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第二章 宇宙人来襲

第20話 避難生活という名の同棲

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 そして夕方。

 非常事態宣言は解除された。
 おかしな放送も、まともになった頃。
 父さん達から、連絡が入る。
 夜には父さん達も帰ってくるらしい。

 問題になっていた謎生物は、自衛隊により駆除されたとニュースが流れる。
 むろん日本中で起こったこと。
 ピンポイントで、ここが特殊な訳ではない。

「じゃあよかったな。帰れるぞ」
「えー。登下校が怖い」
 そう言って、くねくねしているのは、家が隣の火炎魔人。

 結局、彩は着替えを取りに帰っただけ。

 それに合わせて、まどかと伶菜もスーツケースを担いで帰ってきた。
 いや、二人はさすがに、送り迎えをしたけれど。

 まだ、外には通称ゴブリン。
 正式名称は未確認生物、小型特殊猿目第一科だそうだ。
 通称コボルトは、未確認生物小型特殊猿目犬科とか、まあ言っていたけれど、ゴブリンやコボルトで話が通じる。
 まだ、分類も綺麗にできていないようだ。

 そして、伶菜の家では竜一さんに両肩をバシバシされながら『よろしく頼むぜ』とすごまれて、最後には何故か万歳三唱で見送られた。

 まどかは前に遊びに行ったときと違って、竜一さんの目付きが怖くなっているとぼやく。
 昔は、猫なで声の時もあって、お小遣いまで貰ったことがあるらしい。

「まあ。お父さんは良いのよ。基本適当だから」
 伶菜がなだめる。

 そう言えば俺、鏡子さんに、ガンガンに女と付き合って、別れを繰り返せばいい男になれるって、幾度も言われたな。
 何だろうな、あれは?


 別れは、幾度も繰り返したな。
 現世ではなく、当然前世だが。
 セクスタプレトである俺の方が、ランクツインよりも、どうしたって寿命が長い。
 幾度も見送る内に、どこか冷めた部分ができてしまった。

 その冷淡な部分を、鏡子さんは見えている?
 でも。ああそうか。付き合っているときは、確かにそう言う経験があると、このくらいならという部分が多くなった気がする。


 そして、まどかは帰って、家へ入るなり、お母さんの大声。
 そこで言い合っている途中から、お父さんの参戦があったようで、表までガンガンに親子げんかの声が聞こえてくる。
「あーうっとしい」
 まどかの叫び声の後、家の中は静かになった。

 しばらく待っていると、ガラガラとキャリアを引きずる音が聞こえ、穏やかなご両親が顔を出す。
「娘をよろしくお願いしますね」
 そう言って、にこやかに送りだしてくれた。

「おまえなあ」
 少しジト目で、睨むと。

「家の家族。文句ばかり。長女なんだから、家のことをもっとしなさい。長女だから…… いつもそればかり。妹は好きにしているのに」
 そう言って、目の端に涙を浮かべる。

 つい頭を、ぐしゃぐしゃとなでる。
「ひどーい。これから、末永くよろしくお願いします」
 笑いながら、そう言ってくる。

 思わず、ああっ。と言いそうになって、引っ込める。
 あぶねえ。
 許諾したら、それをネタに迫られる。

 そうして、いつもとは、何かが違う雰囲気の漂う町の中。
 人々は、足早にどこかへ急ぐ。

 そんな中を、ゆっくりと三人で帰宅中、例の公園へさしかかる。

 すると、当然のように聞こえる悲鳴。

 それも数人。

 勝手に足が走り出す。
 だって、前世の記憶があるんだもの。警官の性よっ。
 思い出したアニメのせいで、多少性別が揺らぐなか、目標を発見する。

 ファイブマンセルで、さらに幾匹かは棍棒で武装中。

「あれは確か、未確認生物小型…… もう良い。ゴブリンだ」

 女の子と、兄ちゃんが一人? うちと同じ人数? だがそのにいちゃんは、キャーキャー叫び声を上げて、自分の頭に取り付いている一匹を何とか引き剥がそうとしている。
 髪の毛が、白くなっている。恐怖のせいか?

「ゴブをぶん殴る、ちょっと引っ張るかもしれないから痛いぞ」
 そう言って、ゴブリンの右頬を殴る。
「カハッ」
 とかいうが、まだ離れない。
 右を殴ったら次は左。

 ゴキッという、怪しい感触がして、奴はずり落ちていく。

 そのにいちゃんは、顔を見るといつの間にか、女の子に変化をしていた。
 目まで青いし。

 まあ良い。振り向きざまに女の子に飛びかかっている、二匹を何とかする。
 一匹をけり、着地させた足をけり足にして、アッパー気味に右手を振り上げる。

 また、拳にぐしゃっと言う感触を残して、ゴブリンは白目を剥く。

 そして残り三匹は、俺を先に何とかしようとして隊列を組む。

 真ん中が、棍棒を振り上げながら走ってくる。
 だが背が低いから、前の奴の背中側。影に潜むように、二匹も付いてくるのが見える。
 これは、かの有名な、ジュッ○ストリー○アタック。

 前の奴の攻撃を躱しながら、次の奴の頭をと、足を上げたらちょうど前の奴が良いところにやって来る。顎にあたり、後ろの奴を巻き添えに、倒れていく。
「ちぃ、若さ故、じゃないな。軽すぎるのがこいつらの敗因だな」

 手で殴ると、いい加減感触が気持ち悪いので、棍棒でゴンゴンと殴っていく。

 だが、ファンファーレも、みなぎる力も何も来なかった。
 まあ、現実そんなものさ。

 そして、躊躇無く。
 ――三人の怪我を治す。治してしまった。
 そうなんだよ。何も考えずに力を使ったんだよ。

 服も多少破れていたが、家が近くだということで、素直にさよならをした。

 三人は、公園を通りかかったときに、子供がうろついていると思い。駆けより、途中で気がつき、ヒィとなったらしい。

 日本人二人は、姉妹で武内 沙耶(たけうち さや)と礼美(れみ)。最初におっさんだと思ったのは、イタリア系アメリカ人の女性で、病気療養の為に来ていたらしい。お母さん同士が友達らしい。

「さてと、電話をするか」
 まず警察に電話をする。
「えっもう倒した? なら、燃えるゴミ扱いですので、市役所に言ってください」

 市役所に言うと。
「動物? 遺体の引き取り? 業者さんに依頼はできますが、有料になりますが?」
 なんだとー。である。

「場所が、市の公園で、動物と言っても未確認…… あーゴブリンです」
 そう言うと、態度が変わる。
「早く言ってください。自衛隊にお願いします。ガシャ」

 スマホで検索をすると、ページがあった。
 最初っから、調べればよかった。
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