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第一章 異変の始まり

第5話 白い部屋

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 ぼふっと、笹で作ったバリケードを破り次々と、ゴブリンが出てくる。
 俺が置いた石に躓き、転がっていく。

 転がった奴の目に唐辛子スプレーを噴霧し、口にアルコールスプレーを撃ち込んでいく。
 それだけで、彼らは浄化されていく。
 理由など、知らんけど。
 効くのは間違いなく。ジタバタして消えていく。

 初めての時は、灯油かガソリンでも買って燃やそうとしたが、ガソリンは危険だし灯油とも思ったが、近くにあったのが薬局だった。
 だがそれが、当たりだった。
 奴らは、なぜか消毒できた。
 まあ小型の奴だけで、変異種には力業が必要。
 撃ち込んだ後。火を付けるだけ。

 まあ今回、変異種は出ず。
 わずか、23匹だけで、出てこなくなった。
 近くに転がる魔石を拾い。

 ライトで、洞窟の中を照らす。
「うーん。少ないな」
 ドキドキしながら、奥へと入ってみる。

 蜘蛛の巣は、さすがにないが、ゲジゲジさんがいたり。ビクビクしながら、奥へと向かう。

 やがて、分岐があり。とりあえず、右へ向かう。
 全体的に手彫りの雰囲気がある、趣のある洞窟。
 耳をそばだて、奥の音を聞く。
 わずかに、自身の耳鳴りがする程度。

 奥へ進むと、目の前には。
「何だこれ?」
 黒い渦が立っている。

 ライトで、突っつくと刺さり込み。
 潜った瞬間。真っ暗になる。

「あーどうしよ。見るからに怪しい」
 壁にペグを打ち込み、ワイヤーを繋ぐ。
「大分使ったからな、残りは、60m位か」
 手元に持つのは、耐荷重100kgの、2.5mmワイヤー。

 息を止め、顔だけを突っ込んでみる。
 当然。吸い込まれるように、向こう側へ引っ張り込まれた。

「おや。奇特な奴じゃな。あんな星に呼ばれたのか」
 むっ、じいさんが立っている。
 と言うことは、息ができるのか?
「ぶはっ」
 止めていた、呼吸を再開する。
 うん。息ができる。

 後ろを見ると、空中からワイヤーが生えている。
「何だこれ?」
 軽く引っ張ると、手応えはある。
 俺はそれで、少し安心をする。

「のう。そこの坊主。無視をするでない」
「ああ悪い。ちょっと色々気になって」
「ああ、まあ。それはそうじゃろうが。相手がいる場合は、普通そっちに集中せぬと失礼であろうが。うん? どうじゃ」
「それは、確かに。失礼いたしました」
 素直に、頭を下げる。

「うんうん。それでよい。それでじゃ、おぬしផែនដីមួយទៀតに行くのか?」
「はい? すみません。今なんと?」
「あー。エイリアステラにいくのか?」

「聞き取れたが、意味は分からない」
「なんじゃ。かなり低位の種族か。なら、迷ったな。おぬし。今、周りはどう見えておる?」
「白い世界」
「やはりのう。低次元の生き物で、本来この世界に耐えられないはずじゃが。まあいい。これも何かの縁じゃ。どれ。力を授けよう。何十億年に1度の気まぐれ。受け取れ。耐えろよ」
「ちょまっ。うがぁぁ」

 そのまま気を失う。

 そして、目が覚めれば。
 嬉しいことに、周りをゴブリンさん達に囲まれ。大注目を受けていた。

 襲われていないのが、なぜかは分からないが。
 今現在。絶好調に頭が痛い。
 体も痛い。
 ほら、ちょっとむせたら、血まで吐いた。

 顔を拭うと、目からも血を流していたようだ。
 そりゃ怖いよな。
 きっと周りじゃ、ゴブリンも。なんかヤバイ病気の奴がとか、きっと言っているのだろう。

 俺が動き出したので、囲っている輪が、少し広がる。

「うがあぁ」
 叫んでみる。

 輪がさらに広がる。
 落ち着いたところで、よく見る。
 ゴブリンが、興味津々で遠巻きにしているだけだが、その後ろ。
 木で作られた、壁が見える。

 こいつら、この星では、知的生命体だったのか?
 立ち上がってみると、家らしきもの。
 と言っても、柱を立て、上にでかい葉っぱが乗せてある簡素なもの。
 だがその下に、素っ裸にされ。ぐったりしている見慣れた種族を発見。

「有罪確定」
 そう思った瞬間。ゴブリン。奴らの首がある高さで、俺を中心に空間がズレた。
 周りを囲っていた板塀なども、100cmの高さで切られ倒れていく。

 鳴き声もなくなり、風の音がするのみ。
「あー。やっちまったなあぁ」

 とりあえず、ボディバッグをそこに置き。ぐったりしている奴らの元へ向かう。
 野郎達の下半身には興味がないので、見ないようにしたが、やはり目に入る。
 なぜか、無茶苦茶元気だ。

 生きているな。

 とりあえず、何かツタで縛られた手を、ニッパでちまちま切って、何とか解放する。
「生きているな。起きろ。朝だ」
 俺の声を聴いて、以外と元気な感じで起き上がった。

「奴らは?」
「不幸な事故で、皆逝ってしまった」
 彼らは、キョロキョロと周りを見るが、違和感だらけだろう。

 あの時は、気がつかなかったが、奥側に妙な掘っ立て小屋があった。

 そこへ向かい、バサバサと積もっている葉っぱをどけると、大きめの魔石が3つもあり。その中の一つはさらに大きかった。
 そう言っても、通常が1cm位で、大きめが2cm一番大きいのが3cmくらい。

「あのー。水とか食べ物は持っていませんか?」
「すまん。持っていない」
 彼らは、うち捨てられていた服を、見つけたのか。
 ボロボロだが、何とか着ていた。

「ちょっと、手分けして、魔石拾ってくれない?」
「あっはい」
 集めてもらうと、120個近くあった。

 何とか詰め込み、ボディバッグから伸びたワイヤーをたぐり。手を当てると、あの渦が開く。

 くぐろうとして、頭をぶつける。

 そういえば、向こうは1mの穴だ。
 かがんで、入り込む。
「ほら早く来い」
 そう言って、促す。

 何とか外に出て、残していた罠用ワイヤーを始末。
 その後、通報する。
 警察は無事来たが、俺は、驚きの事実を知る。
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