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第二章 宇宙人来襲

第22話 人が慣れた頃に、特典が降ってきた

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 結局どうこう言っても、直前までやっていた事と変わらず。

 お勉強。

 だが途中で、いきなり奇声を発する奴がいる。
「だあぁ」

 しばらくすると、また。
「にゃああぁ。ふみゃふみゃ」
「おい。彩。やかましい」
 さすがに注意をする。

「ふへっ。でもぉ。訳の分からない事を書いている教科書が悪いのよ。教科書なら分かる様に書いてくれないと。でしょ」
 その瞬間、六つの瞳が、じっと見つめる。

「なっ何で。えっと…… みんな分かるの?」
 彩がきょとんとする。

「ああ。そんなあなたに、良いものがあるわ。教科書を読んで分からない子にはこれよ」
 多少頭痛がするのかこめかみをぐりぐりとしながら、まどかがそう言って、出してきたのは参考書。だが、一同の目が固まる。

 たしかに、まどかはできる子だが、すでに何年使ったんだというくらい、付箋や書き込みがしてある。

「ああ、これ? 親の期待で、一年の時に三年までを、全教科三回くらいはしたわ」
 それを聞いて、また全員の動きが止まる。

「じゃあ。今は何をしているの?」
 すると、もう一冊出てくる。
 今度は、問題集。
 だが、暇つぶしには、小学校のドリルをやっているらしい。
 
「まどか。あんたおかしいよ」
 これは、彩の意見。

「頑張ったんだね。えらい」
 これは、伶菜。

 俺は黙って、頭をなでる。
「どうしてよ。こういうときは黙ってハグから、キスじゃないの?」
「「だめ」」
 あーうん。彩と伶菜がハモる。

「しかし、まあ。話には聞いていたが、ひどいな」
「でしょ。今時超一流企業だって潰れるのに。大学を出て、一流企業に入れって。お父さんなんか短大卒だよ」
「きっと、それで苦労をしたんでしょ。でも今って、大学院を出ても就職って厳しいんでしょ」
「どこかで見たな」
「じゃあ、してもしなくても……」
「「「ちがう」」」

「おバカは、もっと駄目。悪い男に騙されて、借金を背負わされて……」
 何故かみんなの目が、俺を見る。

「俺は、別に、騙してはいないぞ」
 すると、伶菜が場を裏切る。

「竜ちゃんならいい。何とかして一緒にお金を返そう」
「まて、なんで俺が借金する話になる?」
「えー。そりゃ、彩との婚約破棄で慰謝料でしょ」
 悪い顔をして、伶菜がしっしっしと変な笑い方をする。

「じゃあ、立て替えてあげるから、体で返して」
 まどかが切り替えしてきた。

 彩は何か考えているが、出した答えは。こ・れ・だ。
「じゃあ、慰謝料。私が払うから」
「「「???」」」

 全員がため息を付く。
「勉強は必要だな」
「そうだね」
「えっ、何で?」
「あんたが、一番勉強しなさい」

「えー」
 だが、使い込み、書き込み多数の、参考書。まどかバージョンは、優秀だったようだ。
 疑問点は、参考ポイントへのページが、同じ色の付箋を辿ればいけるようになっている。

 問題は、彩が異様な速度で、ドンドンと最初へ戻る事。
 基礎が分からないと、今のところは進めないようだ。

 素人が、専門書を読むときに、専門用語を調べていたら、別の専門用語が出てきて、そこを調べるとまた。
 そんな無限ループに、ハマる事が良くある。

 思わず、さすが専門書と唸った事があるはずだ。

 それはさておき、彩の行動を見ていて、まどかはため息を付くと、テスト範囲の問題集を出してくる。
「理解しないでいいから、テキスト通りに全部解いて。解き方だけを覚えて」
 ああっ、そうなるよな。まどかに借りて、ドリルから始めた方がいい様な気もするけれどな。
 今度買ってやろう。誕生日のプレゼントは決まったな。


 そんなこんなで、時は経ち試験中。
 世界では知らないが、もっか試験のストレス解消にモンスター狩りが流行っているらしい。

 大昔のオヤジ狩りや浮浪者狩りに比べれば健全だ。そのため警察も黙認をしているらしい。
 だが、見た人から、残虐だとやはりコメントが流れる。
 しかし、昔話題になった野生クマと違い、危険は町中にあふれている。

 某掲示板の有志がリアルタイムでリサーチを行い。
 誰かが、かわいそうと発信をすると、その地区でモンスター狩りが途絶える。

 そう、ハンターが居なくなる。
「この付近で、モンスターを狩ると迷惑だそうです。遠慮しましょう」
 そんな看板が乱立をする。

 当然モンスターが増え、あっという間に地区内で犯人が特定される羽目になる。
 すると、かわいそうな相手が、モンスターから自身に変わる。

 ゴブリンに殴られれば、骨折もするし、指などは美味しいらしく一番先に狙われる。彼らは、肉食なのだ。

 同じアカウントから、人が襲われても誰も助けてくれない。
 薄情だ。なんていう発信がされる。
 すると、自業自得や、自己責任という単語で埋め尽くされる。

 それは、さておき。
 テストも、一人を除いて無事終わり。
 あっいや、今回は補習がなくて山盛りの問題集だったな。
 とにかく、息抜きに来ている。

 息抜きには、大声で叫ぶ。
 ああまあ、カラオケだ。

 彩が泣きながら、『この空が飛べたら』を歌っている頃。
 見事なカムフラージュがされた宇宙船が、成層圏に到着。
 ポチッとなと、一個の何かを撃ち出す。

 それは、一万メートル付近で勝手に破裂をした。
 しばらく、その宇宙船は何かを探していたようだが、諦めて帰った。
 亜空間ホールを利用して。

 そうして、宿題を大量に抱えた彩を、頭なでなでという餌で釣り、片付けさせていた頃、書き込みが一つ入る。

「朗報。モンスターを倒したら、レベルがアップ」
 その書き込みに、世界がザワつき、一時期モンスターが激減をした。

 だが、人間がレベルアップするなら、モンスターがレベルアップしても良いよね。と、ばかりに、凶悪化していった。
 そして、モンスターは、ある程度で、上位レベルに変異をした。

 ここへ来て、一部のモンスターからNATO弾七ミリに対して、戦力外通告が出された。

「まじか?」
「だめ。八ミリのモーゼルでも持ってくるか?」
「ラプアかなあ」
 最近は、小口径が主流のため、アメリカは大喜びで、モンスター用新ラインの計画を開始した。
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