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第二章 いかに騙すか、それが問題だ……
第5話 悪事と冒険者登録
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あまり、さわぎが大きくならないように、小芝居を打つ。
考えた末に、良くありそうな娼婦と客の騒動、第一幕。
娼婦とお金がない客。上演開始。
意外と、その日はうまくいった。
護衛たちが何だ何だと集まり、ジャンナの見た目に誘われる。
「その男に、金がないなら、俺が買ってやる」
護衛の男が食いつき、交渉を始める。
むろん、ジャンナは嫌そうな顔。
「馬鹿野郎。仕事中に何を言っているんだ」
護衛の仲間だろう。少し偉そうな奴が、やって来た。
「大丈夫だ。おりゃ早いからさ」
そう言って、そいつは笑顔を浮かべる。
「早いと言ったって、十分…… いや、二十分やそこらは必要だろう。仕事をさぼるなよ。寝ずの番も、契約内だ」
当然だが、夜間の見張りは多くはない。一人抜けると辛いだろう。
どうしたって、死角が出てしまう。
「いや俺は、そうだな、全部で一分あれば良い」
「はっ? なんだそれ。マジか?」
それを聞いたときの仲間の反応。そのあまりの驚き方を見て、少し焦り出したようだ。
「おうっ? 皆違うのか?」
周囲の野次馬からも「それはないよなぁ。早すぎだろ」とか、「あたいだったら殴るわ」とかまあ、色々な声が聞こえ始める。
俺らをほったらかしにして、護衛たちの騒ぎに、人が集まる。
なんとなく、良い感じになったおかげで、その宿にあった馬車分全部入れ替えができたようだ。
「よっしゃあ。これで本物が手に入った」
そう、この入れ替えは、偽金シリーズの第一弾のステップ。
たまたま、城に屑硬貨があったから、使ったまでのこと。
これを元にして、さらに偽コインを造り、ばら撒くのも良い。
そして、すぐに使う気は無いが、おれは、山で綺麗な花を見つけてしまった。
そう禁断のその実からは、鎮痛剤が取れる。
俺は此花を見つけたとき、自国を救うため鬼となる覚悟を決めた。
この数日色々と考えた。記憶の中にある情報。
基本は偽金の流通とそれによる帝国の信用失墜。
それとは別に、何か……
この世界で使えるモノ。
地面師とか、銀行?
土地は基本王家が管理だから使えんな。
銀行は受け入れて、手形の発行と地方での交換業務。
盗賊が多いから儲けが出そうだ。手数料でもうける。
だが、資本が必要だ。
融資詐欺も良いなあ。
牛を飼いませんか? オーナーになって、売れれば儲けを権利により折半。
絶対儲かります。という融資保証金詐欺。この世界にはまだ規制が無い。
連鎖販売取引もするが、抱き合わせでねずみ講も行う。
そう、とにかく帝国から金を巻き上げて、その金を持ち、周囲の国を援助し、軍備を整える。
そして、「オレは帝国を倒す」気合いが入ってしまい、つい叫びながら腕を突き上げる。
連鎖販売取引というのは、商品を売り、その売り上げの一部が売った人に帰ってくる方法。
会員となり、商品も売るが、基本は会員を増やす。
すると、その人が契約をした子会員だけではなく、子会員が勧誘をした孫会員辺りが売った利益の一部もその親へと支払われる。
つまり、ピラミッドの頂上に向かい利益の一部が集められる。
それは商品を売ることが主であるから、合法だが、これの元はねずみ講。
コイツも仕組みは同じだが、商品など存在しない。
この仕組み、人口が有限である以上、将来的に、組織は絶対破綻する。
コイツは違法だ。日本ではね。調べてみるが、この世界には今まで存在していない。
そして宝くじ。
これは説明など必要ないだろう。
後は、情報を集める中で、酒場で泣いていたオッサンから聞いた悪徳商会潰し。
話を聞けば、証文を書いて、二枚の内容が同じ事を確認後、契約を確かにした。
すると、本人が知らないうちに…… 本当にいつの間にか、契約内容が変わり、安い金額で、十倍もの商品を納めることになっていた。
当然無理だと言ったら、店を取られたとか言う話がちらほらある。
コイツはきっと、すり替えをやっている。
ミスディレクションを悪用して、証文を確認後、サインをするときに、違う紙を差し出しているはずだ。意外と、経験から学んだ常識や思い込みを利用するサイコロジカル・ミスディレクションも有効な手だ。
さっき書類は、きっちりと確認をした。
後はサインをして終わるだけ。
そこで人は、少し気が抜け、散漫になる。
「さあ後は、お互いにサインをして、書類を交換。もう一枚にサインを行えば契約はなります」
そんな事を言いながら握手でもすれば、もしかすると入れ替えた書類を持ち込んだ人の出入りがあっても、気が付かないかもしれない。
だけど、手の込んだことをしなくても、こんなのは簡単。紙を二枚確認をしたあと、渡すときに重ねていた下の紙を渡しているだけ。トランプマジックなどでも多く使われる技だ。
軍資金を作り、ある程度大きくなれば、もっと大きい仕事ができる。
そう考えながらも、考える。帝国側で悪さをする必要がある。
そして潰しても、胸の痛まない屑。
貴族だな……
悪徳商会は、訴えても役人は動いてくれないようだ。
絶対に、領主が絡んでいるだろう。
情報を得るため、全員でギルドに登録する。
通り過ぎた、適当な村の名前を出身にすることにする。
専門ギルドではなく、何でも屋である冒険者ギルド。
過去は、未開の地へ踏み込み、開拓をしていった花形職業だった。
だが最近は、護衛をしたり、討伐をしたり、力のない奴は、薬草採取や、ドブ掃除。
草刈りから、少し離れた町への買い物まで。
そう何でも屋。
仕事をした合計額が貢献度となり、ランクと共に信用度が上がっていく。
ランクが低ければ、信用もなく、逃げられても困らないような仕事しか回ってこない。
先ずは悪徳商会である越前屋。ではなく、シンキ総合商会。
こいつが、お代官様に、山吹色の菓子折を運ぶ証拠を集めよう。
考えた末に、良くありそうな娼婦と客の騒動、第一幕。
娼婦とお金がない客。上演開始。
意外と、その日はうまくいった。
護衛たちが何だ何だと集まり、ジャンナの見た目に誘われる。
「その男に、金がないなら、俺が買ってやる」
護衛の男が食いつき、交渉を始める。
むろん、ジャンナは嫌そうな顔。
「馬鹿野郎。仕事中に何を言っているんだ」
護衛の仲間だろう。少し偉そうな奴が、やって来た。
「大丈夫だ。おりゃ早いからさ」
そう言って、そいつは笑顔を浮かべる。
「早いと言ったって、十分…… いや、二十分やそこらは必要だろう。仕事をさぼるなよ。寝ずの番も、契約内だ」
当然だが、夜間の見張りは多くはない。一人抜けると辛いだろう。
どうしたって、死角が出てしまう。
「いや俺は、そうだな、全部で一分あれば良い」
「はっ? なんだそれ。マジか?」
それを聞いたときの仲間の反応。そのあまりの驚き方を見て、少し焦り出したようだ。
「おうっ? 皆違うのか?」
周囲の野次馬からも「それはないよなぁ。早すぎだろ」とか、「あたいだったら殴るわ」とかまあ、色々な声が聞こえ始める。
俺らをほったらかしにして、護衛たちの騒ぎに、人が集まる。
なんとなく、良い感じになったおかげで、その宿にあった馬車分全部入れ替えができたようだ。
「よっしゃあ。これで本物が手に入った」
そう、この入れ替えは、偽金シリーズの第一弾のステップ。
たまたま、城に屑硬貨があったから、使ったまでのこと。
これを元にして、さらに偽コインを造り、ばら撒くのも良い。
そして、すぐに使う気は無いが、おれは、山で綺麗な花を見つけてしまった。
そう禁断のその実からは、鎮痛剤が取れる。
俺は此花を見つけたとき、自国を救うため鬼となる覚悟を決めた。
この数日色々と考えた。記憶の中にある情報。
基本は偽金の流通とそれによる帝国の信用失墜。
それとは別に、何か……
この世界で使えるモノ。
地面師とか、銀行?
土地は基本王家が管理だから使えんな。
銀行は受け入れて、手形の発行と地方での交換業務。
盗賊が多いから儲けが出そうだ。手数料でもうける。
だが、資本が必要だ。
融資詐欺も良いなあ。
牛を飼いませんか? オーナーになって、売れれば儲けを権利により折半。
絶対儲かります。という融資保証金詐欺。この世界にはまだ規制が無い。
連鎖販売取引もするが、抱き合わせでねずみ講も行う。
そう、とにかく帝国から金を巻き上げて、その金を持ち、周囲の国を援助し、軍備を整える。
そして、「オレは帝国を倒す」気合いが入ってしまい、つい叫びながら腕を突き上げる。
連鎖販売取引というのは、商品を売り、その売り上げの一部が売った人に帰ってくる方法。
会員となり、商品も売るが、基本は会員を増やす。
すると、その人が契約をした子会員だけではなく、子会員が勧誘をした孫会員辺りが売った利益の一部もその親へと支払われる。
つまり、ピラミッドの頂上に向かい利益の一部が集められる。
それは商品を売ることが主であるから、合法だが、これの元はねずみ講。
コイツも仕組みは同じだが、商品など存在しない。
この仕組み、人口が有限である以上、将来的に、組織は絶対破綻する。
コイツは違法だ。日本ではね。調べてみるが、この世界には今まで存在していない。
そして宝くじ。
これは説明など必要ないだろう。
後は、情報を集める中で、酒場で泣いていたオッサンから聞いた悪徳商会潰し。
話を聞けば、証文を書いて、二枚の内容が同じ事を確認後、契約を確かにした。
すると、本人が知らないうちに…… 本当にいつの間にか、契約内容が変わり、安い金額で、十倍もの商品を納めることになっていた。
当然無理だと言ったら、店を取られたとか言う話がちらほらある。
コイツはきっと、すり替えをやっている。
ミスディレクションを悪用して、証文を確認後、サインをするときに、違う紙を差し出しているはずだ。意外と、経験から学んだ常識や思い込みを利用するサイコロジカル・ミスディレクションも有効な手だ。
さっき書類は、きっちりと確認をした。
後はサインをして終わるだけ。
そこで人は、少し気が抜け、散漫になる。
「さあ後は、お互いにサインをして、書類を交換。もう一枚にサインを行えば契約はなります」
そんな事を言いながら握手でもすれば、もしかすると入れ替えた書類を持ち込んだ人の出入りがあっても、気が付かないかもしれない。
だけど、手の込んだことをしなくても、こんなのは簡単。紙を二枚確認をしたあと、渡すときに重ねていた下の紙を渡しているだけ。トランプマジックなどでも多く使われる技だ。
軍資金を作り、ある程度大きくなれば、もっと大きい仕事ができる。
そう考えながらも、考える。帝国側で悪さをする必要がある。
そして潰しても、胸の痛まない屑。
貴族だな……
悪徳商会は、訴えても役人は動いてくれないようだ。
絶対に、領主が絡んでいるだろう。
情報を得るため、全員でギルドに登録する。
通り過ぎた、適当な村の名前を出身にすることにする。
専門ギルドではなく、何でも屋である冒険者ギルド。
過去は、未開の地へ踏み込み、開拓をしていった花形職業だった。
だが最近は、護衛をしたり、討伐をしたり、力のない奴は、薬草採取や、ドブ掃除。
草刈りから、少し離れた町への買い物まで。
そう何でも屋。
仕事をした合計額が貢献度となり、ランクと共に信用度が上がっていく。
ランクが低ければ、信用もなく、逃げられても困らないような仕事しか回ってこない。
先ずは悪徳商会である越前屋。ではなく、シンキ総合商会。
こいつが、お代官様に、山吹色の菓子折を運ぶ証拠を集めよう。
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