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ある恋愛の話
第2話 彼女の顛末と、俺は
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出てきた彼女は、恐縮していた。
ダボダボのスエットを、少し引きずりながら出てきた。
俺は一七五センチほどある。
彼女は、一六〇センチはないだろう。
「はいこれ」
悩んだ末に、ココアと、コーンスープが鎮座する。
そして、レンチンのうどんとラーメン。
その他にも、おにぎりとか、簡単につまめるような物がならぶ。
「えっと。ありがとうございます」
ぽすっと椅子に座り、コーンスープを彼女は手に取る。
すすりながら、少し落ち着いたようで、顔色も良くなっていた。
「これ、コンビニのだけど、おにぎりとか、ああ、良ければうどんとかもあるので」
「はい。ありがとうございます」
「レンジは、あそこね。ちょっと風呂へ入ってくる。今日一日ちょっと疲れていてさ。ははっ。自由にしていいから」
そう言って、風呂場へ逃げた。
そう。彼女は、好みのど真ん中。
免疫の無い俺は、心臓が一六ビートで唸り。彼女の姿を見て、頭の中でToshlさんが歌うForever Loveが鳴り響いていた。
つい抱きしめたくなる。その衝動を抑えるための風呂だ。
だが何故か、いつもの風呂なのに匂いが違う。
「なぜだぁ」
俺は頭を抱える。
見ると、少し綺麗に掃除されていた。
「お礼を言わなければ」
そう思いながら、こそっと気を静める儀式を行う。
仕方ないじゃないか。
この数年、彼女もいなかったんだ。
彼女は、スープを飲み、おにぎりを三個ほど食べ、うどんを食べたところで落ち着いたようで、ぽつりぽつりと話を始めた。
「今日は、彼と出会って、五年目の記念日だったんです」
まあ彼氏持ちだよなと、予測はしていた。
気になっていた事を、問いかける。
「こんな時間に。約束は何時だったんだ?」
「一時」
驚きはしたが、何か都合でもあり、こんな時間に待ち合わせ? 物騒だが、人のこと。そう思ったが、この辺りから、話が尋常ではなくなってくる。
「昨日の昼、つまり一三時です」
「げっ、一三時間も?」
「あっはい。諦めきれなくて」
そう言って彼女は俯く。
「彼氏との約束ですものねぇ。諦めるのも辛いか。でも田舎だけれど物騒ですよ」
「すみません。ご迷惑をおかけしました。もともとここの出身で、短大と就職は都会の方でして、彼に会うために帰ってきたんです」
そう言って彼女は、ため息を付くような感じで、薄笑いを浮かべる。
私って馬鹿でしょとでも、突っ込んで欲しそうな感じで。
「出会いは、高校二年の時でした。服飾関係なんですが、高校の時は、美術もやっていて、大荷物を抱えて教室移動をしていると。『手伝いましょうかって』彼が現れたんです」
まあ高校生、ありそうなシチュエーション。
「それでまあ、彼も気に入ってくれて、付き合おうとなったんです。彼は優しくて、イケメンで、身長もあの時で一八〇センチくらいあって、家もお金持ちみたいで。良いかなあと私も思って……」
そう言って彼女は、湯飲みを掌で挟み。コロコロともてあそぶ。
お代わりを注いであげる。
「ありがとうございます。でも、その時彼には付き合っている人がいて、別れるなら死んでやるって、ごねているらしくて。何とかするとは言ってくれたのですが。愛情もないとは言ってくれたし。結局三年生。卒業になって、別の学校へ進むことになって、その時に三年後に、再会しようって……」
そうして、どこか遠くを見るような感じで彼女は一息をつくとお茶を一口飲む。
「今日のことは、連絡が来たとか、したんですよね」
彼女は黙って、首を横に振る。
「覚えていないなら、それでも良いと思ったんです。でも待っていると諦めきれなくて……」
そして彼女は、お茶を一気に飲む。
当然、吹き出す。
熱いんだもの。吹くよね。
「ずびばせん」
あわてて、タオルを取ってきて、彼女の顔を拭く。
すると抱きつかれて、キスをされる。
「ごめんなさい。彼に操を立てて、この年まで誰とも何も経験がないんです」
彼女はそう言う。
「彼とはあるんですよね」
彼女は黙って、首を横に振る。
「友達が、その。色々経験をして、教えて貰って。知らないのは損よと言ってくれたのですが。どうしても裏切れず」
そう言いながらも彼女は、キスをしてくる。
この子って、色んな意味で、チョロくって危ない?
心の中ではそう思う。
だがしかし、俺は二六歳とは言え、健康な男。
贖える訳などはない。
無理して、彼女を姫様抱っこをする。
「きゃ」
かわいく悲鳴を上げる彼女。
一時間後。俺の横でぐったりし、そのまま眠った彼女を見つめる。
話の中で、二一歳だという事は分かった。
だが名前も知らない。
俺も言ってない気がする。
だが、コンビニへ行ったとき、彼には言おう。
薄い奴の方が良いと。
長持ちさせるには、ちょっと分厚めが良いと。
最初は、すぐ終わってしまった。
気合いで復活させ、都合三回。
俺は多少学習をした。
先輩として伝えなければ。
ダボダボのスエットを、少し引きずりながら出てきた。
俺は一七五センチほどある。
彼女は、一六〇センチはないだろう。
「はいこれ」
悩んだ末に、ココアと、コーンスープが鎮座する。
そして、レンチンのうどんとラーメン。
その他にも、おにぎりとか、簡単につまめるような物がならぶ。
「えっと。ありがとうございます」
ぽすっと椅子に座り、コーンスープを彼女は手に取る。
すすりながら、少し落ち着いたようで、顔色も良くなっていた。
「これ、コンビニのだけど、おにぎりとか、ああ、良ければうどんとかもあるので」
「はい。ありがとうございます」
「レンジは、あそこね。ちょっと風呂へ入ってくる。今日一日ちょっと疲れていてさ。ははっ。自由にしていいから」
そう言って、風呂場へ逃げた。
そう。彼女は、好みのど真ん中。
免疫の無い俺は、心臓が一六ビートで唸り。彼女の姿を見て、頭の中でToshlさんが歌うForever Loveが鳴り響いていた。
つい抱きしめたくなる。その衝動を抑えるための風呂だ。
だが何故か、いつもの風呂なのに匂いが違う。
「なぜだぁ」
俺は頭を抱える。
見ると、少し綺麗に掃除されていた。
「お礼を言わなければ」
そう思いながら、こそっと気を静める儀式を行う。
仕方ないじゃないか。
この数年、彼女もいなかったんだ。
彼女は、スープを飲み、おにぎりを三個ほど食べ、うどんを食べたところで落ち着いたようで、ぽつりぽつりと話を始めた。
「今日は、彼と出会って、五年目の記念日だったんです」
まあ彼氏持ちだよなと、予測はしていた。
気になっていた事を、問いかける。
「こんな時間に。約束は何時だったんだ?」
「一時」
驚きはしたが、何か都合でもあり、こんな時間に待ち合わせ? 物騒だが、人のこと。そう思ったが、この辺りから、話が尋常ではなくなってくる。
「昨日の昼、つまり一三時です」
「げっ、一三時間も?」
「あっはい。諦めきれなくて」
そう言って彼女は俯く。
「彼氏との約束ですものねぇ。諦めるのも辛いか。でも田舎だけれど物騒ですよ」
「すみません。ご迷惑をおかけしました。もともとここの出身で、短大と就職は都会の方でして、彼に会うために帰ってきたんです」
そう言って彼女は、ため息を付くような感じで、薄笑いを浮かべる。
私って馬鹿でしょとでも、突っ込んで欲しそうな感じで。
「出会いは、高校二年の時でした。服飾関係なんですが、高校の時は、美術もやっていて、大荷物を抱えて教室移動をしていると。『手伝いましょうかって』彼が現れたんです」
まあ高校生、ありそうなシチュエーション。
「それでまあ、彼も気に入ってくれて、付き合おうとなったんです。彼は優しくて、イケメンで、身長もあの時で一八〇センチくらいあって、家もお金持ちみたいで。良いかなあと私も思って……」
そう言って彼女は、湯飲みを掌で挟み。コロコロともてあそぶ。
お代わりを注いであげる。
「ありがとうございます。でも、その時彼には付き合っている人がいて、別れるなら死んでやるって、ごねているらしくて。何とかするとは言ってくれたのですが。愛情もないとは言ってくれたし。結局三年生。卒業になって、別の学校へ進むことになって、その時に三年後に、再会しようって……」
そうして、どこか遠くを見るような感じで彼女は一息をつくとお茶を一口飲む。
「今日のことは、連絡が来たとか、したんですよね」
彼女は黙って、首を横に振る。
「覚えていないなら、それでも良いと思ったんです。でも待っていると諦めきれなくて……」
そして彼女は、お茶を一気に飲む。
当然、吹き出す。
熱いんだもの。吹くよね。
「ずびばせん」
あわてて、タオルを取ってきて、彼女の顔を拭く。
すると抱きつかれて、キスをされる。
「ごめんなさい。彼に操を立てて、この年まで誰とも何も経験がないんです」
彼女はそう言う。
「彼とはあるんですよね」
彼女は黙って、首を横に振る。
「友達が、その。色々経験をして、教えて貰って。知らないのは損よと言ってくれたのですが。どうしても裏切れず」
そう言いながらも彼女は、キスをしてくる。
この子って、色んな意味で、チョロくって危ない?
心の中ではそう思う。
だがしかし、俺は二六歳とは言え、健康な男。
贖える訳などはない。
無理して、彼女を姫様抱っこをする。
「きゃ」
かわいく悲鳴を上げる彼女。
一時間後。俺の横でぐったりし、そのまま眠った彼女を見つめる。
話の中で、二一歳だという事は分かった。
だが名前も知らない。
俺も言ってない気がする。
だが、コンビニへ行ったとき、彼には言おう。
薄い奴の方が良いと。
長持ちさせるには、ちょっと分厚めが良いと。
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先輩として伝えなければ。
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