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第三章 国との関わり

第41話 部屋と転校生と私

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「うう、お腹が痛い」
 ベッドで呻いていると、誰かが入ってくる。

「起きてください。外で竜司が待っています」
 そう言われて、彩は目を開ける。

「ううっ。マイリちゃん。今日は休むって伝えて、普段よりも重いの」
「スキャン終了。それが、生理なんですね。竜司に頼んで治療して貰いますか?」
「いっ。いや寝ていれば良いから。言わないで。休む理由も、まどかか伶菜に伝えて。良いわね」
「はい。ええと、それではお大事に……」
 そう言って出ていく。

「そうかあの子は、無いんだ。良いわね」
 そう言って、体を丸めて布団へ潜り込む。

 色々な、変化の弊害なのか、経験したことにより、起こったホルモンバランスの変化なのか、少し重くなっていた。

 そして、それは隣りでも。


「起きてください。遅刻します」
「ああ、マイリちゃん。今日は休むって伝えて、普段よりも重いの……」
 全く同じ台詞が、まどかから発せられる。

 ふと、同じ男を愛すれば、周期が同期するのかと疑問を持つマイリ。
 彼女の観察リストに明記された。

「では、お大事に」
 そう言うと、聞いた台詞が返ってくる。
「竜ちゃんには、言わないで……」
「ああ、はい。承知しました」

 そう答えて、部屋を出る。

 マイリは廊下へ出て、楽しそうにお喋りをする二人を見る。
 二人は一緒だったが、目の前に居る伶菜は平気そうだった。

 知っている限り、伶菜が一番多く竜司と行為をしている。
 早くも、仮説が崩れる。

「伶菜の生理はいつですか?」
 マイリは、いきなりそんな事を問いかける。

「えっ。ああ。もう少し先かな」
 ちらっと、竜司を見ながら答える伶菜。

「そうですか。二人は生理が重くて、休むそうです」
「わかったわ」
「一人の男を愛することで、生理が同期をするのかと推測をしましたが、外れたようです」
「あら、ごめんね。あの二人、能力を得たから、体質に影響したのかしら?」
 伶菜が首をひねる。

 その言葉には、竜司だけではなく、ガードで付いている隊員も反応する。
「それは、面白いですね。上に上げてもよろしいでしょうか?」
「良いんじゃ無い?」
 軽く返事を返す伶菜。

「あっそういえば、生理が重いことは、竜司には言わないで、だそうです」
「分かった」
 竜司は返事を返すが、伶菜はジト目を、マイリへ返す。

「どうしました?」
「マイリ、内緒って言う言葉の意味知っている?」
「内緒。はい、知っています。秘密とかと同義語です」
「二人に、内緒って言われたんでしょ?」
「いえ、言わないでと」
 その瞬間、みんなが、固まる。

「一緒じゃない。なんで、竜ちゃんに言ったの?」
「いえ。言ったのは伶菜に対してです。竜司に対しては、言っていません」
 また、伶菜は固まる。
 ガードの人たちは、苦笑い。

「――ああ、なるほど。じゃない。マイリちゃん。色々と、勉強しましょ」
「はい。よろしくお願いします。ですが、基本的に竜司がマスターなので、隠し事は出来ませんよ」
「――分かったわ、気を付ける」
 とどめを刺されたようだ。伶菜は気を付ける事を決心する。

 学校へ行くと、ちらほらと、ギルド発表の順位のことが話題になり出した。

 ギルドにおいて、ハンター上位は、当然専任のチーム。
 そして地域性もある。
 人口の多い国は、どうしたってモンスター数が多い。

 それと遺伝情報。
 変異しやすいDNAタイプがあることは、日本では報告が上がっている。
 むろん、竜司が基本情報として報告をしたからだ。
 宇宙船での解析結果として。

 ドラガシメル人の軍用兵器だが、誰が使ったのか証拠がない。
 事実、使った犯人はすでに死んでいる。

 そして、レベルアップにより、魂の階位が上がることも報告をしている。
「それは、人が神に近付く行為かね?」
 口を隠すように、両手の指を組んでいる。何故かメガネが光を反射して、表情が見えない担当官。

 そう聞かれて俺は、「イエス」と答えてある。
 ハイではなく、何故イエスか。
 聞いていた担当官は、その意図に気がつき、ニヤニヤしていたから良いだろう。

 そして実験的に、神の使徒作戦が発動された。

 そんな中で、日本では自衛隊のアルファ隊がトップを独走している。
 命名は、無線の欧文通話表から来ている。

 日本でもよく使われる。
 コールサインの発声の後、説明するための言葉。
 
 CLHだとチャーリー、リマ、ホテルでとなる。 チャーリーのCだね。

 まあそんな中、妙な位置にdragon's eyeと言うチームが乗っている。
 国名JAPAN。
 そう。うちのチーム、数は少ないが、強敵を倒して回っている。

 主に、うちの地域だが、進化種が居て、そいつが統率をしている可能性も報告をしている。
 当然、何処へ行くにもガードが付いてくるからだ。

 俺の体が使えるようになり、色々な能力が解放された。
 大きな生命エネルギーは、探査能力の一つで見ることができる。

 現状で、彩とまどかしか、戦闘時のカメラは持っていないが、俺の光や、伶菜の柳刃包丁が映り込んでいる。
 銃刀法の変更により、申請すればよほどじゃなければ、所持許可が出る。
 ああ、チーム所属の証明があればだ。

 刀でもと言ったが、柳刃包丁の方が使いやすいらしい。
 プレゼントさせられた、ダマスカス鋼の特殊タイプ。波形の文様が美しい。
 プレゼントするのに、切るものだけど良いのかと聞いたら、竜ちゃんを刺したくないから気を付けてと笑いながら言われた。
 
 グリップは一体式で、あや目模様のローレット加工がされていて滑りにくい。
 ローレット加工というのは良くある、滑り止め。
 金属表面に凸凹を付ける加工。
 あや目模様というのは潰れたダイヤモンド型。
 クロスされた溝を刻んでいる。

 線だけのモノは、平目模様と呼ばれる。

 さて、チームだが、ギリギリでも千番内に居た者が、急上昇。
 数ではなく、モンスターレベルにより、ポイントが変わるようになったため。
 そうだよな。前は一匹一ポイントだった。
 流石におかしいだろうとなったわけだ。
 ゴブリンは、一ポイント。
 一人で倒せるから。
 
 ホブや、キングは大きさにより、三ポイントから五ポイント、そんな感じで人数イコールポイント数。
 これにより、モンスターと、最適人数が決定された。

 まだ始まったばかりで、すぐに、新種は出てくるしポイント数も絶賛変動中だ。
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