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第二章 宇宙人来襲

第32話 彼は何者?

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「これが本当なら奇跡だな。彼は能力者ではないのだろう?」
 共有された情報を見て、驚く。

「ええ。これが彼の脳波です。発現者特有の波が出ていません」
 表立って能力が発現されていない者は、強制的に脳波を取られた。
 その時のデータを見つけたようだ。

「ふうむ。別のタイプが居るのか?」
「それは、何とも」
 そう言ったまま、彼は黙り込む。
 やがて口を開き、提案をしてくる。

「今回の発現者ではなく、古来の超能力者とか、奇跡を起こした聖人の情報は、データに残ってはいないのか?」
「探してみます」
 そう言って、担当者は走って行く。

「骨折を瞬時に治すのか。恐ろしいことだ。公になればパニック必至だな」
 そして、他の宗教を認めない者達もいる。

「日本国内で、聖戦はやめてほしいものだ」
 ため息を付きつつ、歩き始める。

 ある種の宗教家達は、他を認めない。
 世界の歴史は、意外と宗教による戦いが多い。

 キリスト教、イスラム教、ユダヤ教いずれの聖地でもあるエルサレムを巡って何度も繰り返された戦争や、キリスト教のカトリックとプロテスタントの間でおこったユグノー戦争など。現在のアルカーイダやISILも同じだ。

 日本でも、有名な物が幾つもある。

 島原の乱や、織田信長と比叡山延暦寺や石山本願寺との戦い。

 聖戦ジハードという大義名分。それを得たもの達は、腹に爆弾を巻き、笑いながら使命を全うする。



 簡単に身バレをした、竜司。
 しかも能力まで。

 そして、奴らはやって来た。
「すみません。私たちハンターギルドの者ですが」
「あっ。少しお待ちください」
 二人に用事だろうと判断するが、背を向けた瞬間に変な言葉が聞こえる。

「佐藤竜司君だよね。君の能力について、お話を聞きたいのですが?」
「はっ僕の?」
「やはり君だよね。ビデオで見た顔だ。お邪魔しても?」
 悩む。

「お話を聞きたいということは、そちらの用事。外へ出ましょう」
 そう言って、普段はファミレスだが、駅前のコーヒースタンドへ入る。

 微妙にお高くて、足が向かないが、よもや払えとは言うまい。
「カフェラテLで」
「はい。お待ちください」

 注文するとき、なぜか後ろに付いてくれなかった。

 どうも、敵のほうが上手だったようだ。
 Mにすれば良かった。

 席に着いていると、彼らもやって来た。

「たまには、こういうのも良いね」
 なんだか、仲良く話をしている。

「でっ。なんでっしゃろ」
 思わず、大坂商人になってしまった。

「うん? ああ。すまないね。これなんだけどね」
 出してきたのは、彩の使用前、使用後。腕が歪んでいたのが真っ直ぐになっている。

「ああ。覚えがあるなあ」
「あるでしょ。君魔法を使ったよね」
 聞かれて驚く。
 そうか、この写真。カメラのワンショットか。
 最近はフレームレートが六十。
 
 ちょっと髪の毛と、鳥肌が立ってしまった。
「いえ。覚えがないですね」
「そうかい。ところでその羽は何だね」
 二人共が、俺の背後を見ている。

 さすが、おもちゃの指輪。
 俺の精神波が、オーバフローでもしたかな?
「あっ気にしないでください。すぐに消えますから」

 物理的な干渉はないが、目には見える。

 周りで、カシャカシャと音が聞こえる。

 今日は最初から最後まで、選択を間違ったようだ。
 その写真は、あっという間に拡散をされて、広がっていく。

 むろん、担当者さんも焦り始める。

 するとやっと消えた様だ。カシャカシャが聞こえなくなった。

 取り乱すことなく、対応をする。
「で、何でしたっけ?」
「あーうん。君に何らかの力があるのなら、秘密裏に秘匿をして保護をしようとなってね。特に、奇跡ともいえる力だから……」
 そう言ったまま、一人が黙り込んで、何か連絡を入力しているようだ。

「うん。目立つと、君の命の危険までを考慮をして、動かないといけないとなったわけだが…… 君、聞いて良いかい?」
「何でしょう?」
「君、親族に天使とか、呼ばれる種族がいないかい?」
「やだなあ。天使だなんて。あれは、たまたま出会ったドラガシメル人を、人間が勝手に変えた創作物ですよ。今現在は、法律で接近禁止が出ていますから、大丈夫ですよ」

「「は?」」
「あっ?」
 口を押されるが。駄目だろうなあ。

「えーと、目立たないように。でしたね。気を付けます」
 そう言って、席を立とうとするが、手を引かれる。

「いや、ちょっと待って」
 でー。今日は一体どうしたんだよ?

 むろん賢者の干渉。
 指輪を通して、ダイレクトに超空間通信を使い、操作をしていた。

 そう、彼らの計画の一つ。
 地球への干渉。
 ある事情により、ぼちぼち、手を出して、同盟なり何なりを行っても、良いかと思っている。

 技術の供与と、交流。
 まあ、技術の差があるため、地球人からの攻撃は問題ない。
 受け入れて貰って、彼に大使として振る舞って貰おう。

 そう遠くない、銀河系同士の衝突。
 有用な生物なら、助けてみよう。
 宇宙でも、めったに見かけない知的生命体。
 それも発生は、同じ星だ。

 多少は情が湧く。
 関わりがあって、助ける気持ちだった者が、関心のあった知的生命体へと転生をした。偶然が助け、記憶と能力がある。

 ドラガシメル人の、賢者達が起こした気まぐれ。
 竜司は、訳も分からず巻き込まれていく。

 某国のオフィスでは。
「ほう? これは天使か?」
「いえ、物質を透過していますから、最新技術のホログラムでは?」
「それなら物質に当たった時の、干渉。反射や屈折が出るだろう?」
「最新技術でも開発をしたのでは?」
「人を脅かすためにか?」
 そう言って首をひねる。

「いやあ。日本人ならやるでしょう」
 周囲の人間は、うんうんと頷く。
「彼らは、奇跡の人種ですから」
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