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第三章 国との関わり

第51話 復活の日

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 随分心配をしただけど、時間と共に縮んで来たようだ。
 無理矢理マイリに言って、カメラを繋ぎ。超圧縮通信で映像を見る。
 


 ――夢を見ていた。
 いつもの、月から見る。マイリとの、最後のデート。

 そして、いつもと違う金色の光が宇宙を広がっていき、それは振動を与えるほどの影響を世界、宇宙全体に与える。

「なんだこれは?」
 手を伸ばすと、体に向かって、その光が集まり流れてくる。

 これは、普段扱っているものと違い、もっと高位のエネルギー。

 まるで宇宙を創る、そんな事すら出来そうな高エネルギー。
 生身で、これを吸収をするのは絶対まずい。

 そう思うが、止まらない。
 体中の細胞が、はじけて沸騰をする。

 変質して何かへ変わっていく。
 意識の拡散と収束。
 その中で、何か高次の存在を見て感じた。
「あれは?」

「うん?」
 こっちに気がついた。変なじじい。見た目は人に近い。
 だが、内包するエネルギーは、ドラガシメル人。
 それも賢者よりも、圧倒的に多い。

 あれは……

「あっ。目を開いた。竜ちゃん」
「あわてないで、スキャンをするから」
 マイリに叱られ、ポッド脇でお座りをして、じっと待つ。
 目の前に流れる数字はよく分からないが、竜ちゃんの目が覚めるに従って、ドンドンと赤くなっていく。

「ちょっと待って、あなたなに一体? データがオーバフローしていく。力を抑えてポッドが壊れる」
 珍しく、慌てふためくマイリ。

「あなたなにって? 俺だよ、竜司で間違いない。少し高次のエネルギーを受けたようだが」
 そう言いながら、体の具合を確認する。

 エネルギーの通りがいい。
 専用の回路が開かれたような、そんな感じがする。

 そんな頃。
「ちょっと、あてっ。無茶な。わしらを越えたぞ」
 賢者達もパニックを起こして、珍しく肘掛けからこけそうになる。

「検体データ。もう一度確認をしろ。異常じゃ」
「予想以上じゃな」
「笑い事ではない。あの船はすべて特注。リミットはわしらに合わせておる。それがオーバーフローするなど…… すべて管理できれば、銀河をコントロールできるぞ」
「良いじゃないか。それでこそミー=キャエル。数千年前の予測があたったようじゃ」
 そう言って、ばあさんは笑い始める。

「ぬうう。出来損ないと思ったが、アカシックレコードの解析プレート、封印を解除する。予測を解放しろ」
「御意に。完全停止しておりましたので、少しお時間を頂きます」
「解っておる」



「うん。調子は良いよ。ありがとうな。で、何をした? 普通に組織を再建しただけじゃないだろ」
 そう聞かれて、マイリは焦る。

 竜司は記憶があるため、何をどうすればいいか、マイリよりも詳しい。
「これだから、セクスタプレトは面倒」
 つい本音が出る。

「マイリ。何か言ったのかい?」
 口の両側に、親指をかけ引っ張られる。
 ドラガシメル人の皮膚は硬く、人間のようにほっぺを引っ張ることができない。
 そのため、いーの感じで口の付け根を引っ張る。

「あがっ、やべて、じびにいちゃい。もうっ」
 放して貰ったが、まだ悩む。

「何か竜ちゃんの、元のお肉を、移植したって」
 あっさり、伶菜が暴露する。

「あっこら」
 だが、それを聞いて、竜司は納得する。

「ばあちゃん達の考えか。面白い。まあ免疫的なものは、抑えりゃ良いし、実際回路は繋がった。後は使いこなせるかだが、予想外の変質、それがどう影響をするか。この体で、一段上の力が扱えるのは判った。だが、解放をすると弱い生物は、近くにいるだけではじける。尋常じゃないエネルギーは毒にもなる」

 ポッドから這い出してくる。
「そういえば、コールドスリープだったか。体中がまだ痺れている」
 立とうと思っても力が入らず、歩けずにズリズリと這い出してくる。

「もう一回入って、チューニングする?」
「いや、もうだめだろう。意識の喪失で、力を解放をすると宇宙船が吹っ飛ぶぞ」
 そう言うと、マイリにも想像が出来たのだろう。嫌そうな顔になる。
「それは、困るわ」
 おれは、よたよたと、這っていく。

 ふと思い出しマイリに聞く。
「そう言えば、あのブラスターは教授のか?」
「そうね。まさかセフティが掛かっていないなんて。まさか……」
「いや。マイリ。その仮説はありえそうだが、どうでも良い。結果オーライだ」
 それだけ言って、ズリズリと這いずり、昇降用のポッドへ乗り込み、上階へと上がっていく。

「ねえ、さっきのって、どういう意味?」
「この宇宙船自体が、賢者の特別製。教授が取り扱ったとしても、ブラスターにロックが掛かっていなかったのはおかしい。という話。今回のことをするために、仕込んだ可能性はあるわねと言いたいけれど、そこまでするかなぁ。わかんない」
 そう言ってマイリは、竜司が使っていたポッドの蓋を閉めると、クリーニングとメンテナンスをセットする。

 無事に、少し振動をしながら、動き始める。
「大丈夫そうね」

 そう言うと、もう、用事はないとでも言う感じで、フロアを後にする。

 その頃、展望室まで上がり、意識を広げていた竜司。

 宇宙全体に、例の光を感じる。
「これのおかげで、地球人の能力が開放か、大丈夫なのかね」
 そうぼやくと、意識的に、それを集め体に取り込んでいく。

「おおっ。前より適応をしている。地球人の細胞が混ざっていた方が汎用性というか、柔軟性があるのか?」

 ドラガシメル人は器が堅く、あふれたものが翼。
 マイリの仮説は、間違っていないかもな。
 思い出して、笑ってしまう。
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