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第四章 世界は戦乱へ
第22話 錬金術。創薬
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気のせいか、じいちゃんが若くなってきている。
行動は前からだが、体が。
「じいちゃん。何かした?」
「おお、お前が取ってきたヒュドラの尾で、材料がそろったからな。薬を創った」
そう言って、にっと笑う。
「ただなあ、副作用がすごい。気合いと根性で何とかしないと、飲んだ瞬間に死ぬぞ」
「じいちゃんで、それ?」
じいちゃんの弱音。ちょっと驚きだ。
「ああ。まず人をやめ。特訓をしてから飲んで…… どうかな?」
じいちゃんがそう言うなら、相当だろう。
じいちゃんは元から少し、人から外れていたから大丈夫だったが、ばあちゃんや親父達はどうかな。
軽く言った、人間をやめるという事。あの痛みと苦しみは無視して、数日動けないだけと言っていたじいちゃんが、死ぬという言葉を使う。
相当だろう。
若く見えるが七十二歳。よく試したな。
しかも、一気に若い体に戻れるわけではなく、じわじわ。毎回苦しみを受ける。
「まあ、家族には言って見るが、どうかな。各自の判断に任せよう」
そう言って、少し悲しそうな顔をする。
まあ、それはそれ。
そして、シーヴ達の動きが、活性化をする。
「移民が来ます。まず一万人」
「と言う事は、宣言はやめて、徐々に混ざる気になったんだな」
最初は宇宙船で空を埋め尽くし、侵略者よろしく、やる予定だったようだ。
それはプライド的にも刺激するし、後々も面倒だ。
こそっと混ざれ。そう提案をした。
現在、丁度混乱中だしな。
「そうです。光希様のご意見が、満場一致で採択されました。ほとんどが、こちらで言う欧米人系なので多少混乱はあると思いますが、よろしくお願いいたします」
「判った。町長にはもう許可を取ってあるし、技術支援のおかげで、県の方も何も言わん。もともと、扱いに困っていた国有地。ごっそり貰ったぞ」
そう、見放された国有林。
メンテナンスをするだけで、膨大な金がかかる。
そんな山が、かなりの面積で存在している。
ニュータウン化。山を切り開き宅地化をする。
入ってくるのが、少し遠い所からだが、そもそもが、限界集落だらけだった高知県。Iターンの推進という事だ。
一気に人数が増える。
「まずは、一万か。獣人達は?」
「今回優先的に。半数は獣人です」
「町は分けるのか?」
「今時、差別はあまりありませんが、今下手に分けると、この先で、再燃とか起こりませんか?」
「難しいところだな。移民でストレスがある。力を合わせて、がんばろーとなれば良いが」
そんな事を、家族会議で決めていく。
「山は、平地となだらかな小山に整地して、広葉樹は再利用。昭和の遺産である、杉やヒノキは使って良いらしいから使おう」
そう、事が起こる前、円安により国内産の木が少し見直されていた。
ただまあ、伐採後は植林されず。パネルが張られていたようだが。
そうして、最新装置と魔法のごり押しで、お迎えの準備は出来た。
今回の移民船は、角形の五百メートル級。
内部は、空間魔法で広げられ、快適だそうだ。
ニュータウン脇の空港へ船が着陸する。
建てられた家は、向こうでの標準タイプ。
外側は、樹木系モンスター由来の樹脂製で軽くて丈夫。湿度まで調節する優れもの。地面とは、わずかに浮いているらしい。
形状は半円の部屋を、通路で繋いだような形が基本で、まるで昔のSFだが、飛行系モンスターからの攻撃を考えると、この形になるとの事。
ユニットで作成をして、接続は専用樹脂。張るだけ。
水などは、家の中で循環式。
基本はすべて魔導具だから、エコだ。
そう、ファジェーエヴァは長年電動化で文明を進めたが、星の具合が悪くなり、近年は魔導具文明へと、舵を切った。
基本的には、コントロール用水晶板で、家中の魔導具を制御できる。
板が無いときは、音声だ。
「まあ基本、家については向こうと同じだから、問題ないだろう。星全体で三十億人くらいだったな?」
「そうですね。何か意味があるかのように、定期的に厄災というか、災害が起こるので」
端末をいじりながら、アデラが設定をしていく。
今空港の船に、住民に向けて情報が流されている。
居住する家の説明と、環境。
近隣の町と原住民。
基本ルール。そしてマップ。
四国山地の山の中。
周囲の町をあわせて一万人だったのに、いきなり一万人が増える。
これからどんな事になるのか、予想は誰も出来ない。
だが、移民の第一歩は始まった。
「到着した事を報告して、各家庭用コンソールと配送システム。輸送船のコンピュータが来たから余裕が出来たにゃ」
現行は輸送船に乗せてある食糧の分配と、各家庭にあるコンソールで発注。そして空間魔法による配達。
中間部分は、今回、管理倉庫兼発送センターを造った。
中では、フォークリフト型と人型のゴーレムが走り回っている。
コンピュータが在庫状況と減る速度を見て、アラートを出す。
そのアラートを見て、人が農協なり、生産者なりへ発注をする。
生産者は、トランスファーチューブへ物を放り込む。
やっと流通システムが、組み上がったようだ。
行動は前からだが、体が。
「じいちゃん。何かした?」
「おお、お前が取ってきたヒュドラの尾で、材料がそろったからな。薬を創った」
そう言って、にっと笑う。
「ただなあ、副作用がすごい。気合いと根性で何とかしないと、飲んだ瞬間に死ぬぞ」
「じいちゃんで、それ?」
じいちゃんの弱音。ちょっと驚きだ。
「ああ。まず人をやめ。特訓をしてから飲んで…… どうかな?」
じいちゃんがそう言うなら、相当だろう。
じいちゃんは元から少し、人から外れていたから大丈夫だったが、ばあちゃんや親父達はどうかな。
軽く言った、人間をやめるという事。あの痛みと苦しみは無視して、数日動けないだけと言っていたじいちゃんが、死ぬという言葉を使う。
相当だろう。
若く見えるが七十二歳。よく試したな。
しかも、一気に若い体に戻れるわけではなく、じわじわ。毎回苦しみを受ける。
「まあ、家族には言って見るが、どうかな。各自の判断に任せよう」
そう言って、少し悲しそうな顔をする。
まあ、それはそれ。
そして、シーヴ達の動きが、活性化をする。
「移民が来ます。まず一万人」
「と言う事は、宣言はやめて、徐々に混ざる気になったんだな」
最初は宇宙船で空を埋め尽くし、侵略者よろしく、やる予定だったようだ。
それはプライド的にも刺激するし、後々も面倒だ。
こそっと混ざれ。そう提案をした。
現在、丁度混乱中だしな。
「そうです。光希様のご意見が、満場一致で採択されました。ほとんどが、こちらで言う欧米人系なので多少混乱はあると思いますが、よろしくお願いいたします」
「判った。町長にはもう許可を取ってあるし、技術支援のおかげで、県の方も何も言わん。もともと、扱いに困っていた国有地。ごっそり貰ったぞ」
そう、見放された国有林。
メンテナンスをするだけで、膨大な金がかかる。
そんな山が、かなりの面積で存在している。
ニュータウン化。山を切り開き宅地化をする。
入ってくるのが、少し遠い所からだが、そもそもが、限界集落だらけだった高知県。Iターンの推進という事だ。
一気に人数が増える。
「まずは、一万か。獣人達は?」
「今回優先的に。半数は獣人です」
「町は分けるのか?」
「今時、差別はあまりありませんが、今下手に分けると、この先で、再燃とか起こりませんか?」
「難しいところだな。移民でストレスがある。力を合わせて、がんばろーとなれば良いが」
そんな事を、家族会議で決めていく。
「山は、平地となだらかな小山に整地して、広葉樹は再利用。昭和の遺産である、杉やヒノキは使って良いらしいから使おう」
そう、事が起こる前、円安により国内産の木が少し見直されていた。
ただまあ、伐採後は植林されず。パネルが張られていたようだが。
そうして、最新装置と魔法のごり押しで、お迎えの準備は出来た。
今回の移民船は、角形の五百メートル級。
内部は、空間魔法で広げられ、快適だそうだ。
ニュータウン脇の空港へ船が着陸する。
建てられた家は、向こうでの標準タイプ。
外側は、樹木系モンスター由来の樹脂製で軽くて丈夫。湿度まで調節する優れもの。地面とは、わずかに浮いているらしい。
形状は半円の部屋を、通路で繋いだような形が基本で、まるで昔のSFだが、飛行系モンスターからの攻撃を考えると、この形になるとの事。
ユニットで作成をして、接続は専用樹脂。張るだけ。
水などは、家の中で循環式。
基本はすべて魔導具だから、エコだ。
そう、ファジェーエヴァは長年電動化で文明を進めたが、星の具合が悪くなり、近年は魔導具文明へと、舵を切った。
基本的には、コントロール用水晶板で、家中の魔導具を制御できる。
板が無いときは、音声だ。
「まあ基本、家については向こうと同じだから、問題ないだろう。星全体で三十億人くらいだったな?」
「そうですね。何か意味があるかのように、定期的に厄災というか、災害が起こるので」
端末をいじりながら、アデラが設定をしていく。
今空港の船に、住民に向けて情報が流されている。
居住する家の説明と、環境。
近隣の町と原住民。
基本ルール。そしてマップ。
四国山地の山の中。
周囲の町をあわせて一万人だったのに、いきなり一万人が増える。
これからどんな事になるのか、予想は誰も出来ない。
だが、移民の第一歩は始まった。
「到着した事を報告して、各家庭用コンソールと配送システム。輸送船のコンピュータが来たから余裕が出来たにゃ」
現行は輸送船に乗せてある食糧の分配と、各家庭にあるコンソールで発注。そして空間魔法による配達。
中間部分は、今回、管理倉庫兼発送センターを造った。
中では、フォークリフト型と人型のゴーレムが走り回っている。
コンピュータが在庫状況と減る速度を見て、アラートを出す。
そのアラートを見て、人が農協なり、生産者なりへ発注をする。
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