泡沫の夢物語。-男と女の物語。短編集-

久遠 れんり

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一月二日は、初日の出ではない

第4話 あーもう

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 奇妙な攻防も四日目。
 そう、大晦日にまでもつれ込んできた。

 私がまさかここまでヘタレだとは、そして、もうコートの下…… 下着だけで行こうかしら。

 そう、作戦もないまま彼の部屋へ。


 ―― あーもう、鼻血がでそう。
 連日の、なんだろう。
 距離感が、もうこれ以上我慢が出来ない……
 この所、彼女が帰ると同時に、抜きすぎてあそこが痛い。

 だけど今日も、彼女はベルを押す。

「はーい」
「お邪魔します」

 そして酒盛り。
「毎年、大晦日とかどうしているんですか?」
「除夜の鐘が鳴る頃に、近所の神社へ集まってご近所さんとご挨拶だね。今年はまあ喪中だから駄目だけど」
「喪中ですか、じゃあ初詣は行けないんですね」
「そうだね」
 予定が狂った。考えろ私。

 彼を誘って初詣、何をお願いをしたの? からの、糸綯さんと上手く行きますようにお願いしたのと言って、さらっと告白作戦が……

 志葉依は考えた末、何も浮かばず、ストレートに聞いた。

「私って魅力ありませんか? その男性から見て性的な?」
 恐怖心一杯で聞いてみた。
 だけど……
「うん? あるよ。毎日ドキドキだし」
 ドキドキ?

「毎日ドキドキ? じゃあ手を出してくださいよぉ」
 そう言って、気がついた。
 今私ナニを言った?

 確かに、少し酔っていた。
「えっ、いいの? ずっと意図が分からず、我慢をしていたんだ」

 モニターにはネット中継の年越し、お寺の様子が流れていた。
 ゴーンと除夜の鐘が流れ始める頃、私たちはやっと繋がった。

 そう徹夜で繋がり、眠って食べて、また繋がって。
 この数日の何かを埋めるように、まるで盛った高校生のように体力の限界まで……

 おかげで、私は初めてだったのに、行為の喜びを感じるところまでいってしまった。
「なんだろ、一日が短いわね」
「そうだな。気がつけば一日が終わった」
 そう、一日中していた。
 元日は、裸族で過ごし、ひたすら愛し合った。

 濃密な彼との時間。
「お参りは出来ないけれど、何か正月らしいことしたいわね。そうだ初日の出とか見に行かない?」
「明日は二日、初日の出じゃないが行くか」
 そう言いながら、またじゃれ合う。

 結局、二日の昼頃になって海にいた。
「さむー」
 そういう私の背中側には、包み込むように彼が張り付いている。
 近くのお店がもう開いていて、浜焼きをしていたので、うまうまと大きな貝とか焼いて食べた。
「炭で焼くと美味しいわね」
「そうだな」
 そして軽く飲んで、帰りに買い物をして、帰り着いたらまた飲んで、また二人でじゃれ合って……

 この休み、前半は我慢大会。
 後半は、そうね。
 ひたすらしていた記憶しかないわ。

 惣菜物をつまんでは、ただれた行為に没頭。
 後半には、親も帰ってきたはずだけど、私は家に帰っていなかった。

「あっやばい、明日から仕事」
「そうだな」
 やっと我に返り、家に帰って叱られて、仕事から帰ってきて彼を連れ、家にお招きをした。

糸綯 素振いとない そぶりと申します」
「ああ、あなたがそうなのね。娘がそうね四年くらい前から好きな人がで来たっていって、大変だったのよ」
「おかあさん」
 驚きだよ。

「四年前からですか?」
「ええ、うまく行って良かったわ。お住まいはどこに?」
「斜め上ですね」
「あらまぁ、そんなに近くにいたのね」
「まあなんだ、食うかね」
 お父さんがチョコレートをくれる。

「ありがとうございます」
 上野 志葉依うえの しばいは、四年も前から俺のことが好きだったようだ。

 昨今、色々なことに制限がありすぎて、簡単に恋愛が出来ない世の中、きっと俺達と同じように、両思いながらも上手く行かない人間が、世の中には大量にいるのではないだろうか。
 まあ上手く行かずに別れたら、突然セクハラという人も居るようだし。

 昨今男からのアプローチはしにくい。
 好きななったら、女性からアプローチをしてくれたまえ。
 そう告白は男からなどという世界は、すでに終焉を迎えたのだ。

 新年は、良い年であることを私は願います。


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 お読みくださり、ありがとうございます。

 皆さん、良い年をお迎えください。
 そして、来年は良き年でありますように。
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