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若葉と桐人 お互いがはっぴい?
第5話 寝た
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「寝た。と言うか、寝かしつけた」
ちょっと言い訳。
「あなたの、寝かしつけはとっても気持ちいの。おかげでね。年に数回だけでも満足できちゃうのよ。それは、寝たって事よね」
「ちょっと待て。その手に持っているのはなんだ」
ビール瓶の口を持ち、笑みを浮かべた般若がやってくる。
目が笑っていないのが怖い。
「ちょっと待て。冷静になろう。俺たち。友達だよな。なんでそんなに怒るんだ?」
すると、ピタッと止まり。悲しそうな顔になる。
「馬鹿だ馬鹿だと、思っていたけど、本当に馬鹿ね」
そう言ってつつーっと、涙が流れる。
「18の時に出会って、初めてもあげて。その後も幾度も寝たのに、恋人にはならず。あげく人の胸を揉みながら小さいだ。ふざけないでよ。努力したのよ」
「あーちょっと待て。おまえ、俺と付き合いたかったのか? 俺が一度付きあうかって言ったときに、友人で良いって言ったじゃ無いか」
そう言うと、びっくりした顔になる麻葵。
「えーと、何時?」
「ひどい奴。あれは、半年くらい。いや、経って無いか?鈴鹿8時間耐久の時だったか、遊園地でさ、遊んでいたときに、良い雰囲気だと思ってさ言ったんだよ」
「全然聞いてない。行ったのは覚えているけど、そんなこと……。あの時ってさ乗り物系が多かったけど、その途中じゃないよね。楽しいかとか聞かれて、友達でよかったとか。言った記憶はあるんだけど。きちんと観覧車とかさ、良い雰囲気で言った?」
何も言えず。ぶんぶんと首を横に振る。
「その後も、いつも友人で良いのしか言わないし」
「そりゃ。中途半端に付き合って、喧嘩でもしたら。ギクシャクすると嫌じゃない」
そう言って膨れる。
横で聞いていた隆二が割り込んでくる。
「おまえらガキか?」
そう言われて、そろって俺たちはむっとする。そして思い出す。
「そういえば、二年くらい前か、俺が来たら、おまえ達キスしていたじゃないか」
そう聞くと、隆二と麻葵が頭を抱える。
「やっぱり。あの時そうじゃないかと思ったのよ。勘違いよ勘違い。ベタだけど、隆二の目にまつげが入った。取れないって言うから取っていたの。その後平然としているから勘違いなんかしていないと思ったし、その数日後に、家へ行って眠ったよね」
「いや、単に二股かと」
言った瞬間に、拳骨で殴られた。
見えなかった。
「そんなことを思うなんて、私のことをどういう目で見ているのよ」
「こんな目」
また拳が持ち上がる。
「からかうなよ。端から見ていれば、見え見えだったぞ。おまえ達が落ち着かないから、俺も大手振って彼女なんぞ作れないと思っていたのに。おい本当に若葉と寝たのか?」
「あーすまん。おまえと付き合ってはいないし、中学の時に自然消滅でって聞いたから。最近も相手していないらしいし。つい」
てへっと謝る。
「ついじゃねえよ。麻葵。おまえがへたれて、こいつを縛っておかないから、俺にまで被害が来たぞ。知っているだろこいつの異様なテク」
そう言われた瞬間。真っ赤になる麻葵。
「知っているわよ。一緒に勉強したもの」
そう言って、もじもじしている。
「全くもう。この際だ。もう告白して付き合え。桐人。おまえはもう若葉に近付くな」
「近付くなって言われて、俺は良いけど、どうかな?」
そう言うと、隆二が首が軋む雰囲気でこちらを向く。
「まさか、例のフルコースか?」
「あーうん。どんどん調子に乗るから彼女。それに、前の男に中途半端に開発されていたから。ちょっと進めただけ」
「前の男だ?」
「ああ。ぶっ飛んだ男と、付き合っていたそうだぞ」
「俺が知らない間に。なんだよもう。どいつもこいつも」
隆二が、ショットグラスを一気にあおる。
中身は、プリマス・ジンだが大丈夫か?
ああキツかったようだ、チェイサーをあおっている。
「そういえば、おまえ。初めての男だけど、ヘタレで彼女が襲ったって言っていたな」
「ばっ。あの時はまだ中坊だ。勢い余ってホテルに入ったけど、雰囲気に負けたんだよ」
「その後も、ぶっきらぼうで、うんたらかんたら、って聞いたぞ」
「あの頃は、カッコを付けてもヘタレだったんだよ。おまえも高校の時の俺を知っているだろうが」
「よく知っている」
そう言って、ニヤニヤしているが。すぐ横で、呪詛のように何かがずっと聞こえる。
「付き合う。ついに、桐人と。毎晩するの?あれを? やばいよ絶対やばい。私正気に戻れなくなる。でも離れるのはいや。誰かを抱いているところも。想像するだけで許せない。おバカな女が、股を開いて懇願するんだわ。桐人。桐人って。いやよいやいや……」
大人っぽい女の雰囲気を出しているが、小心者の麻葵。
完全にテンパっているな。
やっとドアが開き、若葉が入って来た。
「おはー隆二。何か飲み物と、軽くで良いから。何か作って」
そう言われて、隆二は若葉を睨む。
「高いぞ。欲しいなら。俺と付きあうと言え」
「どうしたのそれ? 昨日なら嬉しかったのに」
「昨日なら?」
「あっ。やば」
あわてて、若葉がこっちを見る。
にへっと笑ってばらす。
「隆二にばれたから。NTR属性があったようだぞ。よかったな」
俺がそう言うと、えーって言う顔になる。
「でも。桐人は?」
半泣きになりながら、聞いてくる。
「おれは、麻葵と付き合うようだ」
「えーいいなあ。じゃあじゃあ。私が隆二と付き合うから、スワッピングしよ。月に一回くらい」
「「「やだ」」」
「えー。いいなあ」
隆二が、睨みながら割り込む。
「桐人。おまえ、借金チャラで許してやる」
「馬鹿野郎。100万近くあるんだぞ。借りたものは返せ」
「じゃあ借金分。私の体で」
「あんたが喜ぶんなら、借金増額でしょ」
「それでも良い」
「だめだ」
ショットバー。『夢路途上』
今夜は、珍しく賑やかに更けていくようだ。
----------------------------------------------------------------
近場で付き合うと、あるよね。
結婚式で、元彼元カノ大集合で修羅場とか。
ちょっと言い訳。
「あなたの、寝かしつけはとっても気持ちいの。おかげでね。年に数回だけでも満足できちゃうのよ。それは、寝たって事よね」
「ちょっと待て。その手に持っているのはなんだ」
ビール瓶の口を持ち、笑みを浮かべた般若がやってくる。
目が笑っていないのが怖い。
「ちょっと待て。冷静になろう。俺たち。友達だよな。なんでそんなに怒るんだ?」
すると、ピタッと止まり。悲しそうな顔になる。
「馬鹿だ馬鹿だと、思っていたけど、本当に馬鹿ね」
そう言ってつつーっと、涙が流れる。
「18の時に出会って、初めてもあげて。その後も幾度も寝たのに、恋人にはならず。あげく人の胸を揉みながら小さいだ。ふざけないでよ。努力したのよ」
「あーちょっと待て。おまえ、俺と付き合いたかったのか? 俺が一度付きあうかって言ったときに、友人で良いって言ったじゃ無いか」
そう言うと、びっくりした顔になる麻葵。
「えーと、何時?」
「ひどい奴。あれは、半年くらい。いや、経って無いか?鈴鹿8時間耐久の時だったか、遊園地でさ、遊んでいたときに、良い雰囲気だと思ってさ言ったんだよ」
「全然聞いてない。行ったのは覚えているけど、そんなこと……。あの時ってさ乗り物系が多かったけど、その途中じゃないよね。楽しいかとか聞かれて、友達でよかったとか。言った記憶はあるんだけど。きちんと観覧車とかさ、良い雰囲気で言った?」
何も言えず。ぶんぶんと首を横に振る。
「その後も、いつも友人で良いのしか言わないし」
「そりゃ。中途半端に付き合って、喧嘩でもしたら。ギクシャクすると嫌じゃない」
そう言って膨れる。
横で聞いていた隆二が割り込んでくる。
「おまえらガキか?」
そう言われて、そろって俺たちはむっとする。そして思い出す。
「そういえば、二年くらい前か、俺が来たら、おまえ達キスしていたじゃないか」
そう聞くと、隆二と麻葵が頭を抱える。
「やっぱり。あの時そうじゃないかと思ったのよ。勘違いよ勘違い。ベタだけど、隆二の目にまつげが入った。取れないって言うから取っていたの。その後平然としているから勘違いなんかしていないと思ったし、その数日後に、家へ行って眠ったよね」
「いや、単に二股かと」
言った瞬間に、拳骨で殴られた。
見えなかった。
「そんなことを思うなんて、私のことをどういう目で見ているのよ」
「こんな目」
また拳が持ち上がる。
「からかうなよ。端から見ていれば、見え見えだったぞ。おまえ達が落ち着かないから、俺も大手振って彼女なんぞ作れないと思っていたのに。おい本当に若葉と寝たのか?」
「あーすまん。おまえと付き合ってはいないし、中学の時に自然消滅でって聞いたから。最近も相手していないらしいし。つい」
てへっと謝る。
「ついじゃねえよ。麻葵。おまえがへたれて、こいつを縛っておかないから、俺にまで被害が来たぞ。知っているだろこいつの異様なテク」
そう言われた瞬間。真っ赤になる麻葵。
「知っているわよ。一緒に勉強したもの」
そう言って、もじもじしている。
「全くもう。この際だ。もう告白して付き合え。桐人。おまえはもう若葉に近付くな」
「近付くなって言われて、俺は良いけど、どうかな?」
そう言うと、隆二が首が軋む雰囲気でこちらを向く。
「まさか、例のフルコースか?」
「あーうん。どんどん調子に乗るから彼女。それに、前の男に中途半端に開発されていたから。ちょっと進めただけ」
「前の男だ?」
「ああ。ぶっ飛んだ男と、付き合っていたそうだぞ」
「俺が知らない間に。なんだよもう。どいつもこいつも」
隆二が、ショットグラスを一気にあおる。
中身は、プリマス・ジンだが大丈夫か?
ああキツかったようだ、チェイサーをあおっている。
「そういえば、おまえ。初めての男だけど、ヘタレで彼女が襲ったって言っていたな」
「ばっ。あの時はまだ中坊だ。勢い余ってホテルに入ったけど、雰囲気に負けたんだよ」
「その後も、ぶっきらぼうで、うんたらかんたら、って聞いたぞ」
「あの頃は、カッコを付けてもヘタレだったんだよ。おまえも高校の時の俺を知っているだろうが」
「よく知っている」
そう言って、ニヤニヤしているが。すぐ横で、呪詛のように何かがずっと聞こえる。
「付き合う。ついに、桐人と。毎晩するの?あれを? やばいよ絶対やばい。私正気に戻れなくなる。でも離れるのはいや。誰かを抱いているところも。想像するだけで許せない。おバカな女が、股を開いて懇願するんだわ。桐人。桐人って。いやよいやいや……」
大人っぽい女の雰囲気を出しているが、小心者の麻葵。
完全にテンパっているな。
やっとドアが開き、若葉が入って来た。
「おはー隆二。何か飲み物と、軽くで良いから。何か作って」
そう言われて、隆二は若葉を睨む。
「高いぞ。欲しいなら。俺と付きあうと言え」
「どうしたのそれ? 昨日なら嬉しかったのに」
「昨日なら?」
「あっ。やば」
あわてて、若葉がこっちを見る。
にへっと笑ってばらす。
「隆二にばれたから。NTR属性があったようだぞ。よかったな」
俺がそう言うと、えーって言う顔になる。
「でも。桐人は?」
半泣きになりながら、聞いてくる。
「おれは、麻葵と付き合うようだ」
「えーいいなあ。じゃあじゃあ。私が隆二と付き合うから、スワッピングしよ。月に一回くらい」
「「「やだ」」」
「えー。いいなあ」
隆二が、睨みながら割り込む。
「桐人。おまえ、借金チャラで許してやる」
「馬鹿野郎。100万近くあるんだぞ。借りたものは返せ」
「じゃあ借金分。私の体で」
「あんたが喜ぶんなら、借金増額でしょ」
「それでも良い」
「だめだ」
ショットバー。『夢路途上』
今夜は、珍しく賑やかに更けていくようだ。
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