泡沫の夢物語。-男と女の物語。短編集-

久遠 れんり

文字の大きさ
上 下
72 / 200
二つの家族

第2話 キャンプ場の魅力

しおりを挟む
「お疲れ、寝た?」
 あやのは、旦那である裕介に声をかける。
 
「寝たは良いが、女二人で、なに馬鹿話をしているんだ。おかげで杏たちに子守歌百回は歌ったぞ」
「あら、聞こえていたの?」
 そう言って、意地悪そうな顔をする。

「周りはこれだけ静かなんだ。テントは薄いしな。ねえ悠さん」
 悠はさっき言われた、あやのに自分の目線が気づかれていたことに、少してれていた。
 淳子が言ったように、ほぼ、二年以上レスだ。

 他人の奥さん。
 その尻が、気になる。

 特に、陽向と杏ちゃんが遊ぶため、淳子がいないときでも、家に来て目の前を動きまくる。
 あやのはあやので、その目線を意識してから嬉しくて、わざとアピールをしていた。求められるのは、彼女にとっては甘美なもの。

 悠は淳子に出会うまでに、幾人か付き合いがある。
 実を言うと、こんなにしていないのは高校以来。

 結婚をして、浮気をする踏ん切りは付かないが、結構厳しい。
 それに、淳子は奥手と言うだけあって、マグロに近く、色々言ってもそんな事と言って拒否をする。
 たまに、どうして結婚したんだろうと、思うこともある。

「まあ、お疲れ」
「そうね、リフレッシュするためのキャンプが、結構疲れるのね」
「この不便さを楽しむんだよ」
 そう、発案は裕介さん。

 独身時代は、色々なところを回っていたそうだ。
「大体、俺が来るっていったら、あやのが、杏達をデビューさせるって言ったんだろ」
「だって、一人だとナニをしているのか、わかんないしねぇ」
 あやのは、淳子に賛同を求める。

「ひどいな、それに付き合い始めたときに誘ったら、嫌と言ったのは君だろ」
「だって、キャンプに行ってナニするのって聞いたら、飲みながら、燃え続ける火を見て、ただ、己の人生を見つめるのさ。ふっ、とか言ってさ」
「ひどいな。ふっ、なんて言っていないだろ」
「言ったしぃ」
 そう言いながら、笑い合う。
 悠はその光景に、うらやましさを感じる。

 ちらっと、淳子をみるとやはり感じる物は同じのようだ。
 羨ましそうに、それを眺めている。

「本当に、仲が良い。羨ましい」
 つい、悠は口を突いて、そんな言葉を言ってしまう。

 だが、その言葉に、あやのが食いつく。
「当然。私たちは夫婦だもの。すべてさらけ出しているしぃ」
「おいっ」
 その言葉に、裕介さんが焦る。

 焦った理由は、淳子の拒否について聞いているから。
 それは、妻であるあやのも、当然知っている。

 ただレス。それだけではない。
 潔癖というわけでもないが、淳子は口を使う愛撫を否定する。
 
 ただ、それを受けることは、数度のためらいの後受け入れた。
 気持ちがいいのは、正義。
 悠は、それを知ってもらうために尽くした。
 そのため、一回の行為で数度の絶頂を得ていた。

 そのおかげか、陽向が生まれるという、結果だったのかも知れない。

 その辺、あやのは自由だった。
 自身が言ったように、妊娠初期の不安定な時は、もっぱらオーラル同士で責め合った。
 そう、旦那のあれを溜めないために。
 幾度かの恋愛で、その辺りを把握。
 すべてを管理する。

 そう、まさにすべてをさらけ出す二人。
 そのおかげか旦那も、喜ばす事に多少は興味を持ち、あやの反応を見て攻める喜びを得ていた。
 だが、たまたま、次の子供が出来なかった。
 あまりに、やり過ぎて薄くなり、効率が落ちたのかもしれないが。

「あーまあ。確かに夫婦のふれあいは重要だ。それだけではないだろうが、なければ簡単に他人に戻る。むろん子供が出来て、お父さんとお母さんという形で保てれば、それも有りだろうが、もっと先で良いだろう」

 出遅れた男達もバーナーの上に置かれたスキレットフライパンの上に、ベーコンやハム。ソーセージを並べる。
 軽く塩胡椒を振る。

 思いだして、ついでに、下ゆでをしたアスパラなども加える。

 焚き火台の上にも、薪を一本加える。

 それを見て、あやのは言う。
「薪の火っていいわね。言っていたことが理解できたわ」
「そうだろ。男のロマンだ」
「あたしは、女だっちゅーの」
「ああ、悪い。そうだな」
 そう言って笑いながら、焦げないように食材を転がす。

 それは満天の星空が、静かに瞬く。

「淳子さんて潔癖症?」
「おい」
「良いじゃない。淳子は気を悪くするかもしれないけれど、相談を家の旦那が受けるくらい、旦那さんは困っているのよ。知ってた?」
 そう聞かれて、困惑する淳子。

 思わず、旦那をみる。
 だがその旦那が、口を開く。
「ここまで、拒否をされるのは初めてなんだ。実はというか、お前と結婚する前に付き合った事があるのは、数人いる」

 驚愕の事実。
 いや経験があるのは知っていたが、数人? 自分が奥手だったせいか理解ができない。
「そうよね。旦那さんモテそうだもの。家の偏屈と違って」
「おい」
「そうでしょ。素人嫌いのヤリチンさん。数百人だっけ?」
「「数百?」」
 
 山崎家は、夫婦そろって驚く。
「いや、昔色々あって、普通の恋愛ができないが、その欲しいだろ」
 そう言われてみんな大人。理解できる。

「で、そんな時には、玄人さんのお店に行くんだよ。色々と楽だし。本番はたまにだけど、手や口ででも満足するし」
「そうそう、六十九って数字が好きなのよね」
 そう言ってケラケラ笑うあやの。

「あやの。お前飲み過ぎだ」
「良いじゃない、この雰囲気。飲まなきゃだわ」
 全員が空を見上げる。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

一夏の性体験

風のように
恋愛
性に興味を持ち始めた頃に訪れた憧れの年上の女性との一夜の経験

男性向け(女声)シチュエーションボイス台本

しましまのしっぽ
恋愛
男性向け(女声)シチュエーションボイス台本です。 関西弁彼女の台本を標準語に変えたものもあります。ご了承ください ご自由にお使いください。 イラストはノーコピーライトガールさんからお借りしました

【ショートショート】おやすみ

樹(いつき)@作品使用時は作者名明記必須
恋愛
◆こちらは声劇用台本になりますが普通に読んで頂いても癒される作品になっています。 声劇用だと1分半ほど、黙読だと1分ほどで読みきれる作品です。 ⚠動画・音声投稿サイトにご使用になる場合⚠ ・使用許可は不要ですが、自作発言や転載はもちろん禁止です。著作権は放棄しておりません。必ず作者名の樹(いつき)を記載して下さい。(何度注意しても作者名の記載が無い場合には台本使用を禁止します) ・語尾変更や方言などの多少のアレンジはokですが、大幅なアレンジや台本の世界観をぶち壊すようなアレンジやエフェクトなどはご遠慮願います。 その他の詳細は【作品を使用する際の注意点】をご覧下さい。

今日の授業は保健体育

にのみや朱乃
恋愛
(性的描写あり) 僕は家庭教師として、高校三年生のユキの家に行った。 その日はちょうどユキ以外には誰もいなかった。 ユキは勉強したくない、科目を変えようと言う。ユキが提案した科目とは。

職場のパートのおばさん

Rollman
恋愛
職場のパートのおばさんと…

とある高校の淫らで背徳的な日常

神谷 愛
恋愛
とある高校に在籍する少女の話。 クラスメイトに手を出し、教師に手を出し、あちこちで好き放題している彼女の日常。 後輩も先輩も、教師も彼女の前では一匹の雌に過ぎなかった。 ノクターンとかにもある お気に入りをしてくれると喜ぶ。 感想を貰ったら踊り狂って喜ぶ。 してくれたら次の投稿が早くなるかも、しれない。

処理中です...