泡沫の夢物語。-男と女の物語。短編集-

久遠 れんり

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再婚ガチャ

第1話 親の再婚

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「もう、高校生になるんだから、留守番とか大丈夫よね」
 母さんはそう宣告をして、四月からパートをやめて、正社員へと戻る様だ。

 元々は、その会社で正社員だった。
 だけど、お父さんと出会い、程なく私がお腹にできて退社。
 大きなお腹で、ウエディングドレス。

 そんな結婚生活も、わずか三年で破局。
 父さんだった人は、別の人を妊娠させて、離婚。

 だけど、その人も、誰かの奥さんだったらしく、泥沼となったとか……
 まあ、私は小さかったから、全然覚えていない。
 実際、お父さんの写真を見ても、ふーんと言う感じだし。
 いやほとんど写真もなく、その人がそうと思っているだけで、実際は違うかもしれない。

 そうして正社員になり、張り切っていたお母さんは、飛び抜けたようで、一年で結婚相手まで見つけてきた。
 相手は、三歳くらい上で、四十五歳くらい。

 連れ子が、一個上。
 子供の頃に、私もお兄ちゃんが欲しいと言った記憶がある。
 だけどこの年で、いきなりはちょっと。
 年頃の娘の前に年頃の男。

 ちょっと期待はするけれど、嫌だよね。
 いきなり他人が家族になる。
 うざそう……

 顔合わせの日、見たことないくらい女の顔、バカみたいなほど、デレデレなお母さん。
 仕方がないけれど、会うことになった。

 うんその親子、かっこよかった。
 タイプは違うけれど美形。

 ただ…… お母さんに似たのか、お兄さん(仮)は優男系美形。
 お父さんは、もう少しワイルド系。

 それがまあ…… 後で聞かされることになるが、血は繋がっていないらしい。
 奥さんと離婚をしたとき、彼はすでに小学校の四年生、それまで育てて今更他人とはできなかったようだ。
 まあよく言う、托卵という奴。

 お母さんは、そう言う奔放な人だったらしく、彼は多感な時期にそんな姿を見て、女嫌いと言うか、見下し始めた。

 浮気を、発見したのも彼だったようで、記憶が曖昧だけど、その日は急に学校で何かがあり、半休になった。
 帰ってくると、台所の方で声がする。
 そっと覗くと、思いっきり現場だったようだ。
 母親のそんな姿、そして、男は誰か知らない人。
 子供なら、トラウマになる様な出来事。

 嬌声を聞きながら、彼は部屋へ。

 何を言われても部屋に籠もり続けて、お父さんが帰ってたら泣きながら報告。

 二人は協力をして、証拠を集めて追い出したらしい。
「あーそれでなのね。なんか、今いちなつかないと思ったわ」
 母さんは、そんな事を言うが、普通そんなに簡単には懐かないと思う。
 
 引っ越しをして、名前が変わり、多感な私は夏休み後に転入して、いきなり注目を浴びる。

 お兄さんは、この学校で有名なようだ。
 まあ、あのルックスで、賢い。
 女子から見ると、クールだとか。

 違うのよ、女を嫌っているから冷たい態度なの。

 そう思っていた。
 家の中でも、まあ私たちが転がり込んだから、パーソナルスペースとか……
 縄張り的な物があるのだろう。

 夜中になると、家の中にある柱を巡り、片足をあげておしっこをしているお兄さんを想像してしまった。

 彼は、我意。
 だから、宿木 我意やどりぎ がいね。
 私は、雪菜ゆきな
 でも友達は、せつなという。
 そっちの方が、格好いいらしい。

 さてその兄さん、真ん中分けの優等生タイプ。
 だと思っていた。

 だけど、心の傷は人をゆがめる。
 女は、男に寄生する変な生き物とか、道具とかそんな感じにしか見ていないのよ、きっと。

 高校三年生のクラスには、特別進学クラスがある。
 七時間授業とか八時間授業。

 その帰りは、秋になれば当然暗くなる。
 その日、私は部活の見学に行き、帰りが遅くなった。
 二年生の休み明け。
 後輩にすれば、迷惑だろうと思いながら見学をした。

 帰り道は、駅からまっすぐ帰ると、繁華街を通ることになる。
 もっと近いのは、公園を突っ切ること。
 そして、安全で遠い、公園の周回。

 そう駅から、公園を越えた向こう側にマンションがある。
 まあ比較的安全だが、夜八時を越えだすと、九時半くらいまでは酔っ払いが増殖をする。

 そして、その時気がついたが、夜に暗くなるとこの公園、アベックがいちゃついている。

 いや、それに気がつき、覗いてみると私の部屋から、見えるのよ。
 そう特に興味があるとか、そんな事はないのだけど、部屋の電気を消して、双眼鏡とかで見る。ぽつぽつ公園内に立っている外灯の灯り…… その灯りの加減で結構見える。
 酔っているのか、皆さん結構大胆にやってる。

 キスとかして、お口でとか、女の人がまたがってとか……
 もうね。お年頃の女子には好物…… いえ目に毒よ。

 そんな中、見たことある人間が駅の方からやって来て、横に彼女?
 私は、へーそんなの居たんだと言う感じで見ていた。
 話をしていたと思ったら、少し芝生の方へ入る。

 椅子じゃないけれど、石のモニュメントの所にもたれるお兄様。
 その女子は慣れた感じで、咥え始める。

 でーひどいことに、自分が満足をすれば終わり?
 まああんな所で、本格的に初めるのもあれだけど……
 そう、それからも観察をしたけれど、道具のような扱い。

 でだ、相手は、どうも複数人いらっしゃる。

 あたしゃ、ビックリだよ。
 此の時にはまだ、態度からして女嫌いだと思っていたから。
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