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最悪な国、ニコ国
第40話 虐殺。そしてニコ国は終焉へ。
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「ええい、鬱陶しい」
頭を振り雑念を払う。
「ディアナ。探査に集団が引っかかった。偵察に行くぞ」
「うん」
集団の移動速度は遅い。
探査により予測位置へ向けて、カグラ達は走って行く。
ディアナが十分ついて行ける速度だ。
そして見つけてしまう。
ラルス達、盗賊グループだ。
今度は、いきなり焼いたりしない。
この前街道で、ロジーヌ達の記憶に引きずられてしまい、焼いてしまったが、後で人相書きに載っていることを思い出した。
その後、正気になった彼は、大層悔しがったのである。
「人相書きの集団だ。ディアナ此処で待っていろ」
途中で考えていた、兵に連絡するとか、そんな物はどこかにすっ飛んでしまった。
ただまあ、相手は盗賊。
ニコ国の兵ではないという思いが、あったと言えばあったのだが。
多少この時、冷静さは飛んでしまっていた。
中には女達もいたが、どう見ても無理矢理ではなく、親しそうだし、盗賊の仲間だろう。
記憶に引きずられて、少し切れ気味のカグラには、容赦という文字は無かった。
それはまだ、戻っていない感情の欠片が、影響を与えているのかもしれない。
「うわっ、すごっ」
ディアナがつい口にするほど、その行動に躊躇は無かった。
「うん? 何だ」
森の中を、いい加減疲れたと思いながらの移動。
ニコ国での、贅沢三昧な生活がどうも体をなまらせたようだ。
そんな中、繁っていた笹の一部が揺れる。
そう、カグラ達がいたところの方が高い場所。
一気に斜面を下り、尾根と尾根の重なり合う谷のような所を逃げていた盗賊達に、狂気を湛えたカグラが襲いかかる。
それは一瞬だった。
先頭を歩いていた、部下の首がいきなりコロリと転がる。
それを見て女が悲鳴を上げようとしたが、その口からは声はもう出なくて、視界が勝手に移動する。
「なっ、畜生」
剣を持とうとしたが、その手は剣を掴むことなく落下。
カグラの剣が煌めく度に、どこかしら体のパーツが地面に転がっていく。
一人対三十人だが、それは少しリミッターの壊れた、カグラの相手にはならなかった。
武器すら抜く暇も無く、悲鳴も上げる暇も無く、ただ死んでいくだけ。
冷静なら、ヴァイオレット達が受けた苦しみを、盗賊達に少しは返せばよかったと思うのだろうが、それを思いついたときには、もう苦しみを感じる状態ではなかった。
呆然とみていたディアナだが、谷へと降りていく。
「カグラ……」
ディアナには理解できないが、なぜか両の目から涙をこぼし、泣いているカグラを抱きしめる。
これだけの人数を切ったのに、彼は返り血すら受けておらず、剣にも血が付いていない。
それは、攻撃がどれだけ鋭かったのかを、物語っている。
「どうしたの?」
泣いているカグラが気になる。
「こいつらが…… ヴァイオレット達にひどいことをした奴らだ」
それを聞いて、一瞬焼き餅が心の中に湧き上がるが、ディアナもカグラの所へ来たときの彼女達、その悲惨な姿を知っている。
「じゃあ、教えてあげないといけないわね」
ディアナはそう言ったが……
「彼女達の記憶にもう彼らはいない。伝えることはない」
そう言ったら、思いだしたようだ。
「そういえば、こいつら賞金首だ」
そう言って、泣いていたはずのカグラが、突然何もなかった様に、草で編んだ頭陀袋を取り出す。
ぽいぽいと、首が袋に放り込まれて消えていく。
相変わらずよく判らない仕組みだが、もう流石に慣れた。
ただ、同時に、彼女は精神的に不安定なカグラにも気がつき、彼女の中で少し気になり始めた。
あまりというか、全然カグラのことを知らない。
ただ、今まではうれしさだけで付き合ってきたが、長く一緒にいると、舞い上がっていた気持ちも落ち着きを見せて、色々が気になりだしてきた。
カグラって一体? そんな事を考え込んでしまう。
そして、はっと気がつくと、すでに塚が作られていた。
無論、財宝は回収済みだ。
「向こうに、鹿がいる」
そう言って、突然走り始めるカグラ。
彼は自由だった。
「待ってよぉ」
そんな事は知られず。
ニコ国でも、いなくなった彼らを探し回っている。
当然だ。
王が居なくなり、盗賊達までいなくなると、行政を仕切っていた者が居なくなる。
それも、両国から戦争を仕掛けられているのだから、作戦その物が滞り、優秀な指揮官でもいなければ、軍の持ち直しは不可能だ。
そう残念だが、優秀な指揮官は、現在のニコ国軍には存在しない。
すると、どうなるのか……
「上から連絡は?」
「ありません」
どうすればいい?
戦闘中に悩んでいるのは、ニコ国ニスカ方面司令。
ニコ国第二次防衛軍。作戦指令リシャール=ポワロ大将。
彼は盗賊ではなく、立派なおバカ貴族。
今回手柄を挙げれば、現伯爵家が侯爵へと陞爵すると言われて来た。
無論、彼は軍など率いたことも無い。
無茶な命令を、現場の隊長達が何とかしてきていたのだが、いよいよもって手詰まりとなってきていた。
そして、ニコ国防衛軍、ヨウシア方面司令。
ラーフ=トンケンス大将も困っていた。
ラーフは、ラルスの部下だが、少し自意識が強く、仲が悪かった。
そのため、派遣されてきたのだが、来たときは偉そうなことを部下達にぶち上げていた。
だが実際に来てみると、姫の仇だと言うことで、敵の強さが尋常ではなく。いきなり押される。
そして、規格外の魔法なのか武器なのか、兵が一気に消滅をしてじり貧だった。
「ええい、ラルスの野郎、人員も武器も送ってきやがらねぇ。どういうつもりだぁ」
彼が、そんな事を叫んでいた頃。
すぐ近くで、カグラに殺されていた。
当然、カグラ達以外は誰もその事実を知らない……
そう実質、ニコ国は滅んでいた。
頭を振り雑念を払う。
「ディアナ。探査に集団が引っかかった。偵察に行くぞ」
「うん」
集団の移動速度は遅い。
探査により予測位置へ向けて、カグラ達は走って行く。
ディアナが十分ついて行ける速度だ。
そして見つけてしまう。
ラルス達、盗賊グループだ。
今度は、いきなり焼いたりしない。
この前街道で、ロジーヌ達の記憶に引きずられてしまい、焼いてしまったが、後で人相書きに載っていることを思い出した。
その後、正気になった彼は、大層悔しがったのである。
「人相書きの集団だ。ディアナ此処で待っていろ」
途中で考えていた、兵に連絡するとか、そんな物はどこかにすっ飛んでしまった。
ただまあ、相手は盗賊。
ニコ国の兵ではないという思いが、あったと言えばあったのだが。
多少この時、冷静さは飛んでしまっていた。
中には女達もいたが、どう見ても無理矢理ではなく、親しそうだし、盗賊の仲間だろう。
記憶に引きずられて、少し切れ気味のカグラには、容赦という文字は無かった。
それはまだ、戻っていない感情の欠片が、影響を与えているのかもしれない。
「うわっ、すごっ」
ディアナがつい口にするほど、その行動に躊躇は無かった。
「うん? 何だ」
森の中を、いい加減疲れたと思いながらの移動。
ニコ国での、贅沢三昧な生活がどうも体をなまらせたようだ。
そんな中、繁っていた笹の一部が揺れる。
そう、カグラ達がいたところの方が高い場所。
一気に斜面を下り、尾根と尾根の重なり合う谷のような所を逃げていた盗賊達に、狂気を湛えたカグラが襲いかかる。
それは一瞬だった。
先頭を歩いていた、部下の首がいきなりコロリと転がる。
それを見て女が悲鳴を上げようとしたが、その口からは声はもう出なくて、視界が勝手に移動する。
「なっ、畜生」
剣を持とうとしたが、その手は剣を掴むことなく落下。
カグラの剣が煌めく度に、どこかしら体のパーツが地面に転がっていく。
一人対三十人だが、それは少しリミッターの壊れた、カグラの相手にはならなかった。
武器すら抜く暇も無く、悲鳴も上げる暇も無く、ただ死んでいくだけ。
冷静なら、ヴァイオレット達が受けた苦しみを、盗賊達に少しは返せばよかったと思うのだろうが、それを思いついたときには、もう苦しみを感じる状態ではなかった。
呆然とみていたディアナだが、谷へと降りていく。
「カグラ……」
ディアナには理解できないが、なぜか両の目から涙をこぼし、泣いているカグラを抱きしめる。
これだけの人数を切ったのに、彼は返り血すら受けておらず、剣にも血が付いていない。
それは、攻撃がどれだけ鋭かったのかを、物語っている。
「どうしたの?」
泣いているカグラが気になる。
「こいつらが…… ヴァイオレット達にひどいことをした奴らだ」
それを聞いて、一瞬焼き餅が心の中に湧き上がるが、ディアナもカグラの所へ来たときの彼女達、その悲惨な姿を知っている。
「じゃあ、教えてあげないといけないわね」
ディアナはそう言ったが……
「彼女達の記憶にもう彼らはいない。伝えることはない」
そう言ったら、思いだしたようだ。
「そういえば、こいつら賞金首だ」
そう言って、泣いていたはずのカグラが、突然何もなかった様に、草で編んだ頭陀袋を取り出す。
ぽいぽいと、首が袋に放り込まれて消えていく。
相変わらずよく判らない仕組みだが、もう流石に慣れた。
ただ、同時に、彼女は精神的に不安定なカグラにも気がつき、彼女の中で少し気になり始めた。
あまりというか、全然カグラのことを知らない。
ただ、今まではうれしさだけで付き合ってきたが、長く一緒にいると、舞い上がっていた気持ちも落ち着きを見せて、色々が気になりだしてきた。
カグラって一体? そんな事を考え込んでしまう。
そして、はっと気がつくと、すでに塚が作られていた。
無論、財宝は回収済みだ。
「向こうに、鹿がいる」
そう言って、突然走り始めるカグラ。
彼は自由だった。
「待ってよぉ」
そんな事は知られず。
ニコ国でも、いなくなった彼らを探し回っている。
当然だ。
王が居なくなり、盗賊達までいなくなると、行政を仕切っていた者が居なくなる。
それも、両国から戦争を仕掛けられているのだから、作戦その物が滞り、優秀な指揮官でもいなければ、軍の持ち直しは不可能だ。
そう残念だが、優秀な指揮官は、現在のニコ国軍には存在しない。
すると、どうなるのか……
「上から連絡は?」
「ありません」
どうすればいい?
戦闘中に悩んでいるのは、ニコ国ニスカ方面司令。
ニコ国第二次防衛軍。作戦指令リシャール=ポワロ大将。
彼は盗賊ではなく、立派なおバカ貴族。
今回手柄を挙げれば、現伯爵家が侯爵へと陞爵すると言われて来た。
無論、彼は軍など率いたことも無い。
無茶な命令を、現場の隊長達が何とかしてきていたのだが、いよいよもって手詰まりとなってきていた。
そして、ニコ国防衛軍、ヨウシア方面司令。
ラーフ=トンケンス大将も困っていた。
ラーフは、ラルスの部下だが、少し自意識が強く、仲が悪かった。
そのため、派遣されてきたのだが、来たときは偉そうなことを部下達にぶち上げていた。
だが実際に来てみると、姫の仇だと言うことで、敵の強さが尋常ではなく。いきなり押される。
そして、規格外の魔法なのか武器なのか、兵が一気に消滅をしてじり貧だった。
「ええい、ラルスの野郎、人員も武器も送ってきやがらねぇ。どういうつもりだぁ」
彼が、そんな事を叫んでいた頃。
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そう実質、ニコ国は滅んでいた。
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