泡沫の夢物語。-男と女の物語。短編集-

久遠 れんり

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偶然の出逢い

第3話 開き直り

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 そう言って彼女は、俺の左手を掴む。
 馬鹿なことに、シートの上にぽてっと置きその上に座る。

 そう、なんだろう……
 彼女は、我慢ができないほどに、我慢をしていたようだ。
 そう、指先はすでにずぶ濡れ。
 中途半端に俺が見せた優しさに、振り切っていた変な心。
 この人しかないと思ったとか。


 ―― 襲われかかって、何か入ったスイッチ。
 彼が来て、心の底からは無理だけど安堵をした。

 最近、親がうだうだ言い出して、鬱陶しかった。
 一度は言うとおり、お見合いもした。
 でも、『相手さんから、この話は無かったことにと言われてね』その事を告げられて、落ち込むでしょう普通。
 見合いまでして、あんたやだって言われたら……

 今回だけじゃない、いつもそう。
「細見はまだ子どもだし」
 その台詞を同級生から聞く。

「妹みたいでかわいい」
 でも恋愛対象にはならない。

 大学でも同じ、『今日は見学? 受かると良いわね』そんな事ばかり、あなたとは二年も同じ授業を受けていますが。

 なんて序の口、就職試験でも、替え玉と間違えられたし。
 小さいのは私のせいじゃないし。

 今日は、会った瞬間、向こうは変な顔。
「じゃあ、合法なんだ」
 そんな事を言った。でも、途中彼は、終始私を子ども扱い。
 それなのに襲いかかって来た。
 訳が分からない。

 でも、この星野さんは歳を言ってから、女の人として扱ってくれた。そう小さな子じゃ無く。
 口は悪いけど、でも優しいと思う。
 多分ね。

 なんだか色々あったし、あのワイン美味しかったけれど、少し酔ったし。
 普段飲んでも缶チューハイくらい、それよりは濃かったのかなぁ。

 勇気を出して、お願いをする。
 そう、今日は一応、お見合いみたいな感じで、気合いは入っていた。途中で人が代わっちゃったけれど、最後までしてもいい。

 そう体は小さくても女なの。さっきから、準備ができて、垂れているのよ。意識しちゃって……



 彼女、タオルの下は洪水だった。
 導かれた手の先、どうすればいいのか。
 彼女の腰が、俺の手の上でゆっくり動く。

「どういうつもりだ?」
「えー? 此処で聞くの?」
 彼女はシートの肩の部分に捕まっているが、顔が俺のすぐ横。
 目をつむって、眉間に皺。一生懸命感じているのか。
 俺じゃない、誰かを思っているのか?

「当然だろ。助けたとはいえ、今日知りあったばかり」
「むー…… 仕方が無い。一目惚れっす。思う存分、好きなようにやってください。知識はあります。少々変態的なことでも。んっっ…… 受け入れます」
 そう言いながら、まだ彼女の腰は動く。

「なら、文句言うなよ」
 手を引っこ抜く。
「んあっ」
 短い吐息が漏れる。

 車のロックをする。
 運転席から、後部座席へ移り、彼女を後ろから抱きしめる。

 小さな体、小さな胸。
 だが、先端の敏感な所はギンギンで、先ずは十分揉んでみる。

 そう、何年ぶりだろう。
 大学時代以来。
「好夢くん、つまんない」
 彼女から頂いた、最後の言葉。

 そう俺は忙しくて、カップルが普通にするデートらしいデートはしなくって、そう、大学の勉強と、星の勉強。
 宇宙は楽しくって不思議で、ロマンにあふれていた。

 超弦理論。
 物理学の基本であり心理。
 これすら、完璧ではない。
 親に言われるまま、経済なんて取ったけれど、つまらなくて退屈だった。
 適当に就職をして、時間が取れれば会社なんて何でもよかった。

 そう、俺にとって趣味の時間以外は、無為な時間。
 ただ、何かのおりに思い出される言葉。
 『好夢くん、つまんない』
 この言葉は、俺にとって大きく、以後基礎知識として、女性を喜ばす方法は勉強した。
 男だからね、性欲もある。

 胸でいかせれば、それは深く長く女の子に快感を与える。
 先ずはそこから、最低一五分以上の前戯と、舐めること。

 そんな知識を実施する。
 幸い、万葉は小さく、下を舐めながらでも胸まで手が届く。
 反応を見ながら、時間を掛けて解していく。

 途中、もうだめとか言っているが、そんなのは無視。
 変態がどうこう言っていたから、さらに色々と試す。

 そう、どうせ今日だけの、一期一会。色々と彼女が噴き出して、意識が消えるまで俺は楽しんだ。

 人間の体は、こんなに撥ねるのかとか、ひどく足を突っ張っていたが、それも本に書いてあった。
 感じている証拠だろう。

 だがそれは、限界を超えていたらしい。
 後で首を絞めながら叱られた。
 彼女は本当に死ぬと思ったらしい。

 そうして、終わったと思った彼女との関係だが、毎週末。俺の部屋に現れるようになってしまった。

 無視をしていると、勝手に服を脱ぎ、おねだりする変な癖が付いたようだが、『好夢くん、つまんない』と言う言葉は未だに聞いていない。

 金曜日の晩に現れ、星を見に行く以外は、ずっと部屋で籠もり、日曜日の昼、息絶え絶えで、ふらふらしながら帰って行く。
 それは、二年後に結婚するまで続いた。

 今は、子どもが子どもをあやしていると、近所で噂のようだ。


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 秋の出逢い編。
 お読みくださり、ありがとうございます。

 まあ人の出逢い。こんな事もあるかという事で。
 御笑話ください。
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