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ある海の話
第5話 なる様になれ
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「むー、流石に食い過ぎた」
そう言うと彼女が勘違いして喜ぶ。
「小食ね。でも美味しかった?」
「違う。帰りに仲間と、焼き肉屋へ行っていたんだ。帰ってきて即、また飯を食うとは思わなかった」
それを聞いて、しょぼんとなる。
「そうか、遅かったのは…… それね。でも、独身の男に人なら、そうね」
なんかグチグチと言い始める。
「せっかくアドバイスを貰って、そしたら本当に詐欺師でさ…… 長瀬さんなら慰めてくれるかと思ったのに……」
「話は聞いているじゃないか。ビールも食材も出して」
「ああ、うん。ごめんなさい」
そう言ってしょぼくれていた彼女だが、ふと何かを思い出す。
「ねえねえ、長瀬さん」
「なんだ?」
「海で心肺停止だったんでしょ。私」
なんか嬉しそうに、前のめりに体を乗り出してくる。
「そうだな」
「胸触ってどうだった?」
「胸? 心マッサージだから胸の間」
「じゃあ、人工呼吸は?」
「ああ、悪いがした。妙な感染症持ってないよな?」
そう言うと、にまにました顔が、曇る。
「持ってない…… あーでもどうだろう。あの男に騙されて、一度…… エッチされそうになったけど、痛がったらやめてくれて、ゴムはつけてくれてたし。うん。多分大丈夫」
「キスでも、うつる物はうつる」
そう言うとビックリするが、また、にまにまになる。
「じゃあもう遅いね。キスしたし」
「キスじゃない人工呼吸」
「えー。わたし覚えていないのぉ。きちんとしよ」
「酔っ払いかお前は?」
酔うにつれ、地が出たのか妙にヘラヘラし始める。
「うん。よっぱらい。だから襲っちゃう。お世話になったし、おーれーい。んふっ」
「んふっ。じゃない。二七にもなるオッサンを揶揄うな」
「あっ。あたし。二五歳。丁度良いね」
「こら重い」
「失礼な。見よこのナイスバディ」
「こら脱ぐな。もうう。知らんぞ」
そんな感じで、勢いよく来た彼女だが、いざとなると逃げる……
ズリズリと這い上がる。
「亜美ぃ。ひょっとして初めてなのかな」
「うん」
「あー。そうなのか。それなのに、あんな感じで人を襲うのか」
「えーでも。もうなんか、今回を逃すと後が無いような気がするし、長瀬さんいい人ぽいし、お金借りているし…… 体で返せば少し負けてくれないかと……」
「うーん。正直でよろしい。だが、色々思うところはあるが、今更止まれない。だから、逃げるな」
「えっ何するの。そんな持ち上げて。恥ずかしいし舐めちゃ駄目。ひっ。ひゃあ。んーんんっ」
ちょっと、足を持ち上げて頭の方へ折り返す。
そして、目の前になった、敏感な部分を、一気に舐める。
「いってしまえ……」
とまあ、準備がてら、十分にぐったりさせて、ゆっくりといただいた。
そうしてこいつは、家に居付いた。
毎日、暇そうだから、案を出す。
「遊んでいるなら、店で弁当を売れ。仕入れを限定できるし、無駄が無い」
そう言うと、なんてこったいという感じで納得をしてくれる。
「うん。そうだね。お金を返さないと流石に肩身が狭い」
そんな事を言いながら、家にいる間、こいつほとんど服を着ない。
体で返すためには、何時いかなる時にもお館様に使って満足いただけるようにとか、訳の分からないことを言っている。
「ああ、それに、単なる居候を飼う余裕はない」
「ひどっ。でもまあ」
意外と、売れたようだが、最初だけ。やはり店用と弁当用では少しアレンジが必要だった。
「馬鹿野郎、冷えたときに堅くならないように作るんだ。砂糖を使え」
「へー」
「へーじゃない。自分の店だろう」
まあ実際、メニュー決めから、レシピの開発。
なぜかこれのおかげで、俺の自由な時間が、全く無くなってしまった。
俺の人生において、最悪な方向に進んでいるのではないだろうかと、心配になる。
今、横で、幸せそうな顔で寝ている松永 亜美。
実際、夜の海で拾ったし、引き上げたときに死んでいたしなぁ。
この、松永 亜美は本当に、本人なんだろうかと最近不安になる。
妙に、精への執着が強いんだよなぁ……
そう、最初は痛かったらしいが、今はもうね。
「ただいま」
「お帰りなさい。お疲れさま、お風呂沸いてるから。マッサージしてあげる。早く入ろう」
そう言って、いきなり脱がされる。これだもの……
「釣りに行ってないなあ」
「釣らなくても、売っているし。夜に海なんて危ないよ」
「車で突っ込んでくる奴がいるしな」
そう言うと、むっと膨れる。
「そうだよ。それにあそこは、あまり良くない土地だし」
「そうなのか?」
「…… えっ何が?」
とまあ、たまにおかしくなる。
先生に言わせると、「まあ多少脳に影響があったのかもしれませんね。」とか言われた。
嬉しそうに、裸エプロンで、俺に向かってお尻を振って誘う亜美。
「幸せといえば、幸せか……」
「そうよ。あの海は駄目……」
あの嫌みな警官、そして、管理する海上保安官。
その周囲では、有名な話し。
あの港に魅入られると、飛び込んでしまう。
聞けば、不思議な昔話が多数ある湾だった。
『忌みの浦』
現在『伊美の浦港』、その意味を知るものは少ない……
-----------------------------------------------------------------
お読みくださり、ありがとうございます。
まあ、なんでしょう。実は、地味に明るいホラー
これから暑くなると、水場に行く事が増えますが、気を付けましょう。
いきなり夕立からの鉄砲水とか。
昔の地名と変わっていますが、重要な意味もあったようです。
危ない地名とかで、検索をしてみてください。
そうしないと、気が付けば、家族が変わっていたり……
そう言うと彼女が勘違いして喜ぶ。
「小食ね。でも美味しかった?」
「違う。帰りに仲間と、焼き肉屋へ行っていたんだ。帰ってきて即、また飯を食うとは思わなかった」
それを聞いて、しょぼんとなる。
「そうか、遅かったのは…… それね。でも、独身の男に人なら、そうね」
なんかグチグチと言い始める。
「せっかくアドバイスを貰って、そしたら本当に詐欺師でさ…… 長瀬さんなら慰めてくれるかと思ったのに……」
「話は聞いているじゃないか。ビールも食材も出して」
「ああ、うん。ごめんなさい」
そう言ってしょぼくれていた彼女だが、ふと何かを思い出す。
「ねえねえ、長瀬さん」
「なんだ?」
「海で心肺停止だったんでしょ。私」
なんか嬉しそうに、前のめりに体を乗り出してくる。
「そうだな」
「胸触ってどうだった?」
「胸? 心マッサージだから胸の間」
「じゃあ、人工呼吸は?」
「ああ、悪いがした。妙な感染症持ってないよな?」
そう言うと、にまにました顔が、曇る。
「持ってない…… あーでもどうだろう。あの男に騙されて、一度…… エッチされそうになったけど、痛がったらやめてくれて、ゴムはつけてくれてたし。うん。多分大丈夫」
「キスでも、うつる物はうつる」
そう言うとビックリするが、また、にまにまになる。
「じゃあもう遅いね。キスしたし」
「キスじゃない人工呼吸」
「えー。わたし覚えていないのぉ。きちんとしよ」
「酔っ払いかお前は?」
酔うにつれ、地が出たのか妙にヘラヘラし始める。
「うん。よっぱらい。だから襲っちゃう。お世話になったし、おーれーい。んふっ」
「んふっ。じゃない。二七にもなるオッサンを揶揄うな」
「あっ。あたし。二五歳。丁度良いね」
「こら重い」
「失礼な。見よこのナイスバディ」
「こら脱ぐな。もうう。知らんぞ」
そんな感じで、勢いよく来た彼女だが、いざとなると逃げる……
ズリズリと這い上がる。
「亜美ぃ。ひょっとして初めてなのかな」
「うん」
「あー。そうなのか。それなのに、あんな感じで人を襲うのか」
「えーでも。もうなんか、今回を逃すと後が無いような気がするし、長瀬さんいい人ぽいし、お金借りているし…… 体で返せば少し負けてくれないかと……」
「うーん。正直でよろしい。だが、色々思うところはあるが、今更止まれない。だから、逃げるな」
「えっ何するの。そんな持ち上げて。恥ずかしいし舐めちゃ駄目。ひっ。ひゃあ。んーんんっ」
ちょっと、足を持ち上げて頭の方へ折り返す。
そして、目の前になった、敏感な部分を、一気に舐める。
「いってしまえ……」
とまあ、準備がてら、十分にぐったりさせて、ゆっくりといただいた。
そうしてこいつは、家に居付いた。
毎日、暇そうだから、案を出す。
「遊んでいるなら、店で弁当を売れ。仕入れを限定できるし、無駄が無い」
そう言うと、なんてこったいという感じで納得をしてくれる。
「うん。そうだね。お金を返さないと流石に肩身が狭い」
そんな事を言いながら、家にいる間、こいつほとんど服を着ない。
体で返すためには、何時いかなる時にもお館様に使って満足いただけるようにとか、訳の分からないことを言っている。
「ああ、それに、単なる居候を飼う余裕はない」
「ひどっ。でもまあ」
意外と、売れたようだが、最初だけ。やはり店用と弁当用では少しアレンジが必要だった。
「馬鹿野郎、冷えたときに堅くならないように作るんだ。砂糖を使え」
「へー」
「へーじゃない。自分の店だろう」
まあ実際、メニュー決めから、レシピの開発。
なぜかこれのおかげで、俺の自由な時間が、全く無くなってしまった。
俺の人生において、最悪な方向に進んでいるのではないだろうかと、心配になる。
今、横で、幸せそうな顔で寝ている松永 亜美。
実際、夜の海で拾ったし、引き上げたときに死んでいたしなぁ。
この、松永 亜美は本当に、本人なんだろうかと最近不安になる。
妙に、精への執着が強いんだよなぁ……
そう、最初は痛かったらしいが、今はもうね。
「ただいま」
「お帰りなさい。お疲れさま、お風呂沸いてるから。マッサージしてあげる。早く入ろう」
そう言って、いきなり脱がされる。これだもの……
「釣りに行ってないなあ」
「釣らなくても、売っているし。夜に海なんて危ないよ」
「車で突っ込んでくる奴がいるしな」
そう言うと、むっと膨れる。
「そうだよ。それにあそこは、あまり良くない土地だし」
「そうなのか?」
「…… えっ何が?」
とまあ、たまにおかしくなる。
先生に言わせると、「まあ多少脳に影響があったのかもしれませんね。」とか言われた。
嬉しそうに、裸エプロンで、俺に向かってお尻を振って誘う亜美。
「幸せといえば、幸せか……」
「そうよ。あの海は駄目……」
あの嫌みな警官、そして、管理する海上保安官。
その周囲では、有名な話し。
あの港に魅入られると、飛び込んでしまう。
聞けば、不思議な昔話が多数ある湾だった。
『忌みの浦』
現在『伊美の浦港』、その意味を知るものは少ない……
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お読みくださり、ありがとうございます。
まあ、なんでしょう。実は、地味に明るいホラー
これから暑くなると、水場に行く事が増えますが、気を付けましょう。
いきなり夕立からの鉄砲水とか。
昔の地名と変わっていますが、重要な意味もあったようです。
危ない地名とかで、検索をしてみてください。
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