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第2章 新しい世界と新しい生活

第18話 他の世界 テロラアリエナ側 その1

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 あの日邂逅した3つのうち、テロラアリエナ側。
 こちらは、森林と危険生物。
 そして、魔王が治める世界。
 

 その日、いきなり訳の分からない出来事が発生して軽い浮遊感と共に震度3~4の地震が発生した。
 衛星からの情報はすべて消えて、関係各所はパニックとなる。

 この国は、アジア圏で21世紀における『世界の工場』と呼ばれて発展。
 さらに豊富な地下資源のおかげで、レアメタルの生産や輸出。
 また、豊富な資本をもとに暴利な貸し出しとそれにより覇権を求めていたが、気に食わない西側の各国からの横やりを、忸怩(じくじ)たる思いでいたところでこの異常事態。

 速やかに、人口衛星の打ち上げ命令と、謎の森の調査と問題なさそうなら開発。
 こういう時は、一党独裁制(いっとうどくさいせい)は動きが早い。

 点在していた森は制圧され、木は切り開かれて、一気に消滅していく。
 そんな折、広大な森の中に町が点在することが、打ち上げられた人工衛星により確認される。
 大規模な部隊を用意して、進軍。
 作戦範囲まで近づいた後、大規模な前線基地を展開して、前段階として衛星画像の解析とドローンが大量に偵察の為ばらまかれる。
 撃ち落されたのを確認して、攻撃型ドローンと掃討用のヘリが準備される。

「国家主席。報告が上がって来ております。ドローンを撃墜したおり、火の玉状の物が撃ちあがってきたようです。ほかにも見えないですがほかの機のカメラにいきなり真っ二つにされた状況が映されています」
「構わん。ほかの映像も見た。逆らうものは潰せ。この場所は、大昔より我が祖国の物。侵略者に慈悲は必要ない」
「では実行いたします」
 言い分としては、自国の中に勝手にできた町。
 実際は、あとから来たのは、かの国だが、そんな道理は通じない。

 出された命令は、速やかに実行される。



〔魔王アウグスト様、この前から奇妙なものが我が国へと近寄ってきていますが、いかがなさいます〕
〔知れたこと、いつものようにだ。敵対すれば潰し、庇護を求めるなら僕として扱おう〕
〔御意に〕
 そう答えて、王の間を出ると四天王の一人。ベンヴェヌートは部下に命令を伝える。
〔いつもの通りだ。殺(や)れ〕
 そう言って赤い瞳で命令する。



〔魔王バルバラ様。ご機嫌麗しゅう、何よりでございます〕
 そんなことを言いながらも、顔を伏せた状態で、絶対魔王の方を見ない。
 この魔王バルバラ。
 強力な精神系の魔法を使うため、四天王と呼ばれるものさえ、目を合わすのは危険である。
 目を合わすと最後、ベッドに連れ込まれ気が済むまで放してもらえなくなる。
 現に、王座の周りにも、弱き者たちがミイラと化し転がっている。

〔ふふん。面白そうな者たちが現れた様ねえ。イヴァーノ〕
〔はい。奇妙な石造りの建物に住み。また恐れもなく奇妙なものをこちらへと飛ばして来ております〕
 その手には、壊れたドローンが握られている。
〔アウグストは最近相手をしてくれないし、遊んでみようかしら。ひ弱そうだけど数はたくさんいるようだし。うーんそうねえ、ここから1000kmくらいかしら。大勢集まっているから適当に拾ってきて頂戴〕
〔御意に〕

 四天王イヴァーノは飛竜を引っ張り出して、ぶんぶん飛んでくるドローンをつぶしながら飛んでいく。


「隊長、怪しい生き物がこちらにやって来ます」
 そう言って、モニターを指さす部下。
 偵察用ドローンは、どんどん潰されていく。

「あーん? なんだ今度は?」
 そんな悠長なことを言う隊長に、早く来ないとドローンが無くなるんだよ。早く来いよと思いながらも笑顔で待つ。

 やっと来て、モニターを覗くと。
「おおなんだこりゃ龍じゃないか。西洋型だがこれは欲しい捕まえて来い」
 そう言って命令を出す。
「どうやってでしょうか? それと上に何者かが乗っています」
 人間に近いが、どう見ても立派なしっぽがある。
「ああこいつも珍しい。売れるかもな。両方とも捕縛。群衆捕縛用の網を撃ちだすランチャーがあっただろう。あれを使え」
「はっ」
 言われた部下は、さらに下の兵たちへと命令を出す。

「対象は、空を飛んでいる。地面からじゃ無理なのでヘリで上から網を落とす。売るそうなので、傷をつけないように気をつけろ」
 がやがやと、言いながらしぶしぶ命令を実行する。

「売るってなんだよ」
「ああっ? 横流しだけじゃ足りなくなったんだろう。女か別荘か投資の失敗か俺達には関係ない」
「そういってお前、物資の酒パクっていただろ、チクられたくなけりゃ分けろよ」
「なんだお前見ていたのか? なら手伝えよ重かったんだぞ」

 そんなことを言いながら、目標予測地点へと到着する。
「あーあれだ。撃ち方用意。撃て」
 パシ。パシ。と発射されるが、軽いネットはヘリの発生させるダウンウォッシュにより目標になど飛んでいかない。

「ダメですね。まともに飛びません」
「仕方がない。そこの金網の角に、おもりの付いた紐をつけて投げろ」
「班長。フラッシュバン(閃光手榴弾)はだめですか?」
「あーいいな。網がだめなら試そう」

 その言葉を最後に、彼らは燃え尽き落ちて行った。
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