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第二章 チーム戦?

第21話 私はこうして、入り込む

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「ふう良かったよ。総」
 そう言って、花蓮がぐったりしている俺の頭をなでる。

「なにか、流行なのか、それ?」
「何それ?」
「いや、なんでもない」

 結局、一回して。
 着けると駄目ね。
 などと言って、ぱっくりされた。

 何か、流れ込んでくる物が、不足するらしい。

 一緒に、下へ降りると、母さんから声が聞こえる。
「ねえ、彼女さんなの?」
「はいそうです。おかあさま。前田花蓮と申します。先輩の1つ下です」
「あら、かわいいわね。天ぷら作るから一緒に食べていく?」
「はい。お手伝いします」
「じゃあ。お願いするわね。あっ。お家に連絡をしておかないと、心配するわよ」
「そうですね。電話します」

 そして電話をしたが、途中で母さんまで話をして、助けただの、助けられただなど色々長電話をして電話が終了。
 その間、俺は天ぷらを揚げ、そうめんを湯でる。

 水でさらし、きっちりと粗熱を取る。

 天ぷらは、なるべく少量ずつ揚げる。
 温度が下がると、からっとならないからな。

 ついでに、父さんのつまみ用。長芋スティックや、鳥胸をスライスをして天ぷらにしていく。鳥は、ショウガと出汁、醤油とみりんで下味を付ける。

 辛子と、ポン酢で頂くと上手い。

「あら。不思議。家ってたまに、小人さんが出てきて、料理してくれるのよ。便利でしょ」
「良いですね。あっ」
 花蓮の口に、アスパラを突っ込む。

「あつ。でも美味しい」
「それって、さぬきのめざめって言う品種なの。立派で美味しいでしょ」
「そうなんですね。甘くて、柔らかい」

 ギャアギャア言っている間に、取り皿や器を用意する。

 そうしているうちに、父さんが帰ってくる。
 そうめんを見て、またかと思ったようだが。
 俺が天ぷらを持っているのを見て、にやけながら、いそいそと風呂場へ向かった。

 俺が天ぷらを作ると、必ずとり天を作ることを知っている。
 きっと風呂上がりには、ビールを抱えてくるだろう。

 そして、食卓は賑やかだった。

 花蓮が、意外とじゃないな。こいつは、人ったらしだ。あることないことを織り交ぜ。俺に助けてくれたことを喧伝し、モテるから大変なんですと家族にばらす。

 すると、父さんがつまらないことを言い始める。
「いかんな。こんな彼女がいながら、余所に色目を使うなど」
 

 当然花蓮も。
「そうでしょ。そうでしょ。もっと言ってあげてください」
 などと、調子に乗る。

 そうして、食事後。
 当然。
「物騒だから、送っていってあげなさい」
 そんなことになり、送っていく。

「あー楽しかった。良いご家族ですね」
「そうか」
「明日から、部活の帰りに寄りますので。送り。よろしくお願いします」

 そうして、花蓮の家に到着し。当然、素直に、さよならとはならなかった。

 親が出てきて、話をする。
 妹の杏果(ももか)ちゃんも、今、中学2年生だから不安でね。
 とか言う、話になる。

 花蓮の親は共稼ぎ。そのため、不安らしい。
 ただまあ、当然中学校の方が近いし、帰宅時間も早い。
 送ってこいとはならなかったが、花蓮が部活の帰りに、家によって勉強の後に送ってきてもらうと言ったので、少し空気がピキッとなった。
 主にお父さんが。

「2人でと言うのはあれだな。勉強をするなら、杏果も一緒にお願いしようかな。そうすれば、私たちが留守の間。心配しなくてすむ」
「あっそれなら、私が家へ先輩を連れてくれば良いのよ。先輩料理もできるし。今日頂いた天ぷら美味しかったよ」

「ほう。そうなのか。良いことだ。男も料理くらいできなくてはね」
 お父さんがそう言うと、お母さんの目が鋭くなる。
「そうね。お父さん。料理くらいしてくれれば、随分助かるわ」
「あっ。うん、そうだな」

 そんなこんなで、訳が分からず。話が決まる。
 明日から俺は、前田家で、昼飯を作るらしい。
 帰りに、本屋で毎日の献立でも買って帰ろう。

 そして、やっと帰りだが。
 当然、うろうろと徘徊をする。

 あの2人が、最近飢餓感がなくなって、食わなくても大丈夫になったのは、俺が食われているんじゃないだろうか。とくに、くみは、かなりきつい。
 残り一滴まで、食われている気がする。

 さてと、最近覚えた。お誘いをしてみよう。
 俺は公園の真ん中で、力を少し解放する。
 最近、常時開放していると、追いかけられるようになって来た。
 逆に、こいつも能力者だと分かる様にもなった。

 徐々に、皆が変化をしているのだろう。

「あー匂うぞ。お仲間だあ」
 そんなことを言いながら、近寄ってくる男が一人。
 相手が分かるなら、そこそこ強いはずだが。
 視界の外から、鞭が来た。

 だが遅い。
 掴んで、引っ張る。
 目の前にいた奴が、とんでもない方向へすっ飛んでいく。
「あれ?」
 いくつかの木を経由していたらしく。
 至る所で、ゴンとか、ガンとか音が聞こえる。
 どんどんたぐると、血だらけになった、さっきの男が地面を転がってきた。

 ヒクヒクしていたので、いただく事にする。

「あんた、変わった力だな。虫でも動物でもないな。変な奴」
 そう言って、変な奴が、出てきた。
「さっきから、見ていただろう」
「ああ。でも分からなかったが。まあいい。殺ったほうが勝ちだ。俺の必殺パンチを受けてみろ。ギャラクティカ・まっ」
 そこまで聞いて、やかましいから食った。
「そこそこ力があったな。帰ろ」

 そして。
「せ~ん。ぱぁ~い。食わせろ~」
 うん来るよね。
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