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第二章 王国兵士時代
第25話 遺跡探査
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「この森へ調査に行け」
ヨエル=ヴラハティ少将配下の、ゲイアリエル=マグワイア中佐に呼ばれ、命令を受ける。
今回は、なぜかレオンのみ。
その頃、他の連中は王都周辺で、野盗退治を別々に命令されていた。
そう。通常とても面倒だし、何をしてくるかわからない連中。
他の兵達からも敬遠される命令。
だが、シグナの集い配下の兵達は、良い感じに壊れていた。
「ひゃはー」
などと叫びながら、延々とアジト内を走り回る。
剣を振り回しながら。
その話は、盗賊や野盗内で広がり、恐怖されることになる。
そしてレオンが調査に向かう森は、内部に遺跡があり、たまに強力なモンスターが湧くらしい。
「はっ。拝命いたします」
そう言って、任務を受ける。
「俺がいた村の近くにも、地下遺跡があったんだよ」
「そうですか。文献によると、高度文明の跡地だそうです。今より数千年前に何か事故があり、人々は天と地に隠れたとあります」
「へえ、そうなんだ」
ミヒャルの知識は幅広く、色々なことを知っている。
子供の頃、剣技や体術も習ったが、向いてないと判断し、知識を集め回ったようだ。
小部隊、五十人を連れて調査に向かう。
王都から、たった二十キロ程度の距離。
そこに、手つかずの森が存在をする。
その森を囲むように、周囲は開墾されている。
「あれだな」
今回、俺達は補給隊に少しお願いをした。
調査中待っていて貰う。
帰ってこなければ、王都へ連絡をしてもらう。
期限は、帰ってこない日が、三日を超えれば帰って貰う。
「じゃあ頼んだよ」
そう言いながら、部隊を連れて、薄暗い内部へと入る。
この建物、石のようだが、つなぎ目がない。
きっちりと造られ、地上は二階程度。
四角い形で横長。部屋はいくつかあり、壁が四角く抜かれている。
ミヒャルの指示で、棒の先にタイヤの付いた板をくっ付け、それにろうそくを立てる。そして、前方二メートルほどを転がしていく。
地下へ入ると有毒ガスが有り、息ができなくなるかららしい。
たまに、爆発をするから、鳥などのほうが良いらしいが、捕まえられなかった。
だが地下一階に、モンスターが現れる。出てきたのは、ゴブリンや、スライム。
地図を作りながら確認をしていく。
「隊長。階段があります」
声がするほうへ向かう。
「おう。階段だな」
さっき捕まえたゴブリンを転がしてみる。
むろん腕と、足は縛ってある。
さっき作った、ろうそくを転がす道具は、ゴブリンを見た瞬間に、ただの荷物になった。
「大丈夫そうだな」
ゴブリンは騒いでいるが、生きてはいるようだ。
そして、階段横にある大きめの扉は、押しても引いても開かなかった。
ゴブリンに先導させながら、階段を降りていく。
その頃。王都。
「命令をしたか?」
「はい。あの遺跡は、地下三階から、到る所にトラップが仕掛けられ、部隊を幾度全滅させたかわかりません」
「あの、レオンとかいう小僧が死んだら次々に関連の部隊。それらを送り込め」
「はっ」
叔父である、アンセルモ=リザンドロ伯爵からよろしく頼むと言われ、多少の金銭も受け取った。失敗するわけにはいけないと、ヨエル=ヴラハティ少将は思いながら大好きなワインをあおる。
危険な遺跡。
すでに三階に来ていた。
「また罠だ。ゴブリンのお代わり」
「へーい。おまち」
マップに書き込みながら進むが、かわいそうなゴブリンは、遺跡だけでは収まらず、森から絶滅をしそうな勢いで、捕まえてこられ使われる。
表にいた、補給隊はその光景に首をかしげる。
「あのゴブリンのかわいそな声が、耳に残るぜ」
「俺達にとっちゃ、最大の敵だが、あの感じだとかわいそうだなあ」
目の前を、ロープで縛られ、連れて行かれる。
その光景を、複雑な表情で見つめる兵達。
「この通路だけ、異常に罠が多いですね」
「そうだな。すでに十匹以上のゴブリンが命を落とした」
そう言った矢先に、ロープの先でゴブリンの丸焼きが出来た。
「あのエネルギーはどこから来ているんだ? あれって魔力の流れがあるから魔法だよな」
「私にはわかりませんが、そうなんですね」
ミヒャルにも不得意がある様だ。
「もう一匹送って、魔力の流れを見ろ」
そう言うと、魔法を使える兵が集まってくる。
「もう少し…… あの辺だな」
「あっ燃えた」
「報告します。壁の色が変わりました」
一人の兵が、気が付いたようだ。
「おーい。ハンマー隊。壁を壊せ。トラップはさっきゴブリンが踏んだが、一応気を付けろ」
「はい」
そう言ってハンマーで、ぶち壊していく。
壁の中には、金なのか、何かの線が埋め込まれ横に走っている。
「これか」
棒を突っ込み、線をひっぺがす。
すると罠があるところには、線の先に繋がった魔導具が埋め込まれていた。
「その魔導具も掘り出せ」
掘り出して、魔力を流すと火が出た。
王都で使われる物より魔力効率が良い。
「これは良い。鍛冶をするときに使える」
思わず喜んでしまう。
「おい。その線を追いかけろ」
兵達は、ガンガンと壁を壊していく。
ついでに、トラップがあったところをすべてぶち壊す。
すると、ミヒャルが何かに気が付いたようだ。
「遺跡は、王家の持ち物。壊して良かったのでしょうか?」
「ミヒャル。男は細かなことを気にしちゃいけない。遺跡自体は壊していないし、少し壁を壊しただけだよ」
レオンは、この数年。幾人かの師匠達から影響を受け、多少性格があれになり、十三歳の時に比べ、純朴さが失われていた。
「そうですか……」
ヨエル=ヴラハティ少将配下の、ゲイアリエル=マグワイア中佐に呼ばれ、命令を受ける。
今回は、なぜかレオンのみ。
その頃、他の連中は王都周辺で、野盗退治を別々に命令されていた。
そう。通常とても面倒だし、何をしてくるかわからない連中。
他の兵達からも敬遠される命令。
だが、シグナの集い配下の兵達は、良い感じに壊れていた。
「ひゃはー」
などと叫びながら、延々とアジト内を走り回る。
剣を振り回しながら。
その話は、盗賊や野盗内で広がり、恐怖されることになる。
そしてレオンが調査に向かう森は、内部に遺跡があり、たまに強力なモンスターが湧くらしい。
「はっ。拝命いたします」
そう言って、任務を受ける。
「俺がいた村の近くにも、地下遺跡があったんだよ」
「そうですか。文献によると、高度文明の跡地だそうです。今より数千年前に何か事故があり、人々は天と地に隠れたとあります」
「へえ、そうなんだ」
ミヒャルの知識は幅広く、色々なことを知っている。
子供の頃、剣技や体術も習ったが、向いてないと判断し、知識を集め回ったようだ。
小部隊、五十人を連れて調査に向かう。
王都から、たった二十キロ程度の距離。
そこに、手つかずの森が存在をする。
その森を囲むように、周囲は開墾されている。
「あれだな」
今回、俺達は補給隊に少しお願いをした。
調査中待っていて貰う。
帰ってこなければ、王都へ連絡をしてもらう。
期限は、帰ってこない日が、三日を超えれば帰って貰う。
「じゃあ頼んだよ」
そう言いながら、部隊を連れて、薄暗い内部へと入る。
この建物、石のようだが、つなぎ目がない。
きっちりと造られ、地上は二階程度。
四角い形で横長。部屋はいくつかあり、壁が四角く抜かれている。
ミヒャルの指示で、棒の先にタイヤの付いた板をくっ付け、それにろうそくを立てる。そして、前方二メートルほどを転がしていく。
地下へ入ると有毒ガスが有り、息ができなくなるかららしい。
たまに、爆発をするから、鳥などのほうが良いらしいが、捕まえられなかった。
だが地下一階に、モンスターが現れる。出てきたのは、ゴブリンや、スライム。
地図を作りながら確認をしていく。
「隊長。階段があります」
声がするほうへ向かう。
「おう。階段だな」
さっき捕まえたゴブリンを転がしてみる。
むろん腕と、足は縛ってある。
さっき作った、ろうそくを転がす道具は、ゴブリンを見た瞬間に、ただの荷物になった。
「大丈夫そうだな」
ゴブリンは騒いでいるが、生きてはいるようだ。
そして、階段横にある大きめの扉は、押しても引いても開かなかった。
ゴブリンに先導させながら、階段を降りていく。
その頃。王都。
「命令をしたか?」
「はい。あの遺跡は、地下三階から、到る所にトラップが仕掛けられ、部隊を幾度全滅させたかわかりません」
「あの、レオンとかいう小僧が死んだら次々に関連の部隊。それらを送り込め」
「はっ」
叔父である、アンセルモ=リザンドロ伯爵からよろしく頼むと言われ、多少の金銭も受け取った。失敗するわけにはいけないと、ヨエル=ヴラハティ少将は思いながら大好きなワインをあおる。
危険な遺跡。
すでに三階に来ていた。
「また罠だ。ゴブリンのお代わり」
「へーい。おまち」
マップに書き込みながら進むが、かわいそうなゴブリンは、遺跡だけでは収まらず、森から絶滅をしそうな勢いで、捕まえてこられ使われる。
表にいた、補給隊はその光景に首をかしげる。
「あのゴブリンのかわいそな声が、耳に残るぜ」
「俺達にとっちゃ、最大の敵だが、あの感じだとかわいそうだなあ」
目の前を、ロープで縛られ、連れて行かれる。
その光景を、複雑な表情で見つめる兵達。
「この通路だけ、異常に罠が多いですね」
「そうだな。すでに十匹以上のゴブリンが命を落とした」
そう言った矢先に、ロープの先でゴブリンの丸焼きが出来た。
「あのエネルギーはどこから来ているんだ? あれって魔力の流れがあるから魔法だよな」
「私にはわかりませんが、そうなんですね」
ミヒャルにも不得意がある様だ。
「もう一匹送って、魔力の流れを見ろ」
そう言うと、魔法を使える兵が集まってくる。
「もう少し…… あの辺だな」
「あっ燃えた」
「報告します。壁の色が変わりました」
一人の兵が、気が付いたようだ。
「おーい。ハンマー隊。壁を壊せ。トラップはさっきゴブリンが踏んだが、一応気を付けろ」
「はい」
そう言ってハンマーで、ぶち壊していく。
壁の中には、金なのか、何かの線が埋め込まれ横に走っている。
「これか」
棒を突っ込み、線をひっぺがす。
すると罠があるところには、線の先に繋がった魔導具が埋め込まれていた。
「その魔導具も掘り出せ」
掘り出して、魔力を流すと火が出た。
王都で使われる物より魔力効率が良い。
「これは良い。鍛冶をするときに使える」
思わず喜んでしまう。
「おい。その線を追いかけろ」
兵達は、ガンガンと壁を壊していく。
ついでに、トラップがあったところをすべてぶち壊す。
すると、ミヒャルが何かに気が付いたようだ。
「遺跡は、王家の持ち物。壊して良かったのでしょうか?」
「ミヒャル。男は細かなことを気にしちゃいけない。遺跡自体は壊していないし、少し壁を壊しただけだよ」
レオンは、この数年。幾人かの師匠達から影響を受け、多少性格があれになり、十三歳の時に比べ、純朴さが失われていた。
「そうですか……」
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