新しい年、新しい自分、変わる切っ掛けは…… 一つの出逢い

久遠 れんり

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第8話 人の関わり

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  奈木は合宿免許の宿舎で、暇になり適当に男を食い荒らす。

 そんな中、夕食がてらにやって来た居酒屋。
 当然男子からの誘い。

 見知った男達の端に、一人だけ年代の違う男がやって来た。
 その男は冬野 和彦という人だが、最初は居場所がないような感じで、オロオロしていた。
 だけどそれを紛らわせるためか、その人は一人、ビールを飲み始める。
 ほかは、大学生達だし、皆二十歳は超えていないおこちゃま達で、私もノンアル。

 それは良いけど、どう見ても男子に私はぶられている?
 横に居る女の子達に、自己アピールがすごい。

 皆一度はやった仲なのに、薄情じゃない……
 目の前でほかの女を口説くのは、私でも多少心に来るわ。

 あー、やり過ぎた?
 一度いって立たないのを強引に…… 指を突っ込んで、前立腺を刺激したのがまずかったのかしら? まあ、いいけどね。


 和彦は合宿免許を取りに来て知りあった男、仲間内に奏汰かなたと呼ばれる奴に声をかけられた。
「こんちは、同じ宿舎ですよね」
 彼は若者らしく、物怖じしない感じで軽く接してくる。
 羨ましい性格だ。

「そうだね」
「あの宿舎最悪でしょう。シャワーの圧が低いし、温度が勝手に変わるし、それに比べて女の子の方は充実しているんですよ。料金は同じなのに、あの格差は何って言う感じっす」
「そうなのか? それは許せんな」
 そこから実技についてとか、筆記で本試験には引っかけ問題が出るとか、いろいろ話をするようになった。

 ふつうに、見知らぬ奴との他愛ない会話。
 なんだか、昔に戻ったようで、凍っていた心がほぐれていく。

 あの事が起こるまでの平凡な日々。
 そういえば、吉田達は元気だろうか?
 あの連絡の後、当時のお俺は心がささくれていたため、励ましが白々しく感じて…… ついブロックアンド削除をしてしまった。

「聞いてます? 十八時半にあそこの居酒屋ですからね」
「えっ? わりい何だって?」
「女の子達も来るんで、飯を食うって言う話です。もう数に入ってますから。それで俺達狙っている子がいるんで、冬野さんは月野って言う子をお願いしますね。あの子すぐやれますから。ただテクも性欲もすごいんで、多分プロっすよ。あっ、飯代は割り勘です」
 そう言って彼は、実技の車へと走っていった。

 なんか昔を懐かしんでいたら、勝手に話が決まっていた。
 狙っている子がいるから、月野をよろしくだと? すぐやれる? テクも性欲もすごいって、やったんかい……

 お古がじゃまで、押しつけるって……
 意外と性格が悪いな。
 思わず彼がやっている姿を想像する。
 そう、俺はどーてーだ。
 若いのに、けしからん。

「だけどまあ、子どもが居る以上、世の夫婦はやることをやっているよな」
 昔漠然と思っていた、仕事をして結婚をして子育て。
 うちの両親も仲はよかった。

 親父は俺を、スパッと切り捨てて、居ないものとしたが、母さんはそれでも最低限は世話をしてくれた。
「もう居ないんだよなぁ……」
 まともに顔を合わせたのは、いつだったか……
 あんな親だったが、ふと思い出す幸せだった頃。
 

 約束は約束、どちらにしろ飯は必要だし、ぷらぷらと出かける。
 だがまだ、人が多いと怖い。
 普段は平気でも、フラッシュバック的にあの頃の目を思い出す。
 冷たい目、嘲るような顔。
 店の中を見回し、俺のことを見ていない事実を見て安心をする。
 そうあの時とは違う、誰も俺のことなど気にしちゃ居ない。そう言い聞かす。

「冬野さん。こっちです」
 奏汰が手を振っているのを見つける。
 軽く手を上げて、それに応える。

 四対五。女の子が多い。
 その中に髪の毛が顎先に合わせたワンレンショートで金髪、左耳と小鼻にピアス。耳の方は耳の外側、耳輪に沿って、輪っかが並んでいた。キャプティブビーズリングと言うらしい。

 そして舌の先の方でも、ブルーの石がコロコロとしていた。
 当然俺は、ちょっと引く。
 だが場所がそこしか空いていないという事は、この子が月野って言う子なのだろう。
 こんな子に手を出したのか、ある意味奏汰って勇者だな。

「となり失礼」
「はいどうぞ、いらっしゃいませぇ」
「これはご丁寧にどうも。いらっしゃいました」
 緊張で言葉が不自由だ。

 そのままビールをジョッキで頼む。
 そして、乾杯をした後、気がついた。
 皆未成年なんだ……

 それに気がついた瞬間、ものすごい場違い感が押し寄せる。
 だが、丁度良いかもしれない。
 酔って散らそう。

 そうして、はみだした俺と彼女は、なんか話し込んで盛り上がった。
「悲しい冬野さん、もっと話をしたい。行こ」
「あーちょっと待て、まだ注文する奴居るか?」
 本当に彼らは、食事だけ。
 酒飲みのように、うだうだはあまりないようだ。
 それとも、早く二人っきりになりたいのか、大体意中の相手と上手くいったようだ。

「オッサンは金持ちだから、ここは払う」
 そう宣言すると、皆は一瞬困った顔になる。

「聞けば大学生みたいだし、金は大事だろ。それに俺の飲み代が一番高い。まあ気にするな」
 まあ酔った勢いで、宣言もしたし、レシートを持って席を立つ。

 その後ろから、彼女は少し複雑な顔をして付いてきた。
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