
「いや、俺はいいよ、他を当たってくれ」
「そうっすか」
そんな事があった。
だが、いきなり叫びだし、ヒステリックに叫ぶ女、あれがどうしても頭から離れない。
そう、性的な興味はある。
だけど俺は……
俺は別に、殺人犯でも何でもない。
警官だって、市役所の人だって普通だったじゃないか。
ちょっと笑われたのは、着ていた服。あの時、高校のコートくらいしか上着がなかったから。
家から出ようと思ったが、少し肌寒く、何か羽織るものと思ったら、それしか無かった。
その時気がついた。俺の生活は、あの時…… 高校の時で止まっていた。
ジーンズは穿けず、少しピチピチ。
穿けたのはいつものジャージ。
それにコートを羽織って一〇月に出歩く。
足元は、唯一履けたサンダル。
警官は、急いできたんだね。そう言ってくれたのはそう言うことだろう。
役場も、警察に言われてきたんです。そう言ったので、まあ……
ちがう、問題はそこじゃない。
高校の時に感じていた、悪意の視線がなくなっていたことだ。
「ひょっとすると、もう大丈夫かもしれない」
そう思って、外に出るための服を買う。
「ええと、今風ファッション…… こんな感じか?」
ネット上の情報を見て、自分に合いそうな服をいくつか購入。
なんとなく、黒やグレーで固めたら、ちょい悪い方に振ってしまった。
サングラスを一応持って、外へ出る。
リハビリ、ちょっと近くのコンビニまで。
あの時とは違い、自分の意思で。行きたいところへ。
途中、高校生ぽい女の子達がこちらを見る。
その瞬間、胸が締め付けられて苦しくなる。
大丈夫。あれはそう言う視線じゃない。
聞こえた言葉は、『ちょっとかっこよくね』『うんでも、ちょっと怖そうだよ』そんな言葉。
『痴漢』や『性犯罪者』、『きも』そんな言葉じゃない。
怖いもきっと、違う意味だ。
俺だって、鏡を見たとき、ついすみませんと言ってしまった。
高校生の時までは、結構優しそうな顔だったと思うんだけどなぁ。
あれから、家に籠もったら、身長がなぜか一〇センチ近く伸びた。
幾度か、首を吊ろうとしたせいだろうか?
まあ、まともな服と、髭は剃っていないがまだ四日程度だし。
コンビニへ入ると、店員が気の抜けた挨拶。
だが、目が合う。
金が欲しかったので、スマホをバーコードモードにしてATMにかざす。
適当に、五万くらい下ろす。
「近頃は便利だな」
つい嬉しくて、お菓子とかジュースを買い込む。
ふと、思いつく。そういえば酒が飲める年だ。
二〇歳には随分前になった気がする。
適当に、酎ハイも放り込んでみる。
興味があったビールも……
昔、父親が帰ってきたとき、風呂上がりに嬉しそうに飲んでいた。
「お前が二十歳を超えると、一緒に飲めるのになぁ」
そんな事を言っていたのに、二十歳を超えたときには一瞥もされず俺は空気だった。
店員さんはまだ、目が合う。
弁当とかも適当に放り込む。
絶対一人分じゃねえ。どうすんだよ俺。
ここでもスマホで決済。
そこで店員さん。
結構かわいい感じの女の子なんだが、いきなり質問をされた。
「あの、彼女とかいます?」
そう聞かれて、いきなりフラッシュバックが起こる。
「俺にかまうんじゃねえ」
つい脅かしてしまう。
だがなぜか……
「すみませんでした。また来てください。私、水金は夕方なので」
なぜか、そう言って、手を握られる。
当然俺は、手を振り払って……
「すみません。袋をください」
そうだ、昔とは違うんだ。
「よっ喜んで」
そう言って、袋につめてくれたのだが、袋の分、ピッてやっていないが良いのだろうか?
「昔は、タダだったのに、日本終わってんなぁ」
俺が籠もっている間に、随分と色々が変わっていた。
そうしてある日。
テレビをぼーっと見ていたら、秘湯と、廃墟化した温泉街の特集をやっていた。
無性に引かれた。行ってみたい。
だが、電車はもう、そこの駅には止まらないらしい。
「おし、車の免許を取る」
コンビニへ行くたびに、マイナンバーカードを見せるのもあれだし……
なんとなく、車の免許の方が格好がいいような気がしたんだよ。
合宿免許とか言う奴へ申し込む、必要期間は二週間ちょっと。
「君、無免で運転していた?」
「いえ、家でひたすら走り込みました。世界中のサーキットは僕の庭です」
素直にそう言ったら、なんか変な顔された。
「標識はみてね。それと信号も。ハイ横断歩道の手前は横断者が優先ね。さっきの不気味なお人形は横断者だから、撥ねると宿舎に出るらしいよ」
小学生ぐらいの人形だが、微妙にリアルなので、まともにみると不気味の谷現象が発生をする。そのためか、何度か見たのに顔がどんなのか判らない。
その後、免許の取得は上手く行った。
だが、合宿所で知りあった連中が、たまたま来ていた女子達に声をかけていたのが気になる。
そう、手を取り体に触れる距離感へと、たった数日で関係が変化をする。
「先生ぇー。誰かぁ、痴漢です。いやぁ」
かわいくて憧れていた彼女は、いきなり豹変をした。
その時俺は、訳が分からずオロオロして、怖くなった。
その後は拘束されて職員室へ。
何を言っても聞き入れない先生。
「彼女が泣いているじゃないか、そう言う年頃というのは判るだが、やってはいけない事くらい、高校生なんだから理解しろ……」
そう…… 泣いている彼女。
呼ばれる両親。
だけど、誰も俺の言うことを聞いてくれず、気がつけば俺は変態野郎となっていた。
その時、もう誰もが信じられず、俺にとって世間はもう終わっていた。
そう、俺は世界から拒絶をされたと。
幾度か、自死も考えたがそれも怖くて出来ず、ただ生きて来た。
「永礼さん。女子の宿舎へ行きません?」
「うん? 女子の宿舎?」
「ええ彼女達、結構軽いんでヤリ放題ですよ」
そう言って、大学生、それも十八歳だという男はニヤつく。
「ヤリ放題?」
「ええ昨日は3Pを決めました。でも一人だと大変なので。混ざりません?」
そいつはお世辞にも、モテるタイプじゃないと思う。
なのにだ……
女にとって、男の容姿とかはどうでも良いのか?
失礼だが、そんな事が頭に浮かび、遠回しに聞いてみた。
「やれるかやれないかは、乗りっしょ」
そういう事らしい。
やりたいときに近くにいた。
自分に興味を持ってくれた、細かな事に気がつく?
優しい?
良いかも?
そんな軽さで、彼女達は乗ってきたらしい。
ますます持って、判らない。
女が怖い。
「いや、俺はいいよ、他を当たってくれ」
「そうっすか」
そんな事があった。
だが、いきなり叫びだし、ヒステリックに叫ぶ女、あれがどうしても頭から離れない。
そう、性的な興味はある。
だけど俺は……
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