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第3章 テラグランデ大陸統一へ

第41話 検証と方針

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 苦情を言われながらも、現場でうろうろしていると、
「真司~。魔王様」
 そんな事を叫びながら、ドドドドドドドドドと音を立て、リーゾがやって来る。
「久しぶり。何か分かったか?」

 さすがに、ゼイゼイと息をしながら、
「俺じゃあ分からんが、ガルーギと傘下の魔導士が、とんでもない量の魔力が何かに使われた痕跡があると言っていた。それにあの狭間の4点に魔道具が埋まっていたがどうも時空間に干渉する物のようだ」
「ガルーギ? ああ最初に会った時、寝て居た奴か。頭が鷲みたいなやつだな」
「そうだ。奴は鳥に変化して飛べるし、便利なんだよ」

 おれは、意識を広げて大陸を鳥瞰する。
 ガルーギを探し、山脈の狭間にできた湖の傍にぽつんと立ち、指示を飛ばしているのを見つける。

 リーゾの肩に手を置き転移しようと思ったら、ぴょんと背中にシャジャラが張り付く。

「ごくろうさん」
 ガルーギに声をかける。
「これは、新たなる主様。先日は御前で無様をさらしました。もっとも何も覚えてはいませんがね。カカカカ」
 くちばしを鳴らし奇妙な笑いを見せる。

「それで?」
「この空間。ぐるっと山脈に囲われているのですが。長手と短手、十字に時空へ干渉する魔道具が埋められていました。壊れていましたが、その原因はおそらくこの湖の誕生時。膨大な魔力がここで何かに変換されたようです」
 そう言って丸い湖に向けて両手を広げる。

「この湖の底。確認をすると、大量の金属が溶けちぎれ残骸となっていました。話に聞いた共和国ですか、何かをしたんでしょう」
「目立つ部品を拾っておいてくれ。それを持って一度挨拶に行こう。紋章とか入った物があればいいが」

「あそこに少し積んであります」
 そう言ってガルーギが指差した所にはテントがあった。

 中へ入ると、ごちゃごちゃした鉄板や、まるでシロッコファンの羽の一部と思われるもの。そんなものが積まれていた。
 俺は黙って収納をする。

 振り返ると、ガルーギが目を丸くしていた。
 あっいや、鳥だから元々か。

 湖の様子を写真にとりながら、底そして地下へと意識を広げるが特に怪しいものは無い? 妙な石があり、俺の探査魔力を跳ね返すがまあいい。

「よし。日本と、シウダー王国の代表も一緒に連れて共和国行こう」
 俺は誰に聞かせるでもなくそう言って、
「ガルーギ。調査をして何も出なくても、見張りは置いておいてくれ。一応、封じていた魔法の種類が分からんから、別の時空へ閉じ込められている可能性もある。魔王の復活と、共和国の人間が来たら捕まえて連絡をくれ」
 そう言い残し、一度シウダー王国の王城へ飛ぶ。

 王城の、王の私室をノックと同時に開ける。
 目の前では、王のアルチバルドと、王妃ステファニアがじゃれ合っていた。
「何者。無礼だろう。ここを…… 魔王様?」
 王はステファニアの胸と股間に、手を差し込んだまま固まっている。

「ああすまない。仲が良くて何よりだ。だが、ステファニアさん。そのおしろいは鉛が入っている。使わない方が良いぞ。王もなめると病気になるぞ」
 そう言うと、あたふたとやっと居住まいを正す。

「あの本当でしょうか?」
「うん?」
「このおしろいの事でございます」
「本当だ。早死にするぞ」
 俺がそう言うと、二人とも驚く。

 そんな二人を、とりあえず放っておいて、
「共和国。セトプレコウグニアスへ行く。誰か人を選んでくれ。複数でも良い」
 そう言うと、王はあたふたし始める。

「王妃の鉛は?」
「風呂でも入って流せ。手足にしびれでもあるなら、日本の病院を紹介してやる」
 そう言うと、二人とも自覚症状があったようだ。

「いかん。すぐに用意いたします」
 そう言うと、王は部屋を出ていく。
「王よ。あなたさま。私も参ります」
 そう言って、王妃も出て行ってしまった。

 仕方が無い。
 そう言って、おれはその辺りを浄化しまくる。
 鉛もそうだが、寄生虫の卵。虫卵を考え、一旦部屋から出て部屋の中を蒸す。
 ある程度してから、もう一度、浄化して乾燥させる。

 ずっと背中にくっついているシャジャラは、何が面白いのか、きらきらした目で俺のすることを見ている。
 椅子に勝手に座り待っていると、宰相を含め12人ほどがぞろぞろと、せっかくクリーニングをした部屋に入って来た。

「全員行くのか?」
 俺が聞くと、
「いえ宰相は、この後執務を行ってもらいます。共和国へは、私と王妃が向かう。ついでにその日本の病院とやらも紹介していただけると嬉しいのだが」
 最後の方は、ぼしょぼしょと声が小さくなる。

 後ろに控えるのは、御付きだそうだ。


 まあ良いか、ここからだと携帯も通じない。
 どうせ、行くつもりだったし、対策室に割り当てられている会議室へ飛んだ。

 会議室には、数人人がいるのは分かっていたので、到着後すぐに話かける。
 中村さんはいなかったが、政策統括官の小野さんがいた。難しい顔をしていたが、俺たちに気が付きひっくり返る。

「すいません。驚かせましたね」
 そう言って、彼に手を伸ばし引き起こす。

「とりあえず、共和国へ出向きます。詳細は説明しますが、さきにシウダー王国の王と、王妃それにお付きの面々。鉛と寄生虫の検査で入院の手配をお願いします」
 そう言っておいて、振り返る。
「アルチバルド王。それにステファニア王妃。ここはすでに日本だ。病院に行くが、医者には絶対服従だ。立場を明かし勝手なふるまいをすると国が無くなるぞ。今は一応平等で条約を結んでいるが、この際この国。日本の国力をじっくり観察することだ」
 おれは、おせっかいかと思ったが、あえて説明をする。
「当然この言葉は、お付きの連中を含めての言葉だ。分かったな」

 俺が少し威圧しながら言うと、全員がぶんぶんと首を縦に振る。
 日本側の職員さんが、少し引きつりながら、皆を連れて行く。

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