32 / 45
第2章 異変の始まりと世界の終焉
第32話 怠惰な一日
しおりを挟む
怠惰な時間。
ゆっくりとしているが、大学の授業、結構サボっている気がする。
「体の調子はどう?」
「うーん。かなり強化された。ダンジョンのクリスタル良いなあ」
「そうね。私も、強化されて、胸が育った」
違うだろうと思うが、違わないとも言い切りがつかない。
「えーと何だっけ、協会へ出す書類。これ書かなきゃ」
「げっ、地図まで添付って書いてある」
「それじゃあ、水希ちゃん達も呼んで、擦り合わせた方が良いわね」
「これを持って、道場へ行こう」
「それもそうか」
概略図だけをざっと書く。
「開き方も書くのか? さすがに覚えていないぞ。下から幾つ目とか、パズルみたいなのもあったし」
「そうね、会長に聞こうか?」
「あーだるい。サラリーマンて、いつもこんな事をするのかな?」
「さあ、でもなにをやっても、書類は必要でしょ」
「まあ、それはそうだろ。免税関係のインボイスとかややっこしいし」
「そうね。でもお役所って、少ないときは言ってくるけれど、多いときは、ああ。はいで、済ますみたいよ」
「そう聞くな」
そんなことを言って、うだうだしていたが、なんとなく手を伸ばす。
「うん何?」
「気にしないで」
「気にしないでって、無理でしょ。甘えんぼさんかな」
「多少」
そう、あの底で見た惨劇と、人々の悲鳴がずっと頭や耳から離れない。
普段見ることのない凄惨な現場。
だからって、凪海に甘え、じゃれつくのもどうかと思うが、今は欲しい。
「結局、夕方になったじゃない」
「ごめん。でもなんだかすっきりした」
「それは、そうでしょ」
「いや、そうなんだけど、ちょっと違う」
そうは言っても、凪海にジト目を向けられる。
「まあ良いや」
「ちょっと待ってどうしたの? うんっ。もう」
「夜中だし」
凪海の眉間にしわが寄る。
「寝たからな。疲れていたんだよ」
「いや疲れたのは、一日中」
凪海がなんだか、ぶつぶつ言っている。
「寝よか」
「寝たじゃない!!」
同時刻。
「畜生、何とかしてくれ。畑も何もかも無茶苦茶だ」
「先進国は、自国の方が大事だと、派遣をしてくれなかったらしい」
「ちょっと待て、世界中この状態なのか?」
「情報によると、ダンジョンの管理が重要らしいぞ」
「あの、モンスターが湧いている穴のことか?」
「そうだ、あれに適切に干渉をしないと、こんな状態になるんだとさ。今政府の役人はゲリラに接触し攻撃の中止を依頼して、共にモンスターを何とかしようと言っているらしい」
そう聞いて考える。
「共通の敵か?」
「そうだな」
「どうでも良いが、たまにはゆっくりしたいぜ」
「今寝られるのは、モンスターにやられたときか、撃たれたときのみか」
「違いない」
そんな会話は、世界中で起こっていた。
だが突っぱねた先進国でも、状態は悪く。
「畜生。今日だけで二班死んでしまった。あの怨霊たちに効く武器はないのか?」
「聖水が効きませんでしたし、塩も効きませんでした」
「エクソシストを呼んでこい」
「それが、教会の方も忙しいとのことで」
「忙しいだと? 葬式か?」
「それが、リビングデッドが湧いていて」
そう言われて、先日の出動を思い出した。
「あれは結構、心に来るからな」
「しかし、日本だけは、コントロールしていると噂があります」
「最近は何でも日本だな、どうやっているんだ?」
「不明です。情報を公開させるため、国際機関を立ち上げるようです」
「乗るかな?」
「どうですかね。日本はその辺りうかつですから」
「お人好しに賭けるか」
他でも。
「まだ日本からの返答は来ないのか?」
「国際組織の通達は、行ったようですが、まだ組織の改編がどうこうと」
「そんな事は良いんだ。問題はあのゴーストだ。触れられるだけで、脱力。長時間になると死んでしまう。すると何故か仲間を襲い出す。ええい。対応できるのが日本だけだなんて、教会はどうなっている? こういうときの神の力ではないのか?」
むろん教会にもエクソシスト、司教の許可を取り医師の立ち会いの下。悪魔払いは行われている。
だが先日も、聖書や聖水その他、すでに試した。
だが担当した司祭は力不足だと言い残し、逃げ帰ってしまった。
そのため軍は、太陽光を光ファイバーで引き込んだり、放水をしてみたり思いつくことをやってみた。当然送風機も。
だが、効き目がなかった。
やがて、歩き回っているうちに、祭壇がズレ、ゴーストが消える。
歓喜とともに、階下へ突入し絶望を味わう。
だがゾンビは、退治できる。
精神的何かを壊しながら、ひたすら突き進んでいく。
迷路を抜け、石室で手詰まりとなる。
超音波で壁を調べ、構造を理解。破壊するまで三日を要した。
そして、ミイラも倒し奥へ進む。
また壁。
何か、宝石が埋め込まれていたが、前回の経験から、素直に削岩機を用いて砕く。
だがダンジョン。砕く端から修復する。
「なんだこれは? どうやって開く?」
そこへ、場違いなスーツを着込んだ男が入ってくる。
「日本からの報告が来ました。読み上げます。このトラップ解除は、宝石部分に気を流す。だそうです。モンスターには浄化を行う様です。誰か日本へ送り、五十年ほど修行させますか?」
そう言うと彼は、両手を肩まで上げる。
ゆっくりとしているが、大学の授業、結構サボっている気がする。
「体の調子はどう?」
「うーん。かなり強化された。ダンジョンのクリスタル良いなあ」
「そうね。私も、強化されて、胸が育った」
違うだろうと思うが、違わないとも言い切りがつかない。
「えーと何だっけ、協会へ出す書類。これ書かなきゃ」
「げっ、地図まで添付って書いてある」
「それじゃあ、水希ちゃん達も呼んで、擦り合わせた方が良いわね」
「これを持って、道場へ行こう」
「それもそうか」
概略図だけをざっと書く。
「開き方も書くのか? さすがに覚えていないぞ。下から幾つ目とか、パズルみたいなのもあったし」
「そうね、会長に聞こうか?」
「あーだるい。サラリーマンて、いつもこんな事をするのかな?」
「さあ、でもなにをやっても、書類は必要でしょ」
「まあ、それはそうだろ。免税関係のインボイスとかややっこしいし」
「そうね。でもお役所って、少ないときは言ってくるけれど、多いときは、ああ。はいで、済ますみたいよ」
「そう聞くな」
そんなことを言って、うだうだしていたが、なんとなく手を伸ばす。
「うん何?」
「気にしないで」
「気にしないでって、無理でしょ。甘えんぼさんかな」
「多少」
そう、あの底で見た惨劇と、人々の悲鳴がずっと頭や耳から離れない。
普段見ることのない凄惨な現場。
だからって、凪海に甘え、じゃれつくのもどうかと思うが、今は欲しい。
「結局、夕方になったじゃない」
「ごめん。でもなんだかすっきりした」
「それは、そうでしょ」
「いや、そうなんだけど、ちょっと違う」
そうは言っても、凪海にジト目を向けられる。
「まあ良いや」
「ちょっと待ってどうしたの? うんっ。もう」
「夜中だし」
凪海の眉間にしわが寄る。
「寝たからな。疲れていたんだよ」
「いや疲れたのは、一日中」
凪海がなんだか、ぶつぶつ言っている。
「寝よか」
「寝たじゃない!!」
同時刻。
「畜生、何とかしてくれ。畑も何もかも無茶苦茶だ」
「先進国は、自国の方が大事だと、派遣をしてくれなかったらしい」
「ちょっと待て、世界中この状態なのか?」
「情報によると、ダンジョンの管理が重要らしいぞ」
「あの、モンスターが湧いている穴のことか?」
「そうだ、あれに適切に干渉をしないと、こんな状態になるんだとさ。今政府の役人はゲリラに接触し攻撃の中止を依頼して、共にモンスターを何とかしようと言っているらしい」
そう聞いて考える。
「共通の敵か?」
「そうだな」
「どうでも良いが、たまにはゆっくりしたいぜ」
「今寝られるのは、モンスターにやられたときか、撃たれたときのみか」
「違いない」
そんな会話は、世界中で起こっていた。
だが突っぱねた先進国でも、状態は悪く。
「畜生。今日だけで二班死んでしまった。あの怨霊たちに効く武器はないのか?」
「聖水が効きませんでしたし、塩も効きませんでした」
「エクソシストを呼んでこい」
「それが、教会の方も忙しいとのことで」
「忙しいだと? 葬式か?」
「それが、リビングデッドが湧いていて」
そう言われて、先日の出動を思い出した。
「あれは結構、心に来るからな」
「しかし、日本だけは、コントロールしていると噂があります」
「最近は何でも日本だな、どうやっているんだ?」
「不明です。情報を公開させるため、国際機関を立ち上げるようです」
「乗るかな?」
「どうですかね。日本はその辺りうかつですから」
「お人好しに賭けるか」
他でも。
「まだ日本からの返答は来ないのか?」
「国際組織の通達は、行ったようですが、まだ組織の改編がどうこうと」
「そんな事は良いんだ。問題はあのゴーストだ。触れられるだけで、脱力。長時間になると死んでしまう。すると何故か仲間を襲い出す。ええい。対応できるのが日本だけだなんて、教会はどうなっている? こういうときの神の力ではないのか?」
むろん教会にもエクソシスト、司教の許可を取り医師の立ち会いの下。悪魔払いは行われている。
だが先日も、聖書や聖水その他、すでに試した。
だが担当した司祭は力不足だと言い残し、逃げ帰ってしまった。
そのため軍は、太陽光を光ファイバーで引き込んだり、放水をしてみたり思いつくことをやってみた。当然送風機も。
だが、効き目がなかった。
やがて、歩き回っているうちに、祭壇がズレ、ゴーストが消える。
歓喜とともに、階下へ突入し絶望を味わう。
だがゾンビは、退治できる。
精神的何かを壊しながら、ひたすら突き進んでいく。
迷路を抜け、石室で手詰まりとなる。
超音波で壁を調べ、構造を理解。破壊するまで三日を要した。
そして、ミイラも倒し奥へ進む。
また壁。
何か、宝石が埋め込まれていたが、前回の経験から、素直に削岩機を用いて砕く。
だがダンジョン。砕く端から修復する。
「なんだこれは? どうやって開く?」
そこへ、場違いなスーツを着込んだ男が入ってくる。
「日本からの報告が来ました。読み上げます。このトラップ解除は、宝石部分に気を流す。だそうです。モンスターには浄化を行う様です。誰か日本へ送り、五十年ほど修行させますか?」
そう言うと彼は、両手を肩まで上げる。
0
お気に入りに追加
3
あなたにおすすめの小説
蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる
フルーツパフェ
大衆娯楽
転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。
一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。
そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!
寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。
――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです
そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。
大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。
相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
性奴隷を飼ったのに
お小遣い月3万
ファンタジー
10年前に俺は日本から異世界に転移して来た。
異世界に転移して来たばかりの頃、辿り着いた冒険者ギルドで勇者認定されて、魔王を討伐したら家族の元に帰れるのかな、っと思って必死になって魔王を討伐したけど、日本には帰れなかった。
異世界に来てから10年の月日が流れてしまった。俺は魔王討伐の報酬として特別公爵になっていた。ちなみに領地も貰っている。
自分の領地では奴隷は禁止していた。
奴隷を売買している商人がいるというタレコミがあって、俺は出向いた。
そして1人の奴隷少女と出会った。
彼女は、お風呂にも入れられていなくて、道路に落ちている軍手のように汚かった。
彼女は幼いエルフだった。
それに魔力が使えないように処理されていた。
そんな彼女を故郷に帰すためにエルフの村へ連れて行った。
でもエルフの村は魔力が使えない少女を引き取ってくれなかった。それどころか魔力が無いエルフは処分する掟になっているらしい。
俺の所有物であるなら彼女は処分しない、と村長が言うから俺はエルフの女の子を飼うことになった。
孤児になった魔力も無いエルフの女の子。年齢は14歳。
エルフの女の子を見捨てるなんて出来なかった。だから、この世界で彼女が生きていけるように育成することに決めた。
※エルフの少女以外にもヒロインは登場する予定でございます。
※帰る場所を無くした女の子が、美しくて強い女性に成長する物語です。
凡人がおまけ召喚されてしまった件
根鳥 泰造
ファンタジー
勇者召喚に巻き込まれて、異世界にきてしまった祐介。最初は勇者の様に大切に扱われていたが、ごく普通の才能しかないので、冷遇されるようになり、ついには王宮から追い出される。
仕方なく冒険者登録することにしたが、この世界では希少なヒーラー適正を持っていた。一年掛けて治癒魔法を習得し、治癒剣士となると、引く手あまたに。しかも、彼は『強欲』という大罪スキルを持っていて、倒した敵のスキルを自分のものにできるのだ。
それらのお蔭で、才能は凡人でも、数多のスキルで能力を補い、熟練度は飛びぬけ、高難度クエストも熟せる有名冒険者となる。そして、裏では気配消去や不可視化スキルを活かして、暗殺という裏の仕事も始めた。
異世界に来て八年後、その暗殺依頼で、召喚勇者の暗殺を受けたのだが、それは祐介を捕まえるための罠だった。祐介が暗殺者になっていると知った勇者が、改心させよう企てたもので、その後は勇者一行に加わり、魔王討伐の旅に同行することに。
最初は脅され渋々同行していた祐介も、勇者や仲間の思いをしり、どんどん勇者が好きになり、勇者から告白までされる。
だが、魔王を討伐を成し遂げるも、魔王戦で勇者は祐介を庇い、障害者になる。
祐介は、勇者の嘘で、病院を作り、医師の道を歩みだすのだった。
【完結】【勇者】の称号が無かった美少年は王宮を追放されたのでのんびり異世界を謳歌する
雪雪ノ雪
ファンタジー
ある日、突然学校にいた人全員が【勇者】として召喚された。
その召喚に巻き込まれた少年柊茜は、1人だけ【勇者】の称号がなかった。
代わりにあったのは【ラグナロク】という【固有exスキル】。
それを見た柊茜は
「あー....このスキルのせいで【勇者】の称号がなかったのかー。まぁ、ス・ラ・イ・厶・に【勇者】って称号とか合わないからなぁ…」
【勇者】の称号が無かった柊茜は、王宮を追放されてしまう。
追放されてしまった柊茜は、特に慌てる事もなくのんびり異世界を謳歌する..........たぶん…....
主人公は男の娘です 基本主人公が自分を表す時は「私」と表現します
【超速爆速レベルアップ】~俺だけ入れるダンジョンはゴールドメタルスライムの狩り場でした~
シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
ダンジョンが出現し20年。
木崎賢吾、22歳は子どもの頃からダンジョンに憧れていた。
しかし、ダンジョンは最初に足を踏み入れた者の所有物となるため、もうこの世界にはどこを探しても未発見のダンジョンなどないと思われていた。
そんな矢先、バイト帰りに彼が目にしたものは――。
【自分だけのダンジョンを夢見ていた青年のレベリング冒険譚が今幕を開ける!】
ズボラ通販生活
ice
ファンタジー
西野桃(にしのもも)35歳の独身、オタクが神様のミスで異世界へ!貪欲に通販スキル、時間停止アイテムボックス容量無限、結界魔法…さらには、お金まで貰う。商人無双や!とか言いつつ、楽に、ゆるーく、商売をしていく。淋しい独身者、旦那という名の奴隷まで?!ズボラなオバサンが異世界に転移して好き勝手生活する!
エラーから始まる異世界生活
KeyBow
ファンタジー
45歳リーマンの志郎は本来異世界転移されないはずだったが、何が原因か高校生の異世界勇者召喚に巻き込まれる。
本来の人数より1名増の影響か転移処理でエラーが発生する。
高校生は正常?に転移されたようだが、志郎はエラー召喚されてしまった。
冤罪で多くの魔物うようよするような所に放逐がされ、死にそうになりながら一人の少女と出会う。
その後冒険者として生きて行かざるを得ず奴隷を買い成り上がっていく物語。
某刑事のように”あの女(王女)絶対いずれしょんべんぶっ掛けてやる”事を当面の目標の一つとして。
実は所有するギフトはかなりレアなぶっ飛びな内容で、召喚された中では最強だったはずである。
勇者として活躍するのかしないのか?
能力を鍛え、復讐と色々エラーがあり屈折してしまった心を、召還時のエラーで壊れた記憶を抱えてもがきながら奴隷の少女達に救われるて変わっていく第二の人生を歩む志郎の物語が始まる。
多分チーレムになったり残酷表現があります。苦手な方はお気をつけ下さい。
初めての作品にお付き合い下さい。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる