泡沫の夢物語。-男と女の物語。短編集-

久遠 れんり

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好きって何?

第2話 何これ?

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 朝、私は頭を抱えることになった。
 いえ、覚えているけど、自分自身が信じられない。

 ―― 昨夜。
「もう電車終わったよ」
「もう一軒行こう」
 私は、久しぶりに楽しかったの。

法華のりかそれじゃあ家へ行こう」
 コンビニへ寄り、買い物をしてキョウのマンションへ。

「大学生のくせに、贅沢な部屋ね」
 私の家より立派。

「昔、親父が使っていた家でね」
「へっ?」
「持ち家の一つ」
「へえぇ」
 言われてみたら、賃貸に比べて家具が立派。

「あれ、ふつおくんは?」
「風呂だろ、あいつ酔うとすぐ寝るから、家に来たらまず風呂へ入る習慣になってる」
「一緒に暮らしているの?」
「いや、おれって、ジャマされると切れるから、人と暮らせないんだ」
 そう言うと、彼女はビクッとする。

「手なんか出すんだ、以外」
 いやそうに聞かれる。

「そんな事するかよ、部屋に籠もるだけだ」
 そう答えると、彼女がニヤニヤし始める。

「へえ、出すには部屋の前で裸の舞をしないと駄目?」
「そうだな……」
 今度は少し色っぽい目。
 おもしれ。

「私も同じ、勉強がおもしろくて、周りの女の子みたいに、彼氏のために何かを作ったりとかしようとしても、集中するとできなくて、つまらないとか言われて別れちゃう」
 それを聞いて驚く。『つまらない』トラウマになっている単語。

「俺もそうだな、約束をしても、集中をしていると、忘れちゃう。すぐフラれる」
「へえ、見えない」
 そんな話をしていると、ふつおくんが出てきた。

「何の話?」
「『つまらない』話。ほい」
 チューハイのロングを下手で投げる。

「投げんなよ」
 そう言いながら、迂闊なふつおくんはプルトップイージーオープンエンドを引き上げ、風呂に戻る。

「バカだろ」
 自分がやった結果だが、バスタオルを濡らして、絨毯をトントンする。

「仲が良いのね」
「腐れ縁かな、放り出してもあいつだけは戻ってくる。そうだな、手のかかる馬鹿なワンコだな」
 そして彼女は、ストロングを二本目、大丈夫かな。

 彼女の頬に手を当て、じっと目元を見る。
 なんか勘違いして、目を閉じられた。
 まあ、そんな事をされれば、当然キスするけど。

「えへ、今日会ったばかりなのに、しちゃった」
 えへへと照れ笑い。

「ああまあ、良いんじゃないか。ストレスもましになったようだし」
 えっなんでという顔。

「なんで不思議そうな顔をする。会った時ひどかったぞ」
 そう言うと、愕然とした表情。

「見て分かるんだ」
「まあね」
「ねえキョウくんて……」
「うえーい。ひどい目にあった」
 場の雰囲気を読まないふつおくん。

 ロングを振り上げる。
「もう投げるな」
 そう言って、まるで自分の家。プチッとテレビをつける。

「シャワーでも浴びてくる?」
「えっ?」
「泊まるんじゃないの?」
 そう彼女の逡巡しゅんじゅんは一瞬だった。
 色っぽい女の顔で、こちらを見つめる。

「うー。泊まる。お風呂をお借りします」
「下着、コンビニで、サイズが分からないから全サイズ」
 ビニール袋を渡す。

「うー、ありがとう」
 そう言って走って行く。

「あっ、使い方」
 あわてて追いかける。

 まあ、浴室の方に行くと、脇のトイレでなぜか彼女は電気をつけずいたして居た。
 そう暗いので、ドアを開けっぱなしで。
 そっと電気をつけて、ドアを閉める。

 出てきたが、何も言わない彼女。
「ええと、こっちのパネルで、湯張りとか、こっちがシャワーの切り替え、バスタオルと、ローブがこれ。でトイレの電気は此処」
 説明すると、真っ赤になって、コクコクと頷く。


 見られた、我慢ができなくて、電気をつけずに座り込んだ。
 暗いのがいやで、ドアを閉めなかったのが敗因だけど、使い方を教えに来てくれるなんて、優しいけれどタイミングは最悪。
 お酒飲んでいたから、大放出。
 止まらないし、見られて聞かれた……

 そんなことを考えながら、シャワーを浴びたらかなり回った気がする。

 下着…… バスローブ。
 セレブだわ……
 ちょっと恥ずかしい。
 
 今晩するよね。
 ふつおくんいるけど、まあ、幾つも部屋があるみたいだし、大丈夫かな。

 でっまあ、そんなに経たず、ふつおくんは撃沈。
「もう寝るか、どうするの?」
「意地悪」
 リビングの電気は、常夜灯へと変わるけれど、間接照明。

 かれに手を引かれたまま寝室へ、そこにあったのはキングサイズのベッド。五人くらい寝られそう。

「寝相が悪くても大丈夫だよ」
 彼はにっこりと笑って説明。
「そうみたいね」

 そのベッドの大きさを証明するような、ただれた行為が過去にあったことは、この時には知らなかった。

 ただ、彼とのそれは、今まで経験をしたことのない物だった。
 今までのは一体何?

 全身が、どこを触られても敏感で、とめども無い快感が私を襲う。
 その途中に、音がしたけれど、気にならなくて……

 一瞬意識が途切れた、心配そうな彼が、口移しで水をくれる。
 でも、彼は、顔のすぐ横に立っている、彼のあれは立っていなくて、じゃあ今、私を下から突き上げているのは?

「どう、気持ちいい?」
 彼が私にキスをしながら聞いてくる。
「えっ?」
 手が、私の頬から、首筋へ、そして胸へと。

「今賢者タイムで、つなぎに人型のおもちゃが動いているけれど、気にしないで」
 そう、気にするわよと言いたかった、でもその時の私、ぐるぐるする頭が、どうにもとろけていて、彼のが欲しくて手を伸ばす。

 柔らかくて、ふにゃふにゃ確かに元気がない。
 私は彼を引き寄せる。
 今まで、したことが無かったけれど、頑張る。

 口の中、少し大きくなったそれは、口腔の上面とかを優しくなでる。
 それだけで、ぞくぞくした快感が脳に広がる。気持ちがよくて、もっともっとと、私はねだる。

 下半身側の刺激が無くなると、彼は移動する。
「あっ」
 思わずそれを追いかける。

 だけど、次の瞬間、突き上がる快感。目の前に星が飛ぶ。
 そう、ほしかったものが、やって来た。


 その日私は、初めてを経験した。
 したのが初めてという事ではなく、複数での行為。

 だけど、その時、彼の心情に少し変化があったようで……
「今日はあれだが、ふつおとはもうするな」
 帰り際にいわれた。
 なんて理不尽。

 だけど、ふつおくんとしている私を見て、初めて、むっとしたらしい。
 今までは、幾度もあったけれど、別に気にもならなかったって。
 私からすると、どういう事? だわ。

 でも、次の週末、彼と会った時に、理由を聞くことになる。
 そして、私にとって、もっと衝撃的なことも……
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