79 / 200
再会は、衝撃と共に
第1話 記憶
しおりを挟む
俺が高校の時、クラスで一番の美女であり、才女であった彼女。
結城久美の秘密を知った。
だが、むろん。命を奪われることもなく、漫画のような関係が始まるわけででもなく。無事に高校を卒業。
彼女は大学へ進学。俺も、数段下だが、大学へ進学をした。
ギリギリでも、通れば良いのだよ。
そして、今……
林 俊紀二五歳。
俺は、確かに青信号で、横断歩道を渡り始めた。
普通に。
なのに、右横を見れば、なぜか中型トラックが、右折ラインを直進して、突っ込んでくる。
『ドン』
そんな音と共に、俺は数メーターだが、空を飛べた。
きっと次に目を開ければ、神様がいて、好きなスキルを選びなさいなんて、聞かれるんだ。
以外と冷静に、そんな事を考える。
背中を強打したところに、またタイヤが滑る、スキール音が聞こえる。
そして……
目を覚ますと、やはり白い天井と女神様。
「女神様。スキルは良いので、お友達になってください」
俺は、きっぱりとお願いをする。
「意識が戻ったばかりで、ねぼけているの? 昔からお友達でしょ。林くん」
「えっ」
そこには、ミディアムの髪で軽く内巻きの髪、それにあう、ナチュラル系だが、バッチリと化粧をした彼女がいた。
「えっ、結城? 俺を轢いたトラックの運ちゃんて……」
事実から推察し、ビシッと聞いたが違ったようだ。
「違うわよ。運転手さんは警察署。丁度、事情聴取で連れて行かれちゃった。私は飛んできた林くんを、轢く前にきちんと止まったわよ。危なかったけど」
「そりゃ、すまない。で、俺ってどんな状態?」
普通にしゃべってはいるが、声を出すと、痛かったり、痺れていたり、感覚がなかったり。
色々駄目なことは、理解できた。
そう聞くと、メモを出してきて、説明をしてくれる。
「右脛骨高原骨折、これは、脛の下側。横から押されたから、折れたみたい。右上腕骨と、肋骨数本。それに鎖骨を骨折。左は飛ばされたときに手をついたらしくて橈骨が、手首のちょっと上で骨折。他にもいくつか。とにかくしばらく、自分で何かをするのは無理ね」
そう言って彼女は、なぜか嬉しそうに笑う。
ふと、立ち上がると、俺の耳に顔を近づけて、そっと囁く。
「あの日から。いつ、あなたに言いふらされるかと、ドキドキしていたの。結果言いふらさなくて、ありがたかったけれど、少し残念。脅して、私を道具のように使うなんていうことも、できたのに」
そう言って顔を離すと、彼女はすごく悪い顔をする。
「此処で、出会ったのは、運命ね。じっくりと介護してあげる」
胸を張り、物理的に見下しながら、そう言ってくる。
ゾクッと来たが、それよりも、俺は知った。美人が悪い顔をして笑うと、怖い。
彼女、結城久美は子供の頃から、良い子で過ごしてきた。
小さな頃は、そうして褒められることに、承認欲求を満たして喜んでいた。
そして、少し成長をして、それが周りにとって当たり前となった頃から、心の中に不満を持ち始める。
今までと同じように振る舞っても、褒めてくれない。それどころか、少しのミスで叱られる。
「あなた、らしくもない……」
――らしくないって、なに?
心の中ではそう思っても、人間長年の習慣など、簡単に変えられないし、前述のように少しのミスでも、ため息を付かれる。
彼女から見て、同級生の無邪気な子供達。
自分なら、当然できることをして、なぜか褒められる。
そしてそれは、中学校でもっとひどくなる。
自由に、馬鹿な振る舞いができるクラスメート。
そこには、とても入れないし、性格的に入ることはできない。
「きゃああっ、カラオケ? おけおけ行こおうぅ」
「行こうぜ」
そう言って、男子に肩を抱かれ、手を引かれ、嬉しそうに教室を出て行く。
「ふん。馬鹿みたい」
そして二年生も半ばを過ぎ、夏休みを過ぎた頃から、女子の三分の一くらい、様子が変わり、同級生を見下すようになってくる。
その急激な変化に、私は困惑をする。
意を決して、クラスの女の子に聞く。
すると、驚きの答えが返ってくる。
「夏休みに、エッチでもしたんじゃ無いの? あの子達、軽いから」
久美は、驚愕をする。
授業とかで、仕組みは習い、自分の体も準備はできたようで、月のものは来ている。
でも。
そう、でも、まだ中学生、して良いわけは無い。
そう言えば、夏休み前に先生が言葉を濁した、まだ中学生だから、行動には気を付けろという言葉。
あれは、そう言う。
冬休み、そして春休み。
季節を過ぎるたび、そっち側へ歩みを進める女の子達。
むろん久美も、あの秋から興味を持ち、色々と調べた。
そして、ストレスの解消のために、それにはまる。
むろん一人で。
その事で、まじめ娘の仮面をかぶり、色々なところでする、妙な性癖を持ってしまう。誰かに見られれば、私は終わり。
そんなことを考えながら。
そして高校に入学をして、彼に出会う。
最初は、些細なこと。
彼が落とした本を拾った。
それだけなのに、和やかに「ありがとう」と、褒めてくれた。
数年ぶりの満足感。
お尻から背中にかけて、ゾクゾクと快感が駆け上った。
何これ、今までには無かった感覚。
久美は気がつかなかったが、自分の好みだっただけ。
ドラマの主人公だったり、歌手だったり、人には、趣味嗜好というものがある。
それに、俊紀がピタリとはまった。
近親者は、子供の頃に優しくしてくれたお兄さん。先生。何でも良い。
ある程度、遺伝により何かがあるのかも知れないが、育った環境で、好みはできあがるといわれている。
判っている遺伝的なモノは、匂いなど。
近親者や遺伝的に近い人間は、思春期になると、臭く感じて距離をとり、かわいそうなお父さんが量産される。
結城久美の秘密を知った。
だが、むろん。命を奪われることもなく、漫画のような関係が始まるわけででもなく。無事に高校を卒業。
彼女は大学へ進学。俺も、数段下だが、大学へ進学をした。
ギリギリでも、通れば良いのだよ。
そして、今……
林 俊紀二五歳。
俺は、確かに青信号で、横断歩道を渡り始めた。
普通に。
なのに、右横を見れば、なぜか中型トラックが、右折ラインを直進して、突っ込んでくる。
『ドン』
そんな音と共に、俺は数メーターだが、空を飛べた。
きっと次に目を開ければ、神様がいて、好きなスキルを選びなさいなんて、聞かれるんだ。
以外と冷静に、そんな事を考える。
背中を強打したところに、またタイヤが滑る、スキール音が聞こえる。
そして……
目を覚ますと、やはり白い天井と女神様。
「女神様。スキルは良いので、お友達になってください」
俺は、きっぱりとお願いをする。
「意識が戻ったばかりで、ねぼけているの? 昔からお友達でしょ。林くん」
「えっ」
そこには、ミディアムの髪で軽く内巻きの髪、それにあう、ナチュラル系だが、バッチリと化粧をした彼女がいた。
「えっ、結城? 俺を轢いたトラックの運ちゃんて……」
事実から推察し、ビシッと聞いたが違ったようだ。
「違うわよ。運転手さんは警察署。丁度、事情聴取で連れて行かれちゃった。私は飛んできた林くんを、轢く前にきちんと止まったわよ。危なかったけど」
「そりゃ、すまない。で、俺ってどんな状態?」
普通にしゃべってはいるが、声を出すと、痛かったり、痺れていたり、感覚がなかったり。
色々駄目なことは、理解できた。
そう聞くと、メモを出してきて、説明をしてくれる。
「右脛骨高原骨折、これは、脛の下側。横から押されたから、折れたみたい。右上腕骨と、肋骨数本。それに鎖骨を骨折。左は飛ばされたときに手をついたらしくて橈骨が、手首のちょっと上で骨折。他にもいくつか。とにかくしばらく、自分で何かをするのは無理ね」
そう言って彼女は、なぜか嬉しそうに笑う。
ふと、立ち上がると、俺の耳に顔を近づけて、そっと囁く。
「あの日から。いつ、あなたに言いふらされるかと、ドキドキしていたの。結果言いふらさなくて、ありがたかったけれど、少し残念。脅して、私を道具のように使うなんていうことも、できたのに」
そう言って顔を離すと、彼女はすごく悪い顔をする。
「此処で、出会ったのは、運命ね。じっくりと介護してあげる」
胸を張り、物理的に見下しながら、そう言ってくる。
ゾクッと来たが、それよりも、俺は知った。美人が悪い顔をして笑うと、怖い。
彼女、結城久美は子供の頃から、良い子で過ごしてきた。
小さな頃は、そうして褒められることに、承認欲求を満たして喜んでいた。
そして、少し成長をして、それが周りにとって当たり前となった頃から、心の中に不満を持ち始める。
今までと同じように振る舞っても、褒めてくれない。それどころか、少しのミスで叱られる。
「あなた、らしくもない……」
――らしくないって、なに?
心の中ではそう思っても、人間長年の習慣など、簡単に変えられないし、前述のように少しのミスでも、ため息を付かれる。
彼女から見て、同級生の無邪気な子供達。
自分なら、当然できることをして、なぜか褒められる。
そしてそれは、中学校でもっとひどくなる。
自由に、馬鹿な振る舞いができるクラスメート。
そこには、とても入れないし、性格的に入ることはできない。
「きゃああっ、カラオケ? おけおけ行こおうぅ」
「行こうぜ」
そう言って、男子に肩を抱かれ、手を引かれ、嬉しそうに教室を出て行く。
「ふん。馬鹿みたい」
そして二年生も半ばを過ぎ、夏休みを過ぎた頃から、女子の三分の一くらい、様子が変わり、同級生を見下すようになってくる。
その急激な変化に、私は困惑をする。
意を決して、クラスの女の子に聞く。
すると、驚きの答えが返ってくる。
「夏休みに、エッチでもしたんじゃ無いの? あの子達、軽いから」
久美は、驚愕をする。
授業とかで、仕組みは習い、自分の体も準備はできたようで、月のものは来ている。
でも。
そう、でも、まだ中学生、して良いわけは無い。
そう言えば、夏休み前に先生が言葉を濁した、まだ中学生だから、行動には気を付けろという言葉。
あれは、そう言う。
冬休み、そして春休み。
季節を過ぎるたび、そっち側へ歩みを進める女の子達。
むろん久美も、あの秋から興味を持ち、色々と調べた。
そして、ストレスの解消のために、それにはまる。
むろん一人で。
その事で、まじめ娘の仮面をかぶり、色々なところでする、妙な性癖を持ってしまう。誰かに見られれば、私は終わり。
そんなことを考えながら。
そして高校に入学をして、彼に出会う。
最初は、些細なこと。
彼が落とした本を拾った。
それだけなのに、和やかに「ありがとう」と、褒めてくれた。
数年ぶりの満足感。
お尻から背中にかけて、ゾクゾクと快感が駆け上った。
何これ、今までには無かった感覚。
久美は気がつかなかったが、自分の好みだっただけ。
ドラマの主人公だったり、歌手だったり、人には、趣味嗜好というものがある。
それに、俊紀がピタリとはまった。
近親者は、子供の頃に優しくしてくれたお兄さん。先生。何でも良い。
ある程度、遺伝により何かがあるのかも知れないが、育った環境で、好みはできあがるといわれている。
判っている遺伝的なモノは、匂いなど。
近親者や遺伝的に近い人間は、思春期になると、臭く感じて距離をとり、かわいそうなお父さんが量産される。
0
お気に入りに追加
5
あなたにおすすめの小説
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。


男性向け(女声)シチュエーションボイス台本
しましまのしっぽ
恋愛
男性向け(女声)シチュエーションボイス台本です。
関西弁彼女の台本を標準語に変えたものもあります。ご了承ください
ご自由にお使いください。
イラストはノーコピーライトガールさんからお借りしました
【ショートショート】おやすみ
樹(いつき)@作品使用時は作者名明記必須
恋愛
◆こちらは声劇用台本になりますが普通に読んで頂いても癒される作品になっています。
声劇用だと1分半ほど、黙読だと1分ほどで読みきれる作品です。
⚠動画・音声投稿サイトにご使用になる場合⚠
・使用許可は不要ですが、自作発言や転載はもちろん禁止です。著作権は放棄しておりません。必ず作者名の樹(いつき)を記載して下さい。(何度注意しても作者名の記載が無い場合には台本使用を禁止します)
・語尾変更や方言などの多少のアレンジはokですが、大幅なアレンジや台本の世界観をぶち壊すようなアレンジやエフェクトなどはご遠慮願います。
その他の詳細は【作品を使用する際の注意点】をご覧下さい。

今日の授業は保健体育
にのみや朱乃
恋愛
(性的描写あり)
僕は家庭教師として、高校三年生のユキの家に行った。
その日はちょうどユキ以外には誰もいなかった。
ユキは勉強したくない、科目を変えようと言う。ユキが提案した科目とは。


とある高校の淫らで背徳的な日常
神谷 愛
恋愛
とある高校に在籍する少女の話。
クラスメイトに手を出し、教師に手を出し、あちこちで好き放題している彼女の日常。
後輩も先輩も、教師も彼女の前では一匹の雌に過ぎなかった。
ノクターンとかにもある
お気に入りをしてくれると喜ぶ。
感想を貰ったら踊り狂って喜ぶ。
してくれたら次の投稿が早くなるかも、しれない。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる