37 / 58
第2章 新しい世界と新しい生活
第37話 シウダー王国 王都 その2
しおりを挟む
「はっ、いやしかし、封蝋もない親書と言うのは」
「それは君が無知なだけだな。君の軽はずみな行動で、今現在、王都が消滅するところに足を踏み込んでいるがどうするのかね」
「王都が消滅?」
「ああ君が先ほど話していたお方。彼は紛れもない他国の王。それも強力な魔王諏訪様だ。どう責任を取るつもりだ? そもそも取れるのか?」
「ひっ、魔王?」
ごく弱だが、俺の威圧でプルプルしていたが、さらにひどくなる。
「どうして、男爵様。魔王と一緒に行動をして、いえ、なさっているのでしょうか?」
「それこそ、王に言う前に君に言ってどうする? 君はそんなに偉い立場なのかね。王より上と宣言するとは不敬だな。どれ私の名で斬罪にしようか?」
「あっいや。お待ちください。すぐに王へと取次ぎを行います」
手のひらを返し、うだうだと言っているが、先ほど女のくせにと罵られたフィオリーナが、よよよとウソ泣きをしながら俺にもたれかかって来て、ずっとスマホで撮影をしていたまことに押しのけられている。
画像が揺れるからやめなさい。
やれやれと思いながら、俺は宣言する。
「いやいい。すでに君の考えは分かった。王として、ここの国と言うものを君の態度を通して十分理解した。今後、対等ではなく属国として扱おう」
大臣に目配せをして、全員チヌークヘ乗り込む。
「何だありゃ?」
先ほどのやり取りであたふたしていた兵たちが、俺たちが乗り込み後部ハッチが締まり始めてその存在を認識する。
砂漠地が多いため、土色に塗られた巨大な機体、それが人工物だと思っていなかったようだ。
双発のターボシャフトエンジンに接続されたタンデムローターが回転をはじめ、ダウンウォッシュが発生して周辺に暴風が発生し始める。
騎士の乗って来た馬たちは一目散に逃げる。
機体は上昇を初めて、一気に王都へとむかう。
飛び去った空を眺めていたが、その異様な現実に、さっき言われていた男爵の言葉が頭の中に蘇る。
『君の軽はずみな行動で、今現在、王都が消滅するところに足を踏み込んでいるがどうするのかね』
「あっあっあっ、やばい本物だ。あんな魔道具など見たこともない」
慌てて馬を探すが、周りには一頭も居なくなっている。
文字通り一っ飛び(ひとっとび)で王都の上へと到着をする。
マイクを使い俺は叫ぶ。
「シウダー王国。アルチバルド・スサテラ・シウダー王。我は魔王諏訪なり。貴国において需要と思える用件を持ってきた。下の騎馬訓練場に降りるが手出し無用」
そう叫んで、勝手に降りる。
返事など爆音で聞こえないしね。
まだ風が強いため、矢は撃てないはず。
まあ警戒しながら、皆が降りる。
フィオリーナが挨拶でもする気だったのか、俺の前へ一歩出ると、前は抑えているが、後ろ側が思いっきりめくれ上がる。幸い、皆周りを囲む兵を警戒しているため気が付かれなかったようだが、魔法でフィオリーナの周りにシールドを掛ける。
ピンクの服だから、下着もピンクでそろえるんだな。そんなバカなことに感心する。
フィオリーナは軽くカーテシーをきめると言葉を紡ぐ。
「オルフェーオ・ペルディーダ伯爵の娘フィオリーナと申します。発生した異常現象の報告と、この機に乗じたセトプレコウグニアス共和国の暗躍について報告があります。そしてこの方々は、近隣の国。各代表の方々でございます。拝謁いただけますようお願いいたします」
すると、向こうで大きな丸が作られた。
それを見て、エンジンを切ったのだろう、ローターの回転が徐々に遅くなってくる。
「さて一番立場が上なのは、諏訪さんですね。先頭でお願いします」
「わかった。言いたいこともあるから行こう」
近衛だろうか? 鎧を着た集団に囲まれ男が二人立っている。
「どっちが、王かは知らんが先触れに出した我が兵を開放してもらおう。一応礼を尽くしたつもりだが、他国の使いをいきなり捕らえるとは度し難し」
殺気は込めず、威圧を掛ける。
俺がそう言うと、背の低い方が慌てる。
「すみません、なにか手違いがあった様でして」
手招きをして、まことを呼ぶ。
スマホで、動画を再生して先ほどの流れを見せる。
「ここれは、魔道具ですか? 絵が動いて声が」
「ああそうだ。事情が分かったと思うが、どうするね。さっき動画の中で紹介されたが魔王諏訪だ。よろしくな」
そう言って、手を突き出す。
背の高い方が、王だろうと思ったら当たりのようだ。
「シウダー王国。アルチバルド・スサテラ・シウダー王です。お手柔らかにお願いします魔王様」
「それはそっちしだいだ。だろ」
「いや。はいそうですな。申し訳ない。事情は分かっただろう。使者様を早く解放してこちらへ。いや城のホールへお連れするんだ。早く」
王が指示すると、慌てて走っていく近衛兵。
そこからは、招きにより立派な長テーブルに向かい合い座る。
お誕生日席には誰もおらず俺の前に王が座っている。宰相は座らず後ろに控えている。
俺の後ろは、シャジャラとまことが控えている。
そして、やっと話が始まる。
「それは君が無知なだけだな。君の軽はずみな行動で、今現在、王都が消滅するところに足を踏み込んでいるがどうするのかね」
「王都が消滅?」
「ああ君が先ほど話していたお方。彼は紛れもない他国の王。それも強力な魔王諏訪様だ。どう責任を取るつもりだ? そもそも取れるのか?」
「ひっ、魔王?」
ごく弱だが、俺の威圧でプルプルしていたが、さらにひどくなる。
「どうして、男爵様。魔王と一緒に行動をして、いえ、なさっているのでしょうか?」
「それこそ、王に言う前に君に言ってどうする? 君はそんなに偉い立場なのかね。王より上と宣言するとは不敬だな。どれ私の名で斬罪にしようか?」
「あっいや。お待ちください。すぐに王へと取次ぎを行います」
手のひらを返し、うだうだと言っているが、先ほど女のくせにと罵られたフィオリーナが、よよよとウソ泣きをしながら俺にもたれかかって来て、ずっとスマホで撮影をしていたまことに押しのけられている。
画像が揺れるからやめなさい。
やれやれと思いながら、俺は宣言する。
「いやいい。すでに君の考えは分かった。王として、ここの国と言うものを君の態度を通して十分理解した。今後、対等ではなく属国として扱おう」
大臣に目配せをして、全員チヌークヘ乗り込む。
「何だありゃ?」
先ほどのやり取りであたふたしていた兵たちが、俺たちが乗り込み後部ハッチが締まり始めてその存在を認識する。
砂漠地が多いため、土色に塗られた巨大な機体、それが人工物だと思っていなかったようだ。
双発のターボシャフトエンジンに接続されたタンデムローターが回転をはじめ、ダウンウォッシュが発生して周辺に暴風が発生し始める。
騎士の乗って来た馬たちは一目散に逃げる。
機体は上昇を初めて、一気に王都へとむかう。
飛び去った空を眺めていたが、その異様な現実に、さっき言われていた男爵の言葉が頭の中に蘇る。
『君の軽はずみな行動で、今現在、王都が消滅するところに足を踏み込んでいるがどうするのかね』
「あっあっあっ、やばい本物だ。あんな魔道具など見たこともない」
慌てて馬を探すが、周りには一頭も居なくなっている。
文字通り一っ飛び(ひとっとび)で王都の上へと到着をする。
マイクを使い俺は叫ぶ。
「シウダー王国。アルチバルド・スサテラ・シウダー王。我は魔王諏訪なり。貴国において需要と思える用件を持ってきた。下の騎馬訓練場に降りるが手出し無用」
そう叫んで、勝手に降りる。
返事など爆音で聞こえないしね。
まだ風が強いため、矢は撃てないはず。
まあ警戒しながら、皆が降りる。
フィオリーナが挨拶でもする気だったのか、俺の前へ一歩出ると、前は抑えているが、後ろ側が思いっきりめくれ上がる。幸い、皆周りを囲む兵を警戒しているため気が付かれなかったようだが、魔法でフィオリーナの周りにシールドを掛ける。
ピンクの服だから、下着もピンクでそろえるんだな。そんなバカなことに感心する。
フィオリーナは軽くカーテシーをきめると言葉を紡ぐ。
「オルフェーオ・ペルディーダ伯爵の娘フィオリーナと申します。発生した異常現象の報告と、この機に乗じたセトプレコウグニアス共和国の暗躍について報告があります。そしてこの方々は、近隣の国。各代表の方々でございます。拝謁いただけますようお願いいたします」
すると、向こうで大きな丸が作られた。
それを見て、エンジンを切ったのだろう、ローターの回転が徐々に遅くなってくる。
「さて一番立場が上なのは、諏訪さんですね。先頭でお願いします」
「わかった。言いたいこともあるから行こう」
近衛だろうか? 鎧を着た集団に囲まれ男が二人立っている。
「どっちが、王かは知らんが先触れに出した我が兵を開放してもらおう。一応礼を尽くしたつもりだが、他国の使いをいきなり捕らえるとは度し難し」
殺気は込めず、威圧を掛ける。
俺がそう言うと、背の低い方が慌てる。
「すみません、なにか手違いがあった様でして」
手招きをして、まことを呼ぶ。
スマホで、動画を再生して先ほどの流れを見せる。
「ここれは、魔道具ですか? 絵が動いて声が」
「ああそうだ。事情が分かったと思うが、どうするね。さっき動画の中で紹介されたが魔王諏訪だ。よろしくな」
そう言って、手を突き出す。
背の高い方が、王だろうと思ったら当たりのようだ。
「シウダー王国。アルチバルド・スサテラ・シウダー王です。お手柔らかにお願いします魔王様」
「それはそっちしだいだ。だろ」
「いや。はいそうですな。申し訳ない。事情は分かっただろう。使者様を早く解放してこちらへ。いや城のホールへお連れするんだ。早く」
王が指示すると、慌てて走っていく近衛兵。
そこからは、招きにより立派な長テーブルに向かい合い座る。
お誕生日席には誰もおらず俺の前に王が座っている。宰相は座らず後ろに控えている。
俺の後ろは、シャジャラとまことが控えている。
そして、やっと話が始まる。
0
お気に入りに追加
44
あなたにおすすめの小説
機龍世紀3rdC:暗黒時代~黒髪の騎狼猟兵
武無由乃
ファンタジー
家の神社の裏にある禁足地に勝手に踏み込んでしまった小学生アストは、女子高生の姉カナデと共に異世界サイクレストへと飛ばされる。その世界にある三つの大陸のうちの一つソーディアン大陸で目覚めたアスト達は、突如謎の騎士の襲撃を受ける。その襲撃から命からがら逃げだしたアスト達だったが、その逃避行の間に姉カナデとはぐれ、ただ一人黒の部族と呼ばれる人々に助けられる。
そして……。
それから八年の後、逞しい戦士に成長したアストは、姉を探し出すためにソーディアン大陸を巡る旅に出る。
共に育った黒の部族の妹リディアと共に……。
神が食い殺された大陸を巡る、異邦人アストによる冒険物語。
※ 本作品は、本編が『Chapter 〇』と『World Building 〇』というページによって構成されています。『World Building 〇』は世界設定を解説しているだけですので、もしストーリーだけ楽しみたい方は『World Building 〇』のページを飛ばして読んでください(ただし『World Building 0 ソーディアン大陸』は読んでいること前提でストーリーが進みます)。
※ 『同時掲載』小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ、ノベルアッププラス、ノベリズム、ノベルバ、Nolaノベル
※ 一部の投稿サイトには世界・地方地図が掲載されています。
転生無双の金属支配者《メタルマスター》
芍薬甘草湯
ファンタジー
異世界【エウロパ】の少年アウルムは辺境の村の少年だったが、とある事件をきっかけに前世の記憶が蘇る。蘇った記憶とは現代日本の記憶。それと共に新しいスキル【金属支配】に目覚める。
成長したアウルムは冒険の旅へ。
そこで巻き起こる田舎者特有の非常識な勘違いと現代日本の記憶とスキルで多方面に無双するテンプレファンタジーです。
(ハーレム展開はありません、と以前は記載しましたがご指摘があり様々なご意見を伺ったところ当作品はハーレムに該当するようです。申し訳ありませんでした)
お時間ありましたら読んでやってください。
感想や誤字報告なんかも気軽に送っていただけるとありがたいです。
同作者の完結作品「転生の水神様〜使える魔法は水属性のみだが最強です〜」
https://www.alphapolis.co.jp/novel/743079207/901553269
も良かったら読んでみてくださいませ。
いきなり異世界って理不尽だ!
みーか
ファンタジー
三田 陽菜25歳。会社に行こうと家を出たら、足元が消えて、気付けば異世界へ。
自称神様の作った機械のシステムエラーで地球には帰れない。地球の物は何でも魔力と交換できるようにしてもらい、異世界で居心地良く暮らしていきます!
婚約者に忘れられていた私
稲垣桜
恋愛
「やっぱり帰ってきてた」
「そのようだね。あれが問題の彼女?アシュリーの方が綺麗なのにな」
私は夜会の会場で、間違うことなく自身の婚約者が、栗毛の令嬢を愛しそうな瞳で見つめながら腰を抱き寄せて、それはそれは親しそうに見つめ合ってダンスをする姿を視線の先にとらえていた。
エスコートを申し出てくれた令息は私の横に立って、そんな冗談を口にしながら二人に視線を向けていた。
ここはベイモント侯爵家の夜会の会場。
私はとある方から国境の騎士団に所属している婚約者が『もう二か月前に帰ってきてる』という話を聞いて、ちょっとは驚いたけど「やっぱりか」と思った。
あれだけ出し続けた手紙の返事がないんだもん。そう思っても仕方ないよでしょ?
まあ、帰ってきているのはいいけど、女も一緒?
誰?
あれ?
せめて婚約者の私に『もうすぐ戻れる』とか、『もう帰ってきた』の一言ぐらいあってもいいんじゃない?
もうあなたなんてポイよポイッ。
※ゆる~い設定です。
※ご都合主義です。そんなものかと思ってください。
※視点が一話一話変わる場面もあります。
魔王を倒した勇者
大和煮の甘辛炒め
ファンタジー
かつて世界に平和をもたらしたアスフェン・ヴェスレイ。
現在の彼は生まれ故郷の『オーディナリー』で個性的な人物達となんやかんやで暮らしている。
そんな彼の生活はだんだん現役時代に戻っていき、魔王を復活させようと企む魔王軍の残党や新興勢力との戦いに身を投じていく。
これは彼がいつもどうりの生活を取り戻すための物語。
⭐⭐⭐は場面転換です。
この作品は小説家になろうにも掲載しています
【完結】私だけが知らない
綾雅(りょうが)祝!コミカライズ
ファンタジー
目が覚めたら何も覚えていなかった。父と兄を名乗る二人は泣きながら謝る。痩せ細った体、痣が残る肌、誰もが過保護に私を気遣う。けれど、誰もが何が起きたのかを語らなかった。
優しい家族、ぬるま湯のような生活、穏やかに過ぎていく日常……その陰で、人々は己の犯した罪を隠しつつ微笑む。私を守るため、そう言いながら真実から遠ざけた。
やがて、すべてを知った私は――ひとつの決断をする。
記憶喪失から始まる物語。冤罪で殺されかけた私は蘇り、陥れようとした者は断罪される。優しい嘘に隠された真実が徐々に明らかになっていく。
【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ
2023/12/20……小説家になろう 日間、ファンタジー 27位
2023/12/19……番外編完結
2023/12/11……本編完結(番外編、12/12)
2023/08/27……エブリスタ ファンタジートレンド 1位
2023/08/26……カテゴリー変更「恋愛」⇒「ファンタジー」
2023/08/25……アルファポリス HOT女性向け 13位
2023/08/22……小説家になろう 異世界恋愛、日間 22位
2023/08/21……カクヨム 恋愛週間 17位
2023/08/16……カクヨム 恋愛日間 12位
2023/08/14……連載開始
クラス転移で神様に?
空見 大
ファンタジー
集団転移に巻き込まれ、クラスごと異世界へと転移することになった主人公晴人はこれといって特徴のない平均的な学生であった。
異世界の神から能力獲得について詳しく教えられる中で、晴人は自らの能力欄獲得可能欄に他人とは違う機能があることに気が付く。
そこに隠されていた能力は龍神から始まり魔神、邪神、妖精神、鍛冶神、盗神の六つの神の称号といくつかの特殊な能力。
異世界での安泰を確かなものとして受け入れ転移を待つ晴人であったが、神の能力を手に入れたことが原因なのか転移魔法の不発によりあろうことか異世界へと転生してしまうこととなる。
龍人の母親と英雄の父、これ以上ない程に恵まれた環境で新たな生を得た晴人は新たな名前をエルピスとしてこの世界を生きていくのだった。
現在設定調整中につき最新話更新遅れます2022/09/11~2022/09/17まで予定
呪われ姫の絶唱
朝露ココア
ファンタジー
――呪われ姫には近づくな。
伯爵令嬢のエレオノーラは、他人を恐怖させてしまう呪いを持っている。
『呪われ姫』と呼ばれて恐れられる彼女は、屋敷の離れでひっそりと人目につかないように暮らしていた。
ある日、エレオノーラのもとに一人の客人が訪れる。
なぜか呪いが効かない公爵令息と出会い、エレオノーラは呪いを抑える方法を発見。
そして彼に導かれ、屋敷の外へ飛び出す。
自らの呪いを解明するため、エレオノーラは貴族が通う学園へと入学するのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる