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王都ヴァハマー、ギルド受付嬢のマリレーナ
第19話 秘密
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『私ははめられた。すぐに追っ手が来るだろう。妻や子ども達を逃がさねば』
「お父さん、書いている暇があったら行動しろよ」
つい突っ込んでしまった。
それに関係する書類。
まあ良くある話、領の公共事業関連。
街道の橋梁整備と言う事で、国庫からの支援があった。
だが、報告書によると、造られた橋は算定による予算請求よりも、かなり安く造られていて、残った金は返さねばならない。
そして、請け負った業者からも、依頼礼金として金を取っていたとの事。
それに対する言い訳は、『私はあんなに多く貰っていない。はめられたんだ……』いや、グレーでもなく、クロじゃん。金額の大小じゃ無いだろう。
伯爵をなんとかしようと思ったら、都合の良い悪さをしていたので、そこを突っ込まれてどうやら罪を問われた。
「貴族も貴族だな」
そう、貴族も商人も、依頼礼金や謝礼などという名目で、公然と金があっちこっちしている。
そしてこの伯爵、裏金はきちっとまとめて、秘密の小部屋に設置されていた、金庫に入っていた。簡単な錠前なのですぐに開いた。
お金や宝石、そして代々伝わっているような装飾されたナイフ。
それを全てと、ベッドや書斎となった机、拘束具付きの台とか、椅子くらいの高さで、背中に十二センチほどの長さで太さ三センチくらいの妙な棒が出ていて、ゆらゆら揺れるロッキングチェアタイプのお馬さんの模型とか、全てを収納して屋敷を後にする。
無論、当然だが…… 両親の物は彼女の物、すべて彼女に返す。
この日記ごと、彼女に渡そう。
秘密の内容…… 多くは裏金の話だが、パパとママの愛の日記でもある。
紙は高いからねぇ。
『エレンは、触れるとかゆくなる木の汁が好みで、拘束をして塗り込めば、すぐに喜び始める。尻の穴に棒を…… よだれを流し…… まこと、色欲の化身……』
結構なご趣味で、楽しく拝読させていただいた。
侍女さん達も混ざってとか、他の人を呼んで、年に数回貴族を集めて、相手を交換してとかもしていたようだ。
退廃的な貴族社会。
「王も貴族も、この国は終わっているなぁ」
俺はつい、ぼやく。
薬草と生糸、そして鉱山。
それは莫大な金を生む。
そんな国で、代々利権をむさぼっていた連中、どいつもこいつもまともじゃ無い。
結構な収穫が伯爵の日記に書かれていて、主立った貴族同士の繋がりが相関図として書かれていた。
新王を中心とした、ガチガチに固められた組織。
そこへは、当然だが部外者は入ることなど許されず、上がる利益はがっちりと握りこんでいる。
それにより兵達を抱え込み、武力を整えて他国を侵略……
「くそがっ」
抱えているとドンドンと体温が失われ、重くなっていった彼女。
今だに…… というか、俺の記憶力が良くなっているのか、鮮明に思い出される。
これはこれで、辛いぞ……
楽しかったことを思い出そう。
俺は、涙をこぼしながら、楽しいことを思い出したら、一部が元気になる。
それをディアナが気がついたらしく、起き出してきて、夜が明けるまで頑張った。
倒れ込んでいる彼女を、強引に起こしてギルドへ向かう。
「ねむい」
「気にするな。慣れるよ」
こいつら、日が沈むと寝て、夜明けに起きる。
時期によっては、十時間以上も寝るんだ。
俺なんか、残業をそこそこに、家へと帰るとすぐに子どもを風呂に入れて、食事をして、片付けを一緒にして、その後神籬を寝かしつけて、今度は奥さんを寝かしつけて、夜中一時くらいから、自由時間。
三時くらいから寝て、五時半か六時に起きて、準備をして会社へ行く。
人間はなんとか、三時間くらい寝られれば生きていけることを学んだ。
この体だと、二晩くらいは寝なくとも…… いや寝ちゃって、ムカデに囓られたか……
まあいい、ギルドで適当に依頼を受けて、座って待っていたディアナに飯を食わせる。
「今日も狩りだ、鹿でも猪でも良いらしい」
「ほへっ? ひかっ?」
「食いながら喋るな」
ディアナも一応は、狩りが出来る。
背中には、ぼろだが弓も持っている。
だが言うほど簡単では無い。
動物たちは、匂いや振動などで、人間を探知して逃げてしまう。
ひょっとすると異世界、赤外線センサーを持った角兎とか居るかも知れない。
目が赤いしな。
―― 私はひょんな事で、助けられて拾われた?
この人は、カグラさん。
どう見ても年下だけど、年は判らないらしい。
まあ私たちも、あそこの子と同じくらいに生まれたから、何歳だろうと言われて育って来た。だから適当だけど。
若いのに銀級でお金持ち。
そして強い。
私を襲おうとした、リカルドの首をはね、私の後ろにいたバルカバとスラーフの首をはねた。
早すぎて見えなかったが、スラーフの首が転んでいって、頭から血をかぶった。
次に気がついたとき、河原で私は寝ていた。
そうだ襲われて、その事を思い出してつい声を上げる。
だけど、そんな私を見下ろす顔。
「知り合いだったなら悪い。もう殺した」
そう言われて思い出す。
「そう、そうよ。あいつら、強いのに」
思い出した、テイメン達の無残な死。
「弱かったぞ」
「あーうん。ソウダネ」
そうでしょうとも、私には彼の動きが見えなかった。
気がつけば、首がコロコロ。
そして気がつく、お尻の下は石だけど、背中に当たる腕の感じ。
抱っこされている?
うひゃあぁ、立ち上がり、走り出したら川が目の前に……
止まろうと思ったけれど、足元はゴロゴロした丸い石。
足を取られて躓き、頭の方からザンブリと川の中へ。
川は当然の様に浅く、鼻を打った。
あわてて立ち上がり気がついた。
血をかぶったのに汚れが無い。
それどころか、防具などに染みていた汚れまで……
気を失っていた間に、洗ってくれた?
なら、すでに全部見られた……
あーでも、彼なら良いか。
その時は気がつかなかった、装備などを洗えば、乾くまでに一日くらいは掛かる。
そんなに眠っているはずは無いのにと。
「お父さん、書いている暇があったら行動しろよ」
つい突っ込んでしまった。
それに関係する書類。
まあ良くある話、領の公共事業関連。
街道の橋梁整備と言う事で、国庫からの支援があった。
だが、報告書によると、造られた橋は算定による予算請求よりも、かなり安く造られていて、残った金は返さねばならない。
そして、請け負った業者からも、依頼礼金として金を取っていたとの事。
それに対する言い訳は、『私はあんなに多く貰っていない。はめられたんだ……』いや、グレーでもなく、クロじゃん。金額の大小じゃ無いだろう。
伯爵をなんとかしようと思ったら、都合の良い悪さをしていたので、そこを突っ込まれてどうやら罪を問われた。
「貴族も貴族だな」
そう、貴族も商人も、依頼礼金や謝礼などという名目で、公然と金があっちこっちしている。
そしてこの伯爵、裏金はきちっとまとめて、秘密の小部屋に設置されていた、金庫に入っていた。簡単な錠前なのですぐに開いた。
お金や宝石、そして代々伝わっているような装飾されたナイフ。
それを全てと、ベッドや書斎となった机、拘束具付きの台とか、椅子くらいの高さで、背中に十二センチほどの長さで太さ三センチくらいの妙な棒が出ていて、ゆらゆら揺れるロッキングチェアタイプのお馬さんの模型とか、全てを収納して屋敷を後にする。
無論、当然だが…… 両親の物は彼女の物、すべて彼女に返す。
この日記ごと、彼女に渡そう。
秘密の内容…… 多くは裏金の話だが、パパとママの愛の日記でもある。
紙は高いからねぇ。
『エレンは、触れるとかゆくなる木の汁が好みで、拘束をして塗り込めば、すぐに喜び始める。尻の穴に棒を…… よだれを流し…… まこと、色欲の化身……』
結構なご趣味で、楽しく拝読させていただいた。
侍女さん達も混ざってとか、他の人を呼んで、年に数回貴族を集めて、相手を交換してとかもしていたようだ。
退廃的な貴族社会。
「王も貴族も、この国は終わっているなぁ」
俺はつい、ぼやく。
薬草と生糸、そして鉱山。
それは莫大な金を生む。
そんな国で、代々利権をむさぼっていた連中、どいつもこいつもまともじゃ無い。
結構な収穫が伯爵の日記に書かれていて、主立った貴族同士の繋がりが相関図として書かれていた。
新王を中心とした、ガチガチに固められた組織。
そこへは、当然だが部外者は入ることなど許されず、上がる利益はがっちりと握りこんでいる。
それにより兵達を抱え込み、武力を整えて他国を侵略……
「くそがっ」
抱えているとドンドンと体温が失われ、重くなっていった彼女。
今だに…… というか、俺の記憶力が良くなっているのか、鮮明に思い出される。
これはこれで、辛いぞ……
楽しかったことを思い出そう。
俺は、涙をこぼしながら、楽しいことを思い出したら、一部が元気になる。
それをディアナが気がついたらしく、起き出してきて、夜が明けるまで頑張った。
倒れ込んでいる彼女を、強引に起こしてギルドへ向かう。
「ねむい」
「気にするな。慣れるよ」
こいつら、日が沈むと寝て、夜明けに起きる。
時期によっては、十時間以上も寝るんだ。
俺なんか、残業をそこそこに、家へと帰るとすぐに子どもを風呂に入れて、食事をして、片付けを一緒にして、その後神籬を寝かしつけて、今度は奥さんを寝かしつけて、夜中一時くらいから、自由時間。
三時くらいから寝て、五時半か六時に起きて、準備をして会社へ行く。
人間はなんとか、三時間くらい寝られれば生きていけることを学んだ。
この体だと、二晩くらいは寝なくとも…… いや寝ちゃって、ムカデに囓られたか……
まあいい、ギルドで適当に依頼を受けて、座って待っていたディアナに飯を食わせる。
「今日も狩りだ、鹿でも猪でも良いらしい」
「ほへっ? ひかっ?」
「食いながら喋るな」
ディアナも一応は、狩りが出来る。
背中には、ぼろだが弓も持っている。
だが言うほど簡単では無い。
動物たちは、匂いや振動などで、人間を探知して逃げてしまう。
ひょっとすると異世界、赤外線センサーを持った角兎とか居るかも知れない。
目が赤いしな。
―― 私はひょんな事で、助けられて拾われた?
この人は、カグラさん。
どう見ても年下だけど、年は判らないらしい。
まあ私たちも、あそこの子と同じくらいに生まれたから、何歳だろうと言われて育って来た。だから適当だけど。
若いのに銀級でお金持ち。
そして強い。
私を襲おうとした、リカルドの首をはね、私の後ろにいたバルカバとスラーフの首をはねた。
早すぎて見えなかったが、スラーフの首が転んでいって、頭から血をかぶった。
次に気がついたとき、河原で私は寝ていた。
そうだ襲われて、その事を思い出してつい声を上げる。
だけど、そんな私を見下ろす顔。
「知り合いだったなら悪い。もう殺した」
そう言われて思い出す。
「そう、そうよ。あいつら、強いのに」
思い出した、テイメン達の無残な死。
「弱かったぞ」
「あーうん。ソウダネ」
そうでしょうとも、私には彼の動きが見えなかった。
気がつけば、首がコロコロ。
そして気がつく、お尻の下は石だけど、背中に当たる腕の感じ。
抱っこされている?
うひゃあぁ、立ち上がり、走り出したら川が目の前に……
止まろうと思ったけれど、足元はゴロゴロした丸い石。
足を取られて躓き、頭の方からザンブリと川の中へ。
川は当然の様に浅く、鼻を打った。
あわてて立ち上がり気がついた。
血をかぶったのに汚れが無い。
それどころか、防具などに染みていた汚れまで……
気を失っていた間に、洗ってくれた?
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