泡沫の夢物語。-男と女の物語。短編集-

久遠 れんり

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冷子の秘密と楽しみ

第三話 屑VSシリアルキラー その二

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 朝帰ってくると、新聞配達員が見つけたらしく、警察がやって来ていた。

 流石に、家の前に張られた規制線から入れず。うろうろしている。
「ここの、子供は何処だ?」
 警官がそう言った所で、答えていた男が冷子を見つける。

 警官に連れて行かれて、話を聞かれる。
 事情聴取の通り、家へ男が来たときには家からいつも追い出されていた証言が集まり、さらに夕方から夜中に冷子を見かけた証言は、山ほど集まる。

 警察でそのまま一時保護。親族を探したが、簡単には見つからない。
 速やかに児童相談所へ移送された。
 一時保護のあと、今度は児童福祉施設へ送られる。

 だが、そこでの暮らしは意外と不自由であり、山へと遊びに出かける。

 そんな時、ふらっとこの町を訪れ、ケンジは車を流していた。
「ちっ、田舎じゃもうすでに人が居ねえ。一人暮らしが分かっていれば、部屋に押し込み、朝まで楽しむんだがなぁ」

 初めての事件以来、最初は訳あり女を捜して手を出していたが、そんなに簡単には見つからない。

 徐々に、騒がないであろう目標を探すようになる。
 パパ活などの立ちんぼ。
 どう見てもプロは、バックがやばい。
 だから普通の若い子。

 だが、情報は広がり警戒される。

 そのための遠出。
 
 諦め掛けたとき、軽快な足取りで山へと入って行く冷子を見かける。

「おいおい。若そうだが、こんな時間に山なんか駄目だよ。おじさんが教えてやらないとな」
 ふと、普通の子だよなと良心がザワつくが、止まることはなかった。

 車を、目立たないところに駐めて、山へと入る。

 ガキだが、こんな時間に逢い引きかと、下世話な想像をする。
 していたら、混ぜて貰おう。

 やがて、一軒の道具小屋を見つける。
 いや、実際は分からない。そうだろうと思える小屋。

 中では火が焚かれ、明かりがこぼれている。

 覗き込むが、人気は無い。

「おかしいな?」
 ぼそっとつぶやく。

 場所を変え、覗き込む。
 ああ居た。

 むろん、冷子は気がついていた。

 下から上がってくる足音。
 隠れて、小屋の隅で気配を隠すが、火は消す間がなかった。

 おかしいなという声で、目的は自分だと理解する。
 警察か施設の人なら面倒。
 人を殺すと捕まるくらいは知っている。
 今回はあっという間に殺して、反応を見れなかった。
 ものすごく残念だった。

 猪を引き上げるために用意してある滑車。
 輪も作ってある。

 ひもの端を持ちながら、そっとドアを開ける。

 するといきなり男が、冷子を押し倒す。
「おじょうちゃん。こんな時間にこんな小屋で何をしているんだ?」
 そういいながら、ケンジの手は冷子の体をまさぐる。
「やめて」
 だが、当然手は止まらない。

「うあっ、うんっ。おじさん誰?」
「ああ? お嬢ちゃんを見かけて、心配してきたんだよ」
「ふっあっ、警察の人?」
「違う違う。こんな夜中にうろうろしていたらどうなるか教えてあげるが、警察には言っちゃ駄目だよ。これは教育だ」
「じっ、じゃあ悪い人だ。んんっ」
「あーそうかもな。おじょう…… がっ……ぐっ」

 そう言いかけたときには、首にロープが掛けられ一〇センチくらいだが引き上げられる。

 冷子に襲いかかるようにのし掛かっていた、一〇センチでも意外と苦しい。
 四つん這いになることで、苦しさから脱出をする。

 だが、目の端で冷子が縄の端を持って走る。
「ばっ、やめっ」
 きゅっと締まることで、頸動脈が閉められ、意識が落ちる。

 次に目が覚めると、板に張り付け状態だった。
 手首に掛けられたロープは板の下を通り反対の手へ結ばれている。脚も同じで真っ裸で大の字。

「んんっ」

 さっきの女の子は、何故か服を着ていない。
「んんっ」

 冷子は、血が飛ぶと汚れるから脱いだだけ。
 別にサービスではない。

 だがその反応に、興味を示す。

「へー。翔太よりもおっきい。こんなの入らないね」

 そう実は、小学校の六年生頃だろうか、翔太に一度会った。

 その時、本を貰ったお礼もかねて、興味のあったエッチをしてみた。

 母親や、相手の男が喜んでいる行為。
 学校の授業で、その意味を知ったし、自分の体が使えるようになった事も分かっていた。
 だから、お礼に。
 翔太はよく分からなかったようだが、喜んでくれた。
 その後会うことはなかったが、別に殺したわけではない。
 親にばれただけ。

 そう一応経験はある。
 だが、目の前のモノで、しようとは思わなかった。

 これは、興味のある実験。

 末端から分解をしていく。

 でも、大きな血管は切らないように注意。
 手際よく、夜が明けるまでには分解し、部位事に分けた。

 随分長いこと、ケンジは生きていた。
 だがストレスが頂点まで行ったのか、彼は心臓を止めてしまった。
 人間には、生物的な安全装置があるらしい。

「あれ、おかしいな?」
 冷子は首をひねりながらも、作業は止めず分解をしていった。

 満足した冷子は、すべてを埋める。
 石けんで体を洗い、服を着る。

 みんなが起きるまでに、戻らなくてはいけない。

 夜明け前、紫色の光の中を、元気よく下っていく。


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ホラー作品を書こうと思い、作った話です。
何処が恋愛だと突っ込まれそうですが、翔太君との淡い恋で許してください。

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