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ちょっと大人の、いい加減な恋愛
第1話 好美と祐司そして栄里。
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俺は、前で歩いている、女と男を見つける。
「あらぁ、あれって好美じゃない」
「そうだな。とりあえず、写真を撮っておこう」
男と腕を組み、嬉しそうな顔。
「今朝あいつ、ゼミの先生に面倒を押しつけられて、遅くなるって言っていたんだがなぁ」
「ゼミの先生は知っているけれど、あれじゃないわね。面倒と言うには嬉しそうだし。ホテルに入っちゃったわよ」
「ああ。撮ってる」
「どうするの? さっきのペンダント」
「どうするかな?」
さっき、別の男とホテルに入った、深海好美と付き合いだして三年。
記念にプレゼントでもしようかと思い立ち、隣にいる涯野栄里に頼んで見繕って貰った。
まあ、バイト代が入ったと言っても、たいした物ではないが、昨今爆上がりで、貴金属は高く。一〇万近く飛んで、泣きが入ったところだ。
そっと、箱を取り出すと、栄里が怪訝そうな目でこっちを見る。
「まさか、それを私にくれようとするとか、しないわよね」
流石の栄里でも、他の女に買った物を貰うのは嫌なようだ。
「お前、オークションのID持っていなかったか?」
「あるけど、なんかやだわ。呪われそうで」
「チェーンは、プラチナだぞ」
「勿体ないわね」
「仕方が無い、どこかで女でも拾うか?」
また睨まれる。
「上が居なくなったら、繰り上がりじゃないの?」
「お下がりは、嫌なんだろ」
そう言ったら、ふくれっ面になった。
「仕方が無いじゃない。他で、売っていないんだから」
ゲシゲシと、人の脚を蹴ってきやがる。
「あーさすがに、応えるな」
「あたしは嬉しいな。隣の部屋にでも入る?」
「部屋を出て鉢合わせをしたら、分が悪くなる。するならお前の部屋に行くぞ」
「えっ、ホントに?」
嬉しそうな顔をされるが、ふと考える。
「うそだ。帰ってきたときに、ペンダントを見せて終わらせよう。するなら明日だな。傷心の俺を、慰めさせてあげよう」
「じゃあ、準備しておくから。傷心の俺を、舐めて元気にしてあげる。お祝いだし、ワインも用意しよ。あした、雪降らないよね」
「降るかもな」
そう言って、二人して空を見上げる。季節は五月。
********
おれ、喜楽祐司と、好美は、大学の一般教育で教室が同じだった。
俺が建築で、好美はデザイン。
ちなみに、栄里もデザインだ。
こっちに来て、ツレもおらず。同じく、ぼーっと一人で、授業を受けていた好美に声をかけた。
あいつも、地元を離れ。
ツレは経済とか人文に行ったため、独り者だった。
出会ったときは、高校の決まりそのもので、ストレートのミディアムが少し伸び、適当に親が買ったような服を着ていた。
まあ俺も、チノパンメインで、スタンドカラーのシャツにジャケットだから、同じようなもの。
俺が、百七十二センチで、あいつが十センチ位低く、百六十センチくらいで、五十三キロ。
わき腹が少しつまめる。
トップが八十四センチ、アンダーが七十一だか二だったのでBのようだ。
そのかわり、ヒップは立派で八十五だった気がする。
少し愛嬌のある、丸目で、少し団子っ鼻。
狸だな。
そこから半年して、奴の方が転がり込んできた。
マンションの、セキュリティを理由にして。
彼女の親は、あまりそういう所を、気にしないらしく、学校までの距離を優先して決めたらしい。
まあ学生向けというだけあって、安いしな。
内見の時確認をしたら、壁は薄かったけれど。
それでまあ、デザインという科の特性もあるのか、女の子も多く、情報の共有もあるのだろう、その頃には多少垢抜けていた。
適当に、友達もできたらしく、部屋が広いからか、同棲をしているところに友達を連れて来始めた。
元々マンションは、リビングにダイニング。そして、部屋は二部屋あった。
ベッドルームと設計用の機材。とは言っても製図台とか、CAD用の撮影装置程度を入れていたが、奴の荷物が入った後、リビングに放り出されていた。
腹立ったから、今度寝ているときに全身3Dスキャンしてプリントアウトしてやろうかと思ったくらいだ。当然3Dで。
だがプリンターは、持っていないため、出力センターを利用することになる。なので、そんなものを出力をしていると、スタッフさんが引っくり返りそうなので撮っていない。
今なら別れる前に撮っても良いが、興味自体が一気に失せた。
まあそれで、連れてくる友人一同の中に、栄里が居た。
遊びに来て、俺も最初は部屋に籠もっていたが、元々自分のマンションだし、今もってあいつは金を出していない。
馬鹿らしくて、服装は気を付けるが、リビングでうろうろするようになった。
課題は手書きが必要だし、建築士の試験は手書きらしい。
規定時間内で図面を書く必要がある。
奴らは奴らで課題がある様だし、気にしちゃ居られない。
そして、同棲をしてから一年くらい。
付き合いだして一年半。
あいつがいないときに、彼女がやって来た。
「すみません。昨日ここで課題をして、忘れて帰ったみたいで」
たまたま、授業がなくて家にいたが、好美はいない。
そう言って、少しこちらを見上げるような感じで、こちらを見つめる彼女は、くりっとした目の好美とは違い、少し切れ長のクールな目をしていた。
ミディアムレイヤーでストレート。シャギーと内巻き。
なんだろう、少し年上の髪型。
秋らしい、ブラウン系の膝上フレアスカートに、うすピンクのサマーニット? シースルーだが、ボレロとも違う。中は、うすい色のブラウン系キャミソール。
夏物で、色だけ秋に合わせてみました、だろうか?
そして彼女は、玄関に上がると、奥へと行った。
第二話に続く。
「あらぁ、あれって好美じゃない」
「そうだな。とりあえず、写真を撮っておこう」
男と腕を組み、嬉しそうな顔。
「今朝あいつ、ゼミの先生に面倒を押しつけられて、遅くなるって言っていたんだがなぁ」
「ゼミの先生は知っているけれど、あれじゃないわね。面倒と言うには嬉しそうだし。ホテルに入っちゃったわよ」
「ああ。撮ってる」
「どうするの? さっきのペンダント」
「どうするかな?」
さっき、別の男とホテルに入った、深海好美と付き合いだして三年。
記念にプレゼントでもしようかと思い立ち、隣にいる涯野栄里に頼んで見繕って貰った。
まあ、バイト代が入ったと言っても、たいした物ではないが、昨今爆上がりで、貴金属は高く。一〇万近く飛んで、泣きが入ったところだ。
そっと、箱を取り出すと、栄里が怪訝そうな目でこっちを見る。
「まさか、それを私にくれようとするとか、しないわよね」
流石の栄里でも、他の女に買った物を貰うのは嫌なようだ。
「お前、オークションのID持っていなかったか?」
「あるけど、なんかやだわ。呪われそうで」
「チェーンは、プラチナだぞ」
「勿体ないわね」
「仕方が無い、どこかで女でも拾うか?」
また睨まれる。
「上が居なくなったら、繰り上がりじゃないの?」
「お下がりは、嫌なんだろ」
そう言ったら、ふくれっ面になった。
「仕方が無いじゃない。他で、売っていないんだから」
ゲシゲシと、人の脚を蹴ってきやがる。
「あーさすがに、応えるな」
「あたしは嬉しいな。隣の部屋にでも入る?」
「部屋を出て鉢合わせをしたら、分が悪くなる。するならお前の部屋に行くぞ」
「えっ、ホントに?」
嬉しそうな顔をされるが、ふと考える。
「うそだ。帰ってきたときに、ペンダントを見せて終わらせよう。するなら明日だな。傷心の俺を、慰めさせてあげよう」
「じゃあ、準備しておくから。傷心の俺を、舐めて元気にしてあげる。お祝いだし、ワインも用意しよ。あした、雪降らないよね」
「降るかもな」
そう言って、二人して空を見上げる。季節は五月。
********
おれ、喜楽祐司と、好美は、大学の一般教育で教室が同じだった。
俺が建築で、好美はデザイン。
ちなみに、栄里もデザインだ。
こっちに来て、ツレもおらず。同じく、ぼーっと一人で、授業を受けていた好美に声をかけた。
あいつも、地元を離れ。
ツレは経済とか人文に行ったため、独り者だった。
出会ったときは、高校の決まりそのもので、ストレートのミディアムが少し伸び、適当に親が買ったような服を着ていた。
まあ俺も、チノパンメインで、スタンドカラーのシャツにジャケットだから、同じようなもの。
俺が、百七十二センチで、あいつが十センチ位低く、百六十センチくらいで、五十三キロ。
わき腹が少しつまめる。
トップが八十四センチ、アンダーが七十一だか二だったのでBのようだ。
そのかわり、ヒップは立派で八十五だった気がする。
少し愛嬌のある、丸目で、少し団子っ鼻。
狸だな。
そこから半年して、奴の方が転がり込んできた。
マンションの、セキュリティを理由にして。
彼女の親は、あまりそういう所を、気にしないらしく、学校までの距離を優先して決めたらしい。
まあ学生向けというだけあって、安いしな。
内見の時確認をしたら、壁は薄かったけれど。
それでまあ、デザインという科の特性もあるのか、女の子も多く、情報の共有もあるのだろう、その頃には多少垢抜けていた。
適当に、友達もできたらしく、部屋が広いからか、同棲をしているところに友達を連れて来始めた。
元々マンションは、リビングにダイニング。そして、部屋は二部屋あった。
ベッドルームと設計用の機材。とは言っても製図台とか、CAD用の撮影装置程度を入れていたが、奴の荷物が入った後、リビングに放り出されていた。
腹立ったから、今度寝ているときに全身3Dスキャンしてプリントアウトしてやろうかと思ったくらいだ。当然3Dで。
だがプリンターは、持っていないため、出力センターを利用することになる。なので、そんなものを出力をしていると、スタッフさんが引っくり返りそうなので撮っていない。
今なら別れる前に撮っても良いが、興味自体が一気に失せた。
まあそれで、連れてくる友人一同の中に、栄里が居た。
遊びに来て、俺も最初は部屋に籠もっていたが、元々自分のマンションだし、今もってあいつは金を出していない。
馬鹿らしくて、服装は気を付けるが、リビングでうろうろするようになった。
課題は手書きが必要だし、建築士の試験は手書きらしい。
規定時間内で図面を書く必要がある。
奴らは奴らで課題がある様だし、気にしちゃ居られない。
そして、同棲をしてから一年くらい。
付き合いだして一年半。
あいつがいないときに、彼女がやって来た。
「すみません。昨日ここで課題をして、忘れて帰ったみたいで」
たまたま、授業がなくて家にいたが、好美はいない。
そう言って、少しこちらを見上げるような感じで、こちらを見つめる彼女は、くりっとした目の好美とは違い、少し切れ長のクールな目をしていた。
ミディアムレイヤーでストレート。シャギーと内巻き。
なんだろう、少し年上の髪型。
秋らしい、ブラウン系の膝上フレアスカートに、うすピンクのサマーニット? シースルーだが、ボレロとも違う。中は、うすい色のブラウン系キャミソール。
夏物で、色だけ秋に合わせてみました、だろうか?
そして彼女は、玄関に上がると、奥へと行った。
第二話に続く。
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