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第二章 宇宙人来襲

第26話 人間とモンスターの変化

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 ある道を、元の野犬たちが疾走していく。

 ――ただ、その体躯は、体高で二メートルを越え、普通ではない。

 犬と言えば、二足歩行になり、コボルトと呼ばれるタイプに変化したモノが多い。
 他にもワーウルフを見たと、報告が上がっている。

 その他にも、日本国内で牛を丸呑みにする大蛇、そして、牛頭像が歩いていたとの報告も上がっている。

 予想以上にモンスターの進化は速度があり、凶悪なモノが発見されている。

 そして、それに伴い、交通インフラへも影響が出始める。
 当然、物流も滞ることになる。

「また発見報告だ。自衛隊? 報告が多すぎて無理だ。アメリカも銃弾が不足をして輸出規制が出始めた。警官にはスラッグ弾を持たせろ。高知のメーカーに生産を急がせろ」

 刻々と変化する状況。
 その中で、やっとギルドが動き始める。

 その中で物議を醸したのが、アクションカメラ。
 倒したモンスターの種類と頭数を把握するために、戦闘時は録画をしろという事になったが、能力と戦闘方法がばれてしまう。

 彩の様な単純馬鹿は良いが、ハメ技や罠を駆使する人間はそれを嫌った。

 それに、この頃になると、レベルアップをする中で、申告をしていない能力が生えてきていた者が現れてきた。

 そして、日本国内では、クラン的なチームを構成し、チーム同士のモンスターの取り合いも出始める。

 問題は複雑化をして、それは加速をする。

「おらぁ」
 炎の槍が、オークへと飛んで行く。
「ブゴーオオォ」
 遊び、なぶるようにオークを囲んでいたグールプが、咆哮を上げさせてしまった。

 周囲の気配が変わり、微細な振動が近付いてくる。
 だが熱中している者達は、気がつかない。

 紅蓮と名乗る彼たちは、元々ゲーム仲間達が集まり、チームを組んだ。
 ギルドの約定に従い、誰かが見つけたオークを、囲んで遊んでいた。

 だが、泣かせてしまった。

 ごく普通の街角。
 そこに、モンスター達が集まってくる。
 
 その状況に、誰かが気がつく。
「おっおい。なんか囲まれているぞ。やばくないか?」
「おい隆史。お前がリーダーだろう。何とかしろよ」
「あー。撤収」
 そうは言ったが、もう遅い。周りはすっかり囲まれている。

「ばかやろう。どうやって逃げるんだよ」
「何とかして。俺は逃げる」

 そして彼は、筋力を強化して、軽く飛び上がると、壁を足場にしてひらりと屋根へ飛び上がる。
「おまえらも、早く上がってこい。飛行型はいないんだ」
 そんな無茶を言う。

 たまたま集まった仲間達。
 楽しいから、一緒にいただけ。

 モンスターに飲み込まれていく仲間を見送る。
「あらら。連絡はしておくか」
 かれは、警察に連絡をする。
 足下では、元チームメートを食い散らかしたモンスター達が、近隣の家を襲い始める。

 その様子を、しばらく見ていたが、飽きたようで姿を消す。


 そして、別の所ではチーム同士が鉢合わせをして、モンスターそっちのけで喧嘩を始める。

「ばかやろう。俺様のファイヤーボールをはじくんじゃないよ。周囲のおたくに迷惑が掛かるだろう」
 そう言った彼の仲間が、ウォーターランスを燃えている所に撃ち込む。
 強力な攻撃は、屋根と壁の一部を崩壊させる。

 家の壁や、電信柱を吹き飛ばし周囲に被害を与えていく。

「お前達。いい加減にしろ」
 やって来たのは、この地区のギルドで決められた、トップチーム。
 上位十チームもしくは個人が選出されて、能力者の管理までさせられている。

 与えられるのは、名誉のみ。
 素行が悪ければ、トップテンには選ばれない。

 トップチームは、それと分かる防刃外套を、供与されているが着ている者はいない。

 三つ巴で、言い争っている現場は閑静な住宅街。
 そこに、大きな遠吠え。いや咆哮が響き渡る。

 二十匹以上の、牛サイズの犬たち。

 一気に現場は、修羅場となり。
 言い争っていた者達は、何とか逃げることを画策する。

 突っ込んできた、犬の鼻先へ火の玉が着弾をする。
 セオリー通りの攻撃。

 だが、驚くべき事にダメージはなさそうだ。
 気のせいか、犬が笑った気がする。
 体躯が、一瞬沈んだと思ったら、次の瞬間。
 火の玉を放った彼は、首筋を咥えられ、叫び声すら上げる暇なく絶命をする。

 そんな光景が、現場で発生。
 三チームがあっという間に全滅をさせられた。
 犬たちを引き連れる、一回り大きな犬がいる。
 その犬は真っ白で独特な雰囲気を持っていた。
 そいつは、合図を出すと次の狩り場へ皆を誘導する。


 そんな情勢だが、ある場所では。
「きゃー、燃えちゃってる。竜ちゃん。どうすればいいの?」
 そんなことを言うのは彩だが、その能力と攻撃は容赦がない。

 彩の炎は何か特殊で、着弾をするとどんどん燃え広がり、対象を燃やし尽くすまで消えない。

 その実、火を付けられたモンスターは、苦しみながら燃え尽きていく。
 方や、まどかの精神コントロールは、モンスターにも効き、今一匹を仲間にして他のモンスターを倒している。

 それも、コントロールされているモンスターは、完全にリミッターが外れているらしく、拳が割れ血を流しながらも平気で攻撃をしていく。

 人間で考えた場合ものすごく怖い、自分が壊れても平気で向かって来るゾンビのような相手。

 とにかく二人とも、戦闘中に竜司に対して、かわいいをアピールしながら、モンスターを地獄へ送っていく、悪魔のような存在だという事を、実感した竜司であった。
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