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ちょっとしたミスと、結果良ければ?
第1話 見慣れない…… あれ?
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朝の光が、俺の顔に当たる。
昨夜カーテンを閉めるのを忘れて寝た様だ。
サイドテーブルからスマホを取り上げる。
だが、違和感。
背中に、感じる体温と柔らかな感触。
そっと振り返る。
「男じゃありません様に」
最近見た目だと判らなくて困る。
飲みに行った。
それは覚えている。
だが、帰ってきた記憶がないが、ここは俺の部屋。
「でだ、これは誰だったか?」
失礼だが、俺より少し上かな?
化粧を落としている彼女の肌は、少しくたびれている。
俺は二十八歳。
浅井 俊身長百七十二センチで、体重がやはり七十二キロある。
腹回りが、大分ポニョっている。
「スポーツをしていた昔は、体も締まっていたんですがね。はっはっは」
それが営業先での会話。
医療機器メーカーの営業。
薬品のプロパーさんよりは辛くない。
はず。
あの人達、朝の七時から弁当を持って、医局の前で立っているんだぜ。
当然夕方も、夜勤の先生目当てに。
その中で、一人付き合った子もいたが、辛いの言葉がずっと聞こえて別れた。
知っている人は、医学部に入り直し向こう側へ行ったが、やはり研修医は辛い死にそうとぼやいていた。
それでだ、目下同じ布団で安らかな寝息を立てるこの娘。
それが問題。
見れば部屋の入り口から、点々と服や下着が落ちている。
「やっちまったなぁ」
静かに抜け出し、服などをまとめ。
軽く畳んで、ベッドに置く。
ブラは、結構なサイズだ。
そっとかぶり、猫耳とかしてみる。
「ばからしい」
リビングには、飲みかけの缶チューハイ。
それもストロング。
彼女の、バッグを見つける。
軽くお詫びをして、見てみる。
「あれ、年下だ」
彼女は、二十六歳だった。
木原 久美子。
「ありそうな名前だな」
少し失礼なことを良いながら、テーブルの上を片付けて、朝食の準備をする。
とは言っても、男の手抜き料理。
キャベツをスライサーでおろし、千切りを作る。
少し、牛乳を入れたスクランブルエッグを作り、そのままベーコンとソーセージを炒める。
タマネギを細めにくし切りにして、乾燥わかめを入れたコンソメスープを作る。
トーストと思ったが、また、卵に砂糖と牛乳を入れフレンチトーストを作る。
今日は日曜だし良いだろう。
時計はすでに、十時。
コーヒーを入れ、行儀は悪いが、スマホでニュースをざっと見ていく。
もう少しで、食べ終わる頃、物音がする。
ベッドから落ちる様な音も。
そのまま少し乱暴に、寝室のドアがひらかられ、まだ下着も付けていない彼女が姿を現す。
身長は、百六十センチはないだろうが、ミドルの黒髪と、主張をする胸。
そして、疲れた顔。
それがものすごく焦っている。
「ここ。ごめんなさい」
「おはようございます。服はベッドの上にまとめておいたはず」
「はっ? きゃあぁ」
あわてて、部屋へ戻っていく。
「薄めで、好みだな」
下種な意見をつい、口にしてしまう。
「ありがとうございます」
今はおとなしく飯を食べている。
「適当だから、口に合うか判らないけれど」
「普段和食なので、美味しいです」
「そう」
「あの、玲二さんでしたっけ?」
「その名前は嘘だ。源氏名というわけでもないが、飲み屋で本名を言うと面倒ごとが起こるときがあるので」
そう言うと、何か彼女の琴線に触れたのか、驚いた表情を見せる。
「浅井 俊だ。浅井家と関わりはない。はっきり言って記憶がない。悪いが自己紹介と話をしよう」
当然、むっとした顔をされるが、ぼろが出てこじれるよりましだ。
「えーと、木原 久美子です」
おお本名だな。
「昨日言ったのですが、結婚をしていて、そのDVがひどくて、逃げている最中でして」
それを聞いて、少し絶望する。
見事に、不貞。
慰謝料の文字が頭をよぎる。
「とーいうことは、まだ離婚していない?」
「はあまあ。今逃げながら、友達の家を渡り歩いている状態で」
「弁護士さんは、なんて?」
「えっ?」
「弁護士さん」
きょとんとした顔。
情弱。
情報弱者だ。
「今まで相談は? それと、DVなら当然暴力が振るわれるという事だから、病院の診断書は?」
そう言うと、何言ってんだという顔で困った顔をする。
「病院は、かかっていますから、診断書はもらえます。多分」
頭の中で、地雷という文字が踊り出す。
今、彼女は派遣で、事情を話し仕事を止めているそうだ。
翌日、営業の途中で覚えていた住所へ、様子を見に行く。
彼女の夫は、IT系の社長さんで、仕事の時間は決まっていないそうだ。
「うーん。ベルを押す勇気はないな」
だが、室内に誰かはいる。
仕方が無いので、車に戻り営業の連絡をしつつ待つ。
小一時間して、昼前。
目的の部屋から、誰か出てきた。
社長にしては、普通のジャケット。
そして意外と若い。
まあ二十八歳と言っていたから、同じ歳。
車は、そのままパーキングに放置をして追いかける。
社用の携帯さえオンにして、連絡が取れれば問題ない。
すると奴は、喫茶店へと入る。
昼だし、適当に注文をして待つ。
純喫茶じゃなくて、良かった。
すると、若そうな女が一人。
「あなた、お待たせ」
などと言って、やってきた。
「あなただと?」
昨夜カーテンを閉めるのを忘れて寝た様だ。
サイドテーブルからスマホを取り上げる。
だが、違和感。
背中に、感じる体温と柔らかな感触。
そっと振り返る。
「男じゃありません様に」
最近見た目だと判らなくて困る。
飲みに行った。
それは覚えている。
だが、帰ってきた記憶がないが、ここは俺の部屋。
「でだ、これは誰だったか?」
失礼だが、俺より少し上かな?
化粧を落としている彼女の肌は、少しくたびれている。
俺は二十八歳。
浅井 俊身長百七十二センチで、体重がやはり七十二キロある。
腹回りが、大分ポニョっている。
「スポーツをしていた昔は、体も締まっていたんですがね。はっはっは」
それが営業先での会話。
医療機器メーカーの営業。
薬品のプロパーさんよりは辛くない。
はず。
あの人達、朝の七時から弁当を持って、医局の前で立っているんだぜ。
当然夕方も、夜勤の先生目当てに。
その中で、一人付き合った子もいたが、辛いの言葉がずっと聞こえて別れた。
知っている人は、医学部に入り直し向こう側へ行ったが、やはり研修医は辛い死にそうとぼやいていた。
それでだ、目下同じ布団で安らかな寝息を立てるこの娘。
それが問題。
見れば部屋の入り口から、点々と服や下着が落ちている。
「やっちまったなぁ」
静かに抜け出し、服などをまとめ。
軽く畳んで、ベッドに置く。
ブラは、結構なサイズだ。
そっとかぶり、猫耳とかしてみる。
「ばからしい」
リビングには、飲みかけの缶チューハイ。
それもストロング。
彼女の、バッグを見つける。
軽くお詫びをして、見てみる。
「あれ、年下だ」
彼女は、二十六歳だった。
木原 久美子。
「ありそうな名前だな」
少し失礼なことを良いながら、テーブルの上を片付けて、朝食の準備をする。
とは言っても、男の手抜き料理。
キャベツをスライサーでおろし、千切りを作る。
少し、牛乳を入れたスクランブルエッグを作り、そのままベーコンとソーセージを炒める。
タマネギを細めにくし切りにして、乾燥わかめを入れたコンソメスープを作る。
トーストと思ったが、また、卵に砂糖と牛乳を入れフレンチトーストを作る。
今日は日曜だし良いだろう。
時計はすでに、十時。
コーヒーを入れ、行儀は悪いが、スマホでニュースをざっと見ていく。
もう少しで、食べ終わる頃、物音がする。
ベッドから落ちる様な音も。
そのまま少し乱暴に、寝室のドアがひらかられ、まだ下着も付けていない彼女が姿を現す。
身長は、百六十センチはないだろうが、ミドルの黒髪と、主張をする胸。
そして、疲れた顔。
それがものすごく焦っている。
「ここ。ごめんなさい」
「おはようございます。服はベッドの上にまとめておいたはず」
「はっ? きゃあぁ」
あわてて、部屋へ戻っていく。
「薄めで、好みだな」
下種な意見をつい、口にしてしまう。
「ありがとうございます」
今はおとなしく飯を食べている。
「適当だから、口に合うか判らないけれど」
「普段和食なので、美味しいです」
「そう」
「あの、玲二さんでしたっけ?」
「その名前は嘘だ。源氏名というわけでもないが、飲み屋で本名を言うと面倒ごとが起こるときがあるので」
そう言うと、何か彼女の琴線に触れたのか、驚いた表情を見せる。
「浅井 俊だ。浅井家と関わりはない。はっきり言って記憶がない。悪いが自己紹介と話をしよう」
当然、むっとした顔をされるが、ぼろが出てこじれるよりましだ。
「えーと、木原 久美子です」
おお本名だな。
「昨日言ったのですが、結婚をしていて、そのDVがひどくて、逃げている最中でして」
それを聞いて、少し絶望する。
見事に、不貞。
慰謝料の文字が頭をよぎる。
「とーいうことは、まだ離婚していない?」
「はあまあ。今逃げながら、友達の家を渡り歩いている状態で」
「弁護士さんは、なんて?」
「えっ?」
「弁護士さん」
きょとんとした顔。
情弱。
情報弱者だ。
「今まで相談は? それと、DVなら当然暴力が振るわれるという事だから、病院の診断書は?」
そう言うと、何言ってんだという顔で困った顔をする。
「病院は、かかっていますから、診断書はもらえます。多分」
頭の中で、地雷という文字が踊り出す。
今、彼女は派遣で、事情を話し仕事を止めているそうだ。
翌日、営業の途中で覚えていた住所へ、様子を見に行く。
彼女の夫は、IT系の社長さんで、仕事の時間は決まっていないそうだ。
「うーん。ベルを押す勇気はないな」
だが、室内に誰かはいる。
仕方が無いので、車に戻り営業の連絡をしつつ待つ。
小一時間して、昼前。
目的の部屋から、誰か出てきた。
社長にしては、普通のジャケット。
そして意外と若い。
まあ二十八歳と言っていたから、同じ歳。
車は、そのままパーキングに放置をして追いかける。
社用の携帯さえオンにして、連絡が取れれば問題ない。
すると奴は、喫茶店へと入る。
昼だし、適当に注文をして待つ。
純喫茶じゃなくて、良かった。
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