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第二章 宇宙人来襲

第11話 拙い企て

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 みんなを送って帰ったが、時間はまだ早い。
 試験範囲を追いかける。

 そして、一時間も過ぎた頃、風呂へ入っていたはずの彩が、何故かコンビニの袋を抱えて帰ってきた。

「竜ちゃん。ただいま」
「んー? お帰り。風呂へ入っていたんじゃないのか?」
「へっ? あっそうだ。入ってくる」
 そう言って、ドタバタと降りていく。

「何だあいつ」
 そう思いながら、放り出していったコンビニの袋を覗き込もうとすると、またすごい勢いで、階段を上がってくる。

「買い物。見た?」
「いや、見ていない」
「冷やさないといけない物があって。おほほほっ」
 変な笑い方をしながら、そう言って、袋を持っていく。

 さて、予想はついただろう、みんなとの差をつける。
 それには、あれね。そう思い、彼用の装備品を買いに行った。
 恥ずかしさもあって、訳の分からない物を大量に買い込む。

 コンビニ店員さんのニヤニヤと、外国人らしい、サムズアップとイエェーが少し後押しをしてくれる。

 そして、本当に冷やさないといけなかったアイスが、脱衣所で溶ける中。バスタブの中で、溶けずにのぼせ上がる彩。
 あまりに気合いを入れて洗いすぎたせいで、至る所が多少ヒリヒリする。

「いよーしぃ。いくぜぇ」
 妙な気合いを入れて、部屋へと上がっていく。

「ただいま」
「おう。お帰り。お前も部屋にいるのなら勉強をしろ。テスト範囲と対策はこのノートだ。赤点を取ると、宿題の山がやってくるようだからな」
「あっそうね。あっあのね」
 何かを言いたそうに、あわあわしているが、たしたことはないだろう。

「風呂へ入ってくるよ」
「へっ。ああ。お風呂ね。良い出汁よ」
 思わず固まる。

「良い出汁って何だ?」
「あっ、良いお湯。ちょっとした間違い」
「ふーん」
 妙な感じを受けながら、部屋を出る。
 すぐに、「あいすがぁああ」と言う叫び声が聞こえた。

 まあ良い。風呂場へ行って体を洗いつつ、良い出汁って何だ? あいつ湯の中で漏らしたんじゃないだろうな? ふとそう思って匂いを嗅いでみる。

 別に大丈夫そうだ。
「うええぃ」
 肩まで、湯に浸かる。

 あれから、探査もされることもないし、先ずは一安心だ。
 ひょっとすると、軍の奴らが見つけたか?
 そう言えば、俺達の能力は固有パターンがあるんだったか?

 だとすると、軽々には使えないな。

 まあ、世界に能力が発生したが、ダンジョンができたわけでもないから、安心だろう。
 モンスターとかが出たら、大騒ぎだからな。

「よし」
 そう言って、ちょっとした気合いを入れて、風呂を出る。
 高校生になって初添い寝。多少思う物がある。

 その時、忘れていた。
 軍の時に散々やって来た手順。

 原住生物殲滅用生物兵器。
 星の環境を改造するときの第一歩。
 土着の生物が居るときには、まずバクテリアやウィルスまで殺す必要がある。
 いったん、地殻破壊弾を撃ち込み、火の玉にするのは手っ取り早いが、落ち着くまでに時間が掛かる。

 それで、後で簡単に駆除ができる生き物を放す。
 そう、昔はよく使った。
 地球人の感性だとひどい話だが、ドラガシメル人としては、問題ない。
 それが普通だし、住めない星など意味が無いからな。
 大体、余所から来た人間が足を一歩踏み入れただけで、生態系へのダメージは与える。

 大なり小なり、そして急激な変化か、ゆっくりした変化か。
 それだけだ。

「ただいま。さっき風呂行く前に、何を叫んでいたんだ?」
「へっ? なにもないよ」
 ごにょごにょ言っているが、彩のコップには、すごく甘そうなシェイクのような飲み物が入っている。

「ふーん。そうか。さて勉強をするか?」
「あーうん。少しだけね。遅くなると明日学校だし」
「気合いが入っているのか? 珍しい」
 そう言うと、少しプクッと頬が膨らむ。

「むー。やるときには、やるのよ」
 そう言ってノートを見始めた。そして、一五分くらいが経つと、落ち着きがなくなる。
 いつもの行動。
 彩の行動限界だ。
 勉強時間なら、おおよそ一五分。

「ちょっと、飲み物取ってくる」
「ああ」
 次はきっとトイレだろう。

 本人は勉強をする行動に対して、心理的アレルギーがどうだとか言っていた。

 それでも何とか、範囲を進めて一時頃。
 集中が出来なくなってきたのでやめる。
 彩は大分前から、気絶するように眠りについた。

「よっ」
 お姫様抱っこをして、ベッドへ寝かせる。
 俺のベッドは、一応セミダブルだから二人で寝られる。
 彩は昔。しょっちゅう寝落ちをして、泊まっていたからこの環境が出来ている。

 電気を消して、常夜灯にする。

「さすがに、高校へ入ってからは始めてだな」


 そして、寝返りを打った私は気がついてしまった。
 いつの間にか寝落ち。
 そして、横で竜ちゃん爆睡中。

「あーうん。かわいい」
 常夜灯だが、顔が見える。
 ほっぺにキスをする。

 徐々に口へ。
「ふわっ。しちゃった」
 そうだ、男の人って朝とか、寝ていても元気だよね。

 その方が、恥ずかしくなくて良いかも。
 なんてことを、彩は考えて実行をする。
 そっと、竜司の一部へ手を伸ばす。

 同時刻、衛星軌道上で、一機の宇宙船が浮かんでいた。
「この星が、基本だから微生物までの殲滅は必要ないだろう」
「ああ、母なる星だから、環境は問題ないだろう」
 そう言いながら、地上のデータを観測し内容をチェックしている。

「昔より寒いし、酸素濃度も低そうだが、まあ良いだろう」
「じゃあ、あれだな、原住生物殲滅用生物兵器を撃ち込もうぜ」
「あれか、動物を変化させる奴」
「そうだ、最後の最後に殺虫剤をぶち込めば、変異体は死ぬからな」
 そう言いながら、厳重なケースの鍵を開け始める。
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