157 / 200
好きって何?
第3話 嫌になるまで
しおりを挟む
「えっ、狭間 峡弥? キョウじゃ…… ないの?」
「入り口に表札という物があるんだが、見なかったのか?」
「っえあっ。んんっ。見て…… にゃっひゃう」
かれに、後ろから抱えられているのだけれど……
どうしてこんなに。
変な物を出しているんじゃないかと思う。
キョウだと思っていたのに、愛称だとか。
法学部だとか。
お父さんが弁護士だとか。
知り合いだし……
偉い人だし。
私の仕事は、パラリーガル。
弁護士の法律専門的アシスタント。
出会った時に、鞄を見て気がついたらしい。
ふつおくんも、裾野 裕樹くんで、全然ふつおなんて入っていない。
同じ学部らしくて、彼だけは、そばからいなくならなかった人。
昔から、キョウちゃんはモテたらしい。
抱きながらいうかな。
でも、彼は忙しく、おざなりな関係が必然となる。
支えてくれる人はおらず、自分の思い通りにならないと離れていったという事。
でも思うのに、目先の欲だけで、彼に近づき離れただけの気がする。
「だから…… あっ、あにゃたが…… 悪…… いんじゃなくて。うくっ。ひん。そんなとこ舐め…… ああっ」
言葉が、でない。
「どうでもいいんだよ。そんな事。今は平和だし」
「そう。なの?」
「ああ」
「なんで…… 二人で?」
聞けた。
「んんんっっっ。ああああっ」
あっ限界…… いってしまった。
「ああそれは、アイツがモテなくて、やかましいからだな。前にナンパをしたときに、女の子がアイツじゃいやって言うから、仕方なしに一緒にしたら、それ以降ずっと、以外と皆文句を言わないんだよ」
「それは言わないんじゃ無く、言えなかったんだと思う。キョウちゃん。異常よ」
「そうかね。俺には分からん」
あっお水。
まだ刺さりっぱなしで動けない。
「いるのか?」
グラスごと貰う。
「うん。ねえ聞いて良い? 何人くらい?」
「なんだ、経験数か?」
「うん」
「うーん? わからん。三桁だとは思う」
一瞬くらっときた……
とんでもない奴だった。
「検査とかしてる?」
そう、どうしても不安。
「してるよ。定期的に。月一だけど」
「そうなんだ、何か持病でもあるの?」
「いやない。母さんに素行がバレて、強制的に」
「そうなんだ。うっ、ひゃう。また膨らんだ」
彼自身も、湧いてくるムラムラとイライラがよく分かっていないらしい。
彼女がおらず、お店に行くのはいや。
だから拾うを繰り返したとか。
今日だって、なんだか腹が立つからするって。
良いんだけど、よくない。
なんか、中毒性があって、離れられない。
「なんだか、元気だな。アイツとやっていたのを思い出すと、なんだろ。NTR属性は無いはずなんだが。まあお仕置きみたいなもんだ」
勝手に、だまし討ちのようにしといて……
「ひど、おかしいでしょう」
「そうか?」
後ろで、首をひねっているのが分かる。
根本的に何か抜けているのは、性分だとしても、彼が彼女を作って上手くいかないのは彼だけじゃない。
理系でも、文系でもそうだけど、研究者と一般人だと流れる時間が違うと言われている。
よくお医者さん達が、看護師さんと結婚をするのは、身近なのもあるけれど、普通の人だと、仕事に対する理解ができなくて喧嘩になり別れるらしい。
研究者も同じ、研究者同士じゃないと長続きしないよね。
これは周知の事実となっている。
朝起きて、出勤……
帰ってこない。
夜中に帰ってくる。
疲れて眠るか、夜中にやり残しを家でする。
また、朝になると出勤。
大抵の女性は、まるで家政婦のように思うらしい。
だけど、本人にすれば、研究の合間できた時間では尽くしているつもり。
学会前の、地獄のような日々以外ではそれなりに気も使っている。
ただ気になる事などがあれば、忘れないうちにかかりきりにはなる。
「そうそう。研究者などは普通じゃないのよ。生活全部が仕事になるから、私と仕事って聞かれたらどう答える?」
「仕事というか、勉強」
「だよね。順位が違うから。私もそうだもの」
「そうなの?」
「だからふつおくんが、側にずっと居るんでしょ」
「ああそうか、追い出しても戻ってくるから」
そう私たちは、おかしな常識の中で生きている。
それは普通の人にはきっと理解できない。
「趣味が勉強で、勉強が仕事で、仕事が趣味。優先すべきは一番好きな物。普通じゃないわ」
「そうだな。じゃあいくか?」
「えっどこへ?」
「来れば分かる」
いきなり。
「ひょっとしてお家?」
「そう。駄目こんな格好で、手土産も無しで……」
「いいから」
彼に手を引かれて、家へと入る。
若くて綺麗な人、お姉さん?
「ただいま、父さんは?」
「書斎にいるけれど…… そのお嬢さんは?」
「結婚するから」
「「はっ?」」
「ちょっと待ちなさい」
「ちょっと待って」
「良いから」
「「良くない」」
「この子少し、常識が無くって。申し訳ありません」
「いえ、まあそうですね」
いけない素で答えた。
「あー私、国野 法華と申します」
つい名刺も出す。
「あらそう、私狭間 典子名前が似てるわね。そっかぁ同業者ね。これで峡弥もやっと落ち着くわね」
そういって、彼女はリビングを出て行く。
「お若いけど、お姉さん?」
「いや、義母さん」
「実の母は、出て行った」
「あらまあ、だからそういう事は、最初に言っておいてよ」
「姉さんだと間違えても喜ぶから大丈夫。そういう事じゃなくて…… もう」
「いらっしゃい。君が峡弥の?」
「はい、お久しぶりでございます。このたびは息子さんと縁があって、厚かましくもお邪魔し、聞けば結婚をするとか?」
「なんで疑問形? まあいい、ああ言われれば会ったことがあるな。よし電話をするからうちの事務所に来なさい」
「はい?」
親子揃って、とんでもない奴らだった。
事務所移籍、そして結婚。
まあ楽しいからいいけど。
「おい法華やるぞ。なんで服を着てるんだ?」
これだよ……
まあ楽しいからいいけど……
嫌になるまでは、一緒にいよう。
-------------------------------------------------
お読みくださり、ありがとうございます。
研究者は、普通の結婚ができない。
人によりですが、私と仕事どっちがと聞かれるようで、普通の人とは恋愛ができないというのも本当の話です。
まあ最近は、色々変わったので、少しは変わったかも知れませんけど。
「入り口に表札という物があるんだが、見なかったのか?」
「っえあっ。んんっ。見て…… にゃっひゃう」
かれに、後ろから抱えられているのだけれど……
どうしてこんなに。
変な物を出しているんじゃないかと思う。
キョウだと思っていたのに、愛称だとか。
法学部だとか。
お父さんが弁護士だとか。
知り合いだし……
偉い人だし。
私の仕事は、パラリーガル。
弁護士の法律専門的アシスタント。
出会った時に、鞄を見て気がついたらしい。
ふつおくんも、裾野 裕樹くんで、全然ふつおなんて入っていない。
同じ学部らしくて、彼だけは、そばからいなくならなかった人。
昔から、キョウちゃんはモテたらしい。
抱きながらいうかな。
でも、彼は忙しく、おざなりな関係が必然となる。
支えてくれる人はおらず、自分の思い通りにならないと離れていったという事。
でも思うのに、目先の欲だけで、彼に近づき離れただけの気がする。
「だから…… あっ、あにゃたが…… 悪…… いんじゃなくて。うくっ。ひん。そんなとこ舐め…… ああっ」
言葉が、でない。
「どうでもいいんだよ。そんな事。今は平和だし」
「そう。なの?」
「ああ」
「なんで…… 二人で?」
聞けた。
「んんんっっっ。ああああっ」
あっ限界…… いってしまった。
「ああそれは、アイツがモテなくて、やかましいからだな。前にナンパをしたときに、女の子がアイツじゃいやって言うから、仕方なしに一緒にしたら、それ以降ずっと、以外と皆文句を言わないんだよ」
「それは言わないんじゃ無く、言えなかったんだと思う。キョウちゃん。異常よ」
「そうかね。俺には分からん」
あっお水。
まだ刺さりっぱなしで動けない。
「いるのか?」
グラスごと貰う。
「うん。ねえ聞いて良い? 何人くらい?」
「なんだ、経験数か?」
「うん」
「うーん? わからん。三桁だとは思う」
一瞬くらっときた……
とんでもない奴だった。
「検査とかしてる?」
そう、どうしても不安。
「してるよ。定期的に。月一だけど」
「そうなんだ、何か持病でもあるの?」
「いやない。母さんに素行がバレて、強制的に」
「そうなんだ。うっ、ひゃう。また膨らんだ」
彼自身も、湧いてくるムラムラとイライラがよく分かっていないらしい。
彼女がおらず、お店に行くのはいや。
だから拾うを繰り返したとか。
今日だって、なんだか腹が立つからするって。
良いんだけど、よくない。
なんか、中毒性があって、離れられない。
「なんだか、元気だな。アイツとやっていたのを思い出すと、なんだろ。NTR属性は無いはずなんだが。まあお仕置きみたいなもんだ」
勝手に、だまし討ちのようにしといて……
「ひど、おかしいでしょう」
「そうか?」
後ろで、首をひねっているのが分かる。
根本的に何か抜けているのは、性分だとしても、彼が彼女を作って上手くいかないのは彼だけじゃない。
理系でも、文系でもそうだけど、研究者と一般人だと流れる時間が違うと言われている。
よくお医者さん達が、看護師さんと結婚をするのは、身近なのもあるけれど、普通の人だと、仕事に対する理解ができなくて喧嘩になり別れるらしい。
研究者も同じ、研究者同士じゃないと長続きしないよね。
これは周知の事実となっている。
朝起きて、出勤……
帰ってこない。
夜中に帰ってくる。
疲れて眠るか、夜中にやり残しを家でする。
また、朝になると出勤。
大抵の女性は、まるで家政婦のように思うらしい。
だけど、本人にすれば、研究の合間できた時間では尽くしているつもり。
学会前の、地獄のような日々以外ではそれなりに気も使っている。
ただ気になる事などがあれば、忘れないうちにかかりきりにはなる。
「そうそう。研究者などは普通じゃないのよ。生活全部が仕事になるから、私と仕事って聞かれたらどう答える?」
「仕事というか、勉強」
「だよね。順位が違うから。私もそうだもの」
「そうなの?」
「だからふつおくんが、側にずっと居るんでしょ」
「ああそうか、追い出しても戻ってくるから」
そう私たちは、おかしな常識の中で生きている。
それは普通の人にはきっと理解できない。
「趣味が勉強で、勉強が仕事で、仕事が趣味。優先すべきは一番好きな物。普通じゃないわ」
「そうだな。じゃあいくか?」
「えっどこへ?」
「来れば分かる」
いきなり。
「ひょっとしてお家?」
「そう。駄目こんな格好で、手土産も無しで……」
「いいから」
彼に手を引かれて、家へと入る。
若くて綺麗な人、お姉さん?
「ただいま、父さんは?」
「書斎にいるけれど…… そのお嬢さんは?」
「結婚するから」
「「はっ?」」
「ちょっと待ちなさい」
「ちょっと待って」
「良いから」
「「良くない」」
「この子少し、常識が無くって。申し訳ありません」
「いえ、まあそうですね」
いけない素で答えた。
「あー私、国野 法華と申します」
つい名刺も出す。
「あらそう、私狭間 典子名前が似てるわね。そっかぁ同業者ね。これで峡弥もやっと落ち着くわね」
そういって、彼女はリビングを出て行く。
「お若いけど、お姉さん?」
「いや、義母さん」
「実の母は、出て行った」
「あらまあ、だからそういう事は、最初に言っておいてよ」
「姉さんだと間違えても喜ぶから大丈夫。そういう事じゃなくて…… もう」
「いらっしゃい。君が峡弥の?」
「はい、お久しぶりでございます。このたびは息子さんと縁があって、厚かましくもお邪魔し、聞けば結婚をするとか?」
「なんで疑問形? まあいい、ああ言われれば会ったことがあるな。よし電話をするからうちの事務所に来なさい」
「はい?」
親子揃って、とんでもない奴らだった。
事務所移籍、そして結婚。
まあ楽しいからいいけど。
「おい法華やるぞ。なんで服を着てるんだ?」
これだよ……
まあ楽しいからいいけど……
嫌になるまでは、一緒にいよう。
-------------------------------------------------
お読みくださり、ありがとうございます。
研究者は、普通の結婚ができない。
人によりですが、私と仕事どっちがと聞かれるようで、普通の人とは恋愛ができないというのも本当の話です。
まあ最近は、色々変わったので、少しは変わったかも知れませんけど。
0
お気に入りに追加
5
あなたにおすすめの小説
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。


男性向け(女声)シチュエーションボイス台本
しましまのしっぽ
恋愛
男性向け(女声)シチュエーションボイス台本です。
関西弁彼女の台本を標準語に変えたものもあります。ご了承ください
ご自由にお使いください。
イラストはノーコピーライトガールさんからお借りしました
【ショートショート】おやすみ
樹(いつき)@作品使用時は作者名明記必須
恋愛
◆こちらは声劇用台本になりますが普通に読んで頂いても癒される作品になっています。
声劇用だと1分半ほど、黙読だと1分ほどで読みきれる作品です。
⚠動画・音声投稿サイトにご使用になる場合⚠
・使用許可は不要ですが、自作発言や転載はもちろん禁止です。著作権は放棄しておりません。必ず作者名の樹(いつき)を記載して下さい。(何度注意しても作者名の記載が無い場合には台本使用を禁止します)
・語尾変更や方言などの多少のアレンジはokですが、大幅なアレンジや台本の世界観をぶち壊すようなアレンジやエフェクトなどはご遠慮願います。
その他の詳細は【作品を使用する際の注意点】をご覧下さい。

今日の授業は保健体育
にのみや朱乃
恋愛
(性的描写あり)
僕は家庭教師として、高校三年生のユキの家に行った。
その日はちょうどユキ以外には誰もいなかった。
ユキは勉強したくない、科目を変えようと言う。ユキが提案した科目とは。


とある高校の淫らで背徳的な日常
神谷 愛
恋愛
とある高校に在籍する少女の話。
クラスメイトに手を出し、教師に手を出し、あちこちで好き放題している彼女の日常。
後輩も先輩も、教師も彼女の前では一匹の雌に過ぎなかった。
ノクターンとかにもある
お気に入りをしてくれると喜ぶ。
感想を貰ったら踊り狂って喜ぶ。
してくれたら次の投稿が早くなるかも、しれない。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる