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第二章 チーム戦?

第37話 告白

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「くっ苦しい」
 飢餓が、前より辛い。

 幾人か食ったが、収まらない。
 力は増している。

 私は諦め、昔よく通った道を、よく知っている家に向かい歩いて行く。

 ドアの前で、30分ほど悩み。ベルを押す。

「ほーい」
 間抜けな声を出し、奴がでてくる。
 私に、こんな苦悩をおわせた奴。
 
 理性では、嫌がるのに、心の奥底でもだえ苦しむように、彼を求めてしまい制御が出来ない。
「おじゃま」
 そう言って、家に上がり込む。
 つい、周りを見る。
 変わらない。

 後ろを付いてくる、総に悔しいが言い放つ。
「総。何でもするから頂戴」

 2階に上がり、ドアを開く。
 すぐに、服を脱ごうとしたら、目の前には凜とした空気を纏い。
 私の親友。いえ。親友だった女。

「なっ奏」
「おやこれは、一美。何をする気ですか。お忙しい総には順番があります。今からは私の番。あなたは、末席。そこに着座し、おとなしくお待ちなさい。それが礼儀」
 振り返るが、何も言わない総。
 ただ私を見つめる。
「くっ」

 一人分間を空けて、座る。
 なんでこんな。チームの中で君臨し、私の強力な力で。
 なのにそれが、なんなのよこいつら。

 奏は女の子の日だったようで、口と手で愛おしむ様に総を相手している。
 総はそれを、なだめるように頭をなで、奏もそれを嬉しそうに受ける。

 しばらくして、終わったのだろう。
 ティッシュで、口を拭い離れる。
「総ごめんね。満足できなかったと思うけれど、後が控えているから、かわいがってあげて」
 そう言って、奏はこちらをちらっと見て、部屋を出て行く。

 私は、涙とよだれ、色々な物を流しながら。
 悔しくて、たまらなかった。

「どうするんだ? するのか?」
「するに決まっているでしょ」
 そう言って、総に触れる。
 それだけで、幸せになる。

 長年待ち続けたような、渇望が埋められていく。
 抱きしめられ、脱がされる。
 直に触れるともうだめ、本当に色々な物があふれて気持ちまで抑えられなくなった。
 無我夢中で、あふれる快楽の向こうに、乾ききった心が埋められる。
 一度では収まらず、幾度となく彼を欲した。
 無論、彼を元気にするため口も使った。

 そのものは、これ以上なく甘く甘露。
 奏の表情。その理由が分かった。

 脳に近いところでの快感。
 甘受できる感覚が、多ければ多いだけ幸福度が増す。

 結局足腰は立たず、何年ぶりかで総のベッドで寝る。

 夜半、物音で目を覚ます。

 少し離れた所で、くみと言う女を相手にしている総がいた。
 でもそれを見て、悔しいとかは思わなかった。
 あんな風に愛して欲しい。
 慈しむような行為。

 お互いがお互いを高め合うような。

 やがて、満足をしたのだろう。
 軽いキスの後、窓から出て行く。
 獣のような動き。
 月の光の中。その姿を美しいと感じた。

 もう私の心に渇望はなく、満たされている。
 早く、彼に抱かれればよかったのに。つまらないちっぽけな意地、なんの役にも立たない。彼の庇護に入るだけで安心して暮らせる。
 そんな安心感が、私を支配する。

 翌朝、もう一度抱いて貰い。
 おばさんに、言い訳をして。
 朝ご飯まで頂いて帰った。

 家に帰ると、家の前に奏が立っていた。
「どうだった? 初恋の人は?」
「はっ?違うし」
「どの辺りが? ずっと彼のことを気にして文句を言って。辛ければ頼ってくれば良いのになんて言って、空手もそのために続けていたんでしょ」

 そう言われて、何も言い返せなかった。

「彼の友人。明智だっけ。聞いた所によると、総。彼つい最近まであなたのことを好きだったみたいよ。初恋を引きずっているって、ぼやいていたみたい。よかったわね」
 それだけ伝え、奏は帰って行った。
 いつから、待っていたのよ。
 友人だけどたまに怖いわ。

 家に帰り母さんにも言い訳する。
 泊まることは、言ってあった。
「不可抗力だから」
 そうは言ったが、母さんに言われる。
「何があったかは聞かないけれど、あんた相当気持ちが悪い顔をしているわよ。今晩は、お赤飯かな。お父さんが泣くわよ」
 そう言って、台所に行ってしまった。

 洗面所にいく。
 鏡に映る私は、非常にすっきりした顔で、満面の笑みを浮かべていた。
「何よ。締まりのない顔」
 顔を直そうとするけれど、心が許してくれない。

 私は、ずっと無表情で冷たいとか言われ続けてきたのに。
 何よ、この顔。

 その晩本当に、赤飯だった。
 お父さんは、本当に泣いた。

 お風呂へ入って鏡を見る。
 まだ顔が、ニヤけて戻らない。
 自分で体を洗うため、触れるだけで彼との行為を思い出す。

 又触れてほしい。
 あの女のように抱いてほしい。
 満たされていた心に、痛みが走る。

 その晩は数年ぶりに、ゆっくり寝た。

 翌日。夕方に彼の家に向かっていた。

 又、奏が居る。

 ドキドキしながら、上がっていく。
 そして、二人の脇に。
 黙って座り。自分と重ねて、行為を見守る。

 そして、自分の番。
 彼に伝えた、自分の気持ち。
「ずっと好きだったの」

 彼は答える。
「そう。ありがとう」
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