22 / 117
王都ヴァハマー、ギルド受付嬢のマリレーナ
第21話 ある絶望
しおりを挟む
御父様、御母様、お許しください。
あなたの娘は、あなた方の思い出が……
すべてぶっ壊れました……
「御父様達、大っ嫌いぃ」
彼は、私の物だと言って、数々の物を何もない空間から取り出している。
最初に、お腹の前にポケットがあるように出していたのは、何か様式美だとか?
カグラくんは、テーブルの上に宝石や、貴族の証とも言えるナイフが積まれていく。
「このナイフは、取り分け用の」
貴族家の晩餐会。
メインディッシュを、家主が取り分けて客人に振る舞う。
その時に使用されるナイフ。
見覚えがある。
このお金と、宝石。
そして御本?
「中身は読ませていただいた。申し訳ない」
そう言って彼は、私に頭を垂れる。
受け取ると、眩しくない程度の光の玉が部屋の中に浮かぶ。
「これは魔法?」
「ええまあ」
彼のおかげで、本の文字が見える。
備忘録、これは忘れてはいけないことなどを、書き綴った物。
古くは、御母様との結婚で行われた、行事しきたりの手順。
その頃に行っていた、業務。
おじいさまから伝えられた、重要事項などが書かれていた。
そして、御母様とのデートなど、心情と共に綴られていた。
えーと、エレン攻略ポイント……
読んではいけない気がする。
少し飛ばす。
だけど、えーと夢中なのか、しばらく御母様の攻略が書かれていた。
そして、引き継いだ仕事で、賄賂を貰い、嬉しかったこと。
一人前に扱われないと、賄賂はもらえないという理由らしい。
そうして、貴族同士の交流の中で、別夫婦達を集めての交流会……
同程度の家督。伯爵家の繋がり……
血のつながりを持つために、この交わりでできた子は我が子として育てよ。
母はいやがったのだが、貴族のしきたり。
そうして実行されて、彼女は快楽の沼へと沈む。
別の方との行為は格別な物がございます。
後に、そう語っていたと書かれていた。
御父様に見せつけながら、別の方と。
気がつかなかったが、妻の反応に対して、私が時折見せる悔しそうな顔が楽しいらしい。
婚姻では数に決まりがある。
だがこの方法なら、交わった相手が産んだ子は、我が子かもしれないというのが抑止となる。
そんな事が書かれていた。
「ベッドとか、机とかは出せないけれど、これは要る?」
そして彼が出した拘束具。
「ひっ、必要ありません差し上げます」
その日、彼とは何もなく、少しだけ御礼としてお金と宝石を渡した。
それを渡すと、彼は言う。
「一つだけ、秘密を教えましょう」
そう言って彼は、王を倒すことを宣言をして……
その場で消えた。
「はっ? なに? 彼はどこに?」
そう空間魔法が使えるということは、当然だが飛べる。
ただ気を付けないと、岩の中に埋まっていることがある。
そして、転移範囲にいると、相手を切り取ることも。
そう転移先に物質があると、俺の形に切り抜いてしまう。
それで、危ないから転移はめったに使わない。
大体は、目的の場所と空間を繋ぎ、よっこらしょと移動する。この方が安全だ。
その晩、彼がいなくなった後、一睡も出来ずに読み続けた。
御父様の悪事。
そして、変態な両親。
貴族の決まり。
「嫌…… 大嫌い……」
でも私がそう思うのは、多感な年頃を市位で暮らしたから。
貴族の行儀儀礼は、きっとあの先があったのね。
結婚相手の家は、大体格上になる。
嫁げば、向こうの家で逆らってはいけないのが、決まりとなっている。
朝、重たい頭と体をなんとか引きずり、ギルドに向かう。
カグラくんに会ったとき、どんな顔をしよう。
彼はあれを全部読んだと言った。
「絶望だわ、犯罪者でお家が潰されたのは、仕方が無いこと。皆がやっていて、権力のかさに入っている間は逮捕されないだけ……」
なんとか、自身の中で情報を昇華させる。
ギルドの開店準備を行い席に座る。
ギルドマスターがドアを開ける。
冒険者達は、朝一に良い仕事を取ろうと雪崩れ込むため、定期的にマスターが仁王立ちで迎える。
「おらあ、走るな並べ」
声を聞き、皆の動きが止まる。
「入ってきた順だ、割り込むな。そして仕事は仕事。えり好みをせずに受けろ」
皆、面倒な仕事は嫌い。
下水道に出る、ネズミ退治とか、レイス退治。
古い墓場で徘徊するゾンビ退治とか。
農家さんからの、ゴブリン駆除なども、どうしたって報酬が安い。
まあランクにより、様々だが、大体狩りを選択する。
数千人の人が暮らす王都だ。
肉などは、どうしたって需要が多く高額となる。
そんな物は奪い合い。
だけど、引き取り額は安くなるが伝票が無くても、駆除依頼や肉の引き取りはする。
そんな所を狙うのは幾人か居て、最近カグラくんが混ざった。
必ず、一日一頭担いでくる。
そんな人は、まず居ない。
皆が出払い静かになった頃、彼は、チームメイトになったディアナとやって来る。
彼女は、でれでれと、彼にしなだれ甘えている。
ざっとボードを見て、大抵は食堂の方へ向かうが目がとまる。
銅級向け依頼。
農場に出る狼退治。
素早く、群れで来るため凶暴。
それに対する支払いは、農家さんの個人負担だから多くはない。
「これを受ける」
「はい、頑張ってください」
私の顔は、かなり引きつった気がするけれど、彼は何も気にする様子はなく食堂に行ってしまった。
「お泊まりだね」
「ああ、そうだな。だけど困っているなら助けよう」
そんな二人は、いつもの様に、食事をして出て行った。
彼を、誘ってみようと思ったのに…… 今日に限って、遠方へ行ってしまった。
絶望をする、マリレーナだった。
あなたの娘は、あなた方の思い出が……
すべてぶっ壊れました……
「御父様達、大っ嫌いぃ」
彼は、私の物だと言って、数々の物を何もない空間から取り出している。
最初に、お腹の前にポケットがあるように出していたのは、何か様式美だとか?
カグラくんは、テーブルの上に宝石や、貴族の証とも言えるナイフが積まれていく。
「このナイフは、取り分け用の」
貴族家の晩餐会。
メインディッシュを、家主が取り分けて客人に振る舞う。
その時に使用されるナイフ。
見覚えがある。
このお金と、宝石。
そして御本?
「中身は読ませていただいた。申し訳ない」
そう言って彼は、私に頭を垂れる。
受け取ると、眩しくない程度の光の玉が部屋の中に浮かぶ。
「これは魔法?」
「ええまあ」
彼のおかげで、本の文字が見える。
備忘録、これは忘れてはいけないことなどを、書き綴った物。
古くは、御母様との結婚で行われた、行事しきたりの手順。
その頃に行っていた、業務。
おじいさまから伝えられた、重要事項などが書かれていた。
そして、御母様とのデートなど、心情と共に綴られていた。
えーと、エレン攻略ポイント……
読んではいけない気がする。
少し飛ばす。
だけど、えーと夢中なのか、しばらく御母様の攻略が書かれていた。
そして、引き継いだ仕事で、賄賂を貰い、嬉しかったこと。
一人前に扱われないと、賄賂はもらえないという理由らしい。
そうして、貴族同士の交流の中で、別夫婦達を集めての交流会……
同程度の家督。伯爵家の繋がり……
血のつながりを持つために、この交わりでできた子は我が子として育てよ。
母はいやがったのだが、貴族のしきたり。
そうして実行されて、彼女は快楽の沼へと沈む。
別の方との行為は格別な物がございます。
後に、そう語っていたと書かれていた。
御父様に見せつけながら、別の方と。
気がつかなかったが、妻の反応に対して、私が時折見せる悔しそうな顔が楽しいらしい。
婚姻では数に決まりがある。
だがこの方法なら、交わった相手が産んだ子は、我が子かもしれないというのが抑止となる。
そんな事が書かれていた。
「ベッドとか、机とかは出せないけれど、これは要る?」
そして彼が出した拘束具。
「ひっ、必要ありません差し上げます」
その日、彼とは何もなく、少しだけ御礼としてお金と宝石を渡した。
それを渡すと、彼は言う。
「一つだけ、秘密を教えましょう」
そう言って彼は、王を倒すことを宣言をして……
その場で消えた。
「はっ? なに? 彼はどこに?」
そう空間魔法が使えるということは、当然だが飛べる。
ただ気を付けないと、岩の中に埋まっていることがある。
そして、転移範囲にいると、相手を切り取ることも。
そう転移先に物質があると、俺の形に切り抜いてしまう。
それで、危ないから転移はめったに使わない。
大体は、目的の場所と空間を繋ぎ、よっこらしょと移動する。この方が安全だ。
その晩、彼がいなくなった後、一睡も出来ずに読み続けた。
御父様の悪事。
そして、変態な両親。
貴族の決まり。
「嫌…… 大嫌い……」
でも私がそう思うのは、多感な年頃を市位で暮らしたから。
貴族の行儀儀礼は、きっとあの先があったのね。
結婚相手の家は、大体格上になる。
嫁げば、向こうの家で逆らってはいけないのが、決まりとなっている。
朝、重たい頭と体をなんとか引きずり、ギルドに向かう。
カグラくんに会ったとき、どんな顔をしよう。
彼はあれを全部読んだと言った。
「絶望だわ、犯罪者でお家が潰されたのは、仕方が無いこと。皆がやっていて、権力のかさに入っている間は逮捕されないだけ……」
なんとか、自身の中で情報を昇華させる。
ギルドの開店準備を行い席に座る。
ギルドマスターがドアを開ける。
冒険者達は、朝一に良い仕事を取ろうと雪崩れ込むため、定期的にマスターが仁王立ちで迎える。
「おらあ、走るな並べ」
声を聞き、皆の動きが止まる。
「入ってきた順だ、割り込むな。そして仕事は仕事。えり好みをせずに受けろ」
皆、面倒な仕事は嫌い。
下水道に出る、ネズミ退治とか、レイス退治。
古い墓場で徘徊するゾンビ退治とか。
農家さんからの、ゴブリン駆除なども、どうしたって報酬が安い。
まあランクにより、様々だが、大体狩りを選択する。
数千人の人が暮らす王都だ。
肉などは、どうしたって需要が多く高額となる。
そんな物は奪い合い。
だけど、引き取り額は安くなるが伝票が無くても、駆除依頼や肉の引き取りはする。
そんな所を狙うのは幾人か居て、最近カグラくんが混ざった。
必ず、一日一頭担いでくる。
そんな人は、まず居ない。
皆が出払い静かになった頃、彼は、チームメイトになったディアナとやって来る。
彼女は、でれでれと、彼にしなだれ甘えている。
ざっとボードを見て、大抵は食堂の方へ向かうが目がとまる。
銅級向け依頼。
農場に出る狼退治。
素早く、群れで来るため凶暴。
それに対する支払いは、農家さんの個人負担だから多くはない。
「これを受ける」
「はい、頑張ってください」
私の顔は、かなり引きつった気がするけれど、彼は何も気にする様子はなく食堂に行ってしまった。
「お泊まりだね」
「ああ、そうだな。だけど困っているなら助けよう」
そんな二人は、いつもの様に、食事をして出て行った。
彼を、誘ってみようと思ったのに…… 今日に限って、遠方へ行ってしまった。
絶望をする、マリレーナだった。
0
あなたにおすすめの小説
猫好きのぼっちおじさん、招かれた異世界で気ままに【亜空間倉庫】で移動販売を始める
遥風 かずら
ファンタジー
【HOTランキング1位作品(9月2週目)】
猫好きを公言する独身おじさん麦山湯治(49)は商売で使っているキッチンカーを車検に出し、常連カードの更新も兼ねていつもの猫カフェに来ていた。猫カフェの一番人気かつ美人トラ猫のコムギに特に好かれており、湯治が声をかけなくても、自発的に膝に乗ってきては抱っこを要求されるほどの猫好き上級者でもあった。
そんないつものもふもふタイム中、スタッフに信頼されている湯治は他の客がいないこともあって、数分ほど猫たちの見守りを頼まれる。二つ返事で猫たちに温かい眼差しを向ける湯治。そんな時、コムギに手招きをされた湯治は細長い廊下をついて歩く。おかしいと感じながら延々と続く長い廊下を進んだ湯治だったが、コムギが突然湯治の顔をめがけて引き返してくる。怒ることのない湯治がコムギを顔から離して目を開けると、そこは猫カフェではなくのどかな厩舎の中。
まるで招かれるように異世界に降り立った湯治は、好きな猫と一緒に生きることを目指して外に向かうのだった。
ユーヤのお気楽異世界転移
暇野無学
ファンタジー
死因は神様の当て逃げです! 地震による事故で死亡したのだが、原因は神社の扁額が当たっての即死。問題の神様は気まずさから俺を輪廻の輪から外し、異世界の神に俺をゆだねた。異世界への移住を渋る俺に、神様特典付きで異世界へ招待されたが・・・ この神様が超適当な健忘症タイプときた。
異世界転生~チート魔法でスローライフ
玲央
ファンタジー
【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。
43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。
その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」
大型連休を利用して、
穴場スポットへやってきた!
テントを建て、BBQコンロに
テーブル等用意して……。
近くの川まで散歩しに来たら、
何やら動物か?の気配が……
木の影からこっそり覗くとそこには……
キラキラと光注ぐように発光した
「え!オオカミ!」
3メートルはありそうな巨大なオオカミが!!
急いでテントまで戻ってくると
「え!ここどこだ??」
都会の生活に疲れた主人公が、
異世界へ転生して 冒険者になって
魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。
恋愛は多分ありません。
基本スローライフを目指してます(笑)
※挿絵有りますが、自作です。
無断転載はしてません。
イラストは、あくまで私のイメージです
※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが
少し趣向を変えて、
若干ですが恋愛有りになります。
※カクヨム、なろうでも公開しています
令和日本では五十代、異世界では十代、この二つの人生を生きていきます。
越路遼介
ファンタジー
篠永俊樹、五十四歳は三十年以上務めた消防士を早期退職し、日本一周の旅に出た。失敗の人生を振り返っていた彼は東尋坊で不思議な老爺と出会い、歳の離れた友人となる。老爺はその後に他界するも、俊樹に手紙を残してあった。老爺は言った。『儂はセイラシアという世界で魔王で、勇者に討たれたあと魔王の記憶を持ったまま日本に転生した』と。信じがたい思いを秘めつつ俊樹は手紙にあった通り、老爺の自宅物置の扉に合言葉と同時に開けると、そこには見たこともない大草原が広がっていた。
神様の忘れ物
mizuno sei
ファンタジー
仕事中に急死した三十二歳の独身OLが、前世の記憶を持ったまま異世界に転生した。
わりとお気楽で、ポジティブな主人公が、異世界で懸命に生きる中で巻き起こされる、笑いあり、涙あり(?)の珍騒動記。
3歳で捨てられた件
玲羅
恋愛
前世の記憶を持つ者が1000人に1人は居る時代。
それゆえに変わった子供扱いをされ、疎まれて捨てられた少女、キャプシーヌ。拾ったのは宰相を務めるフェルナー侯爵。
キャプシーヌの運命が再度変わったのは貴族学院入学後だった。
悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる
竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。
評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。
身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。
神々の愛し子って何したらいいの?とりあえずのんびり過ごします
夜明シスカ
ファンタジー
アリュールという世界の中にある一国。
アール国で国の端っこの海に面した田舎領地に神々の寵愛を受けし者として生を受けた子。
いわゆる"神々の愛し子"というもの。
神々の寵愛を受けているというからには、大事にしましょうね。
そういうことだ。
そう、大事にしていれば国も繁栄するだけ。
簡単でしょう?
えぇ、なんなら周りも巻き込んでみーんな幸せになりませんか??
−−−−−−
新連載始まりました。
私としては初の挑戦になる内容のため、至らぬところもあると思いますが、温めで見守って下さいませ。
会話の「」前に人物の名称入れてみることにしました。
余計読みにくいかなぁ?と思いつつ。
会話がわからない!となるよりは・・
試みですね。
誤字・脱字・文章修正 随時行います。
短編タグが長編に変更になることがございます。
*タイトルの「神々の寵愛者」→「神々の愛し子」に変更しました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる