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巧巳と華久帆(かくほ)
第3話 撒き餌
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さて、彼女さん。
幸笑は、気づくかしら。
よっぽどおバカじゃなければ、気がつくわよね。
わたしと巧巳の、性感開発? 探査かしら。うふ。
借りた本の内容は、どれも凄かった。
でもその中で、異色の物があった。
「これって、ハウツー本じゃないの?」
ストーリーのある物も在るが、一冊、とんでもない資料集があった。
『部位による、刺激の強弱と反応について』
最初は、自身でのお試しが、ずっと書かれていた。
でも途中から、T君の手が入る。
わたしは、彼の興味に付け込み、小説でのダメ出しから始めた。
「ヒロインが、彼じゃない人に触れられて、こんな反応はないでしょう。たとえ、彼に触られて感じるところでも、こそばいだけだし、下手すると鳥肌よ。男の子はそんな事ないの?」
「あまりないですね。さすがに、運動後で、汗まみれとかだと、ちょっと敬遠をしますけど」
「じゃあ、試してみましょう。好きでもなければ、絶対鳥肌よ」
そう言って、彼に向かって腕を突き出す。
「すみません。触ります」
「指くらいなら、知り合いだし。はんっ。うわゾクッと来た」
「本当だ、鳥肌。指を絡めるだけで」
彼は絶句する。
だけど今のは、気持ちの悪さとは違う。
まごうことなき快感。下腹部にズドンと来た。
指を絡めるところから、首筋、耳たぶ、襟元や、顎、唇。
そこまでして、彼が、正気に戻っちゃった。
「すみません。調子に乗ってキスまで」
「良いのよ。試してみないと。経験してみないと、分からないでしょう?」
彼の目を見ながら、体を引き寄せキスをし、試してみたかった舌を差し入れる。
「んぐっ。うあっ」
逃がさないように掴んで、お尻をなで上げる。
「どう? ゾクッと来た?」
「ええ、まあ。すごいですね」
「君はさっき、わたしにそういう感覚を与えていたの。心の動き分かるでしょ」
「ああ、あのシーン」
どのシーンよ? 彼は勝手に勘違いしてくれる。
「わたし最後までは、経験がないの。君なら良いわ、して。さっきので準備はできているの」
「あっ。それって、エッチという事ですよね」
「そうよ。私の事が嫌い?」
ずるい聞き方をする。
「いえ、そうではないのですけれど、他に好きな子がいて」
「ふーん。そうなの? 付き合っているんだ。じゃあ経験もしたのね。残念だわ」
「いえそんな。したことは無いです。幸笑とは今喧嘩中だし」
「ふーん、そうなんだ。じゃあ良いじゃない。黙っていれば、ばれないし」
「駄目です」
そう言って、彼は顔をそらす。
まだ逃がさない、彼の手を取り、ずぶ濡れのところへ導く。
「触れて、これはあなたのせいでなったの。この状態で、触れられた時、どうなるのかわたしは知りたいの。お願い」
彼の手は、反抗をしなかった。でもわたしは、耐えられなかった。
「うん。あっ。ああっ」
幸笑は、読み進める。
ありとあらゆる所。
感想が書かれていて、自分とは比較にならない。意識をしていないと、声や、体の反応を悟られる。
そんな内容。
「文芸の資料よね」
読み進めると、相手のT君への物も在る。
彼も、自分とは違うと言ってくれる。
驚異本位でキスをする。
さっき触られて、我慢ができない。
彼を導き、なだめすかすが、本番だけはさせてくれない。
Sという子が好きで、裏切りたくはないと。
言わなければ、ばれないじゃない。そう言うが、駄目なようだ。
じゃあ、代わりにと言うことで、彼に触れて貰う。大事な所。初めて。
この感覚は、癖になる。
「これって、あの人の日記? それも、えっちな」
日を追って、色々させて、喜ぶ感情が書かれていた。
でも、彼に対する描写で、ふと頭に、巧巳が浮かぶ。
「そうそう。優柔不断なの、でも自分のこだわりの最後だけは絶対引かない。なのに、じゃあという感じでお願いすると、いやと言っていても、そのギリギリまではしてくれる」
楽しかった、小学校時代を思い出す。
巧巳の書く、絵や文章。楽しかったし、おもしろかった。
有名な漫画家になれるんじゃないと言ったら、それは思っている物と違うとか。
でも現実。無理じゃない。
そんな物で暮らしていけるなんて、ほんの一握り。
「お母さんの、言うとおりなのよ。ばかじゃない。私と喧嘩までして、何年もまともに口をきかないなんて」
そこに気がついて読むと、腹が立つことに、これ。相手は、巧巳なの? わたしは何故か確信をした。
「何をさせているの? 巧巳も何をしているの。最後までしなくても浮気よ。私のことが好きなくせに。あんたと喧嘩をしてからずっと、何かが無くなったような気がするの、楽しくないのよ。それなのに、あんたは、こんな事」
そして私は、最悪なことに書いていることを想像する。
彼が触れた、他人の感想。
わたしは、彼との思い出を克明に書き綴り、知っている人が読めば理解できる情報をちりばめる。
「きっと使い道はある。さりげなく、Sという子の前で落としても良いわね。でも拾ってくれない駄目な奴なら、わたしが困るし、何かいい手がないかしら」
そんな事を考えながら、大事に保存。
これを読みながらするとね、もうやみつきなの。
でした。
幸笑は、気づくかしら。
よっぽどおバカじゃなければ、気がつくわよね。
わたしと巧巳の、性感開発? 探査かしら。うふ。
借りた本の内容は、どれも凄かった。
でもその中で、異色の物があった。
「これって、ハウツー本じゃないの?」
ストーリーのある物も在るが、一冊、とんでもない資料集があった。
『部位による、刺激の強弱と反応について』
最初は、自身でのお試しが、ずっと書かれていた。
でも途中から、T君の手が入る。
わたしは、彼の興味に付け込み、小説でのダメ出しから始めた。
「ヒロインが、彼じゃない人に触れられて、こんな反応はないでしょう。たとえ、彼に触られて感じるところでも、こそばいだけだし、下手すると鳥肌よ。男の子はそんな事ないの?」
「あまりないですね。さすがに、運動後で、汗まみれとかだと、ちょっと敬遠をしますけど」
「じゃあ、試してみましょう。好きでもなければ、絶対鳥肌よ」
そう言って、彼に向かって腕を突き出す。
「すみません。触ります」
「指くらいなら、知り合いだし。はんっ。うわゾクッと来た」
「本当だ、鳥肌。指を絡めるだけで」
彼は絶句する。
だけど今のは、気持ちの悪さとは違う。
まごうことなき快感。下腹部にズドンと来た。
指を絡めるところから、首筋、耳たぶ、襟元や、顎、唇。
そこまでして、彼が、正気に戻っちゃった。
「すみません。調子に乗ってキスまで」
「良いのよ。試してみないと。経験してみないと、分からないでしょう?」
彼の目を見ながら、体を引き寄せキスをし、試してみたかった舌を差し入れる。
「んぐっ。うあっ」
逃がさないように掴んで、お尻をなで上げる。
「どう? ゾクッと来た?」
「ええ、まあ。すごいですね」
「君はさっき、わたしにそういう感覚を与えていたの。心の動き分かるでしょ」
「ああ、あのシーン」
どのシーンよ? 彼は勝手に勘違いしてくれる。
「わたし最後までは、経験がないの。君なら良いわ、して。さっきので準備はできているの」
「あっ。それって、エッチという事ですよね」
「そうよ。私の事が嫌い?」
ずるい聞き方をする。
「いえ、そうではないのですけれど、他に好きな子がいて」
「ふーん。そうなの? 付き合っているんだ。じゃあ経験もしたのね。残念だわ」
「いえそんな。したことは無いです。幸笑とは今喧嘩中だし」
「ふーん、そうなんだ。じゃあ良いじゃない。黙っていれば、ばれないし」
「駄目です」
そう言って、彼は顔をそらす。
まだ逃がさない、彼の手を取り、ずぶ濡れのところへ導く。
「触れて、これはあなたのせいでなったの。この状態で、触れられた時、どうなるのかわたしは知りたいの。お願い」
彼の手は、反抗をしなかった。でもわたしは、耐えられなかった。
「うん。あっ。ああっ」
幸笑は、読み進める。
ありとあらゆる所。
感想が書かれていて、自分とは比較にならない。意識をしていないと、声や、体の反応を悟られる。
そんな内容。
「文芸の資料よね」
読み進めると、相手のT君への物も在る。
彼も、自分とは違うと言ってくれる。
驚異本位でキスをする。
さっき触られて、我慢ができない。
彼を導き、なだめすかすが、本番だけはさせてくれない。
Sという子が好きで、裏切りたくはないと。
言わなければ、ばれないじゃない。そう言うが、駄目なようだ。
じゃあ、代わりにと言うことで、彼に触れて貰う。大事な所。初めて。
この感覚は、癖になる。
「これって、あの人の日記? それも、えっちな」
日を追って、色々させて、喜ぶ感情が書かれていた。
でも、彼に対する描写で、ふと頭に、巧巳が浮かぶ。
「そうそう。優柔不断なの、でも自分のこだわりの最後だけは絶対引かない。なのに、じゃあという感じでお願いすると、いやと言っていても、そのギリギリまではしてくれる」
楽しかった、小学校時代を思い出す。
巧巳の書く、絵や文章。楽しかったし、おもしろかった。
有名な漫画家になれるんじゃないと言ったら、それは思っている物と違うとか。
でも現実。無理じゃない。
そんな物で暮らしていけるなんて、ほんの一握り。
「お母さんの、言うとおりなのよ。ばかじゃない。私と喧嘩までして、何年もまともに口をきかないなんて」
そこに気がついて読むと、腹が立つことに、これ。相手は、巧巳なの? わたしは何故か確信をした。
「何をさせているの? 巧巳も何をしているの。最後までしなくても浮気よ。私のことが好きなくせに。あんたと喧嘩をしてからずっと、何かが無くなったような気がするの、楽しくないのよ。それなのに、あんたは、こんな事」
そして私は、最悪なことに書いていることを想像する。
彼が触れた、他人の感想。
わたしは、彼との思い出を克明に書き綴り、知っている人が読めば理解できる情報をちりばめる。
「きっと使い道はある。さりげなく、Sという子の前で落としても良いわね。でも拾ってくれない駄目な奴なら、わたしが困るし、何かいい手がないかしら」
そんな事を考えながら、大事に保存。
これを読みながらするとね、もうやみつきなの。
でした。
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