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第四章 日本の竜司から、世界の竜司へ

第81話 魔王戦第二回

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 悠月は悩んでいた。
 仲間になった。と、思っていた。
 だが、いつまで経っても竜司の部屋に呼ばれない。

 そこは言うなれば大奥。幾多の者達がしのぎを削る。
 最奥に入るための資格。
 マイリと、伶菜はいつもの様に、当然だという感じでスタスタと入って行く。

 たまに我慢ができずに、まどかが入って行き、彩はさらにまれ。
 少し力関係が見えてきた。

 でも確か、ああそうか。婚約解消されたと言うことはそうなんだ。
 彩さんが、一番下?
 下剋上で、伶菜が立ち、マイリさんが割り込んだ。
 そうなのね。

 そんなとき、ギルド経由で連絡が入る。
 アメリカで魔王が湧いたらしい。トップグループのチームは要請により参加をするように。

 ミーティングが、急遽開かれ出発が決定される。

 警備部の橋本さん達が『アメリカ行きだー。どうする』と言って走り回る。
 いきなり、じゃんけん大会が始まる。

 みんなは、準備もせず普通。
 この温度差は判らなかったが、行く気になれば宇宙船経由でいつでもいけるらしい。
 不法入国では? そう聞いたが、ハンターだから大丈夫と返事が来た。

 さて、だが悠月はこの機に乗じて竜司の所へ向かう。

「竜司さん。相手は魔王と言うことで、多少ですが不安です」
「大丈夫。守るし、腕くらいなら治すから」
「でも魔王ですよ」
「何とかなるだろ」
 意外と乗ってこない。大物過ぎる。
 幸い、マイリさんや伶菜さんが居ない部屋。

 思い切って言ってみる。
「私…… 男の人を知らなくて、これで死んだら心残りなんです」
 なるべく、思い詰めた感じで、訴える。
 すると竜司は、あらまという感じで軽く返事を返す。
 悠月の意図しない方向に。

「じゃあ、留守番を……」
「そうじゃ、ないんです」
 つい大声が出て、自分でも驚く。

 そっと、竜司に抱きつき、耳元で囁く。
「その、抱いてください」
「えっ」
「抱いてください」
 もう一度言いながら、押し倒していく。

 そんな事がアメリカに行く前にあった。


 そして、ヨーロッパ前。
「験担ぎにお情けを」
 多少、悠月も強くなったようだ。


 さて、ヨーロッパ。
 何か、魔王の発生に決まりでもあるのか、ルーマニアの山間部。

 山に囲まれ、清らかな川が流れる場所。
 静かだった山間の町は、現在地獄だった。
 毎日、何人かずつが餌として攫われる。

 ここでは、いくつかのコローニーが分散されて発生していた。

 異変発生後、意外と速やかに警察本部へと連絡が行く。
 モンスターが主のため、すぐに軍へと連絡、派遣される。
 同時にギルドへも連絡。

 状況から、魔王の存在が示唆され、一気に確認と派遣要請。
 山間部は、木造建築が多かったが、先に捕まえやすい飼育されていた家畜が被害にあう。

 人の被害が出始めた頃には、軍がやって来て、住民の避難が開始された。

 だが数が多く、逆に軍人が攫われる事にも繋がる。
 そんな状況に、ギルドの派遣部隊が突入。
 一気に状況が覆っていく。

 前回のアメリカで、壁を突き抜けた者達が増えてきたためか、光の使い手が増えてきた。
 そんな中に、別格の集団。
 そう竜司達。

 一直線に、目だつ角を持つ魔王の方へ向かっていく。
 だがこの魔王、一所懸命部下を押し出してくる。
 おまえら、飯は食っただろ、働けや状態。

 発生をして日が浅いのか、魔王は逃げ腰。

 側近の、モンスターもアメリカに比べて弱い。
 オーガやミノタウルスその辺りまで。多少進化種である感じはあるが、強さはそこまでではない。

 そうなると、ハンター達は祭り状態。

 我先にと突っ込み始め、どちらがモンスターか判らない。
 モンスター達が、逃げ惑い始め、笑いながらハンター達が追いかける。
 先日とは一変した風景。
 泣き叫びながら、モンスター達が逃げる。
「まてやこら。経験値をよこせ」
 そんな声が、あちらこちらで聞こえて、大騒ぎ。

 周りを囲む軍も、その様子に呆れて、ついハンターを射ちたくなってくる。
「おいあれ」
「ああ。よってたかって。ひでえ」

 覚えた光で実験するハンター。
 じわじわと焼かれ、叫び声を上げるモンスター。
 つい、仲間のゴブリンが助けに行くと、また捕まり、また遊ばれる。

 そんな中、魔王が火の玉を発生させるが、マイリに中和され呆然と立ち尽くす。

 竜司の光が、魔王を貫き。上半身がなくなるが、さすが魔王。また生えてくる。

「やっぱり復活するのか?」
 容赦無く光が浴びせられて、消滅していく。

 そして、魔王がいなくなると、何かから解放されたかのようにモンスター達はちりぢりに逃げ始める。

 それを追いかけるハンター達。

 周りは、軍が固めているため、銃でゴブリンや、コボルト達は倒されていく。

 大きなモンスター達をハンターが倒し、三時間もすると掃討が終わってしまう。

「いやあ。お疲れ」
 多分そんなことを言っているのだろう。
 何語か判らない言葉をかけられる。

 だが、ねぎらいとは別に、マイリや彩に声をかける馬鹿がいる。
 竜司が俊足で近付き、ぶん殴る。
「やる気かこら」
 気を纏い、殺気と共に放出すると逃げていった。

 そんな様子を見て、指をくわえる悠月だが、みんな以上に子供だと思われているようだ。
 周りで、ジュニアハイスクールという言葉が聞こえる。
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