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疲れた男は幼馴染みと再会をする
第2話 元の鞘
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そこから、彼女の愚痴が始まる。
よく見れば、彼女が握っているのは、度数の高いチューハイ。
「遠恋だし、家は店の手伝いもあるから、追いかけていくわけにもいかないし。そうしたら、今度は向こうで就職? ふざけんなよね」
「ああ。悪い」
相変わらず、謝るしかできない。
付き合いを戻したら、俺はずっと頭が上がらないのでは? そんなことを考える。
「あげくに、奥さんだし。切れたわよ」
「そうなのか? 会った時、普通だったから」
「他にいる、客の前で切れろって?」
「ああ。悪い」
ひたすら、悪いを繰り返す。
「もう。どうして、こんなの…… だろ」
「はっ?」
「もう」
雰囲気は良いが、色気も何もないキス。
「ツバ付けた。いいわね」
「ああ」
その後は、二十歳を越えた頃から、親が結婚しろとやかましかったこと。
ただ候補が、十歳以上歳上のおっさんばかりだったこと。
俺が結婚した後、一度見合いをしてみたが、相手の下品さに切れてぶっ壊した事。
そこで、缶が空になり、部屋へ引っ張って行かれた。
部屋は昔とは違い、母屋とは別に離れになっていた。
趣味でDTMをやっていて、防音の建物を建てたらしい。
ドアを閉めた瞬間、音が変わる。
夏前で、カエルの声も聞こえていたが、ピタッと消える。
「すごいでしょ。窓も二重のトリプルガラス。断熱もバッチリ」
「そうなんだな」
「中は禁煙ね」
「判った」
台所へ移動をして、テーブルに着く。
「ここなら、レンジフードを点ければ吸ってもいいわ。どうせ油物も使うし」
そう言って、度数の高い缶が出てくる。
「いつも、これなのか?」
「悪い? 以降は減るかもね」
「俺が悪いのか?」
そう言った瞬間、表情が変わる。こいつのかわいい系の顔だと変顔に近い。
「当然でしょ」
どうも、また地雷を踏み抜いたようだ。
手早く作った、いくつかのつまみと共に、のみ始める。
いやまあ、内容はさっき言っていた、歴史の続きだ。
二十五をすぎた頃から、親も好きにさせてくれ始めた事。
ただ、弟に目標が変わった事。
「大樹くんも、もう三十か」
「そう。お店が結構大変みたいでね。夜間は人が来ないし、バイト代が勿体ないから、もっぱら自分が入っているし」
「そりゃ、出会いはないな」
そう言うと、人差し指が俺の目の前で揺れる。
「ところがさ、夜帰ってきた女の子が、夜食を買いに来るんだって。酔っ払って」
「それ飲み屋の、女の子か?」
彼女は、首を振る。
「大学生とか、OLさん」
「みんな、おつかれだな」
「そうか、ベッドタウンになって久しいから、子連れで来ていたなら、子供さん達が成人か」
「そうそう」
そう言って、パクパク食って、ごくごく飲む。
いい加減強いな。
「ふう。ところでそっちは?」
「うん? 普通に子育て、落ち着いたところで彼女も仕事に戻ったら、男に拾われたみたいだな」
「あー良くありそ。子育て疲れから、少し解放されてか……。基本男には子育ては無理だから、外国のマネをせず、独自の生活を守れば良かったのに」
「いや、そこそこ子育てできたぞ」
「おっぱいも出ない癖に。それに、子供に必要なのはおっさんのごつい胸じゃなくお母さんの柔らかなおっぱいよ」
そう言って、双球を持ち上げる。
「そういや、昔より増えたな」
「ホルモンとかの影響で増えるのよ。子供が出来ると爆乳になるのよ」
「知ってる」
「ああ。そうよね」
そう言って黙りこむ。
「ねえ、こっちへ来て」
そう言って、リビングを通り、奥の部屋へ行くと、PCがならび、キーボードと言っても鍵盤などがならぶ部屋。
「かなり本格的だな」
「でしょ」
「いつから?」
そう聞いて、また睨まれる。いい加減俺は。
だが予想は違い。
「高校の時から、ポチポチと入力をして曲を作っていたの。今では有名な人も居るけれど、同期ね」
睨まれたという事は、聞いたことがあったのか?
「そうなのか、すごいな。どんな曲を作っているんだ?」
「聞きたい?」
そう言って流してくれたのは、ポップな感じではなく。プログレッシブ音楽?
「これって、プログレかなあ」
「そうそう、少し壮大な感じにもしてある」
そう言って、こちらを向いた彼女の顔は、どう? どう?と、感想を求めていたが、それには答えず、抱きしめてキスをする。
「あっ。ちょっとこら。流石に久しぶりだし、大分緩んだから、はずかしい」
そう言って、いやいやする。
「大丈夫。明るいところで、積み重ねた歴史を、じっくり見てやろう」
「もうっ」
彼女がいったように、長い年月のせいか、少し辛そうだったのでゆっくりねっとりと攻め、最後には曲に合った感じで、大いに感じてくれたようだ。
「ぷわっ。こんなになるとは」
自分がまき散らした液体を見て、引いていた。
「んじゃあ、まあ、少し遠回りをしたけれど、これから長い人生よろしくね。ちびちゃん達、慣れてくれるかしら」
「じょじょに慣らそう。さっきも、最初は辛そうだったが慣れただろ」
「そうね。じゃあもう一回」
そうして明け方帰り、途中で娘達が起きて、お父さんまでいなくなったと大騒ぎをしたそうだ。親父に睨まれた。
仕方が無いので、説明をしたら、速攻で挨拶に走ったらしく、三日後にはにまにました人たちが店に押し寄せたらしい。
「これだから田舎は」
そう言いながら、今日は子供達と彼女は遊んでいる。
先ずは、お菓子で餌付けをしているようだ。
こうして、高校卒業後、途切れていた彼女との人生が、再び繋がった。
彼女が言うように、これからの方が長い。
手を取り合って、今度は距離を開けないようにしよう。
-------------------------------------------------------------
お読みくださり、ありがとうございます。
向こうで書かない、幼馴染みとのハッピーエンド。
如何でしたでしょうか。
ありそうな話し。
ただ、お互いに家族が出来て、そうはならないことの方が、多そうですが。
よく見れば、彼女が握っているのは、度数の高いチューハイ。
「遠恋だし、家は店の手伝いもあるから、追いかけていくわけにもいかないし。そうしたら、今度は向こうで就職? ふざけんなよね」
「ああ。悪い」
相変わらず、謝るしかできない。
付き合いを戻したら、俺はずっと頭が上がらないのでは? そんなことを考える。
「あげくに、奥さんだし。切れたわよ」
「そうなのか? 会った時、普通だったから」
「他にいる、客の前で切れろって?」
「ああ。悪い」
ひたすら、悪いを繰り返す。
「もう。どうして、こんなの…… だろ」
「はっ?」
「もう」
雰囲気は良いが、色気も何もないキス。
「ツバ付けた。いいわね」
「ああ」
その後は、二十歳を越えた頃から、親が結婚しろとやかましかったこと。
ただ候補が、十歳以上歳上のおっさんばかりだったこと。
俺が結婚した後、一度見合いをしてみたが、相手の下品さに切れてぶっ壊した事。
そこで、缶が空になり、部屋へ引っ張って行かれた。
部屋は昔とは違い、母屋とは別に離れになっていた。
趣味でDTMをやっていて、防音の建物を建てたらしい。
ドアを閉めた瞬間、音が変わる。
夏前で、カエルの声も聞こえていたが、ピタッと消える。
「すごいでしょ。窓も二重のトリプルガラス。断熱もバッチリ」
「そうなんだな」
「中は禁煙ね」
「判った」
台所へ移動をして、テーブルに着く。
「ここなら、レンジフードを点ければ吸ってもいいわ。どうせ油物も使うし」
そう言って、度数の高い缶が出てくる。
「いつも、これなのか?」
「悪い? 以降は減るかもね」
「俺が悪いのか?」
そう言った瞬間、表情が変わる。こいつのかわいい系の顔だと変顔に近い。
「当然でしょ」
どうも、また地雷を踏み抜いたようだ。
手早く作った、いくつかのつまみと共に、のみ始める。
いやまあ、内容はさっき言っていた、歴史の続きだ。
二十五をすぎた頃から、親も好きにさせてくれ始めた事。
ただ、弟に目標が変わった事。
「大樹くんも、もう三十か」
「そう。お店が結構大変みたいでね。夜間は人が来ないし、バイト代が勿体ないから、もっぱら自分が入っているし」
「そりゃ、出会いはないな」
そう言うと、人差し指が俺の目の前で揺れる。
「ところがさ、夜帰ってきた女の子が、夜食を買いに来るんだって。酔っ払って」
「それ飲み屋の、女の子か?」
彼女は、首を振る。
「大学生とか、OLさん」
「みんな、おつかれだな」
「そうか、ベッドタウンになって久しいから、子連れで来ていたなら、子供さん達が成人か」
「そうそう」
そう言って、パクパク食って、ごくごく飲む。
いい加減強いな。
「ふう。ところでそっちは?」
「うん? 普通に子育て、落ち着いたところで彼女も仕事に戻ったら、男に拾われたみたいだな」
「あー良くありそ。子育て疲れから、少し解放されてか……。基本男には子育ては無理だから、外国のマネをせず、独自の生活を守れば良かったのに」
「いや、そこそこ子育てできたぞ」
「おっぱいも出ない癖に。それに、子供に必要なのはおっさんのごつい胸じゃなくお母さんの柔らかなおっぱいよ」
そう言って、双球を持ち上げる。
「そういや、昔より増えたな」
「ホルモンとかの影響で増えるのよ。子供が出来ると爆乳になるのよ」
「知ってる」
「ああ。そうよね」
そう言って黙りこむ。
「ねえ、こっちへ来て」
そう言って、リビングを通り、奥の部屋へ行くと、PCがならび、キーボードと言っても鍵盤などがならぶ部屋。
「かなり本格的だな」
「でしょ」
「いつから?」
そう聞いて、また睨まれる。いい加減俺は。
だが予想は違い。
「高校の時から、ポチポチと入力をして曲を作っていたの。今では有名な人も居るけれど、同期ね」
睨まれたという事は、聞いたことがあったのか?
「そうなのか、すごいな。どんな曲を作っているんだ?」
「聞きたい?」
そう言って流してくれたのは、ポップな感じではなく。プログレッシブ音楽?
「これって、プログレかなあ」
「そうそう、少し壮大な感じにもしてある」
そう言って、こちらを向いた彼女の顔は、どう? どう?と、感想を求めていたが、それには答えず、抱きしめてキスをする。
「あっ。ちょっとこら。流石に久しぶりだし、大分緩んだから、はずかしい」
そう言って、いやいやする。
「大丈夫。明るいところで、積み重ねた歴史を、じっくり見てやろう」
「もうっ」
彼女がいったように、長い年月のせいか、少し辛そうだったのでゆっくりねっとりと攻め、最後には曲に合った感じで、大いに感じてくれたようだ。
「ぷわっ。こんなになるとは」
自分がまき散らした液体を見て、引いていた。
「んじゃあ、まあ、少し遠回りをしたけれど、これから長い人生よろしくね。ちびちゃん達、慣れてくれるかしら」
「じょじょに慣らそう。さっきも、最初は辛そうだったが慣れただろ」
「そうね。じゃあもう一回」
そうして明け方帰り、途中で娘達が起きて、お父さんまでいなくなったと大騒ぎをしたそうだ。親父に睨まれた。
仕方が無いので、説明をしたら、速攻で挨拶に走ったらしく、三日後にはにまにました人たちが店に押し寄せたらしい。
「これだから田舎は」
そう言いながら、今日は子供達と彼女は遊んでいる。
先ずは、お菓子で餌付けをしているようだ。
こうして、高校卒業後、途切れていた彼女との人生が、再び繋がった。
彼女が言うように、これからの方が長い。
手を取り合って、今度は距離を開けないようにしよう。
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お読みくださり、ありがとうございます。
向こうで書かない、幼馴染みとのハッピーエンド。
如何でしたでしょうか。
ありそうな話し。
ただ、お互いに家族が出来て、そうはならないことの方が、多そうですが。
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