上 下
45 / 58
第3章 テラグランデ大陸統一へ

第45話 やっちまったなあ。

しおりを挟む
 一月後。再びセトプレコウグニアス共和国へと出発をする。 
 日本の外務省と自衛隊。
 シウダー王国と諏訪王国。
 ほぼ前回と同じだが、自衛隊の緊張感が強い。

 王妃ステファニアさんも日本には来たが、フィオリーナやメイドさん。まことも一緒に、まことのお母さんである久美子さん45歳発案で、近くのホテルで開催されている、スパ&エステ1泊2日。『つるっつる。ぷるっぷる体験』に参加するようだ。

 いやまあ、この一月。色々あったんだよ。
 今、俺は、日本国国籍をなくしている。

 まあ、共和国においての議事録で、こいつやべえとなったようだ。
 ほんとかどうかは知らないが、建前は二重国籍はだめと言うのが、正式な理由のようだ。

 おかげで急遽。諏訪王国において国民登録と外に行くやつはパスポートを作った。
 日本より高性能。
 魔力紋認証式だ。国をシールドで包み、そこを抜けるにはパスポートを持っていないと通れないようにした。

 このシールド発生魔道具。
 壊れているからいいやと言って、魔王の封印用魔道具を持ってきた。
 いや最初は、修理して再設置する気だったんだよ。
 ところが一度ばらすと、中央部分である時空管理関係が再構築できないようになっていたんだもの。
 想像では、中間に封入されていた材料が、多分内部では固体だったはず。
 ばらして光に当たると、あっという間に溶けてしまった。
 俺は悪くない。多分。

 うちの錬金術師も泣いていたから、責任は負わせていない。
 それでまあ、わかるところを改造して、シールド装置を作り直した。
 最初に大陸へ設置したシールドも、変更しなきゃな。
 忘れていたが、初期に日本に言われて、この大陸全体をまとめてシールドで覆ってある。
 単純物理タイプで、解除用魔道具を持っていれば、設定範囲だけシールドを中和する奴。
 よく考えれば、それのせいでアメリカは、共和国に接触できなかったのではないだろうか?


 まあその後、日本と根回しをした国々には、無事正式に国と国王と認められた。
 むろん、シウダー王国もである。

 おれは、必然として日本の法から解放された。
 そのおかげで、周りがはしゃいでいる。


 まあそれはさておき、出発した我々は、ヘリコプターでセトプレコウグニアス共和国と諏訪王国の国境へと近づく。
 遠目で見ても、怪しいものが並んでいる。
「「どうしましょう?」」
  自衛隊員と、佐々木さんから、同時に相談が来る。

「先触れはすでにしています。このままいきましょう。ですが、録画を開始してください。全機にシールドを張ります。もう大丈夫です。行ってください」
「本当に? では、大型輸送ヘリコプターCH-47J/JAパイロット。2等陸尉30歳。小松一輝、独身。行きまーす」

 なぜかそんなことを叫んで、突っ込んでいく。

 予想通りだが、光に包まれる。

 レーザータイプと雷か? 
「どうします? 反撃しますか? ここはまだうちの国だから大義名分は立つし、なめられるとめんどそうなんですが?」
「日本としては、一旦対応を聞きます」
「じゃあ、この辺りでホバリングしておいてください。私はちょっと行ってきます」
 そう言い残し、転移しようとしたら、すかさずシャジャラが張り付いて来る。
 シャジャラは、エステエステと小躍りする皆を横目に、血涙を流しながら、俺と一緒に来た。

 一緒に、奴らの前に転移する。
 気が付いた奴が撃ってきたのではじき返す。
「今俺の事を知っていて撃って来たな。どうなるのか理解はしているな」
「私が、おさめますので」
 そう言って、シャジャラが力を使うが、効かないな。

「シャジャラ。あのヘルメットだろう。たぶん精神系の攻撃をシールドしている」
「フン。こざかしい」
 シールドを張りながら、どんどん近づいて行く。


「おっおい。なんだあいつ。どこかの国王だという話じゃなかったのか?」
「収束したエネルギーをはじき返している。多分高性能なシールドだ。撃てばそのうちエネルギーが切れるだろう」
「いや隊長。先にこっちの魔道具が焼ききれます。発射孔が真っ赤で変形が始まっています」

「そっそうだ。物理だ弓を使え」
「魔力干渉型レール弓ですか? この距離で?」
「良いからやれ」

 超大型の弓がやってくる。
 一見巨大なボウガンのような形。引き絞った弦には、金属の矢が番えられている。ただその先に、長いパイプが付いている。
 発射した金属の矢は、筒に入ると、雷魔法がレールに流れる。
 その時ローレンツ力が働き一気に加速され、金属の矢は溶けかかり塊となって真司に当たる。
 その後、ターンと言う音が追いかけてくる。

 そう、まさに魔法によるレールガン。

 さすがの真司も、矢を見ることができなかった。
「なんだ? 今のは矢が見えなかったぞ。シールドも3枚ほど抜かれた。初めてだ」


 下の様子を見ていたヘリコプターも、あれが何か気が付いた。さすが自衛隊員。
 拡声器で叫ぶ。
「諏訪さん。その弓はレールガンです。ヘリでは無理なので一度帰ります」
 すると頭の中に声が響く。
〈わかった。俺が押さえておくから帰ってくれ。今の状況だと居られると邪魔だ〉
「お願します」
 そう言って、スピードを落とさないように旋回して日本側へと引き上げる。

 その後ろで、世界が染まるほどの白い雷が、何もない空間から生まれ。セトプレコウグニアス共和国国境守備隊3千人が消滅した。

「あー。手加減ミスった。レールガンと聞いて、テンションが上がっちまった」
 真司の後ろから横に出て来たシャジャラは、目の前の景色を見てうっとりとする。
 今までの歴代魔王にも、成す事ができなかった圧倒的な力。
「せっかく我慢して気を付けていたのに。一瞬で大量殺戮者だ」
 ぼそっと、真司がつぶやく。
 目の前に広がる、何もない空き地に向かい手を合わる。
 国境線へ向かうと、幅10cmほどで6mほどの溝を刻む。
 その先、海まで一気に壁が50cmほどの高さで生えてくる。
 反対側も溝の端から、山脈に向けて同じように壁が生える。
「見ろシャジャラ。土木工事が役に立ったぞ」
 そう言いながら振り返った真司は、少し悲しそうな顔をしていた。
 そっと、シャジャラの手を取ると転移をした。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

転生無双の金属支配者《メタルマスター》

芍薬甘草湯
ファンタジー
 異世界【エウロパ】の少年アウルムは辺境の村の少年だったが、とある事件をきっかけに前世の記憶が蘇る。蘇った記憶とは現代日本の記憶。それと共に新しいスキル【金属支配】に目覚める。  成長したアウルムは冒険の旅へ。  そこで巻き起こる田舎者特有の非常識な勘違いと現代日本の記憶とスキルで多方面に無双するテンプレファンタジーです。 (ハーレム展開はありません、と以前は記載しましたがご指摘があり様々なご意見を伺ったところ当作品はハーレムに該当するようです。申し訳ありませんでした)  お時間ありましたら読んでやってください。  感想や誤字報告なんかも気軽に送っていただけるとありがたいです。 同作者の完結作品「転生の水神様〜使える魔法は水属性のみだが最強です〜」 https://www.alphapolis.co.jp/novel/743079207/901553269 も良かったら読んでみてくださいませ。

いきなり異世界って理不尽だ!

みーか
ファンタジー
 三田 陽菜25歳。会社に行こうと家を出たら、足元が消えて、気付けば異世界へ。   自称神様の作った機械のシステムエラーで地球には帰れない。地球の物は何でも魔力と交換できるようにしてもらい、異世界で居心地良く暮らしていきます!

ぽっちゃり女子の異世界人生

猫目 しの
ファンタジー
大抵のトリップ&転生小説は……。 最強主人公はイケメンでハーレム。 脇役&巻き込まれ主人公はフツメンフツメン言いながらも実はイケメンでモテる。 落ちこぼれ主人公は可愛い系が多い。 =主人公は男でも女でも顔が良い。 そして、ハンパなく強い。 そんな常識いりませんっ。 私はぽっちゃりだけど普通に生きていたい。   【エブリスタや小説家になろうにも掲載してます】

婚約者に忘れられていた私

稲垣桜
恋愛
「やっぱり帰ってきてた」  「そのようだね。あれが問題の彼女?アシュリーの方が綺麗なのにな」  私は夜会の会場で、間違うことなく自身の婚約者が、栗毛の令嬢を愛しそうな瞳で見つめながら腰を抱き寄せて、それはそれは親しそうに見つめ合ってダンスをする姿を視線の先にとらえていた。  エスコートを申し出てくれた令息は私の横に立って、そんな冗談を口にしながら二人に視線を向けていた。  ここはベイモント侯爵家の夜会の会場。  私はとある方から国境の騎士団に所属している婚約者が『もう二か月前に帰ってきてる』という話を聞いて、ちょっとは驚いたけど「やっぱりか」と思った。  あれだけ出し続けた手紙の返事がないんだもん。そう思っても仕方ないよでしょ?    まあ、帰ってきているのはいいけど、女も一緒?  誰?  あれ?  せめて婚約者の私に『もうすぐ戻れる』とか、『もう帰ってきた』の一言ぐらいあってもいいんじゃない?  もうあなたなんてポイよポイッ。  ※ゆる~い設定です。  ※ご都合主義です。そんなものかと思ってください。  ※視点が一話一話変わる場面もあります。

【完結】私だけが知らない

綾雅(りょうが)祝!コミカライズ
ファンタジー
目が覚めたら何も覚えていなかった。父と兄を名乗る二人は泣きながら謝る。痩せ細った体、痣が残る肌、誰もが過保護に私を気遣う。けれど、誰もが何が起きたのかを語らなかった。 優しい家族、ぬるま湯のような生活、穏やかに過ぎていく日常……その陰で、人々は己の犯した罪を隠しつつ微笑む。私を守るため、そう言いながら真実から遠ざけた。 やがて、すべてを知った私は――ひとつの決断をする。 記憶喪失から始まる物語。冤罪で殺されかけた私は蘇り、陥れようとした者は断罪される。優しい嘘に隠された真実が徐々に明らかになっていく。 【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ 2023/12/20……小説家になろう 日間、ファンタジー 27位 2023/12/19……番外編完結 2023/12/11……本編完結(番外編、12/12) 2023/08/27……エブリスタ ファンタジートレンド 1位 2023/08/26……カテゴリー変更「恋愛」⇒「ファンタジー」 2023/08/25……アルファポリス HOT女性向け 13位 2023/08/22……小説家になろう 異世界恋愛、日間 22位 2023/08/21……カクヨム 恋愛週間 17位 2023/08/16……カクヨム 恋愛日間 12位 2023/08/14……連載開始

クラス転移で神様に?

空見 大
ファンタジー
集団転移に巻き込まれ、クラスごと異世界へと転移することになった主人公晴人はこれといって特徴のない平均的な学生であった。 異世界の神から能力獲得について詳しく教えられる中で、晴人は自らの能力欄獲得可能欄に他人とは違う機能があることに気が付く。 そこに隠されていた能力は龍神から始まり魔神、邪神、妖精神、鍛冶神、盗神の六つの神の称号といくつかの特殊な能力。 異世界での安泰を確かなものとして受け入れ転移を待つ晴人であったが、神の能力を手に入れたことが原因なのか転移魔法の不発によりあろうことか異世界へと転生してしまうこととなる。 龍人の母親と英雄の父、これ以上ない程に恵まれた環境で新たな生を得た晴人は新たな名前をエルピスとしてこの世界を生きていくのだった。 現在設定調整中につき最新話更新遅れます2022/09/11~2022/09/17まで予定

完結【真】ご都合主義で生きてます。-創生魔法で思った物を創り、現代知識を使い世界を変える-

ジェルミ
ファンタジー
魔法は5属性、無限収納のストレージ。 自分の望んだものを創れる『創生魔法』が使える者が現れたら。 28歳でこの世を去った佐藤は、異世界の女神により転移を誘われる。 そして女神が授けたのは、想像した事を実現できる創生魔法だった。 安定した収入を得るために創生魔法を使い生産チートを目指す。 いずれは働かず、寝て暮らせる生活を目指して! この世界は無い物ばかり。 現代知識を使い生産チートを目指します。 ※カクヨム様にて1日PV数10,000超え、同時掲載しております。

災禍の令嬢ヴィヴィアンは、普通に無難に暮らしたい

ねこたまりん
ファンタジー
【第一章 完結】 普通に、無難に、心静かに暮らしたい。 孤独で過酷な生い立ちを持つ少女、ヴィヴィアン・ウィステリアの願いは、それに尽きる。 大好きな街の人々や友人たちを助けるために、希少な固有魔法や魔術を駆使して奔走し、素晴らしい「もの」を生み出し続けているのに… なぜか「災禍の令嬢」「惑乱の黒魔女」などと呼ばれ、忌み嫌われることの多いヴィヴィアン。 そんなヴィヴィアンと彼女の友人たちの、だいぶ騒がしい日常のお話です。 …… 姉妹編「惨歌の蛮姫サラ・ブラックネルブは、普通に歌って暮らしたい」の連載も始めました。こちらのヴィヴィアンが、ちょくちょく顔を出します。 「小説家になろう」でも投稿を始めてみました。

処理中です...