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第2章 広がる世界
第65話 日本側の騒動
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時は少し戻る。
宮内庁、魑魅魍魎(ちみもうりょう)対策室経由で、もたらされた情報により。
総理官邸は紛糾をした。
日本で死んだ者たちが、女神により若返り。
住んでいる星がある。
そこの住人が、日本との取引を望んでいるというのである。
だが、問題がある。そこへ到達するには、極秘機関を通して、古から鬼退治専門に請け負っている家。
神地家の現当主。神地行人の能力に依存するらしい。
能力ってなんだよ。
それすら非公開って、おかしいだろう。
「わからない事ばかりだ。なんだこの、鬼退治専門に請け負っている家とか、宮内庁、魑魅魍魎対策室というのは? 今まで聞いたこともないぞ」
「総理程度では、知らされないものがあるのですよ。そこはまあ置いといて。問題は異世界の住人から、交易の依頼が来た。そして、住人は元日本人。それの対応をどういう方向へ持っていくか。と、いう1点のみ。ほかの話は、聞かなかったことにしてもらおう」
そう言いながら、目の前にいるのは、問題の家。
神地家前当主。爺だが妙な迫力がある。
名前を聞いても、神地家前当主としか答えないし、連れてきた宮内庁職員も「詳細は聞くな」の一点張りである。
そもそも異世界? 元日本人が若くなって転移? 女神の介入? どうしろというんだ……。
「対象者は、事故で亡くなり、こちらですでに戸籍からも消えている。当然日本人とは言えないが。うーん。本人と家族のことを考えると、バッサリと切るのもできんな。どう思うかね」
この場には、国務大臣と官房長官が同席をしている。
「そうですね。詳細が不明な状態では、手の打ちようがないので、本当に本人か。確認するために、こちらへ数人招き。家族へ会わせてみましょうか? むろん守秘には、気を付けて、あと、防疫は必要ですな」
「そうだな。まずは情報。あとは、それからだ。他に意見がないなら、それで行こう」
そして。
「報告があります。5人ほど、本日来日した模様です」
「ほう。身元は分かったのか」
「ええ。身元を確認。2年前から、行方不明の報告のあった者一人。他はこの1年内で事故と病死のようです。当然。戸籍はありませんが、残ると言ったら。どうされます?」
「難しい問題だな。さてどうしよう? 元の年は若いのか?」
「2年前の行方不明は、失踪当時17歳。他の女の子2名は、病死が14歳。と事故死18歳。男は31歳と、35歳ですね。両者とも事故」
「女の子は、何とかなる年だが、男は今15歳の姿だろう。ちょっと厳しいことになるな。家族などあれば、仕事もせにゃならん」
「そうですね」
そして。
「報告です。まだ3日目ですが、男が2人とも死にかかり。戻ったようです」
「死にかかり? どうしたんだ?」
「詳細は不明ですが、かかった医者によると、原因は不明。ですが、多臓器不全の兆候。細胞レベルで、死にかかってきているらしいですね」
「やばい病気じゃないだろうな?」
「神地家の方によると、向こうへ戻れば大丈夫だろう。魔素とか何とかが、日本にはないから、ダメだったのだろう。との事です」
さらに。
「報告です。2年前から行方不明だった高校生が、警察へ。自分を殺した犯人を教え。警察が、容疑者を捕まえに行ったそうです。署での取り調べ時に、自白。家宅捜索で、証拠多数発見。他にも、被害者がいるようで大騒ぎです」
「そりゃまた。本人の報告なら、信憑性は抜群だが、死んだはずの人間が蘇ってきて告白か。犯罪者は涙目だな」
「ほかにも。そんな人が、向こうに居ませんかね?」
「あり得るな。向こうの、住人のリストはないのか?」
「ありません」
「早急に、作ってもらってくれ。意外と、これからも必要になるかもしれん。事故や病気で死んだら、向こうで生き返る可能性があるのだろう。それも若返って」
「そう聞いています」
「うまく何とかすれば、労働力にもなる。その魔素とやらの、病気の原因は分かっているのか?」
「あー。神地家の方に聞くと、魔法を使うために最適化をすると、こっちに戻れないようです」
「よく分からんが、それなら、戸籍を作るときに、どうするか聞いてもらえば。帰ってこられるのだろう。良いじゃないか。早急にシステムを作らないとな」
「何のですか?」
「死んだ人間を、蘇らせる方法だよ」
「とりあえず、専門家を派遣しましょう」
さらに。
「帰って来たようです。戸籍作成は問題ないようです。それと、資源サンプルとしてマンガンノジュール複数個。お土産として、金や貴金属合わせて10kg貰ったそうです」
「ほう、それは何より。向こうはどんな状態だったか、聞いていないのか?」
「比較的発展をしている。ただし、こちらとは根本的に違い。非常にエコなシステムで生活をしている。それに、結婚制度はありません。つい最近まで、目の前に死が転がっている世界だったようで、ハーレムOKだそうです。代表だと思われる者は、山瀬村長だが、陰の権力者は、佐藤普人だそうです。ハーレムを形成しているが、村人には慕われているとの事です。村の近代化には、すべて彼が関わっているようですね」
「ほう。どんな人物だ?」
「精霊魔法の使い手だそうです」
「魔法? 精霊? また、聞き慣れんものが増えたぞ」
「普通の魔法も使えるそうです。目の前で、金を作ったそうです」
「錬金術か?」
「その辺りは、不明です」
「その佐藤なにがしの、こちらの経歴を調べろ」
「承知しました」
宮内庁、魑魅魍魎(ちみもうりょう)対策室経由で、もたらされた情報により。
総理官邸は紛糾をした。
日本で死んだ者たちが、女神により若返り。
住んでいる星がある。
そこの住人が、日本との取引を望んでいるというのである。
だが、問題がある。そこへ到達するには、極秘機関を通して、古から鬼退治専門に請け負っている家。
神地家の現当主。神地行人の能力に依存するらしい。
能力ってなんだよ。
それすら非公開って、おかしいだろう。
「わからない事ばかりだ。なんだこの、鬼退治専門に請け負っている家とか、宮内庁、魑魅魍魎対策室というのは? 今まで聞いたこともないぞ」
「総理程度では、知らされないものがあるのですよ。そこはまあ置いといて。問題は異世界の住人から、交易の依頼が来た。そして、住人は元日本人。それの対応をどういう方向へ持っていくか。と、いう1点のみ。ほかの話は、聞かなかったことにしてもらおう」
そう言いながら、目の前にいるのは、問題の家。
神地家前当主。爺だが妙な迫力がある。
名前を聞いても、神地家前当主としか答えないし、連れてきた宮内庁職員も「詳細は聞くな」の一点張りである。
そもそも異世界? 元日本人が若くなって転移? 女神の介入? どうしろというんだ……。
「対象者は、事故で亡くなり、こちらですでに戸籍からも消えている。当然日本人とは言えないが。うーん。本人と家族のことを考えると、バッサリと切るのもできんな。どう思うかね」
この場には、国務大臣と官房長官が同席をしている。
「そうですね。詳細が不明な状態では、手の打ちようがないので、本当に本人か。確認するために、こちらへ数人招き。家族へ会わせてみましょうか? むろん守秘には、気を付けて、あと、防疫は必要ですな」
「そうだな。まずは情報。あとは、それからだ。他に意見がないなら、それで行こう」
そして。
「報告があります。5人ほど、本日来日した模様です」
「ほう。身元は分かったのか」
「ええ。身元を確認。2年前から、行方不明の報告のあった者一人。他はこの1年内で事故と病死のようです。当然。戸籍はありませんが、残ると言ったら。どうされます?」
「難しい問題だな。さてどうしよう? 元の年は若いのか?」
「2年前の行方不明は、失踪当時17歳。他の女の子2名は、病死が14歳。と事故死18歳。男は31歳と、35歳ですね。両者とも事故」
「女の子は、何とかなる年だが、男は今15歳の姿だろう。ちょっと厳しいことになるな。家族などあれば、仕事もせにゃならん」
「そうですね」
そして。
「報告です。まだ3日目ですが、男が2人とも死にかかり。戻ったようです」
「死にかかり? どうしたんだ?」
「詳細は不明ですが、かかった医者によると、原因は不明。ですが、多臓器不全の兆候。細胞レベルで、死にかかってきているらしいですね」
「やばい病気じゃないだろうな?」
「神地家の方によると、向こうへ戻れば大丈夫だろう。魔素とか何とかが、日本にはないから、ダメだったのだろう。との事です」
さらに。
「報告です。2年前から行方不明だった高校生が、警察へ。自分を殺した犯人を教え。警察が、容疑者を捕まえに行ったそうです。署での取り調べ時に、自白。家宅捜索で、証拠多数発見。他にも、被害者がいるようで大騒ぎです」
「そりゃまた。本人の報告なら、信憑性は抜群だが、死んだはずの人間が蘇ってきて告白か。犯罪者は涙目だな」
「ほかにも。そんな人が、向こうに居ませんかね?」
「あり得るな。向こうの、住人のリストはないのか?」
「ありません」
「早急に、作ってもらってくれ。意外と、これからも必要になるかもしれん。事故や病気で死んだら、向こうで生き返る可能性があるのだろう。それも若返って」
「そう聞いています」
「うまく何とかすれば、労働力にもなる。その魔素とやらの、病気の原因は分かっているのか?」
「あー。神地家の方に聞くと、魔法を使うために最適化をすると、こっちに戻れないようです」
「よく分からんが、それなら、戸籍を作るときに、どうするか聞いてもらえば。帰ってこられるのだろう。良いじゃないか。早急にシステムを作らないとな」
「何のですか?」
「死んだ人間を、蘇らせる方法だよ」
「とりあえず、専門家を派遣しましょう」
さらに。
「帰って来たようです。戸籍作成は問題ないようです。それと、資源サンプルとしてマンガンノジュール複数個。お土産として、金や貴金属合わせて10kg貰ったそうです」
「ほう、それは何より。向こうはどんな状態だったか、聞いていないのか?」
「比較的発展をしている。ただし、こちらとは根本的に違い。非常にエコなシステムで生活をしている。それに、結婚制度はありません。つい最近まで、目の前に死が転がっている世界だったようで、ハーレムOKだそうです。代表だと思われる者は、山瀬村長だが、陰の権力者は、佐藤普人だそうです。ハーレムを形成しているが、村人には慕われているとの事です。村の近代化には、すべて彼が関わっているようですね」
「ほう。どんな人物だ?」
「精霊魔法の使い手だそうです」
「魔法? 精霊? また、聞き慣れんものが増えたぞ」
「普通の魔法も使えるそうです。目の前で、金を作ったそうです」
「錬金術か?」
「その辺りは、不明です」
「その佐藤なにがしの、こちらの経歴を調べろ」
「承知しました」
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