神の使徒は闇を走り、道化師は戯れる。ー 異世界、世直し道中記 ー

久遠 れんり

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最悪な国、ニコ国

第31話 動き出す物事

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「それで父達は、少しずつ物と人間をヨウシア国へと移動していたのです」
 彼女はそう言った。

「俺達は、ニコ国へ行くから駄目だな」
 至高の極ブルーノ達はそう言って却下。

 すると必然、時間に余裕がある俺達となる。
「ジャン達はどうするんだ?」
 境界の向こう達に聞く。
 この前からそんな素振りをしていたが、案の定。

「盗賊退治もしたし、俺達も帰るよ」
 なんて言い出した。
 俺は、亜空間庫から手配書に乗っていたおたずね者、三人の首を取り出す。
「なら、これを持って帰ってくれ」
「えっ? それはカグラが倒したんだし、俺達が持って帰る訳にはいかないよ。なあみんな」
 ジャンが振り返ると、ツィリ達はヘッドバンキングで答える。

「そうか、盗賊の討伐証明はどうするんだ?」
 そう聞くと、良い辛そうに答える。

「近ければ、死体を持って帰るし、なるべくなら生かして連れて帰ると、犯罪奴隷として一人銀貨一枚で引き取ってもらえる。それで…… そのままにしておけばギルドから調査が来るけど、埋めちゃったしどうしよう?」
 なんてことを言い始める。

 そう、そのまま埋めるとゾンビ化をしたりする。
 そのため、調査がてら神官さん達が来て、浄化をして埋葬をする。

「あーそりゃ、何とかならんかな」
「たぶん。でもまあ、この村があるし。カグラさんが浄化をしたことは、ギルドマスターも事情を知っていますよね?」
 そう聞かれて…… はい悩みました。

「埋めたところに目印を立てておこう。必要なら掘り返すだろう」
「ああー、そうですね」
 口ではそう言ったが、ジャン達はそ知らぬ顔。

 おまけに、ブルーノ達まで……

「判ったそういう事で良いだろう。女の子達に聞いて、班分けをしよう」
 話を聞いたのは、二人だけだったが、捕まっていた女の子は十五人ほど居た。
 だけど、やはりニコ国へは帰りたくないというので、俺達とツィリ達で分ける。

 最初はなぜか、全員がこっちに来ると、ヨウシア国行きを希望したが、ふとしたときに、俺達がヴァーラ国で生活をしていると言う事がバレると比率が変わった。

 まあ半分だな。
 ただこちらに残った、クレメンスティーナとセセリーは別として、捕まっていた女の子達六人は、イーリスがヨウシア国の商会、トシュテン商会の娘。父親の代わりに行商に来て捕まった。紙問屋らしい。
 イサベレとレイデはヨウシア国冒険者で、元々イーリスの護衛。

 ディーナ、エリデ、セッティ達は、ヨウシア国の農家で適当に攫われたらしい。
 問題は、村の名前を知らず、多分という事だ。

 ヴァーラ国行きを決めた七人は、まずエーレ、ニコ国エルンスト商会。穀物問屋らしい。捕まったときに父親は殺された。戻っても母親は継母で、上手くいっていないらしい。

 ヴィカとシンデラ、ジョーヴァはニコ国の冒険者。エーレ達の商会を護衛していた。
 クシーネ達は農民でマルテとアデリ、それに男の子数人と町に出て冒険者登録をするつもりだった。口減らしで村から出てきた連中だ。冒険者登録前でどこで登録をしても一緒だということで、俺達に付いてこようとしたらしい。
 結局、俺達はクレメンスティーナ達を送れば、ヴァーラ国へ帰ると言ったら、境界の向こう達について行くことになった。

 だから、それぞれ別れたが、俺達がヴァーラ国、ズィクムントの町へ帰るのはなぜか数年後となる。

 アンジェラが幾度となく仕事を放棄して、ニコ国へ向かおうとしたようだが、丁度ヨウシア国とニスカ国を巻き込んで戦争中だった。
 三つ巴ではなく、国単位で挟撃。

 ニコ国は最初、ダミアン国に対して攻撃を仕掛けようとした。
 ところがなぜか、すでに国が変わり、モナリチア王国となっていた。

 そこでなにか予定が狂ったらしいが、当然国土を軍が横切りそれを許せなかったニスカ国が怒る。

 そしてこれまた丁度その頃、どさくさ紛れになんとか救出された、ロジーヌ姫。ニコ国の西側に位置するヨウシア国は、救出によりニコ国にとらわれていた姫の話を聞き、当然だが王が怒る。

 旧ダミアン国との争いの中、後背を突かれあたふたとなる。

 そう戦争が起こったとき、すでにニコ国の勝ち目がなかった。
 
 だがそれが起こるのは少し後。

「それじゃあ気を付けてな」
 お互いにそう言って、三方へと別れた。

 
 ブルーノ達は問題なかったが、俺達とジャン達は、多くの女性連れ。
 どこからともなく湧いてくる、盗賊ホイホイとなっていた。

 そのため、男達は寝ずの番をする羽目となる。

 ジャンとツィリは交代をしたが、こっちは一人。

 言葉では、イサベレとレイデは、ヨウシア国冒険者のため夜番をするよと言ったのだが、道中の村でも素人の村人相手に足が震えていた。

 体を拘束されて、無理矢理の暴行。
 魔法で癒やしたが、心の深くに刻まれた恐怖は残っているようだ。

「不思議です。カグラなら怖くないのに」
 彼女達はそう言って、リハビリを求めてくる。

 ディアナは機嫌が悪いが仕方が無い。
「これは治療なんだ」
 そう言うと、敵も然る者。

「おかしな事に疼くの」
 そんな野営をしていたら、マルチタスクな思考が出来るようになった。

 警戒が何パーセント、攻撃準備が何パーセント、エッチに集中が何パーセントなどと言う事が。
 これが、日本でできていれば、きっと俺は日本一のドラマーになれたと思う。
 子供の時にやったことがあるが、どうしたっていつの間にか手足がシンクロしたんだよ。

 友達からお前には才能がないと、太鼓判を貰った。
 いや、大判焼きだったか?

 思い出したら、たこ判が食いたい。
「何を考えているの? ユスティさんのこと?」
 ディアナにそう聞かれるが、たこ判の説明が出来ない。
「いや、周囲警戒」
 そう言ったのに……
「嘘つき」
 そう言って、お尻をつねられた。
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