泡沫の夢物語。-男と女の物語。短編集-

久遠 れんり

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ちょっとしたミスと、結果良ければ?

第3話 じゃあ、絞めようか

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「じゃあ、私結婚をしていないの?」
 そうだね。
 そう言いながら、彼女にビデオを見せる。

 表情が、コロコロ変わる。

「今お金を取っている、その最中が、この凪咲って言う人で、その後が美和って言う人で下準備」
「じゃあ、あたしは何? もう一年近いんだけど?」
「長いな、でも結婚はしていない」
「婚姻届は、半年前。一緒に出しにいって、あっそうだ、何か不備があって、後で修正して一緒に行くはずだったのに、出してきたって言って、喧嘩をしたの」
 思い出したのか、眉間に皺が寄る。

「何だろうなぁ。DVってどんな感じ?」
「お前は使えないとか、失敗したらなんか革の棒で叩かれて、そんなに痛くはないんですけれど、音がすごいの。縛られて強引にその、突っ込まれたり。おもちゃを入れて、外を連れ回されたり。あれはでも、すごく恥ずかしかったけれど、なんとなく良かった。けれど、やっぱり外だと落ち着かないし」

 彼女は真面目に、指折り数える。

「それに、人の前でするとかって。見せてやれば良いって。結局したんですけど、途中からその人も混ざっていて、気持ちよかったです。確かビデオもあって」

「情弱の変態候補。あんたはあいつが調教中の雌犬だ」
 ついオブラートにも包まず、言ってしまった。

「えっ。それって体が目当てとか? そんな感じですか?」

 だまって、WEBを検索する。
 
 その後聞くと、親が厳しいというか、母親が何かがあったのか、男を嫌っている家庭で、全くの情報遮断。
 こいつ自身は、真面目ちゃんで、何も思わず従い、やつにめをつけられた。

 そして素養があったのか、奴の征服欲を刺激して、奴は行動に出る。そして今に至る。

 少し強めに言うと、試す程度の興味はあり、嫌いでもない。
 そして素直。教育のたまものか料理上手。

 奴の気持ちも、多少は分かるが、スワッピングは駄目だな。

 さて、仕事を休み。
 彼女と一緒に、凪咲家を尋ねる。

 事情を話し、間女の旦那だと勘違いされ、殴られそうになりながらも、話をして、例の謄本を取る。
 彼女も、全く同じペテンで、結婚届提出詐欺をされた様だ。

 彼女は、口淫が得意だそうだ。三分あれば抜けるとのこと。

 昔色々あって、落ち着こうと思い、騙された。
 ただいま、お店で勤めていた頃の貯金を、五百万ほど持って行かれている。

 さて、仲西 美和さんを探す。

 あの喫茶店を、中心に探すと、比較的簡単に見つかった。
 大きめの、日本家屋。
 表札が出ていた。
 二人に、チャイムを押して貰い美和さんを呼ぶと、今は一人暮らしをしているらしく、そのマンションを教えて貰う。

 菓子折を下げて話をしに行くと、会ってくれて、違和感は持っていた様だ。
 だけどお嬢さん。
 初めてだったので、信じたかった様だ。
 まだ、なれていないほどの回数。

 久美子と同じで、こんなのは常識。
 お互いに、努力が必要とか何とか、技を教えてたそうだ。

 基本体と金が目当て。
 彼女とも、結婚の約束をしていた様で、さめざめと泣き出す。

 すると、みんながつられて泣き始め、濡れ濡れにされてしまった。

 落ち着いたところで、出会いからの話をまとめて貰い、警察へ行こうと決める。
 何故か、三人とも。
 詳細な夜のお話を書こうとするので、添削をする。

 だが、自分の得意技を書いて、名前と歳、スリーサイズまで。
 それを俺に渡してくる。

 最初であったとき、ものすごく怪訝そうだったのに、久美子が俺との出会いからの話をして行く内に、俺はすごい人に祭り上げられた。

 何でも知っている頼りになる人。
 エッチもすごい。
 あいつみたいに早くない。

 そう言われたが、覚えていない。

 まあいい。連絡先は、必要だから聞いたし、翌日、もう一日休み、流石に上司から嫌みを言われる。
「ここで休まないと、年休五日間が未達になります。罰金三十万円ですよね」
「ぐっ。きちんとフォローはしろよ」
 そんな感じで、快諾して貰う。

 二〇一九年四月の働き方改革関連法の施行により、従業員に年五日間の有給休暇を取得させることが義務化された。 違反した場合は、一人あたり三〇万円以下の罰金が科される。

 ありがたい話しだ。調整が大変だけどな。
 だけど内緒の話だが、実際は、休みの奴が会社に寄らず、何故か大学にいることがあるんだよね。
「懇意の先生とのデートだろ。あまりおおっぴらにはするなよ」と、言われている。
「けっ。そんなもんさ」

 最寄りの警察。
 最初は、うだうだ言われて、民事がどうこう言っていたが、ビデオを見せると、顔色が変わる。

 少し有名人だった様だ。

 正式に受理して、民事の方もこそっと紹介をしてもらう。
 いや俺が法医学の先生と知り合いで、ぽろっと名前を出したら、態度が変わった。

「この前は、彼女、木原 久美子さんの家にいました」
 そう報告をすると、凪咲が。
「現場が落ち着くと、家に来るとも言っていました」
 張り合った様に、そう言う。
「じゃあ家も」
 当然、美和もそう言う。

 そうして、彼女達は、「家にいると怖いの。だから泊めて」そう言って荷物を持って家に来た。

 家主は良いと言っていないのに、久美子が仕切り、話が水面下で決まっている様だ。

 夜寝るのが、ものすごく怖い。
 とてつもなく贅沢な悩みの様だが、実際、断るのも怖い。

 俺は少し離れて、彼女達の酒盛りを眺める。
 飲んでいるストロング缶は、いつもと違い、酔えない。少し薄い様だ。


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 さて飲み屋から始まった出会い。
 人それぞれ、色々とあります。
 別な意味での、地雷もありますので、飲み過ぎには気を付けましょう。

 経験上、寂れた店で、カウンターの中からママさんに、ちょっと相談に乗ってと言われたときには逃げましょう。
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