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導かれし者たち
第4話 空白を、すべて埋めていく。
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「やっぱり少し、唇がくっつくぅ」
結局飲み出して、調子が上がっていく。
「煮込まれて、ドロドロだ、締めに雑炊になるか聞いてみるか?」
「うん。これすごいよ」
手を持ってがおーっと言う感じでこちらに向ける。
「手が、ドロドロになるからやめろ」
「はーい」
「さてと、もう良いだろう?」
「えっ、なにが?」
「大学に入ってからの、音信不通についてだ」
思い出したのか、いきなり気をつけになる。
「あれはスマホが壊れて、バックアップがなくて連絡が取れなくなって」
「あっ。なんだそりゃ?」
「ほら敗因は、携帯番号を聞いていなかったからだと思うの」
「まあ、そうだな。じゃあ振った気はないと」
そう聞くと、うんうんと頷く。
「そりゃそうよ。好きだもの。まだ誰ともしてないもの」
「そうなのか」
「うん。誰かと付き合おうとは思ったんだけどね。お試しで何か違うって思うの」
「ああ、あるな。なんか違う感」
そう言うと、ちょっとうれしそうに目を細めてくる。
「へっ。拓也くんもそうなの?」
「ああ」
「じゃあ、私のことが好きなんだぁ」
「そうだな」
そう答えたら、口から日本酒をだばあしやがった。
さっき、スッポンの生き血を飲んで、口直しに、日本酒になった。
「うそ?」
そう言って、大きな目で見つめてくる。
「うそを言って、どうする」
「じゃあ本当に?」
「ああ」
俺がそう答えると、いきなり、前のめりになって、こっちへ詰め寄る。
胸がテーブルに触れそうだ。
「ほら、日本酒で服が濡れる」
「あっ、ごめんなさい。じゃあ連絡が取れなくなる前に結婚しよ」
いきなり答えがぶっ飛んできた。
このときは自分でもよくわからないが、せっかく捕まえた手。
ここで離してははならないと思って、思考が暴走したようだ。
「いきなりか? 俺としては記憶と齟齬がないかを確認したい。それに付き合うならあの神社にお礼に行きたい。――わかったか、みく」
「うん。えええっ。――なんでぇ」
「俺は、たくあんだが、どうした?」
そう聞いて、考えたらしい。
「拓也でたくあん? 安易ぃ」
「人のことをいえるか?」
「良いの。ミクちゃん好きだから」
スッポンの効果もあってか、その晩は語りながら、足りなかった時間とピースを埋めていった。
目の前でリズミカルにはねる、彼女の首には、しっかりとペンダントが揺れていた。
翌朝は、何かつかえていたものがとれたかのように、初音はつやつやになっていた。まあ、押し破ったのは確かだが。
あの後、暴露し、奇跡の再会とルームでは話題になったようだ。
そして三ヶ月後。
俺はいきなり朝礼を開き、宣言をする。
「えー本社から、監査に来ていた三浦と申します。この三ヶ月間ご指導いただきまして、ありがとうございました。かなり規定から外れた無謀な指導で、戸惑いましたが、おかげで早く悪いところがわかりました。管理職の部課長級を含め、細かに改善命令が来ています。確かに、旧来の仲で付き合いによる利点も見受けられますが、それが、利益を圧迫しては本末転倒です。そのあたりも、詳しく命令書を熟読そして理解をお願いいたします。私は今回報告だけですが、上の方から後日。理事として、別の方がお見えになる予定となっております。以上よろしくお願いいたします。話は以上です」
当然ざわざわと、声が広がっていく。
「君、今のこと、ほんとうかね」
課長が青い顔で聞いてくる。
「今日の朝礼は、専務名義で開かれているはずです。それが答えです」
ビシッと言って、席を離れる。
「これで、やっと帰れる」
そうこの会社、家からだと結構距離がある。
家に帰ると遠いため、マンスリーのアパート暮らしだった。
実際にすんでいたマンションを、一時的に解約するのも馬鹿らしいし、引っ越しも考えたが、荷物がすでに1DKには収まらない。
そのため、お財布に優しくない2軒住まい。
そそくさと荷物をまとめ、安物家具は売り払った。
二日後、電話がかかる。
「拓ちゃん、どこにいるのぉ。会社からは名前がなくなっているし、アパートにもいないし」
半泣きで電話が入る。俺は内容を聞きながら、ため息をつく。
「この前話をしただろ。三か月で本社へ戻ると、そこのアパートは、そこの会社に通っているときの限定だと」
そう言うと、無言になる。
「あれ? 聞いた気がする」
「そうだよな。言ったから」
そう初音は、高校の時より頭が緩くなっていた。
実際はこのとき限定だったが、幸せがオーバーフローしていて、頭の中で花が咲いていたそうだ。
結局戻ったが、新たに中間地点あたりで、二人で暮らすマンションを、探すことにした。
----------------------------------------------------------------------------
やばい、話の展開上エロが突っ込めなかった。
そういうことで、ほのぼの恋愛話でした。
結局飲み出して、調子が上がっていく。
「煮込まれて、ドロドロだ、締めに雑炊になるか聞いてみるか?」
「うん。これすごいよ」
手を持ってがおーっと言う感じでこちらに向ける。
「手が、ドロドロになるからやめろ」
「はーい」
「さてと、もう良いだろう?」
「えっ、なにが?」
「大学に入ってからの、音信不通についてだ」
思い出したのか、いきなり気をつけになる。
「あれはスマホが壊れて、バックアップがなくて連絡が取れなくなって」
「あっ。なんだそりゃ?」
「ほら敗因は、携帯番号を聞いていなかったからだと思うの」
「まあ、そうだな。じゃあ振った気はないと」
そう聞くと、うんうんと頷く。
「そりゃそうよ。好きだもの。まだ誰ともしてないもの」
「そうなのか」
「うん。誰かと付き合おうとは思ったんだけどね。お試しで何か違うって思うの」
「ああ、あるな。なんか違う感」
そう言うと、ちょっとうれしそうに目を細めてくる。
「へっ。拓也くんもそうなの?」
「ああ」
「じゃあ、私のことが好きなんだぁ」
「そうだな」
そう答えたら、口から日本酒をだばあしやがった。
さっき、スッポンの生き血を飲んで、口直しに、日本酒になった。
「うそ?」
そう言って、大きな目で見つめてくる。
「うそを言って、どうする」
「じゃあ本当に?」
「ああ」
俺がそう答えると、いきなり、前のめりになって、こっちへ詰め寄る。
胸がテーブルに触れそうだ。
「ほら、日本酒で服が濡れる」
「あっ、ごめんなさい。じゃあ連絡が取れなくなる前に結婚しよ」
いきなり答えがぶっ飛んできた。
このときは自分でもよくわからないが、せっかく捕まえた手。
ここで離してははならないと思って、思考が暴走したようだ。
「いきなりか? 俺としては記憶と齟齬がないかを確認したい。それに付き合うならあの神社にお礼に行きたい。――わかったか、みく」
「うん。えええっ。――なんでぇ」
「俺は、たくあんだが、どうした?」
そう聞いて、考えたらしい。
「拓也でたくあん? 安易ぃ」
「人のことをいえるか?」
「良いの。ミクちゃん好きだから」
スッポンの効果もあってか、その晩は語りながら、足りなかった時間とピースを埋めていった。
目の前でリズミカルにはねる、彼女の首には、しっかりとペンダントが揺れていた。
翌朝は、何かつかえていたものがとれたかのように、初音はつやつやになっていた。まあ、押し破ったのは確かだが。
あの後、暴露し、奇跡の再会とルームでは話題になったようだ。
そして三ヶ月後。
俺はいきなり朝礼を開き、宣言をする。
「えー本社から、監査に来ていた三浦と申します。この三ヶ月間ご指導いただきまして、ありがとうございました。かなり規定から外れた無謀な指導で、戸惑いましたが、おかげで早く悪いところがわかりました。管理職の部課長級を含め、細かに改善命令が来ています。確かに、旧来の仲で付き合いによる利点も見受けられますが、それが、利益を圧迫しては本末転倒です。そのあたりも、詳しく命令書を熟読そして理解をお願いいたします。私は今回報告だけですが、上の方から後日。理事として、別の方がお見えになる予定となっております。以上よろしくお願いいたします。話は以上です」
当然ざわざわと、声が広がっていく。
「君、今のこと、ほんとうかね」
課長が青い顔で聞いてくる。
「今日の朝礼は、専務名義で開かれているはずです。それが答えです」
ビシッと言って、席を離れる。
「これで、やっと帰れる」
そうこの会社、家からだと結構距離がある。
家に帰ると遠いため、マンスリーのアパート暮らしだった。
実際にすんでいたマンションを、一時的に解約するのも馬鹿らしいし、引っ越しも考えたが、荷物がすでに1DKには収まらない。
そのため、お財布に優しくない2軒住まい。
そそくさと荷物をまとめ、安物家具は売り払った。
二日後、電話がかかる。
「拓ちゃん、どこにいるのぉ。会社からは名前がなくなっているし、アパートにもいないし」
半泣きで電話が入る。俺は内容を聞きながら、ため息をつく。
「この前話をしただろ。三か月で本社へ戻ると、そこのアパートは、そこの会社に通っているときの限定だと」
そう言うと、無言になる。
「あれ? 聞いた気がする」
「そうだよな。言ったから」
そう初音は、高校の時より頭が緩くなっていた。
実際はこのとき限定だったが、幸せがオーバーフローしていて、頭の中で花が咲いていたそうだ。
結局戻ったが、新たに中間地点あたりで、二人で暮らすマンションを、探すことにした。
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やばい、話の展開上エロが突っ込めなかった。
そういうことで、ほのぼの恋愛話でした。
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