泡沫の夢物語。-男と女の物語。短編集-

久遠 れんり

文字の大きさ
上 下
175 / 204
実りの秋

第3話 思いと決断

しおりを挟む
「あっ、ああ」

 そう答えて、一応窓の方を向く。
 浴室はでかいし、ジャグジー付き。
 二人で入れないことはないが、オレがのぼせるなぁ。

「すみません、少しシャワーヘッドを持っていてくれませんか?」
 彼女は髪からお湯をたらしながら、お願いをしてくる。
 つまり、わざわざ浴槽の方を向いているという事だ。
 色々な物が見える、ステキな光景。

「絶対、わざとだろ」
 思わず突っ込んだ。

「あー、はい。わかっちゃいました?」
 そう言って、もじもじ。
 腕に挟まれた胸が揺れる。

「もう、見られちゃったし、その…… わたしの気持ちが、止まらなくって」
 わたしの気持ちが止まらない?
 無精髭を生やしたオッサン相手に?
 もう少しで、三十だぞ。

「見たのはあれだが、その前、浴室に電気は点いていたし着替えもあっただろう」
 そう言うと、真っ赤になった彼女はさらに真っ赤になる。

「あの、あんなに普通に会話をしたのって、初めてなんです」
 彼女が言うには、学友でも、バックグランドが見え隠れして、何かの利点がないと会話すらしないのだとか……

「ああ、そう言っていたな。すべて、利害関係者か」
「そうなんです。あっ流していただいても良いですか?」
「ああ、はいはい」
 頭から湯を掛けて、髪の毛に付いた泡を流し始める彼女。
 体を流れる泡が、妙なエロさを演出する。

 もうね、出られないんだよ。
 当然だが、オレの体は反応してギンギンなんだ。

「こんなものじゃないか?」
「ありがとうございます」
 そう言って、ホームセンターで買った、数百円のリンス、説明をじっと読んでいる彼女。

 ぬりぬりと、髪の毛に付けてマッサージ。
「お願いします」
「はいよ」
 今度は白濁した液体が、彼女の体を流れていく。

 「はい良いだろう」
 髪の毛が丁度肩甲骨の辺りまで。
 長いと、手入れもめんどそうだな。

「ボディシャンプーはそれ、ナイロンタオルは一枚しかない」
「ボデイブラシは?」
「当然ない。背中なら洗ってやる」
「本当ですか? ありがとうございます」
 なんか、素で感謝された。

「このタオル、チクチクしますね」
「最初はな、だが慣れると洗ったという感じがして良いんだよ」
「へー、そうなんですね」
 そこでふと、彼女の体、変化に気がついた。
 某所が立ってる。

 うーん? 彼女も同じ? したがってる?
 だけどなぁ。
「なあ、もしかしてだけど…… オレとエッチしたいとか思っている?」
 あーなんか、ぶしつけだが、まあ今更だ。開き直って聞いてみる。

「もうぅ、聞かないでください。じゃないと、こんな所にまで……」
 なんか、ブチブチ小声になっていく。

「背中をお願いします」
 そう言って、彼女が背中をこちらに向ける。
 力の加減をして、受け取ったナイロンタオルでこする。
 ビクッとする彼女。

「あっすまん。痛かったか?」
「いえ、ちょっとゾクッと」
 そう言われたなら仕方が無い、指をそっと背中に這わせる。

「っひゃい」
 奇妙な声が出た。
「あう、あうぅぅ。もうっ。いたずらをしないでください」
 ぞくぞくが来たのか、彼女の体が揺れる。

 一応遊びながらも、背中は洗う。
「できたぞ」
「ありがとうございます…… 前も…… いえ……」
 真っ赤になり、パクパクしながら言葉に詰まっている。

「洗ってほしいのか?」
 そう聞くと、多少ためらいながら、こっくりと頷く彼女。

 じゃあ…… と思うが、オレのぎんぎんを見せて良いものか……
 彼女も子どもじゃないし、判ってやっているんだ。
 この据え膳状態を無下にしてどうする。
 ええい叫ぶなら、叫べ。

 ざばっと、湯船から出る。
 いい加減のぼせていて限界だったしな。

 だが、彼女は目を丸くするだけ。

「これって……」
「ああ、すまん、生理……」
 生理現象と言いそうになったが、言葉を換える。

「君と繋がりたくってな、体がこんなになっちまった」
「えっ、あっ、はい……」
 そう言って、手が伸びてくる。

 物珍しそうにそっとつまみ、まじまじと見られると、流石に照れるな。
「あー…… あっそうね。殿方は……」
 そう言うと、ぱっくりと食いついた。

「なっ、なにを」
 そう聞くと、口が離れる。
「学友との会話の中でそうするものだと、聞いたものですから、違いましたか?」
 お嬢様達…… いや、房中術ぼうちゅうじゅつとか、古くからの家ならそんなのもあるのか?

「あーうん。嫌じゃ無ければ、気持ちいいし」
「では、いざ」
 妙な、気合いを入れて彼女が始める。

 ただ、すぐに止まり、どこをどうすればいいのか聞いてくる。
 噛まないようにだけ伝えて、身を任せる。

 だがなあ、いい加減我慢をしていて、長いことすることもしていなかったから、あっという間に果ててしまった。

「悪い、吐き出せ」
 だが彼女は、驚き飲み込んだようだ。

「驚きました。あんな勢いで……」
「ああまあ」
 お返しに、彼女の体を洗い、ついでに虐めて数回いかせる。
 だが、まだ本番はしていない。

 風呂から出て、客間へ……

 当然、稲刈りも、収穫も後回し……

「痛くないか?」
「大丈夫です」
「じゃあもっと力を抜け」
 もう、彼女の緊張がすごくて、ギッチギチ。

 脇腹をくすぐる。
「ひゃあぁ…… あっ、ああうっっ」
 そう、力が緩んだときに、押し込んだ。
「んんんっ」
 多少涙が浮かんでいるが、大丈夫そうだ。

 だがこれで、彼女の親にバレれば、オレが消される可能性は、限りなく百に近付いただろう。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

会社の上司の妻との禁断の関係に溺れた男の物語

六角
恋愛
日本の大都市で働くサラリーマンが、偶然出会った上司の妻に一目惚れしてしまう。彼女に強く引き寄せられるように、彼女との禁断の関係に溺れていく。しかし、会社に知られてしまい、別れを余儀なくされる。彼女との別れに苦しみ、彼女を忘れることができずにいる。彼女との関係は、運命的なものであり、彼女との愛は一生忘れることができない。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

職場のパートのおばさん

Rollman
恋愛
職場のパートのおばさんと…

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

ナイトプールで熱い夜

狭山雪菜
恋愛
萌香は、27歳のバリバリのキャリアウーマン。大学からの親友美波に誘われて、未成年者不可のナイトプールへと行くと、親友がナンパされていた。ナンパ男と居たもう1人の無口な男は、何故か私の側から離れなくて…? この作品は、「小説家になろう」にも掲載しております。

今日の授業は保健体育

にのみや朱乃
恋愛
(性的描写あり) 僕は家庭教師として、高校三年生のユキの家に行った。 その日はちょうどユキ以外には誰もいなかった。 ユキは勉強したくない、科目を変えようと言う。ユキが提案した科目とは。

秘事

詩織
恋愛
妻が何か隠し事をしている感じがし、調べるようになった。 そしてその結果は...

処理中です...