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第2章 新しい世界と新しい生活
第25話 魔王城へと到着
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俺の体から、何かが抜けると俺も思っていたが、シャジャラさんの方が目を見開き驚いている。
〔ひっ。なにこれ。ああだめ。ああっ、いやぁぁぁ〕
そう言って、俺の手を取ったまま気を失い、〔はうっ〕とか言いながら、体が痙攣するようにひくついている。
倒れかかった彼女を、思わず抱きしめる。
リーゾに助けを求めようとしたのだが、リーゾも目を見開き固まっている。
なんだよ一体?
リーゾは少しして復活したようで、
〔おい。大丈夫なのか?〕
と聞いて来るので、
〔ああ、気を失っているだけの様だ〕
そう答える。すると、
〔ばかか、違う。お前の体の方だ〕
そう言って叱られた。
自分で状態を考え、
〔ちょっとだけ、だるいが、大丈夫〕
そう答える。
なぜか呆れられて、
〔そいつ、シャジャラは吸生鬼なんだよ。右手に触ると、相手の生命力を奪い、普通なら相手は死ぬんだ。俺も初見の時にやられて死にかかった。なんでお前が平気でシャジャラが、いっているんだよ〕
〔そんなことを言われても知らん。まあ、彼女の体質と言うことで納得しよう。それで、いつまで抱っこしておけばいいんだ〕
〔それこそ知らん。その辺りに放っておけ〕
そんなことを言われたが、そういう訳にもいかんだろう。
そんな言い合いをしていたら、隊員さんがマットを持ってきてくれた。
エアタイプの膨らませるやつ。
下が少々出っ張りがあっても、大丈夫だそうだ。
そっと寝かす。
まだ、〔ああっ〕とか言っているが大丈夫だろう。
まだ暗いうちだが、何が出るかわからない森の中。
隊員たちと交代で寝ずの番をしていて話し合い、まだ薄暗いが出発することに決まった。
そうして出発したが、彼女はなぜか、リーゾの横に座っている。
話によると、この森の害獣たちの配置は彼女が管理しており、俺たちの進行方向から除けてくれたようだ。
少しは、進行速度が上がり、昼過ぎには城郭が見えてきた。
周辺には、角や尻尾の生えた人が歩いている。
完全人型もぽつぽついるようだ。
門の方を見ると、門番たちと門の上にいる物見達が見える。
見慣れない変な音を立てる物が近づいてくるため、兵たちは当然大騒ぎになった。
一瞬騒然としたようだが、近くに来ればリーゾは目立つため、彼を確認した兵たちは、警戒を解いた。
だがもっと近づき、横に赤いドレスを着たシャジャラが座っているのを見た瞬間。
門の周辺から、兵たちはおろか通行人も居なくなってしまった。
〔構わん突っ込め〕
リーゾがそういうので、渡辺さんに
「そのまま入って、大丈夫だそうです」
と伝える。
町に入っても、二人が乗っているのを見ると…… いや、シャジャラの方かな。
どれだけ、怖がられているんだ。
街中でも、親だろうか? 子供の目を隠して抱えて走っていく。
直接的に聞くのもあれなので遠回しに聞いてみる。
〔さすが、四天王だな。町の人たちが道を開けてくれるな〕
そう言うと、
〔シャジャラのせいだ。俺はそんなに嫌われていない〕
リーゾが言いきった。
シャジャラの目が険しくなり、
〔仕方がないじゃない。争いが無いと殺していい奴がいないんだもの〕
〔そういって街中で、節操なしに襲うから嫌われたんだろうが〕
だって、お腹がすくし欲求だって不満になるのよ。
そんな話を聞いていると、城が見えてきた。
「お城だ。すごいですね」
「いやあ、リアル魔王城ツアーですね」
と言って、ハンドルを握っている渡辺さんが、はしゃぎ始めた。
確かに、小高い丘の上に造られた、石造りの城。
「古い時代のノルマンスタイルと言う形に似ていますね。籠城戦を視野に入れた守りの形ですね。幾重にも壁と塔が建っている」
そうして、跳ね橋を通っていくが、門番たちは逃げて行った。
いいのか? そしてシャジャラ、どれだけ怖がられているんだ。
当然、問題なく城の中庭に入ったが、当然目の前にはまだでかい門がある。
少し待っていると、門が開く。
〔普段は、この大門は使っていないんだよ〕
そう言って、脇にある小さな入り口を指さすリーゾ。
そうか、ひょっとして、馬車とかもないのか?
〔動物に引かせる、車はないのか?〕
〔うん? あるぞ。別の魔王に会いに行くときに、使った記憶がある〕
〔一応はあるのか〕
〔ああ、武器を満載にしていくのに必要なんだ。装備していくと警戒されるだろう〕
〔魔王城に行くって、そう言うことかい〕
思わず突っ込んでしまった。
やがて、門が開き中へと入っていく。
〔ここにはさらに、4つの塔が立ち間を通路がつないでいる。中に入った敵を一方的に、高い所から攻撃できるように造ってあるんだ。すごいだろう〕
そう言われて、周りを囲む石の壁をボケーっと眺めてしまった。
やがて、少しずらされている門が開く。
中に入ると、魔王の居城が見えてきた。
ドアの前に、兵士たちが並んで出迎えてくれているようだが、シャジャラの姿が見えた瞬間、ビシッとしていた兵達が、種族関係なく小刻みに震えはじめた。
俺たちは、手土産の調度品などを下ろして、リーゾとシャジャラに先導されて最後の門へと入っていく。
俺は良いが、渡辺さんと佐々木さんは、かなり緊張をしているのだろう。
見事に、きょろきょろと周辺を警戒して挙動がおかしい。
何かあれば、手足を同時に出しそうだ。
正面の立派な階段を上り、登り切ったら壁際の廊下を回り込み、もう一回正面側へ出る。そのまま出ればバルコニーだが、そっちではなく、振り返ってまた立派な階段を上る。すると正面に大きな両開きの扉が見える。
両脇には人間だと耳の上にあたるあたりから、立派な天を突くようなねじれた角が生えた門番が立っている。
種族は何だろう? 見た感じお決まりの山羊より鹿っぽい顔だ。
そして、扉が開かれる。
〔ひっ。なにこれ。ああだめ。ああっ、いやぁぁぁ〕
そう言って、俺の手を取ったまま気を失い、〔はうっ〕とか言いながら、体が痙攣するようにひくついている。
倒れかかった彼女を、思わず抱きしめる。
リーゾに助けを求めようとしたのだが、リーゾも目を見開き固まっている。
なんだよ一体?
リーゾは少しして復活したようで、
〔おい。大丈夫なのか?〕
と聞いて来るので、
〔ああ、気を失っているだけの様だ〕
そう答える。すると、
〔ばかか、違う。お前の体の方だ〕
そう言って叱られた。
自分で状態を考え、
〔ちょっとだけ、だるいが、大丈夫〕
そう答える。
なぜか呆れられて、
〔そいつ、シャジャラは吸生鬼なんだよ。右手に触ると、相手の生命力を奪い、普通なら相手は死ぬんだ。俺も初見の時にやられて死にかかった。なんでお前が平気でシャジャラが、いっているんだよ〕
〔そんなことを言われても知らん。まあ、彼女の体質と言うことで納得しよう。それで、いつまで抱っこしておけばいいんだ〕
〔それこそ知らん。その辺りに放っておけ〕
そんなことを言われたが、そういう訳にもいかんだろう。
そんな言い合いをしていたら、隊員さんがマットを持ってきてくれた。
エアタイプの膨らませるやつ。
下が少々出っ張りがあっても、大丈夫だそうだ。
そっと寝かす。
まだ、〔ああっ〕とか言っているが大丈夫だろう。
まだ暗いうちだが、何が出るかわからない森の中。
隊員たちと交代で寝ずの番をしていて話し合い、まだ薄暗いが出発することに決まった。
そうして出発したが、彼女はなぜか、リーゾの横に座っている。
話によると、この森の害獣たちの配置は彼女が管理しており、俺たちの進行方向から除けてくれたようだ。
少しは、進行速度が上がり、昼過ぎには城郭が見えてきた。
周辺には、角や尻尾の生えた人が歩いている。
完全人型もぽつぽついるようだ。
門の方を見ると、門番たちと門の上にいる物見達が見える。
見慣れない変な音を立てる物が近づいてくるため、兵たちは当然大騒ぎになった。
一瞬騒然としたようだが、近くに来ればリーゾは目立つため、彼を確認した兵たちは、警戒を解いた。
だがもっと近づき、横に赤いドレスを着たシャジャラが座っているのを見た瞬間。
門の周辺から、兵たちはおろか通行人も居なくなってしまった。
〔構わん突っ込め〕
リーゾがそういうので、渡辺さんに
「そのまま入って、大丈夫だそうです」
と伝える。
町に入っても、二人が乗っているのを見ると…… いや、シャジャラの方かな。
どれだけ、怖がられているんだ。
街中でも、親だろうか? 子供の目を隠して抱えて走っていく。
直接的に聞くのもあれなので遠回しに聞いてみる。
〔さすが、四天王だな。町の人たちが道を開けてくれるな〕
そう言うと、
〔シャジャラのせいだ。俺はそんなに嫌われていない〕
リーゾが言いきった。
シャジャラの目が険しくなり、
〔仕方がないじゃない。争いが無いと殺していい奴がいないんだもの〕
〔そういって街中で、節操なしに襲うから嫌われたんだろうが〕
だって、お腹がすくし欲求だって不満になるのよ。
そんな話を聞いていると、城が見えてきた。
「お城だ。すごいですね」
「いやあ、リアル魔王城ツアーですね」
と言って、ハンドルを握っている渡辺さんが、はしゃぎ始めた。
確かに、小高い丘の上に造られた、石造りの城。
「古い時代のノルマンスタイルと言う形に似ていますね。籠城戦を視野に入れた守りの形ですね。幾重にも壁と塔が建っている」
そうして、跳ね橋を通っていくが、門番たちは逃げて行った。
いいのか? そしてシャジャラ、どれだけ怖がられているんだ。
当然、問題なく城の中庭に入ったが、当然目の前にはまだでかい門がある。
少し待っていると、門が開く。
〔普段は、この大門は使っていないんだよ〕
そう言って、脇にある小さな入り口を指さすリーゾ。
そうか、ひょっとして、馬車とかもないのか?
〔動物に引かせる、車はないのか?〕
〔うん? あるぞ。別の魔王に会いに行くときに、使った記憶がある〕
〔一応はあるのか〕
〔ああ、武器を満載にしていくのに必要なんだ。装備していくと警戒されるだろう〕
〔魔王城に行くって、そう言うことかい〕
思わず突っ込んでしまった。
やがて、門が開き中へと入っていく。
〔ここにはさらに、4つの塔が立ち間を通路がつないでいる。中に入った敵を一方的に、高い所から攻撃できるように造ってあるんだ。すごいだろう〕
そう言われて、周りを囲む石の壁をボケーっと眺めてしまった。
やがて、少しずらされている門が開く。
中に入ると、魔王の居城が見えてきた。
ドアの前に、兵士たちが並んで出迎えてくれているようだが、シャジャラの姿が見えた瞬間、ビシッとしていた兵達が、種族関係なく小刻みに震えはじめた。
俺たちは、手土産の調度品などを下ろして、リーゾとシャジャラに先導されて最後の門へと入っていく。
俺は良いが、渡辺さんと佐々木さんは、かなり緊張をしているのだろう。
見事に、きょろきょろと周辺を警戒して挙動がおかしい。
何かあれば、手足を同時に出しそうだ。
正面の立派な階段を上り、登り切ったら壁際の廊下を回り込み、もう一回正面側へ出る。そのまま出ればバルコニーだが、そっちではなく、振り返ってまた立派な階段を上る。すると正面に大きな両開きの扉が見える。
両脇には人間だと耳の上にあたるあたりから、立派な天を突くようなねじれた角が生えた門番が立っている。
種族は何だろう? 見た感じお決まりの山羊より鹿っぽい顔だ。
そして、扉が開かれる。
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