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第一章 何かが起こった

第3話 あれ? 俺もおかしい

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 それから後。
 背後から体をまさぐり始める彩。

「やっぱり、竜ちゃん。体が変わってる」
「こら。変なことをするな」
 そう言うと、一応、手は止まる。

「だって、まじまじと触ったのって、小学校の時以来だもの」
「そう言われれば、そうだな。どうしてだ?」
 そう聞くと、彩の動きが止まる。

「えっ。えっとね。気がついて恥ずかしくなったの」
「恥ずかしい? 気がついた?」
 背中に抱きついている、彩の体温が急激に上昇するのが分かる。

「あーうん。ちょっと待って、こっちを見ないで。恥ずかしいから」
 どうも照れているらしい。

「中学校ちょっと前に、生理とか来てさ、友達にこんなの面倒って言ったのよ。するとね、大人なビデオを見せられて。あっ、その子のお兄さんのパソコンに入っていた奴で、その、エッチなことをするもの。その子って、あっという間にパスワードも解除してさ、一〇層くらい深いところへあっという間に潜って、ファイルを見つけたの。それでね、こんな事をすると赤ちゃんがつくれるって見せられて。このために体の変化は必要なんだよってまあ。学校でも習ったけれど、そのビデオを見て、竜ちゃんの顔を想像しちゃって、それでその、すっ。す。まあ。気持ちに気がついて、恥ずかしくなっちゃって」
 一気に告白する彩。衝撃の事実。

 そう言えば、俺から逃げ回っていたときがあったな。

「そんなに前から?」
「認識というか、はっきりわかったのはそうだけど、その前からずっと。あーうん。すっすきだったのぉ」
 そう言うと、背中にボフッと顔があたるのがわかった。
 いや、吐息がすんごく熱いんですが。
 火を噴いていないよな。

「この写真。バッテンは何?」
 怖いが、聞いてみる。

「あーその子達ってさ、竜ちゃんがきっと好きなの。目がね、それを物語っているから塗ったの」
「そうなのか?」
 俺自身に、そんなにモテた記憶も無いのだが。

「モテた記憶は無いぞ」
「でも女の子同士だと、以外とクラスの男の子。誰がいいとか、エッチしてみたいとか色々言うのよ」
「へー女の子でも、そんな話をするんだ」
「するよ。興味もあるし」
「へぇー。この俺のプールの奴。写真の色が変わっているのは?」
 あっまた、吐息が熱くなった。

「それはその、竜ちゃんの体。今どんな感じかなって想像をして、触っていたら色が落ちたの」

 プリンターの色、紫外線とか汗で変色をするからなぁ。
 一番触っていたのか。それも体つきを想像って。
 女の子もそんな事をするんだ。

 四つん這い状態で、いい加減疲れたし、力を抜いて、潰れてみる。
「ひゃ。うぎゅ」
 妙な声を出して、一緒に潰れてきた。

 その時、竜司の腹側へ回していた彩の手は、予想外なところへ行ってしまう。
 今までの記憶に無い、ふにょっとした感触。
 彩は頭の中で、今どこに手があって、そこには何があるのかを、理解をしてしまう。血流が上半身に集まり、顔が真っ赤になる。

「うきゃ」
 手の平に、力がつい集まり、発火が始まろうとしていた。

 その時、竜司には妙な感覚が感じられる。
 未曾有の身体に対する危険。
 それがわかった。
 バッと体を起こし、退避をする。

 そのまま、壁に後頭部をぶつけるが、気にしない。

 彩は、頭に血が上った瞬間、力が暴走をして発動をするのがわかった。
「ごめん。お願い竜ちゃん逃げて」
 そう言った時には、目の前から竜司の姿は消えていた。

 普通の人間には、反応が出来ない超スピード。
 そんなスピードで、竜司は動いていた。

 当然、彩は驚いたが、また力が発動して、自身の服を燃やす羽目になる。
 今度は制服。少しお高い。

「あっ。熱い」
「ちょっと待て」
 また毛布が、犠牲になる。

「もう、おねえちゃん何をドタバタしてるの?」
 妹、葉月(はづき)が、入ってきたときには、火は消えていた。
 手前、ベッドの上で毛布を持つ竜司。
 向こう側で、股間と胸に丸く焼け焦げた穴が開いた制服を着た姉の姿。

 何が起こったのかはよくわからないが、姉の能力は聞いていた。
「おねえちゃん。竜兄へのサービスにはなるけれど、着替えたら? 上はともかく下は完全に丸出しだよ。焦げて完全につんつるてんだし」
 ばっと、手で隠すと、部屋を出て行く彩。

 此方に背を向けている、竜司の肩に手を置き、聞いてみる。
 肩に手を置いても、全く反応が無いのはおかしいが。
「竜兄ちゃん。何があったの?」

 だが返事はない。
 回り込んでみると、竜司の目は見開き、虹彩部分が金色に輝いていた。
 その目には、何かが映っている様子はなく、目が見開かれているのみ。

 ついそっと、キスをしてみる。
 反応が無い。この前より、自身のドキドキが強い。

「うん? どうしたんだろう。この前にしたときには、大騒ぎして逃げたのに」

 鈴木 葉月一五歳。多感で、色々なことに興味が出るお年頃。
 前回、竜司のお誕生日に遊びに行き、ゲーム中寝ていた竜司に興味を抱き、キスをした。

 クラスで、他の子が色々騒いでいて、興味はあったが、クラスの男どもとキスをする気など、全くもって起こらず。想像すら出来なかった。
 恋愛感情はないが、子供の頃から見知っている、竜司なら良いかと軽い気持ちでしてみた。
 だが、その時竜司は目を覚まし、目の前に葉月の顔があることで驚き、キスを否定をする。
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